政府が主導する働き方改革の影響により、2018年はまさに”副業元年”と呼ばれるにふさわしい年でした。
副業にはさまざまなものがありますが、本業を持つ会社員にとって副業を身近にしたものの1つが、「ランサーズ」や「クラウドワークス」といったクラウドソーシングでしょう。
クラウドソーシングは副業している人だけでなく、フリーランスにとっても仕事の受注の場となっています。
クラウドソーシングの大手であるランサーズは、全国の20~69歳の男女、3,096人に対して「フリーランス実態調査」を行いました。[1]
また、総務省は「ICTによるインクルージョンの実現に関する調査研究」を公開しています。[2]
まずは「フリーランス実態調査」の調査結果から、フリーランスや副業で働く人の実態をみていくことにしましょう。
目次
クラウドソーシングの広まり
出典:「【ランサーズ】フリーランス実態調査2018年版」3ページから抜粋
「フリーランス実態調査」の調査結果より、ランサーズは日本における広義の意味でのフリーランス人口を1,119万人であると想定しました。
これによると、日本の総人口は1億2,656万人と想定しているので、国内人口の10%程度が日本におけるフリーランス人口であるとわかります。
出典:「【ランサーズ】フリーランス実態調査2018年版」22ページから抜粋
フリーランスの仕事を探す経路としては、人脈が57%と大半を占めていますが、クラウドソーシングと回答した人も12%いることがわかります。
つまり1,119万人いるフリーランスの中の約134万人が、クラウドソーシングを使って仕事を探していることになります。
次に、クラウドソーシングの認知度についてみていきましょう。
出典:総務省「ICTによるインクルージョンの実現に関する調査研究」41ページより抜粋
「クラウドソーシング」という言葉を聞いたことがない人が37.8%いるのに対して、言葉を聞いたことがあり、さらに仕事をしたことがあると回答した人は4.7%に過ぎませんでした。
「クラウドソーシング」の言葉を聞いたことがある人のうち、どのような人がクラウドソーシングを使ってみたいと思っているのかを調査したグラフが以下になります。
出典:総務省「ICTによるインクルージョンの実現に関する調査研究」43ページより抜粋
「クラウドソーシングで仕事を受けてみたい」と回答した人が多かったのは、学生で60%、続いて20代~40代の専業主婦では50%でした。
クラウドソーシングを副業として利用しようとを考えている人よりも、学生や専業主婦など、現時点で定職についていない層の方が、クラウドソーシングに意欲的な割合が多い結果となりました。
クラウドソーシングで働くということ
クラウドソーシングは雇用契約を結ぶことなく、仕事の発注と受注が成立するシステムです。
クラウドソーシングと聞くと、インターネット上でのお仕事が大半ですが、中にはお店の覆面調査の依頼、ライターとしてインタビューや取材を行うなど、オフラインの仕事依頼もあります。
クラウドソーシングが誕生する前から「SOHO」や在宅ワークで働いている人はいました。
いわゆるフリーランスですが、営業や仕事先の開拓なども自分自身でする必要があり、場合によっては、仕事をしたのに支払いがされなかったり、仕事上でのトラブルが発生したりすることもあります。
しかしクラウドソーシングサイトを使うことで、支払いや仕事上のトラブルに遭遇する確率をぐっと減らすことができます。
報酬に関しては仮入金(エスクロー)という仕組みが設けられており、発注者は仕事を依頼する段階で、すでに対価をクラウドソーシング側に支払っています。
そのため仕事をしたのに支払いがされない、あるいは逆に、支払いをしたのに仕事がされない、というトラブルを防げます。
さらにクラウドソーシングでは、発注者も受注者も匿名で仕事を進行できます。
私の知り合いでも、匿名や本名とは異なるハンドル名でランサーズを使っている人が多数います。
インターネット上で本名を公開したくない人や、家族に内緒で仕事をしている人たちです。
クライアントによっては、匿名で仕事をしている人には発注しない人もいますが、私の周りでは、しっかり仕事をしてくれるのなら、匿名でも構わないというクライアントが多いです。
