フリーランスデザイナーとして独立し、デザインの仕事をやってみたいと思っている人は多いと思います。しかし現実的には、サラリーマンを辞めて独立するのは非常にリスクがありますし、何より「デザイナーとしてのセンスが自分にあるのか?」という不安があるため一歩を踏み出せないケースも多いでしょう。
私は2018年4月にサラリーマンを辞め、憧れだけでフリーランスデザイナーとして独立し、様々な苦労はありましたがなんとか生計を立てられるようになりました。
ちなみにサラリーマン経験は20年ほどで、デザインの経験といえば趣味レベルでPhotoshopを動かせるくらいのスキルしかないまま「僕、デザイナーになるため会社辞めます!」と勢いだけで独立してしまいました。
この記事は、そんな私の実体験です。
目次
フリーランスデザイナーとして独立するまで
フリーランスデザイナーを目指すにあたり、何かドラマチックなきっかけがあったわけではありませんが、私はサラリーマンという仕事に何となく違和感を持っていました。
「別に自分が求められているわけじゃない」ということに対して、私は常に不満を感じていました。組織が求めていることは「労働」であり、その「労働としての成果」を必要としているという当たり前のことに納得しがたいものを感じていました。
他の人であれば趣味や家族などの存在で欲求が満たされることもあると思うのですが、私の場合は「仕事上で自分という存在を誰かに認められたい」という気持ちが少し強かったのかもしれません。
最初は会社を辞めてやることもないので、事務所を借りられる場所を近場で探しに行きました。現在4万円ほどの事務所を借りてフリーランスデザイナーとして生計を立てていますが、最初にやった仕事はこの事務所のペンキ塗りからでした。
フリーランスデザイナーとして仕事をもらうためにやったこと
そもそも、デザイナーとして食べていくためには実績が必要です。前述したとおり、私には経験や実績は0に近いため仕事を得ることができません。もちろん有名なデザイナーの人脈なども一切ありません。
まずやったことは、「ランサーズ」や「クラウドワークス」といったインターネットを通じてデザインの仕事を受けられるクラウドソーシャルサービスに登録をすることでした。
デザイナーとしての実績は何もなかったのですが登録時は右も左もわからなかったので「デザイナー」として登録しました。今思えば厚顔無恥もいいところです。
現在は、会社でデザイナーを育成せずにチラシやホームページ、パンフレットや社内報などの仕事を外注デザイナーに依頼する会社も増えています。
デザイナーを育成するのは非常に時間がかかりますし、新しいアイデアというのは1人のデザイナーからなかなか生まれにくいものです。ですから、この考えは非常に効率が良いと思います。会社もデザイン料だけをデザイナーに支払えば良いので昇給や健康保険料を払うランニングコストがかかりません。
つまり、「デザイナーとして仕事ください」などの営業活動はせず、事務所に中古のパソコン1台と、これもリサイクルショップで買った机とオフィスチェアを買ってきたらもう開業できます。
1日中、事務所でパソコンの向こうのお客様に仕事がもらえるように「その仕事やりたいです」などとPRする毎日が始まりました。
フリーランスデザイナーとして準備したもの
さて、私がデザイナーとして開業のために準備したものはパソコン1台だけでした。
主にチラシやパンフレット、カタログのデザインなどを仕事としてやりたかったので、PhotoshopとIllustratorは月額使用料を払ってパソコンにインストールしました。本当に準備したのはそれだけです。
何もわからず独立してしまったのですが、もしデザインを教えてもらえる環境がサラリーマン時代にあったら、もっとスムーズに仕事がもらえるようになったのかもしれません。
最初は何もわからないので、CMYKやRBGと呼ばれる色の違いなどもわかりません。パソコンでデザインしてみるものの、それが印刷会社でどのような工程を経て印刷されるのかも全くわかっていませんでした。
現場である程度デザインの仕事に触れたことのある方からすると常識レベルのことなのですが、素人なので勢いだけで勉強しました。
最初はお金が無いので、デザイナーのブログやYouTube動画などを1日中見て、デザイナーがやっていることを真似する日々でした。
フリーランスデザイナーのお給料で食べていける?
結論からいうと、フリーランスデザイナーでも十分に食べていけます。
現在、私のデザイナーとしての収入はサラリーマン時代を超えました。
しかしながら、サラリーマン時代と違い、年金や健康保険、住民税など給与から天引きされていたものを自分で支払う必要があるため、使えるお金は同じくらいです。しかも退職金の積み立てなども自分で考えなければなりません。
ただ、サラリーマン時代にはなかった「自由」で好きなことを仕事にしているという解放感は何にも代えがたいものでした。
デザイナー料金というのは非常に設定が難しいもので、例えばA4両面チラシデザインのデザイン料といっても千差万別です。ランサーズやクラウドワークスなどでは約2万円~10万円ほどで依頼が出ていて、内容・ニーズによっても様々な契約が日々行われています。
最初は、なかなか仕事がもらえません。そのため、競合ができるだけ少ない案件を選び安いデザイン料をいただいて、なんとか納品を目指すということを繰り返すことになると思います。それでも実績がついてくれば自分のページに企業から直接依頼が届くようになります。
最初は安い金額でも、自分のデザインが誰かの役に立つ、市場に出るということが感動的でした。
フリーランスデザイナーにはデザインセンスが必要?
私は特にデザインセンスがあるわけではありません。学生時代は美術の授業は好きでしたが、その程度です。
それでも何とか食べていけるようになったのは、クラウドソーシャルサービスの「コンペ」という仕事に参加することで、デザインセンスを磨くことができたからだと思っています。
デザイナーがソーシャルネットワークサービスで仕事を受けるには、主に2つの受託方法があります。それは「プロジェクト方式」と「コンペ方式」です。
依頼者が、デザイナーを指名して仕事を委託する
【コンペ方式】
依頼者がデザイン内容を示したものに複数デザイナーが提案を行い、依頼者が気に入った1点のみに報酬が支払われる
最初は誰もがデザイナーとして実績がありません。そのためプロジェクト方式で仕事を獲得するのは絶望的です。プロジェクト方式ですと報酬が確定していますが、コンペ方式では100件のデザインを送り出しても1件も報酬がもらえない可能性もあります。
しかしながら、このコンペには多くのライバルが参加し、それらの作品を見る機会に恵まれます。その結果、どのデザインが一番依頼者のニーズに合ったデザインであったのかを見ることができるのです。
これにより私のデザインは磨かれ、現在ではプロジェクト方式でも仕事をいただけるまでになりました。
つまり、最初からデザインセンスというものがなくてもセンスを磨く場と姿勢があれば、デザイナーとして仕事をもらえるようになるのです。生まれ持ってデザインセンスをもっている人間などいないのです。
最後に
ここまで、フリーランスデザイナーとして生活できるようになった私の例を紹介してきました。
もし、あなたがフリーランスデザイナーとして独立を目指しているのであれば、まずその環境に身を置いてみることから始めることが最も重要なのかもしれません。
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