知人から聞いた令和時代の小学校、昭和との違い。文部科学省に聞いた先生の働き方改革。


知人から聞いた令和時代の小学校、昭和との違い。文部科学省に聞いた先生の働き方改革。

少し前ですが、先生のお仕事について調べる機会がありました。

 

教職課程、教育実習、教員採用試験というハードル、実際に教師になった際の1日の流れなど。

 

経験はしていなくてもその大変さはわかるような気がしました。

 

そして先生の働き方改革についても知りたいと思い、実現したのが今回の記事です。

 

 

 

私には小学校の実態を詳しく知る術がなく、頼ったのが今まさに小学生の父親でPTAにも積極的に関わっている知人でした。

 

まずはその知人から令和時代の小学校の今を伺い、私が通っていた昭和時代とどう違うか解説していきます。

 

 

父兄に聞いた令和の小学校、昭和との違い

 

「生活科」という科目がある

 

私が通っていた昭和時代、主な教科は国算理社、そのほか音楽や図工、体育、道徳、家庭科などがあったと思うのですが、今は生活科があります。

 

小学1~2年生が受ける科目で週3時間、年間100時間ほど。

 

学校、家庭、地域、公共物や公共施設の利用、季節の変化、自然や物を使った遊び、動植物の飼育・栽培などを学びます。

 

 

 

多くの20~30代の方はこれを見て、「当たり前でしょ?」と思われるのでしょうけど、私が小学校を卒業したのは平成元年。

 

その3年後に生活科が全面的に導入されたため、昭和時代はなかった科目なのです。

 

 

 

 

小学校内での児童の発表もフリップ形式?

 

昔は黒板の前に立って口頭で発表したり、模造紙に内容を書いて、それを読むようなかたちで発表したりしていたと思うのですが、今はテレビ番組で見かけるようなフリップを使って児童も発表するようです。

 

会議室で大人が行う形式のプレゼンを、今の児童たちもやっていて、知人も参観で実際に見て感心したといいます。

 

 

 

 

思ったよりもデジタル化していない

 

携帯電話を学校に持って行くのはOKですが、下校するまで使えず。

 

また授業中タブレットを活用、駆使しているシーンも見聞きしていないということでした。

 

 

 

 

意外にも小学校はグローバル化している

 

私自身、ここ数年で駅、コンビニ、スーパーでも外国人をよく見かけるようになったと感じていました。

 

日本に家族で移住し校区の小学校に通わせる親も増えていて、外国籍の子、ハーフ、クオーターのクラスメイトもめずらしくないそうです。

 

 

 

そのため日本語指導担当教員も配置されているそうで、これは昭和時代にはなかった取り組みといえます。

 

また小学生同士の海外交流も盛んで、海外の児童が小学校に来て、一緒にゲームなどをする交流行事も催されているそうです。

 

 

 

 

現金を学校に持って行くことはない

 

私は昭和50年代後半から6年間小学校に通っていたわけですが、当時封筒に入れた何かしらの金銭を学校に持って行っていた記憶があります。

 

おそらく給食費などでしょう。

 

現在はほぼ完全に引き落としだそうで、お金を持たせることはないそうです。

 

給食費ですが徴収事務を行っているのは学校ではなく教育委員会で、学校は納付の有無をチェックするだけのようです。

 

 

 

 

個人情報は厳重に管理されている

 

PTAの役員をされている方は、クラス児童の住所、連絡先、世帯主の続柄や名前などをすべて把握しているのだろうと考えていたのですが、今は、学校側は情報提供しないようになっているそうです。

 

私が通っていた当時は連絡網が配布され、「台風による休校」「運動会が雨天延期」

といった内容が、当日朝に家の固定電話にかかってきて、それを次の家庭に電話し順繰り伝言してくれていたように記憶しています。

 

今は個人情報管理が厳重徹底されており、父兄が知り得るのはクラスメイトの名前だけだそうです。

 

クラスメイトの住所も親の名前もわからないということで、PTAや父兄とのつながりはどうなっているのか尋ねたところ、リアルに会ってはじめてお互い「電話番号を」「LINEを」と言い合いながら繋がり、関係を構築していくようです。

 

 

 

 

校外との交流行事も増えている

 

地域連携行事は確実に増えているそうです。

 

ただ、それに伴い、学校の先生も休日のはずなのに夏祭りなどに参加されていたとのこと。

先生の働き方はどうなっているのか、平日も夕方以降、夜間、遅くまで学校にいるような感じなのか気になり、その点ストレートに訊いてみました。

 

 

 

 

夕方以降、連絡がとれないのが基本

 

担任の先生への連絡はすべて学校経由となり、17時以降は取り次いでもらえない、携帯電話番号も知らないとのことです。

 

19時頃一度、小学校の前を通ったときがあったそうですが真っ暗で、夜遅くまでいないのではという回答が返ってきました。

 

しかしPTAの会合は17時以降開催で、遅いときは19:30まで開かれることがあり、校長、教頭、教務主任の先生は立ち会ってくださっていたそうで、夜遅くまでおられることはたまにあるといっていいようです。

 

 

 

 

日常的に児童と関わる大人が増えた

 

児童が小学校の教室で日常的に関わる大人は昔、基本的に担任の先生1人だけと記憶していますが今は、アシスタントティーチャー、低学年サポーターといった名称で関わってくださる方がいるというのもわかりました。[1]

 

それであれば担任の先生などの業務負担は徐々に、軽くなってきているのかなという印象を持ったのですが、実際は違うようです。

 

 

 

 

やるべきことは増えているのでは?

