語学が得意な人にとって、魅力的な仕事の1つが翻訳ではないでしょうか。フリーランスの翻訳者になれば、時間や場所を問わず、自由に仕事をすることができます。
しかし、翻訳の仕事はどこでどのように獲得できるのでしょうか?
この記事では、フリーランスの翻訳者として10年以上のキャリアを持つ私の経験を踏まえて、フリーランスの翻訳者として仕事を獲得する方法を紹介します。また、翻訳の仕事を継続的に取るために、私自身が日頃からやり続けてきたことも3つお伝えします。
翻訳未経験の方でも大丈夫。私もこの方法で未経験からキャリアを積んできました。フリーランスの翻訳者として稼ぎ、食べていきたい方に、ぜひ役立てていただければと思います。
目次
フリーランスで翻訳の仕事を取る方法
翻訳の仕事を取る方法としては、主にクラウドソーシング、翻訳会社、直接取引の3ルートが考えられます。それぞれ特徴が異なりますので、以下にまとめました。
〔方法1〕クラウドソーシング
インターネット上で仕事を請け負うことができるクラウドソーシング。
小規模の案件も見つけやすいため、翻訳が未経験の人にも始めやすく、経験を積みやすいのがメリットです。一方、翻訳会社経由の案件や直接取引の案件と比べると、単価が低い案件が多くなっています。
ここでは、翻訳案件が中心のクラウドソーシングサイトを3つ紹介します。
私自身も、駆け出し時代はクラウドソーシングを活用して経験を積んでおり、以下のサイトはいずれも、私が一度は仕事を取ったことのあるサイトです。それぞれ個性がありますので、今の自分に合ったサイトで仕事を始めてみてはいかがでしょうか。
・Conyac
『Conyac』は、日本発のクラウドソーシングサービスです。登録時にテストがなく、短い文章であれば登録するだけで受注できるため、翻訳未経験者には最も始めやすいサービスです。
翻訳以外の案件も扱っており、外国語のテープ起こしや海外現地調査などの案件もあります。
翻訳だけでなく、語学を幅広く活かしたいと考えている方におすすめです。
・Gengo
『Gengo』は、アメリカ発のクラウド翻訳サービスです。登録時には、選択式テストと翻訳テストの2種類に合格しなければなりません。登録後も、さらに基準の厳しいテストを受けることで報酬が上がり、受注できる案件の幅が広がっていきます。
専門知識や調査が必要になりそうなビジネス系の案件も多い印象ですので、これから本格的に翻訳の仕事で食べていきたい方におすすめです。
・トランスマート
『トランスマート』は、クラウド翻訳サービスとしては「老舗」です。登録時にテストがあるほか、登録後もランクアップテストが用意されています。
契約書や医薬関係など、専門性が高い案件が比較的多い印象です。また、有料にはなりますが、用語集などを登録できる翻訳支援ツールも使用できます。
既に特定の専門分野をお持ちの方や、専門分野を決めて本格的に仕事をしようと考えている方におすすめです。
〔方法2〕翻訳会社
フリーランス翻訳者の仕事の取り方で、最も一般的なルートです。翻訳会社は、翻訳を依頼するクライアント企業と翻訳者の間に入るエージェントの役割を果たします。
翻訳者は翻訳会社と業務委託契約を結び、案件が発生したらその都度、打診を受ける形になります。契約前に、翻訳能力を確認するためのトライアル翻訳が課されるのが一般的です。
翻訳会社を使う最大のメリットは、自分で営業を行う手間が省けることです。
しかし、契約できたからと言って、必ず仕事がもらえるわけではありません。契約したきり連絡が来ないこともありますし、小さな案件ばかりで収入につながらないこともあります。
そのため、多くの翻訳者が複数の翻訳会社と契約しています。私の経験では、トライアルに合格して契約を結んでも、実際にお付き合いが長期にわたって続く会社は半数程度でした。
翻訳会社の翻訳者募集は各翻訳会社のサイトに掲載されていますので、検索して探してみてください。日本翻訳連盟のサイトにも、翻訳者募集の情報が掲載されています。
〔方法3〕直接取引
個人や企業から直接翻訳を依頼されるパターンです。クラウドソーシングや翻訳会社と異なり、仲介料を抜かれずに済むため、高収入が望めます。
自分でウェブサイトを立ち上げて、直接翻訳依頼を受け付けている翻訳者も見かけます。私も、「翻訳の仕事をしている」とウェブ経由で発信したところ、お会いしたことのない個人の方から、何度かウェブサイトの翻訳を依頼されたことがあります。
最も収入が高くなるのは、企業との直接取引だろうと思います。
しかし、個人のフリーランスは信用がないとみなされ、取引をしない企業も多いのが現実です。フリーランスになる前に在職していた企業から仕事を請け負っている翻訳者もいますが、企業との直接取引は基本的に難しいと考えたほうが良いでしょう。
仕事が取れるフリーランス翻訳者になるためにやっておきたいこと
翻訳を仕事にするのなら、継続的に仕事を獲得してきちんと食べていけるようにしたいものです。そうなるためには、何をしたらよいのでしょうか?
