「フリーコンサルタント」の意味や実態を考察してみた


「フリーコンサルタント」の意味や実態を考察してみた

コンサルタントというと、McKinsey & Company(マッキンゼー&カンパニー)やアクセンチュア株式会社といった、コンサルティングファームや企業に所属して活動する方を思い浮かべるのではないでしょうか。

 

私が日本を代表する経営コンサルタントとして思い浮かべるのは

 

・大前研一 氏

・堀紘一 氏

 

なのですが、お二方ともコンサルティングファーム出身です。

 

大前氏は前述したマッキンゼー・アンド・カンパニーで、ディレクター、日本支社長、アジア太平洋地区会長まで務められました。

堀氏もボストン・コンサルティング・グループ代表取締役を経て、ドリームインキュベータを創立されています。

 

しかし今は、フリーランスのコンサルタントとして独立している方が多数、存在するというのです。

 

 

 

その存在を知ったきっかけが

 

・フリーランスコンサルタント

・案件

 

をマッチングするサービス、「コンサルポータル」でした。

 

コンサルティングファームが存在するなか、フリーランス、個人のコンサルタントが案件を受注し、コンサルティングを行っていけるものなのでしょうか?

 

 

コンサルティングファームとは

 

コンサルティングファームについて私は、純粋に次の3つの疑問が思い浮かびました。

 

①そもそもコンサルティングファームとは?

②日本にはどのようなコンサルティングファームがあるのか?

③なぜファームと呼ぶのか?

 

順に見ていきます。

 

 

 

 

①そもそもコンサルティングファームとは? 

 

エン転職が運営している転職大辞典には次のように書かれていました。

コンサルティングファーム(consulting firm)とは、企業の抱える課題に対して意見を求められ、解決まで導く企業のこと(中略)そこで働く人たち(コンサルタント)には高いスキルと問題発見・解決能力が求められます。

 

出典:「コンサルティングファームとは?」(エン転職、2015年4月1日)

 

 

 

 

②日本にはどのようなコンサルティングファームがあるのか

 

日経業界地図2020年版[1] の「168 コンサルティング」を開くと戦略系、国内型、シンクタンク系、会計事務所系などにコンサルティングファームは分けられており、

 

前出の

 

・マッキンゼー・アンド・カンパニー(戦略系)

・ボストン・コンサルティング・グループ(戦略系)

・ドリームインキュベータ(国内型)

 

のほか、

 

・野村総合研究所(シンクタンク系)

・三菱総合研究所(シンクタンク系)

・デロイト トーマツ コンサルティング(会計事務所系)

 

そしてIT系の

 

・日本IBM

・アクセンチュア

・アビームコンサルティング

 

がありました。

 

 

 

 

③なぜファームと呼ぶのか?

 

日本で最もなじみが深いのは「牧場」のファームではないでしょうか。しかしファームをネットで調べると会社、企業という意味もありました。[2]

 

しかしフリーランスのように、そう呼ばれる語源や深い意味がなかったか、さらに掘り下げて調べてみたのですが見当たらず、最後に手に取った書籍にはこのように書かれていました。

欧米にならって

 

出典:「図解入門業界研究 最新コンサル業界の動向とカラクリがよ~くわかる本[第4版]
廣川州伸(著)、秀和システム出版(2017/3/10)、p.12)

単に欧米でコンサルティングファームと呼ぶから日本でも踏襲していただけのようでした。

 

ここまでコンサルティングファームについて理解を深めたところで、コンサルタントについて深掘りしていきます。

 

おすすめサービス

 

 

コンサルタントとは?

 

前出の本16ページには以下の記述もあります。

コンサルは「Consul」であり、意味は「相談相手」のこと。英語では「診察医」の意味もあり、お客様を「クライアント(患者)」と表現します。

出典:「図解入門業界研究 最新コンサル業界の動向とカラクリがよ~くわかる本[第4版]
廣川州伸(著)、秀和システム出版(2017/3/10)、p.16)

コンサルタント業の始まりは、一八八〇年、米国で設立されたアメリカ機械技師協会で、工場運営の効率化や生産性向上を推進した技師集団が原点(中略)そこで培った工場の生産管理ノウハウなどを武器として、技師たちは独立

 

出典:「図解入門業界研究 最新コンサル業界の動向とカラクリがよ~くわかる本[第4版]
廣川州伸(著)、秀和システム出版(2017/3/10)、p.16)

つまり

 

・ノウハウを持った技師らが独立したのが始まり

・クライアントがいればコンサルタントになれる

・コンサルタントは相談相手の意

 

