会社を辞めてフリーランスになると健康保健の費用が2倍になるというのはご存知でしょうか?
健康保険は知らずに手続きを進めてしまうと年間で数万円の損をしかねません。
保険料が2倍になる理由やフリーランスが入れる健康保険の種類など、この記事ではこれから会社を辞める人に役立つ情報をご紹介いたします。
この記事を読むことで「国民健康保険の手続きをどうやるのかわからない」という人でも安心して保険の切り替えができるでしょう。
国民健康保険を0円にする方法と免除申請
国民健康保険には保険料を減額する「免除」制度があります。
条件を満たしている人は免除を受けることで生活を楽にできるでしょう。
国民健康保険の免除申請とは
国民健康保険では前年の収入が少なかったり失業した場合には保険料の免除を受けることができます。
生活状況に応じて2割、5割、7割と段階的に減額され、最大で保険料の全額免除が可能です。
国民健康保険の免除を受けられる条件
国民健康保険の免除を受けるには市町村の審査を通過しなくてはなりません。
全額免除を受けるのは非常に難しく「生活保護」か「客観的に見て支払いが不可能な状態」が必要です。支払いが難しいという程度では全額免除にはならないでしょう。
審査の通過条件は各市町村によって異なりますので、役所に直接問い合わせる必要があります。
一部免除に関しては、下記の条件に当てはまる人は審査を通過する可能性が高いでしょう。
・災害によって支払いが困難になった場合
・倒産や解雇によって支払いが困難になった場合
これらの条件に当てはまらない人でも国民健康保険料が生活費を圧迫している状況であれば審査に通ることがあります。
自発的に失業した場合は免除適用外となる可能性が高いですが、生活が苦しいと感じているフリーランスはまず市区町村に確認してみましょう。
免除に必要な手続き
原則として、住民票の住所を担当する市区町村の役所で免除手続きをします。
免除申請をするには2つの前提条件があります。
1. 所得の申告が済んでいる(確定申告、住民税の申告、国民健康保険の所得申告のどれか)
2. 前年所得が「33万円+(50万円×加入者数)」である
所得の申告は国民健康保険に加入する際に行うので心配ありません。
問題となるのは2つ目です。
例えば、1人暮らしの人が前年に100万円以上の所得を得ていた場合は保険料の免除は難しいでしょう。
所得とは収入から経費などを差し引いた金額で、前年の収入が100万円台であれば所得額は免除申請の対象になる可能性があります。
倒産や解雇による失業に関しては所得額が影響しない例外がありますが、自分の住んでいる市区町村に確認が必要でしょう。
国民健康保険以外の健康保険とは?
健康保険は国民健康保険だけではありません。
会社を退職してフリーランスになる場合は、退職後も2年間は社会保険に加入できる「任意継続」制度が利用できます。
社会保険の任意継続をすると保険料が2倍になる
退職して任意継続を行うとあなたの社会保険料は2倍になるでしょう。なぜなら、在籍中はあなたの社会保険料の半額を会社が負担していたからです。
退職後は会社が負担していた分も支払わなくてはならないため、社会保険料が2倍になるのです。
国民健康保険と社会保険の違い
1番の違いは扶養の有無です。
国民健康保険では扶養という概念がないため、子供であっても加入者1人として保険料を支払います。
社会保険であれば加入者の扶養制度があるため収入が無い子供は保険料を支払う必要がありません。
一概には言えませんが、フリーランスで1人暮らしなら国民健康保険、家族がいるなら社会保険を選ぶ人が多いようです。
他にも国民健康保険と社会保険では保険料の納付先が異なるなどの違いがあります。
任意継続のメリットとデメリット
メリット
社会保険の任意継続のメリットは、扶養制度があることと保険料が安くなる可能性があることです。
国民健康保険と社会保険はそれぞれ別の算定基準によって保険料が決定しています。そのため収入額や地域によって国民健康保険の方が安い人、社会保険の方が安い人などさまざまです。
まずは両方の金額を問い合わせてから、安い方を選ぶことで日々の保険料を節約できます。
デメリット
任意継続は加入すると2年間は国民健康保険への切り替えができません。また、加入から2年が経過した時点で脱退しなくてはなりませんので最終的には国民健康保険など他の保険に頼ることになるでしょう。