私の経験を踏まえると、仕事が獲得できるフリーランス翻訳者になるためには、以下の3つが外せないと考えます。必ず押さえておきましょう。
〔point1〕専門分野を持つ
まずは1つ、専門分野を持っておきましょう。単価の高い仕事ほど、専門知識の必要な案件が多いからです。また、仕事を依頼する側としても、専門分野が明確な翻訳者のほうが信頼しやすく、仕事を依頼しやすいのです。
代表的な専門分野としては、IT、医薬、特許、金融、法律、ゲームなどがあります。
専門分野を選ぶポイントは、「この分野のことを勉強し続けたいと思えるかどうか」です。本格的に翻訳の仕事をするならば、勉強や調査はずっと付いて回りますので、好きな分野を選ぶようにしましょう。
分野別に翻訳の方法を教えてくれる学校もあります。私は文系出身ですが、医薬系の翻訳に最も関心があったため、医薬系の翻訳学校に通って基礎を身につけ、仕事にしています。
〔point2〕たくさんの経験を積む
翻訳を仕事にすると決めたなら、早いうちから仕事の経験をたくさん積みましょう。なぜなら、翻訳の仕事は資格や学歴よりも経験が重視されるからです。
実際、翻訳会社の中には、複数年の翻訳経験があることを採用条件としているところも多く、経験がないと門前払いになってしまうのです。
クラウドソーシングを利用すれば、未経験でも翻訳の仕事を取ることができます。また、「未経験OK」という翻訳会社も少数ですが存在します。
私はクラウドソーシングで仕事を取りつつ、「未経験OK」の翻訳会社のトライアルを片っ端から受けて仕事を増やしていきました。その結果、初年度から翻訳の仕事だけでも食べていける状態になりました。
経験を積めば積むほど、仕事の幅も広がっていきます。
〔point3〕徹底的に調べる癖をつける
翻訳は語学力だけではできません。調査のプロになりましょう。原文を理解するために背景知識が必要になることもありますし、まだほとんど世に出ていない最新の知見に触れることもあるからです。
私は先輩翻訳者から「翻訳者は調べもの屋だよ」と教わったことがあります。
インターネットでの検索や情報収集のスキルを磨いておきましょう。必要であれば、図書館に足を運んだり、企業に電話をかけたりして調べることも必要です。
私は駆け出し時代、原文の情報に誤りがありそうな箇所を発見し、関係先に電話調査したうえでその旨を翻訳会社に伝えたところ、非常に喜ばれて仕事が途切れなくなった、という経験があります。
また、言葉を調べる際に、辞書は欠かせません。ネットの無料辞書でもかなり調べられる時代ではありますが、専門用語などが正確に訳されていない場合もあります。
特に専門分野の辞書や用語集、文例集などは、正確な翻訳をするためにも手元に揃えておくと便利です。
まとめ
ご紹介してきたように、フリーランスで翻訳の仕事を獲得するためには主に3つの方法があります。
最初の段階としては、クラウドソーシングで仕事を受けつつ、未経験者でも応募可能な翻訳会社にどんどん応募するのがおすすめの方法です。
翻訳の仕事で本格的に稼ごうと思うと、語学力だけでは務まりません。専門分野の知識や調査力も必要です。結果的に、ずっと勉強し続けることになります。語学が好きなのはもちろんですが、できるだけ自分が興味を持てそうなジャンルを専門分野として選ぶと良いでしょう。
どんどん仕事を取りながらスキルもしっかり磨いて、稼げる翻訳者になってください。
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