元社労士がライターとしてクラウドソーシングで働いてみて感じた違和感とそれを克服するまで(1万字超)

Kei


元社労士がライターとしてクラウドソーシングで働いてみて感じた違和感とそれを克服するまで(1万字超)

結婚や出産で会社を辞めて、さまざまなスキルはあるけど会社に勤務するには、時間的に難しい、そんな環境の主婦は多いと思います。

 

政府が自由な働き方を推し進める世の中ですが、クラウドソーシングに登録しても、そんなに簡単に仕事がもらえるわけじゃないし、実際には継続して仕事を得るのは非常に難しいのが現状です。

 

そこで、全く営業ができない主婦である私が、ライターとして1ヶ月のスケジュールを全て埋められるようになるまでの経過を紹介します。

 

フリーランスのライターとしての体験談ですが、他の職種や副業として働く場合にも共通する出来事だと思いますので、参考にしてくださいね。

 

 

社労士からライターへ。クラウドソーシング登録に至るまでの経緯

 

私は主人の転勤でいきなり地縁のない関西にやってきました。

 

それまで私は、普通のサラリーマンより大きな純利益を出すそこそこの社労士事務所を経営する個人事業主でした。

 

ですから、世の中に認めてもらえるキャリアを持っている自信があったのですが、夫の両親との同居が始まり、仕事に大きな制限が生じました。

 

何より自分の息子を大切に思う姑は、夫婦共働きなんてもっての外でした。

 

「妻たるもの、夫の仕事を支えるべく、専業主婦を完璧にこなすこと」と、あまりに時代遅れな考え方を嫁に押しつける始末です。

 

初めは理不尽な話だと思いました。

 

でも、当時の私は、「義母の夢」をぶち壊した嫁として、非常に申し訳なく思っていたので、義母の希望は可能な限り応えたいと思っていました。

 

「義母の夢」(「義母の果てしない夢」と私が思っているのですが)とは、息子の嫁と一緒にデパートに買い物に行って、商品を選んでいたら、店員さんと次のような会話をしたいという、本当に小さな夢だったのです。

 

 

店員「娘さんと一緒にお買い物ですか?」

 

義母「いえ、息子の嫁なんですよ」

 

店員「そうですか。かわいらしいお嫁さんですね」

 

 

義母にとって「30歳の息子の嫁は25~28歳のかわいらしい女性」という設定なのですから仕方ありません。

 

でも、バツイチ子持ちの私は、初婚の夫と一回りも歳が離れています。

 

41歳の私が「かわいらしいお嫁さん」と言われる、そんな初々しさがあるわけがありません。だから、私にとっては、「義母の叶わぬ果てしない夢」です。

 

年齢ばかりはどうしようもないので、私はせめて人間として仲良くなってもらいたくて、あの手この手でがんばりました。

 

そして、なんとか話し合った結果、土日祝を除く平日、仕事の時間は家事に差し障りのない13時~17時半まで自宅で仕事をする許可をもらいました。

 

ただし、午前中に家事を全て行い、家業を含め、家の仕事が最優先です。

 

だから、もちろん夫の会社がお休みの時も仕事はできません。

 

さらに、義母のお友達など、自宅にお客様がいらっしゃったときは、年齢を伏せて息子に相応しい”できた嫁”を演じなければなりません。

 

いつまで通用するかはわかりませんが、私は童顔なので、若く見えることが幸いして、義母が恥ずかしい思いをすることはなかったように思います。

 

ただ、こんな状況では、会社勤めなんて不可能でした。

 

そこで私は、社労士時代の顧問先のツテで、月数本のコラムライターの仕事を再開したのです。

 

時間が余ったので、何回か仕事をしているうちに、仕事のツテを頼って、いくつか他の仕事ももらえるようになりました。知人の紹介だったこともあり、資格や経歴に見合った報酬をもらうことができました。

 

私の場合、文章を書くことがストレス発散になります。

 

自ら進んで義母と仲良くしようとがんばっているものの、嫁姑の会話にたくさんのストレスを感じていた私には、ライター仕事は姑からの逃げ道となり、「13時~17時半までフルで仕事を入れたい」、そんな気持ちでクラウドソーシングにも登録しました。

 

当時の私は、過去記事を添付して応募すれば、今までと同等の評価をもらえると簡単に思っていたのです。

 

しかし、これがそもそもの間違いでした。

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営業な苦手なライターはクラウドソーシングでも仕事が取れない?

