フリーランスで活躍するカメラマンに聞いてみた!『新人フリーカメラマンが営業でやるべきこと』はたった1つ
単なる趣味のカメラとは違い、自分の好きなように写真を撮るだけでは食べていけないのがフリーランスのカメラマンです。
そこで今回、10年以上現役でプロカメラマンとして活動する私の友人2人に、新人フリーカメラマンが営業でやるべきことについて聞いてみました!
話を伺ったのは、最新の写真映像技術を取り入れながら商業誌などで活躍しているIさんと、フォトエージェンシーや雑誌等で活躍しているOさん。
2人は高校からの友人同士です。
2人は、それぞれに一般企業にサラリーマンとして就職したものの、いろいろな事情からカメラマンの道へ転向した経歴の持ち主です。
これから副業・兼業カメラマンを目指す方にも参考になる話が多いことでしょう。
最初の仕事をとるまでにかかった期間はスグ~3ヶ月
活動を始めてから最初の仕事を獲得するまでにかかった期間を聞いてみると、Iさんはスグ。
Oさんは3ヶ月ほどとのことでした。
ただ、Oさんは一度フリーランスを辞めて再就職し、再びフリーランスに戻ったときにはスグに仕事をとることができたといいます。
Iさんはとても人懐っこく、相手の懐にスッと入っていける芸人のようなトーク力があります。
一方でOさんは、職人タイプ。
人見知りをするので、営業力があるようには見えません。(失礼)
最初の仕事をとるまでにしたことは「ひたすら行動」
どんな仕事もそうですが、スタートしてすぐに自分のやりたいことが100%できるわけではありません。
これはフリーランスでも同じです。
最初だからこそ、遠回りになってでもやっておくべきことに注力する時間とパワーが必要です。
フリーランスであれば、仕事を獲得するための営業に注力することがそれにあたります。
Iさんがまず目指したのは、ブライダルカメラマン(結婚式場のカメラマン)。
全国どこでもおこなわれている結婚式は、手堅く収入源を確保するのにピッタリの仕事です。
Iさんは式場やブライダル企業、ホテルなどに直接アポイントをとり、ひたすら面談を繰り返したのだとか。
ブライダル関係の職場では、フリーランスと直接契約を結ぶところもあれば、専属のカメラマンを雇っているところもあるのだそう。
このうちの数件と契約を結ぶことができ、無事に仕事を確保することができたようです。
一方、Oさんは出版社やデザイン事務所、広告代理店などに作品のコピーと経歴書、そして手紙を添えてひたすら送り続けていたといいます。
その数、なんと5,000通!
しかも、すべて万年筆で手書きしたというから、執念のようなものさえ感じます。
手紙を送ったなかで、仕事に繋がったのは1,500社以上。
残念ながら1度きりで終わってしまった仕事もあったそうですが、手紙を出してから10年以上経った今でも不意に依頼が来るなど、現在の仕事獲得にも繋がっているのだそうです。
最初にこうした努力を経験していると、どんな困難も乗り越えていけるような気がします。
何事もスタートが肝心、ということがよくわかる事例ではないでしょうか。
最初の仕事をとるまでに大変だった理由は「経験ナシ・お金ナシ・時間ナシ」
企業カメラマンの利点は、仕事も費用も会社から用意してもらえるところです。
対してフリーランスは、経験のなさもお金も、すべて自分の行動力と知恵でカバーすることになります。
ブライダルカメラマンとして活動を始めたIさんですが、式場での撮影経験もなければ、それまでに結婚式に列席したのもたったの2回。
知識もなければ、経験もない状態からのスタート。
そこをカバーしたのは、Iさんの行動力です。
すでにフリーカメラマンとして活動をしていた旧友のOさんに近況を伝え、教えを乞うたのです。
Oさんは、いまでこそ風景写真などをメインに活動をしていますが、初期はブライダルなども手掛けるオールラウンダーでした。
ところがOさんは感覚派で、人に教えるのが苦手なタイプ。
しかし、そこをIさんの遠慮なしに突っ込んでいく性格が功を奏し、どんどんスキルを自分のものにして経験を増やしていきました。
一方のOさんは、四季折々の風景や神社仏閣などを撮影するため、マイカーで全国各地を巡っていて、自宅に帰るのは月に数回ほど。
求められる風景作品を撮影しようと思えば、刻一刻と変わる天候や自然の移り変わりに合わせた行動が重要です。
