フリーランスと副業の違い及び起業・申請・納税・社会保険の解説をします


フリーランスと副業の違い及び起業・申請・納税・社会保険の解説をします

フリーランスとは、特定の企業・団体・組織に属さずに自分自身の能力・スキルで技術を提供して対価を得る就業形態です。

副業とは特定の企業・団体・組織と雇用契約を締結した従業員が、雇用契約した企業・団体・組織以外で業務を行い、対価を得る就業形態です。

フリーランスの方々も副業することができ、自分自身の能力・スキルを活かして他業種で活躍することが可能です。

 

2018年7月に「働き方改革関連法」が可決・成立し、2019年4月から段階的に施行されます。厚生労働省の副業・兼業のガイドラインによると「副業・兼業」を希望する労働者は年々増加しています。自分自身の担いたい業界・スキルアップ・取得資格の活用・収入の補充を目的にして「副業・兼業」を認定してします。

 

また、「働き方改革関連法」の施行前に「副業」を認める大手企業が現れています。「働き方改革関連法」では「長時間勤務の抑制」の施行が半年後の2019年4月から実施されます。現在の年収を維持するためには「副業」を認めざるを得ない状況のようです。但し、国家公務員・地方公務員は法律で「副業」を禁止されています。

 

 

 

フリーランスとは?

 

フリーランス(Freelance)は、特定の企業・団体・組織に属さずに自分自身の能力・スキルで技術を提供して対価を得る就業形態です。

 

テレビ朝日系列の人気番組で女優の米倉涼子さんが主演された「ドクターX」はフリーランスの外科医・大門未知子が大活躍する医療ドラマで、高視聴率を得ました。

放映当初はフリーランスの知名度は低位で、「アルバイト医師」「フリーター医師」など呼ばれていましたが、大門未知子医師は「フリーランスの外科医です」と何度も訂正する場面設定がありました。放映が始まった2010年当初の頃は、「フリーランス」「フリーター」「アルバイト」「パートタイマー」と誤った認識の方が多いようでした。

 

フリーランスは社会的に独立した個人事業主で、請負契約をした業務を実際に遂行します。請負契約によりますが、仕事内容によって契約期間内は契約先に常駐して業務を遂行する場合があります。基本的には仕事内容によって自由に契約して能力・スキルを提供して対価を得ます。

 

フリーランスの職種は医師・弁護士・弁理士・作家(ライター)・俳優・プロスポーツ選手・大工・カメラマン・デザイナー・システムエンジニア・プログラマー・イラストレーター・エディター(編集者)などです。

 

フリーランスは自分自身の能力・スキルを提供して対価を得ます。しかし「最低賃金」「労働時間」「休日管理」「有給休暇」「労働災害補償」はありません。但し「労働契約法」に基づく「労働契約書」に上記の記載があれば有効になりますが、殆どのケースが「独立した事業主」として全てを自己責任で担う必要があります。

 

多くの企業と請負契約をして高額な報酬を得ることも可能ですが、過重労働・体調管理・メンタル管理も仕事ですので、タスク管理をしっかりとすることが重要です。また、過重労働・体調管理・メンタル管理の気遣いが過剰になり仕事量が減少するケースもありますので、業務量と自己管理のバランスを測ることも重要な仕事です。

 

 

 

 

副業とは?

 

副業とは、本業と別に収入を得ている仕事・労働については「副業」としています。企業・団体・組織に雇用された従業員で本業以外の業務に従事した仕事・労働、フリーランスで本業以外の業務に従事した仕事・労働を「副業」と言います。副業の内容は、内職・在宅ビジネス・本業の休日に働く日雇いやアルバイト・農業や漁業の繁忙期手伝いが該当します。収入は「給与所得」「事業所得」「雑所得」に分類されます。

 

副業は国家公務員の場合は「国家公務員法」で禁止されています。地方公務員の場合は「司法公務員法」で禁止されています。

国家公務員・地方公務員は災害・紛争・他国の侵略が生じた際は、24時間365日の対応が必要になります。災害が発生して、住民が助けを求めている際中に「他企業でアルバイトをしていたので対応できませんでした」は論外です。

マスコミ・メディアの晒し者になるとともに、公務員の信用度・信頼度が崩れます。該当する職員・管理監督職・首長は「免職」「停職」「減給」「戒告」「報酬の自主返納」の騒ぎになります。

 

民間企業で「副業」ができるのでしょうか?