 

クラウドソーシング初心者は、一番下のランクから順番に上っていかなければならなかったのです。

 

登録して、プロフィールを充実させて、仕事に応募しても全然お仕事の依頼がありません。

 

本数は少ないものの、出版社や広告代理店との仕事は、経歴や資格に見合った報酬として、1本数万円の報酬を得ていました。クラウドソーシングは個人の依頼者が多いようだったので、報酬を1本10,000円に”下げた”つもりでした。

 

しかし、突然クラウドソーシングに入ってきた新参者が、クラウドソーシング内では、何の実績もないのに、1本10,000円なんて非常識だったと今は思います。

 

待っていても仕事がないので、公募の仕事の分析をしてみました。

 

その結果、最高5,000円の仕事が多く、自然と報酬単価を下げるしかありませんでした。

 

それでも、「1文字1円の安い記事の応募にも選ばれない」という結果に。

 

自分の知識だけで書いている元手のかからない仕事だったので、私は、「得意分野なら3,000文字程度なら30分で書いちゃうのだから2,000~3,000円でもいいや」と、さらに報酬単価を下げていきました。

 

主人のお給料で生活をしている専業主婦だからできたことだと思います。

 

 

 

 

初めて受けたご依頼

 

報酬を下げ、数打ちゃ当たる精神で次々応募していたら、提案数30を超えた頃初めて仕事を頂きました。

 

文字数単価のお仕事で、1記事5,000文字以上で2,500円。つまり、1文字0.5円。

 

トライアルは2,500円ですが、「記事の質によっては1文字1円以上も夢じゃない!」とありました。

 

私の場合、もともと1記事5,000文字程度で自由に書いて数万円だったのです。次回からは、5,000円以上にはなると、自信満々でトライアルに応募しました。「プロのコラムライターだった」という自負もありました。

 

初めてのご依頼のテーマは転職関係。社労士ですから最も得意分野です。

 

ところが、依頼者から、予想外の反応が返ってきました。

 

 

「文法もなってないし、読み手のことを一切考えていない見当違いな記事。的外れな内容の文字数稼ぎがあまりにも目立ち、こちらでの編集作業が大変でした。報酬を払う価値もない記事でしたが、参加料として一応1,000円支払います」

 

 

というものでした。

 

また、「編集した記事が既に掲載されているので、どこが悪かったか勉強するように」というメッセージと一緒にURLが添付され、私は意味がわからないままそのURLを見ました。

 

冒頭部分は、多少「てにをは」が編集されていましたが、ほぼ元の文章。しかし、転職で最も重要な採用面の人事の視点、選抜方法についての内容が項目ごと全文削除されていて、面接の際のビジネスマナー中心の記事となっていました。

 

私は人事・労務専門の社労士だったので、面接を請け負ったり、転職会社のビジネス誌の人事向けのコラムを連載したり、中堅管理職の人事研修を行った事もあります。

 

そのため、転職には人事の目線を知ることは重要と考え、そのことを依頼者に主張しました。

 

ところが、「人事の経験もないのに憶測の記事は困ります」という返信が依頼者様から返ってきました。

 

また、私の年齢に注目して、私の20代の頃の就活とは時代が違うと思われたのか、「読者の年齢層を考えていない」というご指摘も頂きました。

 

さらに、「主婦はものがわかってない」「やる気が無い」「教わろうという気が無い」「意識が低い」と散々に言われ、さらには「夕飯を食べて、さらなる詳しい指導を行います」というメッセージでした。

 

依頼者は20代の後半男性、私は40代後半の社労士です。

 

唖然としました。昨年まで人事専門の社労士だったのに、社労士の仕事を知らないのかとも思いました。

 

しかし、私はちゃんと社労士としての、現代の転職事情を解説したので、それを間違っていると言われては、仕方がありません。

 

私の名前で掲載されるわけではないし、依頼者のサイトですから、依頼者がどのような記事を掲載したいかも依頼者の自由だと、私は考えました。

 

仕方なく、2,500円の報酬を1,000円に減額されて、悔しい思いのまま、私は引き下がることにしました。

 

一切反論せずに、実力不足をお詫びし、次回記事の提供に関しては、辞退のお願いをすることで、今後の依頼者からの指導のメッセージを丁寧にお断りしました。

 

すると、態度が一変して依頼者から、丁寧なお詫びと記事の提供をお願いするメッセージを頂きました。

 

しかし、こちらも再度「人事の目線の大切さ」を解説して、意見が違うことを申し上げた上で、丁寧に継続辞退のお願いをしました。

 

すると「評価1」をつけられました。

 

