フリーランスは「本当に自由」なのでしょうか。「本当の自由」はどうすれば手に入るのでしょうか。
2018年6月29日、働き方改革関連法が成立しました。
政府が今国会の最重要法案とした働き方改革関連法は29日午前の参院本会議で可決、成立した。
引用:「働き方改革法が成立 脱時間給や同一賃金導入」(日本経済新聞 電子版、2018年6月29日)
これは、50年後も人口1億人を維持し、家庭・職場・地域でだれもが活躍できる「一億総活躍社会」を実現するための法案[1] で、フリーランスの増加との直接的なつながりは薄いといえるかもしれません。
しかしネット上の情報を見る限り、こういった政府の動きは、会社に縛られない自由な働き方を望む人を後押しすることになったようです。
ランサーズが行った「フリーランス実態調査2018年版」[2] によるとフリーランス人口、経済規模ともに右肩上がりなのです。
出典:「【ランサーズ】フリーランス実態調査2018年版」5ページから抜粋
出典:「【ランサーズ】フリーランス実態調査2018年版」6ページから抜粋
また、フリーランスの魅力として多く挙げられているのが、「自分の能力を生かせていると感じる」、「時間や場所に縛られず、自由で柔軟な生活ができる」という意見です。
出典:「【ランサーズ】フリーランス実態調査2018年版」19ページから抜粋
出典:「【ランサーズ】フリーランス実態調査2018年版」20ページから抜粋
自分の持っている知識や経験を活かしつつ、会社に縛られず自由に働きたいという人が多いのではないでしょうか。
しかしフリーランスの実情を見てみると、うまくいくことばかりでもないようです。
出典:「【ランサーズ】フリーランス実態調査2018年版」21ページから抜粋
上記グラフから、フリーランスの多くが「収入がなかなか安定しない」ことを自由な働き方を継続する際の障壁として挙げていることがわかります。
一方で、元会社員フリーランスがフリーランスを辞めて会社員に出戻りしたり[3]、自由に働いているはずのフリーランスがTwitterなどで会社員をディスったりするのを目にすることもあります。
会社員のメリットは、会社という「集団」に所属するだけでお金が入る仕組みが整っていること。
でも、これってバイトより頭使わなくなるのでは?と思っている。
バイトであれば、何日シフトに入るといくら稼げるっていう思考ができるけど、会社員は定額。
サバイバル感がないんだよなぁ。
— こーせい / 4ヶ月で会社辞めて独立 (@h_0918_k) 2019年1月30日
ですが、「フリーランスが『本当に自由』な働き方だとしたら、なぜ会社員に戻ったり会社員をディスったりするフリーランスがいるのかな?」と私は思うわけです。
フリーランスは「本当に自由」なのでしょうか。
「本当の自由」はどうすれば手に入るのでしょうか。
私は以下のように考えます。
「本当の自由」は得られるものでなく、勝ち取るもの
人はだれしも、すべてのことから完全に自由になることはできません。
常に何かに縛られ続けているわけです。
どんなに大金持ちや有名人だろうと、さらにお金を儲けようとして失敗する人や誘惑に負けて姿を消す人たちがたくさんいるのは明らかでしょう。
また、私たち一般人がお金、時間、人間関係、働く場所などに縛られているのはご存知のことと思います。
では、「本当の自由」はどこにあるのでしょうか。
「自由に働けるフリーランス最高!」というような話を聞くこともありますが、私はそんなに簡単なことではないと思います。
だれもが何かに縛られる不自由な環境の中で、自分自身で見つけ、勝ち取った自由にこそ「本当の自由」としての価値があると考えるからです。
私には転職経験があり、前職は国家公務員として某省に勤めていました。
今よりも給料は断然よく、休みはカレンダー通りでお金と時間の面では十分に自由だったと思います。
しかし、仕事の成果は目に見えにくいものばかりでしたし、地位が上がれば上がるほど組織や上司のメンツのためだけの仕事が増えていきました。
そこには、自分の能力を活かせているという感覚も、人の役に立てているという実感がなかったのです。
私はここに、ずっと不自由さを感じていましたし、30歳を迎えたころには「このまま人生を終えたくない」と強く思うようになっていました。
こうして私は、10年間勤めた国家公務員を辞め、飲食関連の企業に就職しました。
全くの未経験でしたが、人と直接接する仕事を通して自分も人の役に立てるという実感を持ちたかったのです。
給料は下がり、休日も年間70日程度しかない厳しい職場ですが、飲食の仕事はお腹を空かせたお客さんに料理を提供し、笑顔で帰ってもらう仕事で、人の役に立てていることを毎日実感できています。
