ゆるやかな繋がりで得られるものがある。フリーランスがチームを組むメリット。
「フリーランス」というと、1人で黙々と働いているイメージがありますよね。
しかし、フリーランスといえども、2人以上のメンバーでチームを組んで働くこともあります。
フリーランスライター歴2年目の私も、ゆるやかな2つの繋がりに所属しています。
1つはクライアントから仕事を受けているうちに自然発生的にできたチーム。プロジェクトが立ち上がったら集まり、そのプロジェクトが終わったら解散するというスタイルです。
もう1つのチームは、自分から飛び込んだライター集団。同じような価値観を持つライター10人で1つのメディアを運営しています。
今回は、これら2つのチーム経験から私が感じている「フリーランスがチームを組むメリット」について書いていきたいと思います。
目次
フリーランスのチームによくある2つの形とは
メリットについて語る前に、フリーランスのチームとしてよくある2つの形をご紹介します。
冒頭でも私の経験談としてご紹介していますが、フリーランスのチームには、「異業種チーム」と「同業種チーム」の2つの種類があります。
異業種チームとは、あるプロジェクトを達成するために、業種の異なるフリーランス同士が集まって作るチームのことです。
例えば、Aさんがある企業から「企業のコーポレートサイトを作成する」というプロジェクトを受注したとします。
Aさん自らが全ての業務をこなすことができれば良いですが、そうではない場合、そのプロジェクトを達成するために専門分野のフリーランスに業務委託するでしょう。
コーポレートサイトの作成のためには、ディレクター、カメラマン、ライター、デザイナーなどの専門家(フリーランス)が必要になりますよね。
そこで、Aさんは各分野のフリーランスを集めてチームを結成します。
このように、それぞれが異なる業種の専門家によるチームが異業種チームです。
一方、同業種チームとは、同じ専門分野のフリーランスが集まる集団のこと。
ライター集団、デザイナー集団、エンジニア集団、翻訳家集団など、それぞれ同じ業種のフリーランス同士が繋がり合ってチームになる形です。
冒頭で紹介した、私が所属するライター集団もこういった同業種チームの1つと言えます。
私の所属するライター集団は、「メディアを運営する」という目的がありますが、横の繋がり自体を目的として集まっているライターチームもあります。
異業種チームのメリット
フリーランスのメリットの1つは、特定の仕事仲間や繋がりにとらわれず、自由に働けることです。しかし、異業種チームのように、固定メンバーで仕事を受けることにもメリットはあります。
このとき、自分が居心地よく感じ、互いに信頼のおけるメンバーとチームを組んでおくことが大切です。
もしお互いに相性が悪かったり、信頼できなかったりするメンバーとチームを組んでしまうと、以下でご紹介するメリットが得られないばかりか、その繋がり自体がデメリットになってしまう場合もあります。
①仕事が増える
ランサーズが2019年に行ったフリーランス実態調査[1]によると、フリーランスの大半は人脈によって仕事を得ていることが分かります。
つまりフリーランスにとって、人脈を広げておくことは仕事を得る上でとても大切なことだと分かります。
自分の専門分野と異なるメンバーとチームを組んでおくことで、メンバーの1人に仕事が舞い込んできたときに「こんな仕事できる?」と仕事を振ってもらえるというメリットがあります。
また、チームメンバーのクライアントが、自分の専門分野のフリーランスを探している場合、自分を紹介してもらえるかもしれません。
②仕事がはかどる
フリーランスには、特定の仕事仲間にとらわれず、刺激を求めてつねに新しい仲間と働くことができるのが魅力の1つ。
しかし、決まったメンバーでプロジェクトに参加し続けるメリットもあります。
互いにプロフェッショナルであるフリーランス同士でも、それぞれの性格や仕事の流儀、ライフスタイルなどによって、「この人とは相性が合わないな」と感じる場合も少なからずあります。
逆に、1度ぴったりと息が合う相手が見つかると「ぜひまた一緒に仕事したい」と素直に思えるものです。
最初は苦手だと感じていた相手でも、一緒に働いているうちに心が通じ、素晴らしい結果を出すことができる場合もあります。
自分が納得できる人間関係を構築するのには時間が必要ですし、また相性の良い相手というのは簡単に見つかるものではありません。
お互いに相性の良い相手とチームを組むと、最初から信頼関係ができている状態で仕事を始められるので、コミュニケーションに費やすための時間を短縮できます。
お互いの仕事の流儀やライフスタイルに理解があれば、先回りしてミスコミュニケーションを防ぐこともできるでしょう。
私は昨年末に、とあるITコンサルティング会社の代表と知り合い、ライターの仕事を受けるようになりました。
その会社では、定期的に企業のコーポレートサイトを作成する仕事があり、私もライターとして過去3回プロジェクトに参加しています。