「評価1」は酷すぎるので、クラウドソーシングのサポートセンターに相談すると、回答は「評価はどうにもなりませんが、理不尽な評価には反論をしてください。どちらが正しいかはユーザーが独自で判断します。自己防衛にもなります」というもの。

 

どういう風に自己防衛になるのか意味がわからず、当時の私は、サポートセンターの回答は、非常に丁寧な内容だったにも拘わらず、私自身を否定されているように感じ、絶望を助長されたような冷たい回答のように思ってしまいました。

 

それでも、理不尽な評価をそのままにするのは悔しすぎるので、私は言葉を選んで、ビジネスマナーの範疇で、精一杯の正当な反論のメッセージを送ったつもりです。

 

1本数万円で書いてきた専門家ですから、プライドも何もかもズタズタになりましたが、公の場でそんなことは言えません。

 

 

「このままでは引き下がれない」と、何が何でもネットの世界で認められるライターになる決心をしました。

 

 

このような、ハラワタの煮えかえるようなことが数回ありました。その度に、言葉を選んで、正々堂々とビジネスマナーの範疇で反論をしました。

 

これらの反論が共感を得たのか、数人の登録者からメッセージを頂き、さまざまな自己防衛の方法のアドバイスを頂きました。

 

皆様から共通して言われたのは、「無防備」「自己防衛が足らない」「仕事を受ける前に相手を吟味すべき」というものでした。

 

私に落ち度があったわけです。その後は、このような依頼者様にひっかからないよう、気をつけました。

 

でも、私が仕事を取れるわけではありません。

 

私の受注完了率、良い評価率は、このたった一つの低評価がずっと足を引っ張っていたのです。

 

「評価率や完了率の低いライターは信用されない」と、受注できない理由を、「過去の悪質依頼者のせいだ」と、他人のせいにしていました。

 

しかし、私が仕事を取れないのは別の理由があったようです。

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2番目に頂いた仕事が転機となった

 

次に仕事が取れたのは40個ほど提案したときでした。

 

急募の記事で「今日16時までにCAD初心者向けの使い方の記事を書いて欲しい」というものでした。

 

そのご依頼を見つけたのは13時半。

 

まだ誰も応募していませんでした。

 

私は、「11時に応募を開始して、16時までって、何かトラブルでもあったの?」と、その依頼者の方を気の毒に思いました。

 

そこで、私はCADのインストラクターの経験があったので、その経験を活かして初心者向けのCADの記事を30分ほどで書き、完成記事を添付して14時過ぎに応募してみました。

 

「記事を盗まれるかな?」とは思いましたが、所詮30分で書いた記事です。

 

「相当お困りのようだし、お役に立てるならいいや」という気持ちと、「返事を待って書くには、夕飯の支度もあるので間に合わない」という私都合もありましたが、「1人しか応募者がいないので当選する確率大かも?」という期待もありました。

 

すると、14時半には依頼者の方から返信があって、報酬確定までのお手続きをスムーズにしていただけました。

 

初めて、私の仕事の評価に「感謝」の言葉と最高の評価をしていただけました。嬉しかったです。

 

ただし、以下のようなたくさんお叱りも受けました。

 

 

「僕だったから良かったけど、依頼されていないのに、記事を添付して納品するなんて、記事盗まれたらどうするの?」

 

「応募の仕方が下手くそで、たいした記事は書けないだろうと思ったけど、他に応募者がいないので取り敢えず添付記事を読んでみたら、まともだったから驚いた。営業したことあるの?」

 

「たくさん応募者がいたら添付の記事はまず読まない、そんな提案内容だよ」

 

 

といった感じで、さんざんでした。

 

私の提案は、ご挨拶と過去の簡単な経歴、ライター歴、所持資格はご依頼の内容に関係した資格のみの記載でした。クラウドソーシングサイトのテンプレートを参考に作ったものです。

 

そして、過去記事を添付して、「私の文章を気に入っていただけますと幸いです。よろしくお願い申し上げます。」です。

 

ちなみに過去記事は、クラウドソーシングの依頼者の方がどのような人かわからないことと、もしかしたら、記事を提供している会社様の競合他社だといけないと思い、URLではなく原稿を添付していました。

 

私の場合は、クラウドソーシングではなく、対面で履歴書を提出して契約書を結んで受けた仕事の場合、過去の経歴と資格の信用性を担保に、ペンネームといえども肖像権があって、勝手に編集されることはありません。

 

だから、原稿を読んでもらえれば、どの程度の文章を書けるのかわかってもらえると思っていたのです。

 