お金のやり取りが発生する仕事で、発注者も受注者も匿名で仕事ができるのって、よく考えたらすごいことですよね。
匿名でも良いということは、しっかり仕事をしてくれるのなら、誰でも構わないということですから。
信頼できる人に仕事を任せたいと、クラウドソーシング上での実績や評価を気にするクライアントもいます。
しかしクラウドソーシング上での評価は、評価の数字と実績数の2種類しかありません。
評価を積み上げていけば、プロジェクトへの提案も通りやすくなりますし、何よりも過去にしてきた仕事を通じてスキルも上がっていきます。
そうなれば、さらに仕事の受注機会も増えていくでしょう。
スキルや実績を持ってフリーランスになる人や、本業と掛け持ちで副業の手段としてクラウドソーシングを活用している人もたくさんいます。
しかし、そのような人たちだけでなく、未経験の仕事やスキルを必要としない仕事の受注の場としても、クラウドソーシングは機能しています。
まさに多種多様な人々によって、さまざまな仕事を与えてくれるプラットフォームとして機能しているのです。
副業やフリーランス以外でのクラウドソーシングの活用方法
先ほどの調査結果で、クラウドソーシングで仕事を受けてみたいと回答した割合が高い層は、学生や専業主婦であることがわかりました。
ここからは、私の知人の学生や専業主婦がどのようにクラウドソーシングを活用しているのかをご紹介します。
学生のアルバイトとして活用
知り合いの大学4年生の話です。
彼はランサーズを使う前はスーパーでレジのアルバイトをしていました。
しかし時給が安いことと、卒業研究の準備などで時間の都合をつけるのが難しくなってきたことが理由で、アルバイトを辞めてしまいました。
その代わりに始めたのがクラウドソーシングです。
知人は大学生でしたがFP(ファイナンシャルプランナー)の資格を所持していたため、クレジットカードや金融関係の記事を得意とするライターとして仕事をしていました。
月の収入は4万円程度だったそうです。
専業主婦のお小遣い稼ぎとして活用
親戚の専業主婦である彼女は結婚したばかりで子供はいません。
そのため自由な時間を活かして仕事をしようと思っていたところ、クラウドソーシングのことを知ったそうです。
「今は自由な時間があるけど、将来子供ができたらそんなこと言えない」
そのように考えた彼女はクラウドソーシングで、タスクをこなす仕事をコツコツ続けてきたそうです。
簡単なアンケートからスタートして、ちょっとしたライティングの仕事もしているとのこと。
彼女はプロジェクトへの提案にも興味があるようですが、気軽にできるタスクの案件をこなす方が自分には合っていると言っていました。
月の収入は2~3万円程度だそうです。
まとめ
今回は、クラウドソーシングを使えば、さまざまな働き方を実現できることを紹介しました。
仕事をするといえば、会社で働くのがまだまだ当たり前の時代です。
しかし、ありきたりな会社員生活がつまらない人や、満員電車に乗りたくない人、ブラック企業を退職した人など、クラウドソーシングはそのような人たちの受け皿としても、魅力的なプラットフォームです。
インターネットが発達して、多様な働き方をしている人の話を目にする機会が増えたように感じます。
クラウドソーシングは仕事をしてお金を得るだけの場ではなく、仕事のやりがいと達成感を感じられる場になって欲しいと、私は思います。
<参考・参照サイト>
[1] 「【ランサーズ】フリーランス実態調査2018年版」(LANCERS)
[2] 「ICTによるインクルージョンの実現に関する調査研究」(総務省、2018年3月)
この記事を書いたのは
- フリーライター&Webクリエイター。奈良県在住。2018年4月より個人事業「コレカラウェブ」を開業。20年間のWebクリエイター経験を活かし、WordPressやSEOに強いライターとして活動中。難しいことを分かりやすく伝えるをモットーに執筆しています。趣味は読書・散歩・マラソン・写真。
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