会社員を辞めてフリーランスとなって確定申告をした翌年、住民税の通知が届いたときに、おそらくほとんどの人が「税金高くない?」と思われるのではないでしょうか。
それは、実は前年の給与所得にかかるもので、フリーランスになったからかかっているというものではありません。
上記のように納付の方法が異なるため、毎月控除される給与がなくなった年は直接納付することになりますので、年間の住民税を意識することになります。所得税は、税額によっては予定納税(前納付)がありますが、住民税は後に納付するのみです。
FXなどで年間の所得が一気に増えると、翌年の住民税の納付書が届いた時に戦慄が走る、こういったことがよく起こっています。
私は会社員を辞めた翌年に学生に戻ったため、住民税の納付書が届いた時に預金を使い切り、アルバイトを掛け持ちして凌ぎました。焦って市役所に電話したことを今でも覚えています。
会社員とフリーランスでは、納付のタイミングは異なりますが、その計算方法などから実際の納付額はどうなるのか、考えていきたいと思います。
収める税金の種類
<会社員>
所得税、住民税
<フリーランス>
所得税、住民税(、事業税)
※事業税は、事業(不動産)所得が290万円の控除を超えると発生
このように、基本的には変わりませんが、フリーランスになると個人事業税というものが発生してきます。290万円の基礎控除額がありますので、事業所得がそれ以下だと発生しません。また、確定申告の結果から自動計算されるため、個人事業税のみの申告というのはありません。
税金の計算方法について
所得の計算式は以下のようになります。
<会社員>
【(給与収入-給与所得控除)-保険料控除等-扶養控除等-基礎控除】×税率
<フリーランス>
【(収入-必要経費-青色申告控除)-保険料控除等-扶養控除等-基礎控除】×税率
所得税率は累進課税ですので、段階別に税率(5%~45%)をかけて計算されます。段階別に分けて計算されますので、45%の税率に該当する所得の人の所得税が全て45%で計算されるわけではありません。
上記のように違いは、給与所得か事業所得かというところで計算式が異なるだけで、あとは変わりません。
なお住民税は、計算式は上記と同じで、配偶者控除と基礎控除が各33万円(所得税は38万円)となって、一律で税率10%です。(※均等割があったり、保険料の控除額が違ったり、一部異なります。)
具体例で考えてみる
上記のように計算式が異なることで、同職種の仕事をしていても、会社員とフリーランスでは税金が変わります。有利不利は一概に言えませんが、傾向はあります。
標準的な例、収入が多く経費も多い例、収入が多く経費は少ない例、3つの例を挙げてみます。その税額の差を見て頂ければと思います。
【共通条件】
年齢~39歳、配偶者収入0円で控除有り、保険料等控除無し
※配偶者・扶養者によって、(国民)年金に差が出ます。
※下記の社会保険料等は概算です。
※経費のイメージのため、職種を入れていますが、計算結果には関係ありません。
※復興特別所得税(所得税の一律2.1%)は、計算外にしています。
コピーライター
会社員(広告代理店勤務):
年収500万円 社会保険料70万円
フリーランス:
年収500万円 必要経費150万円 国民健康保険料40万円 国民年金36万円
<会社員>
給与所得(500万円-給与所得控除154万円)-社会保険料70万円-配偶者控除38万円-基礎控除38万円
=所得200万円
↓
所得税102,500円、住民税概算210,000円
計312,500円
<フリーランス>
事業所得(500万円-必要経費150万円-青色申告控除65万円)-国保40万円-年金36万円-配偶者控除38万円-基礎控除38万円
=所得133万円
↓
所得税66,500円、住民税概算143,000円、事業税0円
計209,500円
同じような収入でも、フリーランスの方が税金は少ないです。会社員の必要経費とも言える給与所得控除と必要経費が同じぐらいであれば、青色申告控除65万円の分だけ税金が少なくなります。
税理士
会社員(会計事務所勤務):
年収1000万円 社会保険料117万円
フリーランス :
年収1000万円 必要経費500万円(地代家賃、システム利用料、会費等) 国民健康保険料60万円 国民年金36万円
<会社員>
給与所得(1000万円-給与所得控除220万円)-社会保険料117万円-配偶者控除38万円-基礎控除38万円
=所得587万円
↓
所得税746,500円、住民税概算597,000円
計1,343,500円
<フリーランス>
事業所得(1000万円-必要経費500万円-青色申告控除65万円)-国保60万円-年金36万円-配偶者控除38万円-基礎控除38万円
=所得263万円
↓
所得税165,500円、住民税概算273,000円、事業税0円
計438,500円
フリーランスの方が税金は少なくなります。会計事務所のように場所を確保して、システムなども利用する必要のある職種は多くの経費がかかります。その分、会社員時代と同じ収入では、手元に残るお金は相当に少なくなります。その分だけ、税金も少なくなります。
また、給与所得控除は比例的に計算されるものではないため、収入が増えていくと会社員は累進課税で一気に税金が高くなります。
コンサルタント
会社員(ファーム勤務):
年収1000万円 社会保険料117万円
フリーランス :
年収1000万円 必要経費150万円 国民健康保険料89万円 国民年金36万円
<会社員>
給与所得(1000万円-給与所得控除220万円)-社会保険料117万円-配偶者控除38万円-基礎控除38万円
=所得587万円
↓
所得税746,500円、住民税概算59,7000円
計1,343,500円
<フリーランス>
事業所得(1000万円-必要経費150万円-青色申告控除65万円)-国保89万円-年金36万円-配偶者控除38万円-基礎控除38万円
=所得584万円
↓
所得税740,500円、住民税概算594,000円、事業税147,000円
計1,481,500円
給与所得控除と(必要経費+青色申告控除)が同じくらいの額になると、所得税、住民税は同じぐらいになりますが、事業税がかかってくる分だけ税金は増えます。パソコン一つ持って、会社に入り込むような仕事をしていると、経費はあまりかかりません。そういう場合は、この例のように会社員よりも税金が高くなることがあります。
ただし、事業税は翌年の必要経費になります。
まとめ
こうして例を並べて比べると、あまり税金に差がないことが分かると思います。それは、給与には給与者の概算経費と言える給与所得控除がありますので、会社員に近い働き方では所得税に大きな差が出ないようになっているためです。
税金の傾向としては、同収入であれば、以下のようにまとめられると思います。
・必要経費(*1) がフリーランスになっても同じような仕事
(上記例①③)
↓
フリーランスになっても大差が無い(※会社員より少し減るか、事業税の分だけ少し増える)
・必要経費(*1) がフリーランスになると増える仕事
(上記例②)
↓
フリーランスになると、会社員よりも税金が減る(※事業税によって多少前後する)
(*1) 必要経費:活動量や自前の道具
フリーランスになると、小規模企業共済など節税の幅は増えます。いろいろ検討してみるといいかと思いますが、「無理に経費を使う=無駄な出費になる」ということも多々としてあります。冷静に必要なものかどうかを判断して経費を使いましょう。
また、上記の例では、全て青色申告の前提で計算しておりますが、条件をクリアすれば65万円(または10万円)の控除がありますので、忘れずに申請しておきましょう。
納付の方法やタイミングが変わりますので、普段から納付に備えておき、延滞税等、無駄な税金を支払わなくていいようにしましょう。
青色申告にご興味のある方は
『フリーランスを目指すなら必見!開業届と青色申告承認申請書のいろは』
こちらの記事に簡単な解説がありますので、参考にしてみてください。
※青色申告の詳細を知りたい方は、国税庁HP「No.2070 青色申告制度」をご確認ください。
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