この環境は、守られた好待遇だということに気がつかなかったのです。

 

だから、2番目の依頼者の方からご指摘を受けても、「記事を盗まれるかも?」というのは迂闊だと思いましたが、他は意味がわかりませんでした。

 

「どこがいけないの?」といった感じです。

 

しかし、2番目の依頼者の方は、さらに、「このような指摘を受けるのは、大手出版社の編集者でなく、大手広告会社でもない個人が多い」とご指摘をくださいました。

 

この依頼者の方が、私の提案の文章を読んだ上での私に対するイメージは、次のような感じだったそうです。

 

 

「社労士の個人事業主ってほんと?社労士としてやっていけないから副業でライターやっているのかな?」

 

「そもそもこんなに資格を取れるのか?」

 

「構成された記事をそのまま書いたのかな?」

 

「そもそも自分の文章?編集されたもの?」

 

「まあ、評価も受注完了率も低いし信用しない方がいいな」

 

 

インターネット上のやりとりの経験がほとんどない私は、ただ驚くばかりでした。

 

インターネットの世界では、ウソをつく人がいっぱいいるのだから、多少ハッタリがあると思っている人が多いのだそうです。

 

しかし、私はハッタリどころか、個人が特定される事を恐れて実際に持っていた資格や実績の半分くらいしか書いていませんでした。

 

ライターの仕事なのだから、「文章を読んでもらえたら能力やスキルはわかる」と思っていたのです。

 

そのため、この依頼者の方のご指摘には、大きな衝撃を受けました。

 

私はバブル真っ盛りの時代に学生時代を過ごし、数年働き「寿退社(当時はそう言っていた)」をした人です。

 

主婦歴10年。33歳で離婚して、就職氷河期に職に就けずに資格取得しまくって国家公務員になったものの、転勤が多すぎて脱落。

 

非常に悔しい思いをしてきました。

 

そのため、生きていくために死に物狂いで難関資格を取得し、資格で武装し、幸運にも跡継ぎのいない社労士事務所を引き継いで、顧問5社から30社に大きくしました。

 

複数の国家資格保有と国家公務員だった経歴で信用され、口コミだけで一切営業せずに会社を営んできました。

 

おそらく、「たまたま」が重なるほど運が良くて、周囲に恵まれていたのでしょう。

 

それを当時の私は、実力だと勘違いしていたのだと思います。

 

離婚して、死に物狂いで取得した資格で武装した暗黒時代は思い出したくもないので、経歴にも書きません。「売れない社労士がライターやっている」と思われても仕方ないのかもしれません。

 

男女雇用均等法ができたばかりの頃、ハラスメント法もまだ無く、意味もなくセクハラ・パワハラで、「結婚できない」「仕事もない」と言われ、「バブル時代しか知らない専業主婦」というだけで、バカにされた暗黒時代に逆戻りしたかのような、悔しい思いをしました。

 

夫は、「そんな思いまでして働かなくても。出版社と広告代理店だけで良いじゃないか」と言ってくれましたが、私自身が「負けたまま逃げる」ようで嫌でした。

 

どうして、意味もなく人をバカにして、こんなにも上から目線なんだろう、と感じました。インターネット上だから相手が見えないのはわかりますが、見えないからこそ、相手がどんな実力のある人かわからないじゃないか、とも思いました。

 

そこで、今の生活を守りつつ、クラウドソーシングで這い上がる方法を考えました。

 

他の高ランクの登録者のプロフィールも参考にしました。

 

その結果、クラウドソーシング以外の仕事の話は削除し、私はプロフィールを書き直しました。

 

「複数の国家資格」から資格を一つ一つ全部、履歴書に書くように書いてみました。

 

すると、突然個別依頼が増加しました。

 

資格が証明する、人事・労務・転職の記事ばかりでしたが、とにかく依頼が増えました。

 

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個人依頼者は低単価だけど丁寧、でも続かなかった…

 

それでも頂くお仕事は、ライター初心者並の低単価です。

 

でも、個人の方は、専門家の記事を低単価で提供してくれると喜んでくれました。

 

丁寧に感想も書いてくれます。

 

それが嬉しくて、当時は簡単な内容のコラムなら、3時間程度でできるので、時給1,000円程度だからと3,000円で8,000文字程度の依頼もお引受けしていました。

 

ただし、簡単な内容に限ります。

 

しかし、これが裏目に出ました。

 

一概には言えませんが、個人事業者の方の中には、付き合いが長くなると、初めの感謝も当たり前になる人もいました。

 

慣れた環境が、自分の会社の社員のような錯覚を起こすのでしょうか?

