国や地方自治体に任用されている公務員と、雇用関係によらない働き方であるフリーランス、一見正反対の働き方であるように思えます。
ここでは、その働き方の差異を考えていった上で、公務員からフリーランス、またはフリーランスから公務員になる道について考えていきたいと思います。
公務員とフリーランスの主たる差異
公務員を選ぶべきか、フリーランスを選ぶべきか、そういった視点で考えられるよう、その差異を考えていきたいと思います。
転職サイトDODAの「転職理由ランキング」を参考に項目をピックアップしてみました。
(1)やりたい仕事ができる
・公務員:△(他にやりたいことができても、実現するのは難しい)
公務員の入り口は、国家公務員であればⅠ種、Ⅱ種、Ⅲ種、地方公務員(県、政令指定都市)であれば上級、中級、初級という試験を合格して採用されていくことなります。国家Ⅰ種の合格採用者はキャリアと呼ばれ、官僚になっていく人達です。
仕事の幅という視点で見ていくと、Ⅰ種や上級は管理職になっていくことを想定していますので、基本的には様々な部署や出先を回ることになります。他の採用にしても、採用省庁や自治体によっては、部署の移動や転勤もありますので、意欲次第で仕事の幅はあるでしょう。
ただし、公務員は、特に大きな組織に雇われていることになり、その組織の慣例などを重視する文化があると思われますので、自分がやりたい仕事を優先的にできる環境であるかどうかは疑問符です。さらに現状で言えば、副業も全面的に禁止されていますので、他にやりたいことができても、それを実現することは難しいでしょう。
・フリーランス:◎(自由)
自己責任と引き換えにやりたいことができるのが、フリーランスです。
(2)将来性
・公務員:◎(国が破産したら…とは考えにくい)
国家公務員は特にですが、仕事を真面目に続けている限り不安はありません。天下りに関しては、世間の目が厳しくなってきているものの、定年(再任用もあり)まで務めることができ、その収入もある程度計算できます。かつ、退職金や年金の面でも恵まれています。
国債の発行額から、不安な報道がされています。可能性はゼロではないかもしれませんが、勤め先としての安定性という面で言えば、大企業よりも安定しているのではないでしょうか。
・フリーランス:×~〇(その人次第)
フリーランスは、全てを自分で切り開いていくことになります。そこに確かなキャリアプランが無ければ、安定性に乏しくなります。逆に先々のことを見越して仕事や人脈の幅を広げながら活動できるフリーランスは、大企業に勤めるよりも安定的なキャリアを歩めることもあります。どんな大企業であってもリストラなど、その職場にいられなくなる可能性はあります。フリーランスだから、将来性が無いということはありません。その人次第です。
(3)収入
・公務員:〇
国家公務員の給与は、人事院が公務員と民間の給与を比較して、その較差を埋めるように勧告しています。そう聞くと民間とあまり変わらないように思えますが、実際には地域手当や退職金、年金の充実などもあり、民間の平均より良いと思います。
(参考:人事院「国家公務員給与の実態」)
収入の安定性なども含め、公務員になって給与に不満があるという人は少ないように思います。
・フリーランス:〇
フリーランスは自分の裁量によって仕事をしますので、その収入に不満があるということはあまり無いと思います。「収入への不満→自分で切り開くべし!」という前向きな結論になることが多いと思います。取引先によって細かい不満は出てくることが多いかもしれませんが、その取引を受けるかどうかも自分次第です。
(4)ワークライフバランス
・公務員:△~◎(部署による)
・フリーランス:×~〇(休むと収入は無い)
(5)勉強環境
・公務員:〇(部署毎の専門知識を得られる)
・フリーランス:◎(不断の勉強が安定に繋がるため、習得を余儀なくされる)
公務員からフリーランスへ
フリーランスの成り方というのは特にありませんので、公務員を辞めて、独立すればなれます。フリーランスになる場合、一から勉強して何かを始めてもいいですが、その前に身につけた知識や得た人脈を利用することが多いです。
ただし、公務員の仕事は様々ありますので、その仕事内容によってはフリーランスに転身するのは難しいかもしれません。
【具体例】
・町おこしに関わっていた場合
→ 地方自治体を対象としたコンサルタント
・議員や選挙に関わっていた場合
→ 立候補者を対象とした選挙のコンサルタント
・公害防止に関わっていた場合
→ 企業などを対象とした環境コンサルタント
フリーランスから公務員へ
公務員には社会人経験者採用というのがありますが、その受験資格には年齢と職務経験という項目があります。職務経験のQ&Aを読んでいると、在籍という言葉が使われていますので、フリーランスとしての活動がその職務経験に当たるかは難しいように思います。
(自治体などによって見解が異なる場合もありますので、正確には採用窓口にお問い合わせ下さい。)
その受験資格さえ満たしていれば、採用試験を受けることができます。ただし、社会人経験者採用は、毎年定期的に行われているものではありません。入り口に立つには、希望する省庁や自治体の募集が行われており、かつ、受験資格を満たしていることが必要になります。そして、省庁などによって倍率は異なりますが、ペーパーと面接の両試験を突破する必要があります。
可能性はゼロではありませんが、フリーランスとして一定期間活動した直後に公務員というのは少し難しいかもしれません。しかし、どうしても公務員になりたい場合、若い年代であれば、方法は2つあります。
まず、社会人採用でなくても、受験資格の年齢上限は26歳~30歳と少し高めになっておりますので、通常の新卒者と同じ土台で試験を受ける方法です。
2つ目は、その年齢を超えている場合、民間企業に就職してから、その職務経験などの要件を満たした上で公務員試験を受験するという方法です。民間企業が足掛けになってしまいますので、終身雇用を前提にしていたりすると迷惑をかけることになります。職業選択の自由は被雇用者の権利とはいえ、きちっとした仕事で恩を返した後に受験することを心がけましょう。
まとめ
上記のように、公務員とフリーランスは安定性や仕事の自由度といった特徴を切り取ると、180度異なる働き方です。しかし、公務員からフリーランス、フリーランスから公務員という道はありますので、専門性を通じて繋がっています。
公務員という生き方に悩んでいる方は、これまでのキャリアを書き出し、そこで身につけたスキルをピックアップしてみましょう。その上で、望んでいる生き方の実現のため、公務員のままか、民間企業への転職かだけでなく、フリーランスという働き方も選択肢に入れてみてはどうでしょうか。
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