副業については、興味はあっても行っていない方が多いですが(参考:会社員で副業している人はどれぐらいいるんだろうか?)、その理由としては、会社が認めていないこと、時間的に余裕のないことなどと合わせて、副業のマイナス面を感じていることもあるかと思います。
ここでは、副業のマイナス面と見落としがちなリスクについて考えていきたいと思います。
副業のマイナス面
(1)精神面、体力面での疲れ
副業をすることで、内容によって大きく差はあるものの、精神的にも体力的にも疲れが出ます。例えば、データ入力のアルバイトを週1日ペースでやっていたとしても、受注すればもちろん納期までに仕上げる必要があり、それがプレッシャーになることもあります。本業での仕事にプラスして仕事が増えるということで、わずらわしさを感じ、本業に影響がでることも考えられます。
(2)時間の制約
副業でアルバイトをする場合は特に時間の制約を受けます。土曜にアルバイトをしている場合でも、急なことで対応する必要があるようだと、どちらかを断ることになります。マイペースにアップしているブログから広告収入を得ていたり、ハンドメイド作品を売っていたりするような場合だと、特に時間的な制約を受けにくいとは思いますので、本業の状況によって、副業の種類を考える必要があります。
(3)部署内のコミュニケーション
副業をしていることで、ちょっとした失敗から周りから本業に集中できていないと思われる可能性があります。会社として認めている副業であっても、周りの理解を得て行わないと、副業が軋轢の原因となることもあります。結果として、会社に居づらくなったり、人事考課でマイナスになったりすることもありえます。
副業で見落としがちなリスク
(1)副業禁止の会社の場合
副業禁止の会社で副業を行っている場合、それが本業に影響が出るものであれば懲戒解雇となる場合もありますし、本業に影響が出ないと認められても就業規則違反で人事考課上マイナスとなることもあります。
バレにくい副業はあっても、収入を得ている限りどこかで何かと繋がっていますのでバレないと言い切れる副業はありません。雑所得で申告しておいて給与所得以外の住民税を自分で納付しておけば問題ないということが書かれていたりしますが、それは住民税の特別徴収(会社から控除されている住民税)時に会社から分からないだけであって、副業が問題ないこととは無関係です。
SNSで見つかる、人伝手に見つかる、こぼれ話で見つかるなど、完全に隠し通せるかは分かりません。副業禁止の会社でどうしても副業をする必要がある場合は、その必要性や業務への影響などについてきちんと説明し、まずは上司か人事課などにお伺いを立てる方がいいかと思います。
(2)顧客トラブル
よく起こることで厄介なのが顧客トラブルです。副業の種類によって起こり得る状況は変わりますが、商品の販売であれば、ノンクレームでとしていてもクレームを出されて応対を迫られる場合もありますし、ライティングなどの請負の場合は、意思疎通がうまくいかないと修正処理などが続いてしまうこともあります。
これは本業でも同じですが、副業の場合、本業をしている時間帯(多くの場合は平日の昼間)は対応することが難しいと思いますので、相手と時間が嚙み合わず、すんなりと終わらないことも考えられます。
依頼者にとっては、相手が副業でやっているかどうかなど関係なく、必要であるものを求めてきますので、こちらの応対を疎かだと感じることもあるでしょう。そうすると、余計な時間が取られるだけでなく、仕事(副業)への評価も低くなり、続けるのが難しくなる場合もあります。
(3)詐欺に合う
副業に限った話ではありませんが、おいしい話に飛びつくとそれが詐欺の入り口である場合があります。典型例としては、内職詐欺と言われるもので、インターネットなどを介して、入会金や登録料名目でお金を徴収し、実際には仕事がないといったことがあります。
時間的制約のある副業であっても、入念に確認してから始めないと、副収入どころか痛い出費だけが残ることもあります。その点では、インターネットの副業であれば大手企業が運営するサイトを利用して始める方が無難だと言えます。
(4)知らず知らずの内に違法行為を行う
アルバイト以外の副業を行う場合、会社での仕事と異なり、自分で責任を持って行うことになり、新しいことを始めると慣行も分からないことが多く、リーガルチェックが疎かになりがちです。最近の代表的な例は、キュレーションサイトにおいて無断で写真や記事が転用されていた件です。大きな会社が運営していたにも関わらず、法的な問題がスルーされていました。
何か新しいことを行うときは、商いの大小に関わらず、十分に調べた上で法的に問題がないかも確認する必要があります。
(5)副業での問題により本業でも責任が問われる
上記の顧客トラブルや違法行為などで個人に責任追及が行われる場合であっても、肩書は○○社の会社員です。副業で問題を引きずり、報道されるようなことになれば、会社の名前が出てくることもありますので、副業のトラブルだといっても割り切れるものではありません。結果として、会社の信用を傷つけることになり、懲戒解雇ということも考えられます。
(6)申告漏れ
他社でアルバイトしている人、自営している人に関わらず、主たる給与以外の所得がある人で一定の人は確定申告をする必要があります。(参考:会社員が副業をする場合の税金について)
これをせずにいると、アルバイトをしている人は会社から市役所に提出されている給与支払報告書から税務署に情報が伝わり、申告をするように言われることがあります。また、他の副業についても、地代家賃や講演料などは会社が提出する支払調書により税務署が把握しています。その他、株式やFXは証券会社から情報を入手しますし、ネット上の取引についても、関係各社へ調査に入ったりしたときなどに情報を入手しています。
税務署からの連絡後に申告することになると、金額によって無申告加算税や延滞税がかかりますし、何より言われてから準備することは大変でとても手間です。普段から請求書や領収書などの証憑を管理しておき、できるだけ節税して申告しておいた方が安心です。
(7)金銭感覚がズレる
これは、株式、FX、不動産投資など大きなお金を動かす副業をしている場合に限りますが、エスカレートしていくと金銭感覚がだんだんおかしくなる人もいます。例えば、FXで一日何万円と損得を繰り返していると想像すると何となく伝わるでしょうか。
不動産投資の借入も似たようなものです。一度投資で数千万円の借入をすると、お金を借りるということへのハードルが低くなり、限度額までは抵抗なく借り入れてしまう人がいます。金融機関が貸せる限度額と通常返せる限度額では、若干ずれる場合がありますので、要注意です。
少し話は逸れますが、住宅ローンを返せず差し押さえになるのは、急激な状況の変化だけでなく、最初の見積もりの甘さであることもあります。「借りられる=返せる」の思考にならないよう、投資額には気をつけましょう。
まとめ
副業容認の会社でクラウドソーシングを利用するなどして、多くの人が行っている副業をする分にはリスクは小さいですが、大きく儲けようとすればするほど危険は増えます。トラブルに巻き込まれたり、申告を忘れていたり、ずるずると違法な方向へ向かったり、リスク回避のため副業も計画的に行いましょう。
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