 

自分のサイトを大きくしたいからか、他サイトと差別化したいのか、どんどん依頼内容が高度になっていきます。

 

人事戦略に関する記事の依頼もできると考えた依頼者の方は、今までの報酬のままで記事の内容を高度に、しかも長文記事を依頼してきました。

 

人事戦略の講習を社労士がすると、1回数万円です。

 

10,000文字以上の記事を3,000円で書けというのは酷すぎると思ったので、報酬の値上げ交渉をしました。

 

「こちらは3,000文字程度で良いのに長文記事は依頼していない」という回答でした。

 

人事戦略の記事を3,000文字で書いたら、内容の薄い意味のないものになると私は思いました。

 

人事の方が検索して、「役に立った」と思わなければ意味がないのだと思います。

 

低レベルの記事では、差別化を図るどころか、サイトの評判を落とします。

 

そのことを主張すると、途端に依頼者様との関係が崩れました。

 

 

「厳しい指導が必要なようです」

 

 

というメッセージがきました。

 

さらに以下の箇条書きで、ものすごい長文のメッセージも。

 

 

「Web記事で弊社の報酬は高額な方だ」

 

「5,000円出せるIT業者はいない」

 

「安い報酬で文句も言わず、こちらの希望通りに書いてくれるライターはいくらでもいる」

 

 

私は、クラウドソーシング以外の業界では、1本数万円で書いていますし、実際にWeb記事として配信されています。

 

そのことを主張しても、「これでも業界に知り合いが多いので、そんなハッタリは通用しない」とまで言われてしまいました。

 

最後の報酬を頂いたとき、私はお礼のメッセージと、最後のご挨拶の丁寧なメッセージを差し上げました。

 

すると、その依頼者様から、

 

 

「私はこの業界では顔が広いので、1記事5,000円の報酬が払える大企業のIT業者の社長を紹介してあげます」

 

「ただ、あなたの記事が採用されるかどうかは知りませんが、ご縁があってお仕事をしたのですから、急に契約を打ち切るのは忍びないので、紹介だけはしてあげます」

 

「後は実力でがんばってください」

 

 

というメッセージを頂きました。

 

そこで、私は、

 

 

「ご親切感謝します。でも、私は出版社や広告代理店のお仕事を主にしておりますので、ご心配いただかなくても大丈夫です。今までありがとうございました。」

 

 

と丁寧に辞退申し上げました。

 

IT業者だと5,000円が最高で、3,000円でも高い方だということを私は知りませんでした。

 

私は、自分が無理な要求をしていたのか、最後は依頼者様のご親切だったのか、嫌みだったのか、よくわかりません。

 

ですが、いろんな立場があり、業界の常識はそれぞれ違うし、会社の規模によっても考え方が異なるのだということを学習しました。

 

もしも、私を非難したり、厳しい指導をしたりせずに、ビジネスマナーを守った対応をしてくださったら、「サイトが大きくなったら還元してくださいね」と私は、そのままの報酬で協力したでしょう。

 

30代の個人の依頼者の方と何人かお付き合いしましたが、継続すると数ヶ月でこうなります。

 

私はアラフィフ、依頼者様はアラサー世代。常識が違うのかと、自分なりに反省もしました。

 

インターネットの世界では、自分の環境が「普通」だと思いがちです。でも、世の中の常識は人それぞれです。

 

私も、さまざまな会社と顧問契約をしていた社労士ですが、IT業界の常識まではわかりません。

 

今まで、たまたま大手出版社と広告代理店とお取引きしていただき、しかも知人の紹介であったため丁寧な対応をしていただき、幸運な環境にいたのは事実なのです。

 

「これが当たり前ではない」そのことを良くも悪くも痛感しました。

 

今後は自分の環境を正直に相手に伝える努力をして、もっと優しく、そして柔軟に物事をとらえよう、と反省しました。

 

また、この頃から、クラウドソーシングの登録者仲間ができはじめました。

 

情報交換をチャットでする、といった感じです。

 

「国家資格が多いと個人が特定されやすい」と、クラウドソーシングのお仲間に教えられました。

 

私はインターネットやSNSに慣れていない世代なので、個人の特定されるのは何となく嫌でした。

 

私は、再びプロフィールを変更し、資格を全部引っ込めました。

 

ライター歴と隠居社労士である事、家業を手伝いながら家族の暮らしを優先する主婦ライターである事を前面に出しました。

 

そして、「私の文章を気に入っていただけると幸いです」と締めくくりました。

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単発の仕事には過去記事を読んでもらうためのメッセージを

 