ディレクター、カメラマン、ライターの3名で企業へ現地取材に行き、各自自分の仕事をしながらサイトを完成させていきます。
毎回同じメンバーです。
最初の仕事では、ディレクターの進め方に馴染めず、何度もコミュニケーションを重ねなければいけなかったので「この人とは合わないかも?」と思っていた私ですが、何度も仕事をともにしているうちに、だんだん打ち解けることができました。
3度目の仕事ではお互い相手のコミュニケーションの癖が分かっているので、言わなくても「きっとこういう意味なのだろう」と理解でき、まさに「あうんの呼吸」とはこのことだと感じました。
③仕事の品質が安定する
フリーランス同士が一緒に働く場合、それぞれの才能は素晴らしくても相性やチームワークが悪ければ、クオリティーの高い実績を残すことは難しいことがあります。
お互いの相性が悪く、それぞれが本領発揮できなかったり、ミスコミュニケーションのせいで納期に遅れてしまったりという場合もあります。
一方で、何度か一緒に働いたことのあるメンバーの場合、そういったハプニングを軽減することができます。
結果、成果物としての仕事の品質が安定します。
メンバー同士も「この人に任せておけば大丈夫」という安心感があるので、無用な心配をせずに仕事に集中することができます。
同業種チームのメリット
同じ業種のフリーランスは、仲間であると同時にライバルでもあります。
同業種がチームを組むなんて、「仕事を取り合うことになるのでは?」と心配に思われるかもしれません。
しかし、お互いにメリットのある関係性を作ることもできます。
①仕事の幅が広がる
同じ業種のフリーランスが集まっても、個性は千差万別。得意分野や住む場所などは当然異なります。
チームとしてさまざまな得意分野を持つ同業種の専門家が集まれば、それだけ仕事の幅が広がりますよね。クライアントに「なんでもできる」と思ってもらえれば、信頼度も増します。
同業種のフリーランスのチームは、個人よりも規模の大きなプロジェクトにチャレンジできるというメリットがあります。
②仕事を得られる・分担できる
フリーランスの最大の悩みは「収入が安定しないこと」、つまり仕事がない(ときがある)ということです。[2]
しかし、反対に仕事を受けすぎてしまうという悩みもあります。
現在、ライターの仕事はたくさんあるので「あれもこれも応募してみよう」と営業をかけすぎると、自分1人ではこなしきれない量の仕事が舞い込んできてしまうという場合もあるのです。
自分から「やります」と手を挙げたのに「やっぱりできませんでした」とは言えませんよね。そんなことをすれば、それこそ信頼ガタ落ちです。
こんなとき、会社員なら同僚にちょっと手伝ってもらうこともできるかもしれません。
そんな同僚のような存在になってくれるのが同業種のチームメンバーです。ときには相手の仕事を手伝い、ときには自分の仕事を手伝ってもらう……。
そうすることで緊急事態にも備えることができ、フリーランスにとっては心強いリスクヘッジのような存在になれます。
③情報交換できる
フリーランスとして仕事をする上でのちょっとした悩みを、同じ目線で解決できるのも同業種チームの大きなメリット。
この点については、「チーム」というきちんとした繋がりではなく、SNSを通じたインターネット上の繋がりでも十分役に立つことがあります。
私は普段から、ライターならではの悩みや疑問をツイッター上で共有しています。
家族や身近な友人では、同じような立場の働き方をしている人がいないので、なかなか理解を得ることが難しい悩みでも、ツイッター上なら共感を得られることがあります。
ボイスレコーダーの種類や、スケジュール管理の方法など、ほんのささいな悩みですが、他人の意見を聞くことによってすっきりした気持ちになれたり、悩みが解決したりします。
こういったオンラインの繋がりには日々助けられています。
お互いに相手の仕事ぶりを目にすることによって、刺激を受けたり、学んだりすることができるのも同業種チームならではのメリットです。
最後に
自由気ままに働けるフリーランス。
組織に属さない自由を謳歌しつつも、やはり横の繋がりは大事にしたいところ。
相性の良い相手とゆるやかな繋がりを作りながら、仕事をスマートにこなす……。
そんなしなやかなフリーランスライフを送ることができたら、より一層パワーアップできるかもしれませんね。
<参考・参照サイト>
[1] 「【ランサーズ】フリーランス実態調査2019 年版」(LANCERS、p27)
[2] 「【ランサーズ】フリーランス実態調査2019 年版」(LANCERS、p26)
この記事を書いたのは
最新の投稿
- 2020年11月15日コラム憧れの田舎生活!?いいえ、我が家は「地方都市」への移住を選択しました
- 2020年9月16日さくせん「一日中一緒にいるのは大変じゃない?」過ごし方に気を付ければ、夫婦で在宅ワークも悪くない
- 2020年9月7日働き方改革「単価が低い」は過去の話!?今後在宅ママワーカー人口はますます増えるだろう
- 2020年8月12日さくせんウィズコロナの時代、取材も対面からオンラインスタイルへと変わっていくだろう