そのため、ほとんどが車中泊。
燃料費や機材費などかかる経費はかなりの額で、ほぼ毎月赤字だったといいます。
それでも辞めなかったのは、カメラが好きだから。
ただそれだけのシンプルな思いが、すべての原動力でした。
活動で気をつけていることは「ギャラをきちんと支払ってもらうこと」「素の自分で勝負すること」
私も作家兼フリーライターとして活動していてよくわかるのですが、クリエイティブな仕事は、そこにかかる労力をきちんと評価してもらいにくいものです。
文章一つ作成するにしても、やることは膨大です。
裏付けとなる情報を集めて精査・整理して構成を考え、必要ならば写真を撮ったりインタビューをしたり……。
納品する文章自体を書いている時間のほうが、圧倒的に少ないのです。
これは、撮影した写真だけが評価されがちなカメラマンにも同じことがいえます。
結果がすべてのフリーランスにとって、これも一理ある考え方です。
しかし、結果だけに報酬が支払われてしまうと採算が取れないことも多いのがカメラマンの仕事。
そのためお金のトラブルも、意外に多かったりします。
Iさんも、過去に報酬を支払ってもらえず、やむなく裁判を起こしたことがあるといいます。
目に見えない部分は評価しづらく、支払う側からすれば納得ができないことも多いのでしょう。
そこをどう説明できるかで、支払いの不履行を回避できることも。
そういう意味でも、ギャラ交渉で提示する価格にはきちんとした理由付けが必要だともいえます。
また、クライアントとの関係も、フリーランスにとっては非常に重要なポイントです。
IさんもOさんも、見え透いたお世辞を言えるタイプではありません。
裏表がないからこそ、信頼と信用だけで仕事を得てこられたのです。
無理せずに自分らしさを出し、そのうえで全力投球する。
プロとして依頼された作品を提供することは当然として、求められる以上の結果を出せるスキルを身につけるのも大切です。
経験が少ない・自信がないときほど、自分を大きく見せたくなるものです。
けれど、愚直に「今の自分で勝負する」ことを続けた人だけが、多くの人から求められるようになるのではないでしょうか。
駆け出しの頃の自分へ贈りたい言葉は「人脈をつくれ」「その時々でできる限りを考えて行動しろ」
過去にIさんは、パートナーとスタジオを経営していたことがあります。
ところが相手の不義理が原因で負債を抱え、スタジオを閉鎖することに。
その時に助けられたのが、それまでに培ってきた人間関係によるものでした。
Iさんに「もし過去の自分に会ったら、何か言いたいことはあるか?」と聞いたところ、「営業も大事だが、人脈もつくれと言いたい」とキッパリと答えました。
いまだに彼の仕事は、以前から付き合いのあるモデルや出版社、関わった企業などからの声かけも多いといいます。
一方Oさんは、常にその時々の自分のベストを尽くしてきた人。
「これ以上ない!」というほどに考えぬいたアイデアと、それを徹底的に実践・行動してきた結果が今の自分だといいます。
最後に
どんなことでも、突き抜けるのに必要なのは「圧倒的な行動力」。
そこには「スキルがない」「人脈がない」「お金がない」といったネガティブな要素が含まれる余地などありません。
今でこそフリーカメラマンとして活動する彼らも、最初は単なるカメラ好きな男の子でした。
自らの職業にすると決めたとき、彼らは覚悟を持って“その時の自分にできる最大限の精一杯”で過去の自分と、立ちふさがる壁を乗り越えてきたのです。
ご紹介した2人は決して特別な存在ではありません。
あなたも過去の自分に打ち勝つような行動力で、ぜひ今の困難を乗り越えていってくださいね!
さらにカメラマンとして活動の幅を広げたくなったら、以前IさんとOさんに協力していただいた記事
『フリーランスのカメラマンは被写体別の営業方法で仕事を増やそう!』(Cool Workers)
も参考にしてみてください。
この記事を書いたのは
- 【フリーライター/作家/電子書籍編集者】家事が苦手のママライター。いつもどうやって手を抜こうか考えています(笑)一番の趣味は、カメラと散歩と海外小説。相棒のEOS Kissを片手に、あちこちを飛び回っています。
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