相変わらず応募してもご依頼は頂けません。

 

提案数は100を超えました。

 

それでも受注数は40程度に。

 

プロフィールからの個別依頼が増えていったのです。

 

提案時には、記事を書くのに必要な資格と経歴を書き、そして次のことを書いてみました。

 

●応募してもなかなかお仕事を頂けないこと

●個別依頼は継続していること

●登録当初に低評価をもらったせいで、受注完了率と評価が低いこと

●でも、丁寧な対応と丁寧な仕事を心がけているので信じて欲しいこと

●クラウドソーシング内のランクを上げたい

●資格者だが、顔出し本名出しはNGであること

 

 

少し恥をさらしてみたのですが、世の中物好きな人はいるものです。

 

私のあからさまな文章に、興味を持って信頼してくれる人が、けっこういたのです。

 

そのせいか、「添付記事を読んだ」といって、公募では選ばれなくとも、「個別依頼をしてみたい」という相談のメッセージを頂くようになりました。

 

報酬単価が、最低5,000円と徐々に大きくなりました。

 

あるとき、メッセージに、

 

 

「いつも受注している報酬と比べて少なめかもしれませんが・・・」

 

 

という文章がありました。

 

どうしてこういう言葉が出てくるのか、報酬がどこでわかるのかと不思議に思って、プロフィールの評価を吟味してみたら、私は初めて気がつきました。

 

評価のときに、その依頼のだいたいの報酬単価が一緒に掲載されていたのです。

 

個別依頼の場合は、報酬が円単位で依頼テーマに載ることもありました。

 

多くの登録依頼者の方は、この評価を見て「報酬単価を決めているのではないか?」ということに、私は遅まきながらやっと気づいたのです。

 

 

 

 

クラウドソーシングはビジネスマナーが命

 

クラウドソーシングは、メッセージだけのやりとりです。

 

相手は私の顔が見えていません。

 

結果論ですが、私はPCのないバブル世代に、20代の新卒社会人として過ごしています。

 

当時は、新入社員研修も半年かけて行われます。

 

名刺の渡し方から、あらゆるビジネスマナーの特訓を、朝から晩までの長時間の講習を数週間かけてみっちり行われていた時代です。

 

そのせいか、私には当たり前のビジネスマナーが、インターネットの世界では丁寧だと評価されました。

 

仕事を受けたら、納期の予定、予定よりも1日早い納品、報酬確定のお礼、メッセージはこちらで終える、このような当たり前の事が、「丁寧な対応」という評価を受けました。

 

こちらのスケジュールを伝える事で、依頼者の方に希望を伝えるとともに、依頼者の方もスケジュールを組みやすく、お互い仕事がやりやすくなるはずです。

 

とくに企業の場合、担当社が忙しいこともあり、クラウドソーシングのメッセージを常に見てくれるとは限りません。

 

ですから納期の予定や、スケジュールを伝えるとともに、確認や頂きたい資料の期日の指定をお願いしていると、担当社も約束の日にメッセージの確認をしてくださるので、私もスムーズにお仕事が進められます。

 

納期をお知らせすれば、その日にクラウドソーシングのサイトを見て、スピーディな確認とスピーディな手続きをしてもらえます。

 

そうするだけで、報酬確定が早まります。

 

私のように営業が苦手な人は、アピール下手だと思うのです。

 

他の方がどのようなアピールをしているのかもわかりません。

 

それなら、相手に自分の良さをわかっていただくしかありません。

 

自分をよく見てもらうためには、丁寧な仕事をして他人との差別化をするしかないのです。

 

完璧なビジネスマナーと丁寧な対応、丁寧な仕事、これを真面目にしていれば結果は自ずと後からついてきます。

 

難しいことではないのです。

 

ただ、お互いのスケジュールがわからないのですから、依頼者に報連相をしっかりと行うだけで良いのだと思います。ただし、約束したことは絶対守る必要があります。

 

そのことが相手の信頼を得る結果となります。

 

「『人のご縁』がお仕事を持ってきてくれる」と私はそう思います。

 

こうした口コミが一番の営業かもしれません。

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営業が苦手なライターは、初めは報酬にこだわらない方が良い?