 

担任の先生は教室で教科を教えるだけではなく、勉強についていけない児童のフォロー、身の回りのことができているかどうかを見てあげています。

 

他にも、地域との連携、児童にさまざまな体験をさせるための下準備を行う必要があるようで、実際に校内や校区内を、走り回る姿を知人は見たことがあるそうです。

 

地域を巻き込んだ行事、例えば児童が校区内商店街のお店の方にインタビューをして回るような体験授業では、事前に依頼、打ち合わせをし、頭を下げてお願いしているようですし、また調理実習の下準備、校庭でのトマト・さつまいもといった家庭菜園の段取りなど対応すべきことが多く、取り上げていくとキリがなさそうということでした。

 

 

 

このように、アシスタントティーチャーなど人的資源が割かれ担任の先生の負担が緩和している材料がある一方で、地域連携や体験の場を提供するための根回しなど負担増の材料もあり、正直今の担任の先生の働き方はどうなのか、逆に気になる結果となりました。

 

そこで文部科学省に先生の働き方改革について、どのような施策を具体的に講じているのかも今回、サイト経由で問い合わせをし、メール回答を得ていましたので、それは次章でまとめます。

知人から聞いた令和時代の小学校、昭和とのちがい、文部科学省に先生の働き方改革についても聞いた-1_r

 

 

先生の働き方改革、文部科学省に聞いた

 

代表的施策は次の7項目とのことです。

 

①学校徴収金(給食費や教材費)の徴収及び支払い業務を教育委員会や事務職員が行う

②学校行事の見直し

③スクール・サポート・スタッフや部活動指導員等の外部人材の活用

④ICカードやタイムカードによる勤退管理

⑤留守番電話の導入

⑥学校閉庁日や定時退庁日の設定

⑦統合型支援システムの活用による業務の効率化

 

 

知人に取材した結果を確証づけるような内容と、その具体例として横浜市の取り組みをご紹介いただきました。

 

横浜市教育委員会が平成30年3月に発出した「教職員の働き方改革プラン」[2]によると、

 

市実態調査で9割の教職員が「多忙と認識しつつも(やりがいを感じているから)苦にならない」とし、子どものために献身的に尽くす姿が見えたほか、「勤務時間中に授業準備ができておらず時間外に行っている。」「月4日以上の休日出勤をしている先生がおよそ4割、月8日以上が2割いて、半数以上が休憩時間をとる、早く帰ることもできていない」ことがわかったそうです。

 

そこで学校現場が多様化・複雑化していることや、教職員が学ぶ時間の必要性も踏まえつつ以下の戦略を打ち出しています。

 

 

 

 

横浜市教職員の働き方改革、4つの戦略

 

①業務改善

 

ICT等を活用した支援システムの構築、eラーニングによる研修、学校が催す会への出欠席集計などに電子申請システムを活用、教職員間情報共有のグループウェア導入などにより業務改善を図るとのことです。

 

 

 

 

②業務適正化・精査・精選

 

勤務時間外の留守番電話、部活動休養日、学校閉庁日の設定、市や学校が主催する行事のあり方を検討するなどし、業務適正化・精査・精選していくとのことです。

 

 

 

 

③チーム体制と人員配置

 

小学校高学年で一部教科を分担制にする、職員室業務アシスタントや新規部活指導員といったサポート専門スタッフを配置、拡充するなどし、働き方改革を推し進めていくそうです。

 

 

 

 

④人材育成及び意識改革

 

働き方改革を考えるイベント等の開催、管理職、一般教職員対象研修を実施するなどし、働き方の見直しを促すそうです。

 

 

 

 

最後に

 

今の小学校はもっとハイテク化、効率化が進んでいるイメージがあったのですが、それは事情を理解していなかった大人(私)の勝手な妄想でした。

 

実際はグローバル化、交流や連携が増え、児童も保護者も先生も多くの人とつながった分、むしろ手間が増えているように感じます。

 

一労働者として先生たちは大丈夫なのかと気になったのですが、文科省の回答からきちんと働き方改革の土壌もできあがっていることもわかり、ホッとした次第です。

 

あとは先生次第といったところなのでしょう。

 

 

 

知人への取材でもっとも印象に残ったのは小学5年男子が山村留学のことを自分で調べてきて、自ら行くと決め、1年間親元を離れ頑張っているということでした。

 

知人によると「我が子も含め今の小学生は、情報収集力が高く自立している」といいます。

 

子の情報収集力が高いならなおさら、先生・会社員・フリーランスなど、どの職業もそうですが、親世代が昔、仕事の大変さを私たちに悟らせなかったように、子どもらに心配かけぬようそっと自身の「働き方改革」を実施していくべきではないでしょうか。

 

 

 

 

 

<参考・参照サイト>

[1]横浜市立小・中学校アシスタントティーチャーの募集~教育支援学生ボランティア~」(横浜市HP)、

  「小学校低学年学校生活安定事業について [PDF]」(焼津市HP)

[2]教職員の働き方改革プラン [PDF]」(横浜市教育委員会、平成30年3月)