2019年4月に施行される「働き方改革関連法」によって一部の企業では「副業」を容認するケースが出始めています。しかし、日本の商習慣では社内規程で「副業の禁止」の企業が大半を占めているようです。

 

「副業禁止」の理由は大きく分けて以下の5つです。

①副業のため本業の就業時間に影響がある。遅刻や欠勤が以前と比較して増加しているケースがあげられます。

②競合他社での勤務で本業の会社に損害を与える可能性がある。

③自社の情報漏洩の可能性がある。

④本業の会社名・名刺を無断使用して副業をする可能性がある。

⑤企業イメージを落とす恐れがある仕事をする可能性がある。

 

要点は本業に支障があってはならないことです。企業の社内規程に「副業の禁止」事項が記載されていないときでも、本業に支障があれば懲戒処分・損害賠償を受ける可能性があります。

 

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フリーランスと副業の違い!

 

フリーランスと副業の違いを説明する前に、フリーランスとフリーターの違いを説明します。

 

フリーランスもフリーターも「フリー」が入る就業形態で自由な働き方です。フリーランスは前章で説明したように、企業・団体・組織に属さずに自分自身の能力・スキルで技術を提供して対価を得る就業形態です。業務を請け負う際には「業務委託契約書」「業務契約書」などで業務内容・期間・報酬を請け負う企業とフリーランス間で合意の上ですすめます。

 

しかし、フリーターはアルバイト・パートタイマーで生計を立てる就業形態です。フリーランスとは異なり、企業・団体・組織の非正規従業員として雇用されます。フリーターはフリーアルバイターの略称です。

 

 

 

フリーランスと副業の違いを説明します。

 

フリーランスは個人事業主とも言われます。個人事業主は商工店舗の営業者(自営業者)も含まれますが、法人の設立をしないで自分自身の能力・スキルで技術を提供して対価を得ます。フリーランスは一日のうち大半を自分自身の能力・スキルで業務を担い、月々の安定した収入を得て生計を立てます。

 

副業とは、サイドビジネスとして在宅業務や内職・本業に支障がない程度のアルバイトに従事して、本業以外の別の仕事をしているケースを指します。例えば、休日に警備員・塾の講師・ビル清掃員として働くことなどが該当します。フリーランスと異なる点は、本業以外の企業・団体・組織から給与・報酬を得ているということです。

 

 

 

 

フリーランスに関わる法律の説明!

 

契約方法

 

フリーランスは労働基準法の適用外の就業形態です。フリーランスは企業・団体・組織からの業務請負責任があります。業務の請負契約は民法で決められています。請負の契約方法は2種あります。

 

第1に「請負契約」です。

「請負契約」は委託された業務が完了した時点で契約した報酬が確定する契約方法です。「請負契約」職種はシステムエンジニア・プログラマー・デザイナー・イラストレーターなどが該当します。

 

第2に「委任契約」です。

「委任契約」は委託された業務の完了に関わらず報酬が確定する契約方法です。「委任契約」職種はコンサルタント・弁護士・弁理士など明確な成果が出ない職種が該当します。

 

 

 

 

納税義務

 

フリーランスは上記業務契約の他に納税義務があります。そのため業務の環境を整理することと同時に、諸官庁への申請・届出や社会保険の申請・届出が必要になります。

 

自分自身に能力・スキルで技術を提供して対価を得たときには、所得金額の申請と納税が必要になります。フリーランス(=個人事業主)の開業届け・青色申告承認申請書を所管税務署に届出をして認可を受けます。また、社会保険は健康保険・年金の申請と被保険者の認定を受ける必要があります。

 

 

 

 

税務上の申請・届出方法

 

まず、フリーランス(=個人事業主)として所管の税務署に「開業届」の提出が必要です。手数料は掛かりません。法人は法務局に開業(起業)を登記する必要があります。フリーランス(=個人事業主)は法務局に登記する必要はありません。

 