 

クラウドソーシングに登録して1年半。

 

この頃は、単発でも1本5,000円以上、継続するなら10,000円以上、と決めていました。

 

私の場合、自分の知識だけで仕事をしているので、気に入った人と楽しく仕事をしたいと思っていました。

 

営業が苦手なので、どうしても受け身になります。

 

良い依頼者の方とお仕事をしないと良いご縁が生まれません。

 

そのためには、クラウドソーシングのランクを少しずつ上がっていくしかないのです。

 

郷に入っては郷に従えです。

 

どんな場所でも新参者は、なかなか信頼されないものです。

 

そこそこの場で少しずつ信頼を得ていくしかないのです。

 

私の場合は、初めは2,000円、次は3,000円、次は5,000円と徐々に上げて行きました。

 

そして、2,000円でも10,000円以上の記事を提供していました。

 

良いものを、というよりは、自分の知識と経験だけで得意分野の内容だけで勝負していたので、安い報酬でもそんなに苦にならなかったのです。

 

良い依頼者の方は、何も言わなくても、経営事情が許せば、記事の質に見合った報酬を支払ってくれます。

 

 

 

 

営業ができないライターだからこそ横暴な依頼者でさえも大切にすべき?

 

文章は人それぞれです。

 

「読みやすい文章」というのも人それぞれです。

 

依頼者の方の知識の程度によって、求められる記事のレベルも違えば、依頼者の方の目的とするサイトの読者層がどういう人かも違います。

 

まさに「相性」のようなものです。

 

私が経験した例では、フランス語の学者が提唱した学説をフランス語の本から翻訳して引用し、引用した参考文献を提示したら、「どこのサイトから引用?日本語のサイトを出して」と言われました。

 

私が自分で翻訳したことを伝えたら、「正しいかどうかの確認ができないから、日本語の関連記事を探してください」との回答が返ってきました。

 

腹が立ちました。失礼だとも思いました。

 

でも、初対面の人間で、ネット上の人間関係です。

 

私がどんな人かもわからず、自分のサイトに間違った記事を載せることはできない、と思うのは仕方のないことです。

 

少し頭にきましたが、学説なので、どこかに日本語の記事があるだろうと、生まれて初めてネットサーフィンというものをしてみました。

 

こうして海外の記事を翻訳して引用している「まとめ記事」を見つけたので、そのURLをメッセージにつけて一件落着。

 

このようなことは、何度もありました。

 

厚生労働省の広報の一般向けの報道チラシと、社労士会の法改正資料の詳しさは大きく違います。

 

「厚生労働省のチラシには書いてない」と言われれば、社労士の法改正資料を見せて証明します。

 

知識の証明は、腹は立つし、時間はかかるし、本当に疲れ、困惑しました。

 

それでも、辛抱して時間をかけて対応していると、いつかは信用してもらえます。それが評価に繋がります。

 

そんな悔しい時期が半年ほど。

 

全期間で1年半。初めの半年の評価は切り捨てられていました。

 

その結果、いつの間にか、クラウドソーシングの評価が上がって、ランクアップしていました。

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営業ができないライターはクラウドソーシング内のランクが信用を担保する?

 

評価が上がると、いつの間にか個別依頼の相談メッセ-ジが急激に増え、自分から仕事を探すことも少なくなりました。

 

それでも、いざ応募すると、採用していただける確率は相変わらず低いのです。

 

それでも30%位の確率で採用していただけるようになったように思います。

 

最近知ったのですが、公募には出来レースのようなものもあります。メッセージで公募のURLを紹介され、応募したら優先的に受注させてくれるのです。

 

この頃、登録当時から提案数が150を超えていました。

 

でも、受注数は50ほど。

 

その半数がプロフィールからのご依頼と、リピートのご依頼です。

 

提案による採用は、20ほどでしょうか。相変わらず、低い当選率です。他の登録者の提案を見てみたいものです。

 

しかし、メッセージからのご依頼は確実に増えました。

 

報酬単価も一方的に決められるのではなく、見積もりを相談されますが、だいたいの報酬額は、過去の私の評価(報酬も含む)を見て、依頼者の方で提案されます。

 

極端に低額の依頼者には丁寧にお断りをしています。その際も、まず「ご連絡ありがとうございます。」を欠かしません。

 

それから私の希望報酬を提示して、丁寧に辞退の意思とお詫びを申し上げます。

 

こうして、少しずつ報酬単価が上がってきました。

 

すると、報酬単価が上がった状態で、良い評価が付き始めます。

 

そして、3ヶ月後、ついに最高ランクに到達しました。

 

本当にいつの間にかの出来事でした。

 

そして、最高ランクにたどり着いた初めての月末、凄いことになったのです。

 

月末の3日で10通近いメッセージが来て、翌月のスケジュールが全て埋ってしまいました。

 