国民健康保険は前年の所得額で保険料が決まります。ですのでフリーランスで活動する人はよほど稼がない限り退職した翌年や翌々年は保険料が安くなる傾向にあります。
しかし、社会保険の任意継続をしていると基本的に国民健康保険への切り替えはできませんので、1年後には国民健康保険より高くなることがデメリットとして考えられます。
国民健康保険と社会保険以外の保険
国民健康保険と社会保険以外でフリーランスが加入できる保険があります。
最も安く済むのは、家族が加入している社会保険の扶養に入れてもらうことです。そうすれば保険料を支払う必要はなくなり生活は格段に楽になるでしょう。
扶養に入れてくれる家族がいないという場合はもう1つ選択肢があります。
それが「文芸美術国民健康保険組合」です。
厳密に言えば国民健康保険なのですが、保険料が定額のため一般的な国民健康保険に比べて費用が安くなる場合が多いでしょう。
ただし文芸美術国民健康保険組合はクリエイターに限られた保険です。
『クリエイティブ系フリーランス必見!「文芸美術健康保険組合」とは?』
で詳しく紹介していますので、あわせて読んでみてくださいね。
国民健康保険への切り替えかた
国民健康保険に切り替える方法は簡単です。ただし、申請期限が短いものがあるので退職日直前に準備をしておきましょう。
国民健康保険への切り替えは以下の手順で行います。
1. 退職した会社から社会保険喪失証明書を受け取る
2. 退職日から14日以内に、住んでいる地域の市区町村役所の国民健康保険担当部署に必要書類を持っていく
国民健康保険の申請期限が退職日から14日以内と短いため、会社には退職前に「社会保険喪失証明書を最速で下さい」と伝えましょう。
社会保険喪失証明書は社会保険を脱退した日より前には発行できません。そのため退職日から最速で送ってもらう必要があります。
社会保険喪失証明書は会社によって名称が異なる場合がありますが、社会保険を喪失したことを証明できる書類であれば問題ありません。
役所に持っていくものとしては、
・社会保険喪失証明書
・本人確認証
・キャッシュカードまたは通帳(印鑑が必要な場合あり)
です。
マイナンバー確認書類を求められることもあります。
扶養家族がいる場合はこの限りではありませんので事前に役所に確認しておきましょう。
フリーランスの健康保険については
『会社員を辞めてフリーランスになる!前に知っておきたい健康保険の基礎知識』
でも詳しく紹介していますので、あわせて読んでみてください。
健康保険に加入しないと起こる問題
健康保険に加入しない場合、医療費が全額自己負担となります。
保険に加入している人の医療費は基本的に3割負担ですので、保険加入者が歯医者で5,000円分の治療を行った場合は無加入者だと15,000円以上の支払いが必要となります。
また、健康保険は強制加入ですので、仮に申請をしていなかったとしても発覚した時点で未加入期間の最初までさかのぼって請求されます。
もちろん加入していなかった期間に受けた医療費は全額自己負担です。
最終的に保険料を支払う必要があるにも関わらず加入していない期間の医療費は3倍以上かかるため、健康保険に加入しないことはデメリットしかありません。
社会保険から国民健康保険に切り替えた金額の実例
保険料は市区町村によって大きく異なります。
とはいえ、参考資料として2018年の札幌市の実例をご紹介いたします。
<30代で1人暮らしの男性が10年ほど勤めていた会社をやめてフリーランスになった例>
・前年の年収額 2,954,055円
・国民健康保険料 20,980円/月
・社会保険の任意継続 23,040円/月
・文芸美術国民健康保険組合の指定団体には加入していない
上記の場合は扶養家族がいないため、前年の年収を大幅に超える収入予定がない限り社会保険の任意継続を選ぶメリットはありません。
このことから国民健康保険を選択するのが最も節約できるでしょう。
まとめ
国民健康保険と社会保険、どちらの保険が安くなるかは住んでいる市区町村や家族構成によって大きく異なります。
まずは前年の源泉徴収票を見て自分の前年の収入額を確認し、市区町村の役所に問い合わせてみましょう。
さらに会社が加入している社会保険の組合に問い合わせて、任意継続した場合の金額を確認することがおすすめです。
年間で数万円の差になりますので、最もお得な保険に加入するよう退職前にしっかりと備えておきましょう。
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