フリーランス(=個人事業主)はその年の1月1日~12月31日までの所得金額を翌年3月15日までに確定申告をする必要があります。企業・団体・組織に雇用されていたときは、月給から税金が天引きされていましたが、フリーランス(=個人事業主)は自分自身で申告・納税する義務があります。

 

確定申告には「白色申告」と「青色申告」の2通りがあります。「白色申告」は申請・届出の必要がありませんが、「青色申告」は「青色申告承認申請書」を所管の税務署に提出・認可を受ける必要があります。「青色申告」とは青色申告特別控除・決算時の赤字繰越などの特典がある申告方法です。

 

青色申告についてはこちらの記事に詳しく記載されているので、あわせて読んでみてください。
フリーランスの青色申告はたった1つの条件さえクリアすれば3つのメリットが享受できる

 

 

 

 

社会保険系の申請・届出

 

 

第1に健康保険加入です。

日本は国民皆保険制度ですので、健康保険の加入が義務化されています。

 

①退職直前に加入していた健康保険組合の健康保険を任意継続すること可能です。任意継続期間は最大で2年間です。

国民健康保険に加入することです。市区町村役所の国民健康保険課で申請と被保険者の認定を受けることができます。

 

保険料は前年の所得金額によって変動します。ここで①②の選択をしますが、一般的には退職直前の健康保険任意継続がお得とされています。

 

健康保険についてはこちらの記事に詳しく記載されているので、あわせて読んでみてください。
フリーランスの健康保険は高くない!サラリーマンの健康保険との違い

 

 

 

第2に年金です。

退職直前までは「厚生年金」に加入しており、保険料は月給から天引きされていました。退職後は国民年金に加入します。厚生年金から国民年金に自動的に切り替わりません。市区町村役所の国民年金課または所管の社会保険事務所で申請・被保険者の認定を受けます。

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副業に関わる法律の説明!

 

副業の可否

 

フリーランスの方が「副業」をしても問題になりません。国家公務員は国家公務員法で「副業」が禁止されています。地方公務員は地方公務員法で「副業」が禁止されています。民間の企業・団体・組織に雇用されている従業員は法的に「副業」が禁止されていません。社内規程・就業規則で「副業」の可否が記載されています。

 

 

 

 

納税

 

「副業」が認められている場合、本業の給与収入以外に年間(毎年1月1日~12月31日)の「副業」所得金額が20万円を超えるときは、翌年2月に確定申告をする必要があります。

 

本業以外の企業・団体・組織から給与を支給されたケース、在宅ワーキングでプログラマー・デザイナー・ライター・イラストレーターなどの事業収入(契約先の企業・団体・組織からの手数料・報酬)のケース、FX・仮想通貨取引差益・講演料・放送謝礼などの雑所得収入(取引所・講演元・放送局からの送金)のケースが該当します。

 

企業・団体・組織は該当年に支払をした詳細データを税務署に提出します。その詳細データでだれが・いつ・いくら受領したか即座に判明します。「副業」の所得金額が20万円を超えても申告・納税をしないと必ず「バレ」ます。所得があった場合は、正直に申請・納税することが重要です。

 

 

 

 

まとめ

 

近年は日本の商習慣であった「終身雇用制」「年功序列制度」「退職員支給制度」が崩壊して、雇用形態が変遷しています。その中で2018年7月に国会で可決・成立した「働き方改革関連法」が2019年4月から段階的に施行されます。

 

高等学校・専門学校・大学を卒業して40年間企業・団体・組織・官公庁に勤め上げる時代は終焉を迎えています。10数年前では「フリーランス」と言う働き方が浸透されず、フリーターの延長と見られていました。現実は個人事業主(=自営業)という立派な就業形態です。

 

事業主として開業~決算報告・申告・納税までの手続きができる絶好な機会です。会社に再就職する方法もありますが、個人で開業して一旗揚げてみるのもいいかもしれません。

 

 


この記事を書いたのは

Cool Workers運営部
Cool Workers運営部ライター
フリーランスや副業などの“自由なはたらき方”、税金、働き方改革に関する情報を発信しています。Cool Workers運営部は、様々な働き方をしているメンバーで記事を作っています。