ご指定の納期には、スケジュールがいっぱいの場合、「スケジュールが埋っていますので、○日執筆開始で納期△日でもよろしければお引受けできますが、いかがでしょう」と返信しました。

 

納期が1週間ズレても依頼者の方は了解をくださいます。

 

また、過去に単発でご依頼のあった方から10記事のご依頼があったのですが、「スケジュールがいっぱいで4記事ならできますが、少ないでしょうか」と回答しても「4記事でも助かります」とのことでした。

 

このように次々にスケジュールが埋っていき、納品後は、「次回は早めに連絡致しますので、またよろしくお願いします」というご連絡が届きます。

 

まるで人気ライターのようです。頂くメッセージも丁寧になります。

 

登録したばかりの頃は、「今大量募集しています。興味があったら見てください」とか「売れるライターになりませんか?」とかそういったものばかりでした。

 

それが、最高ランクになると「どうしてもお願いしたいのですが」とか「お引受けいただける報酬を教えてください」といった内容になります。

 

何より、個人依頼者ではなくなりました。

 

実際に会社名や担当者の個人名を名乗ってくださいます。

 

掲載サイトも紹介してくださいます。

 

本当に、対応が丁寧になりました。

元社労士がライターとしてクラウドソーシングで働いてみて感じた違和感とそれを克服するまで(1万字超)-7_r

 

 

営業ができないライターは調子に乗ってはいけない

 

こんな人気ライターみたいな扱い!

 

私は今までが辛かったので、もう嬉しくて、周囲に言って回ってしまいました。

 

苦手なお仕事探しの応募は、もう必要なくなりました。

 

でも、「調子に乗ってはいけない。こんなことは続かない」と自分を一生懸命戒めています。

 

キツネにつままれているような気もします。

 

それでも、余りに嬉しくて、長くお付き合いのある依頼者の方に一番にお礼をお伝えしていました。

 

長くお付き合いのある方は、お仕事の度に良い評価をくださいます。

 

その積み重ねがランクアップに繋がっていることは間違いないのです。

 

中には、過去に低料金でお引受けしたことのある依頼者で、その時の3倍の報酬でお仕事をご依頼くださいました。

 

お気づきなのかわかりませんが、同じライターに対してこんなにも扱いを変える依頼者の方もいらっしゃいます。

 

ちなみに、その依頼者の方がクラウドソーシングサイト上でくださった過去の評価は「★3」でした。

 

文章も対応も変わらないのに、周囲が一変する。少し恐い気もします。

 

こんなことは長くは続かないので、調子に乗らないようにと自分を戒めました。

 

 

 

 

まとめ

 

少しずつですが、あの手この手でランクアップできたのは、生計を維持する夫の収入がある専業主婦だからできたことです。

 

しかし、専業主婦だけでなく、本業の収入がある人にも同じ事がいえると思います。

 

副業を成功させるのは、丁寧な対応と質の高い仕事です。

 

これを辛抱強く行っていたら、いつの間にか結果が後からついてくるものです。

 

私は、社労士事務所の経営もこの方法で成功しています。

 

社労士時代も、初めの2年間は、数少ない顧問契約はあるものの、本業よりもアルバイト収入の方が本職のような状態でした。

 

でも、いつの間にか顧問契約30社以上の、自分でもそこそこと思える社労士事務所に成長しました。

 

私の取り柄は「丁寧」な事だけかもしれません。私が心がけていることは、以下のことです。

 

●お仕事を頂いたとき、手続きをしてくださったとき、その都度お礼を言う。

●スケジュールが合わないときは、ただ辞退するのではなく、できる納期を提案する。

●お仕事を受けたら、納期のご連絡をして、その1日前くらいの前倒し予定で納品する。

●報酬がいくらでも、仕事の成果物には最高の品質を保って納品する。

●報酬のお手続きをしていただいた時にもお礼を言う。

●感謝の気持ちを込めて評価する。

 

 

これらは、初めて社会人になったときに習った当たり前のビジネスマナーばかりです。

 

良い依頼者を集めるには、品質を高く維持し、評価を上げることが最高の営業なのかもしれません。

 

丁寧な仕事をすれば、リピーター獲得に繋がります。

 

ただし、最高評価を維持することも、また大変なのだと思います。

 

副業として焦らずじっくり!それが営業の苦手な人が成功する基本だと思います。

主婦だからできる一つの働き方かもしれません。

 

 

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この記事を書いたのは

Kei
Keiライター
元社労士のフリーランスライター。資格も多数保有。今は主婦として家族を大切にし、活動時間短めで気ままに執筆中。