また、かなり限られた時間の中ですが、私は副業ライターをしています。
ブログがきっかけで「書くこと」が大好きだということがわかって始めましたが、好きなことで少しでも収入を得ることができており、こちらもとても充実しています。
そう、転職後は心の自由を手に入れたのです。
ただし、自由を感じている現在の働き方ですが不自由なところはありますし、それにストレスを感じることももちろんあります。
例えば副業のライター業。
「書くこと」は大好きですが、受注のための提案、金銭管理、確定申告等の業務は思いのほか時間のかかるもので、これに焦りやストレスを感じることもあります。
また、私はまだ副業ライターですが専業ライターとして活動した場合、翌月の収入があるかどうか、収入が上っていくかどうかなどは「すべて自己責任」という強烈なストレスがかかることは容易に想像できます。
どのような働き方をしても、そこには自由も不自由もあるのです。
大切なのは、あなたを縛る数ある不自由の中から「ここからだけは自由になりたい」というものを見つけ、価値ある自由を勝ち取ることなのです。
私は転職、副業を通して、お金と時間の自由と引き換えに「やりがいのある仕事をする」、「好きなことを仕事にする」という心の自由を得ることができました。
「本当の自由」とは、「〇〇をしたら自由になれる」というように絶対的に得られるものではありません。
何に価値を感じるかを見つめ、「〇〇から自由になる」と自ら動いて勝ち取るものなのです。
「本当の自由」は、あなたの中にある
あなたは何に価値を感じますか?
お金に価値を感じるなら、収入の多い仕事をすればいいでしょう。
時間に価値を感じるなら、自由な時間に働ける仕事をすればいいでしょう。
会社に縛られない働き方に価値を感じるなら、フリーランスになればいいでしょう。
何に価値を感じ、何を仕事にしてもいいと思います。
価値観に合った仕事ができれば、それが心の自由になるからです。
「本当に自由」に働くことができれば、他の不自由が気にならなくなります。
どんなに小さなものでも、それがあなたにとって価値ある自由なら、それこそが「本当の自由」なのではないでしょうか。
人はだれしも、すべてのことから完全に自由になることはできません。
だれもが何かに縛られながら不自由な環境で働き、生きているのです。
だから、その不自由の中からあなたが大切にしたい価値をはっきりさせましょう。
そして、それに合った働き方をし、生きていくのです。
「本当の自由」はどこにあるのか。
それは、あなたの中にあるのです。
まとめ
「収入がなかなか安定しないこと」に不安を抱えるフリーランスは、お金に縛られているといえるでしょう。
また、元会社員フリーランスで、フリーランスを辞めて会社員に出戻る人は、会社員の方が自由な働き方ができたのでしょう。
そして、Twitterなどで会社員ディスをするフリーランスは自分の中の価値ある自由がわからず、つらい思いをしているのでしょう。
「本当に自由」な働き方をするのは、簡単なことではないのです。
「会社に縛られないフリーランス最高!」と思ったら大間違いというわけですね。
しかし、「本当の自由」は必ずだれでも見つけることができるのです。
もしあなたが、「もっと自由に働きたい」と今の仕事に不満を抱えているのなら、お金、時間、住む場所、人間関係など、あなたを縛るものの中からあなたが譲れないものを考えましょう。
また、あなたが自由に働けていると満足しているなら、その「本当の自由」をさらに価値の高いものにできるよう、努力してみるのがいいでしょう。
「本当の自由」を手に入れ、自由に働き、生きていけるか。
それは、私次第であり、あなた次第なのですから。
<参考・参照サイト>
[1] 「安倍晋三総裁記者会見(両院議員総会後)」(自由民主党、2015年9月24日)
[2] 「【ランサーズ】フリーランス実態調査2018年版」(ランサーズ株式会社、2018年4月4日)
[3] 「僕がフリーランスから会社員に戻った3つの理由 ?? 働き方シフト[フリーランス編]」(BUSINESS INSIDER JAPAN、2017年4月17日)
この記事を書いたのは
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専業ライター。大学卒業後、防衛省にて10年勤め、民間企業を経てフリーランスへ転向。ネット、転職、英語、取材などを中心に書いています。クライアント様の伝えたいことを、万策をもってお伝えします。スマートニュース掲載、上位表示記事多数、寄稿(わたしのネット様、ゼロプラス様、スタープラチナ様など)。
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