以上のことからノウハウがあり、クライアントがいて、相談に応じることさえできればフリーランスのコンサルタントとして独立することはあり得るという結論に至りました。

 

次章ではフリーコンサルタントの実態についてお伝えします。

 

 

 

 

フリーコンサルタントの実態

 

大手ファームがフリーランスにコンサル案件を外注

 

驚いた方も多いと思いますが、実際にそうした既成事実があるということです。冒頭部でお伝えした「コンサルポータル」の商流実績を見ると、

 

大手ファーム直請…54.3%

クライアント直請…18.5%

その他…27.2%

 

とあり、全体の半数超が大手ファーム案件なのです。[3]

 

大手ファーム案件を受けられるほか、フリーコンサルタントになるメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。次章に続けます。

 

 

 

 

フリーコンサルタントになるメリット

 

経験やノウハウを活かせる

 

大手ファームには多数のコンサルタントが在籍していると考えられるのになぜ、外部からの手を借りるのか?

 

ひとつだけ考えられるのは素直に、所属コンサルタントがクライアントから依頼を受けた案件を解決するために必要な経験やノウハウを持ち合わせていなかったということでしょう。

 

なぜなら前述したとおりコンサルティングファームは、

 

・戦略系

・会計事務所系

・IT系

 

などに分類されているからです。

 

 

 

戦略系ファームが引き受けた案件、それが高度な専門知識を要するIT技術でしか解決しようがないものだったとしたら。

 

もちろん一度引き受けた案件を途中でお断りすることはなく、あらゆる手を尽くして解決を図ろうとすることでしょう。

 

そんなときにフリーコンサルタントに白羽の矢が当たると考えられます。

 

先に案内した商流実績の数字は、そういった事情を反映しているものと思われます。

 

 

 

 

裁量と決定権は自分

 

どの案件も基本的にクライアントからのウォーターフォールと考えますが、企業に在籍していれば上司や同僚の意見、ときに命令が入り、自分が思うように解決策を打ち出せなかったり、動けなかったりします。

 

しかしフリーランスならある程度、範囲を決めて裁量を与えられたかたちで案件を受注できます。

 

その範囲で業務方針、進め方、解決法も自由に決めて遂行できるはずですからストレスを感じずに済みます。

 

その代わりすべての責任は自分に降りかかってきます。

 

 

 

 

報酬も自分で決められる

 

通常、企業体であるコンサルティングファームとして受注するとなると、経営陣、上司の許可が必要で、その額も一存では決められません。

 

しかしフリーランスは個人で動きますので時間単価、報酬も自分で自由に設定できます。これが最大のメリットでしょう。

 

 

 

 

フリーコンサルタントになるデメリット

 

信用力に乏しい

 

そんな私も個人事業主ですからいえることでもあるのですが過去、「信用されていないな」と感じたやりとりが幾度となくありました。

 

ここではもっとも悲しかったできごとをご紹介します。

 

 

 

ライターはクライアントから受けた案件を実績として公表できない場合も多く、もちろん守秘義務を課せられています。しかしあるとき

 

「弊社に届いたライターからのDMに取引実績として弊社の取引先名が書かれていた、あなたが担当した会社です。守秘義務を破るようなDMを送ったのはあなたですか?」という旨の問い合わせが来ました。

 

私にはもちろん心当たりはありません。

 

DMの発信元をたどれば私ではないと一目瞭然でわかるのに、その担当者に送信者を確認したか聞き返したところ、アドレスすら確認せず、私に聞いてきたというのです。

 

 

 

悲しいかな個人事業主は、法務局に登記されている法人(株式会社など)と比べると信用力に乏しいのは事実なのです。

 

仕事を完了させてはじめて得られるのが信用ですが、DMの件を問いただしてきた担当者とは1年以上、一緒にお仕事をしてきた仲でした。

 

前々から思うところがあり、この件を機にこちらから取引をやめましたが、本当に個人で信用を得るのは至難の業です。

 

 

 

 

依頼がないと食べていけない

 

コンサルティングファーム、企業勤務であれば、たとえ今手元に案件がなくても雇用関係にある以上、基本給が毎月振り込まれます。

 

しかしフリーランスは動き、しかも成果を出した部分だけしか報酬と化しません。

 

つまり案件を抱えないと何もできず、お金も入らず、食べていけないということです。

 

やみくもに営業をかけても徒労に終わることも多く、下手に動くこともできないのが実情です。

 

 

 

私が考察したデメリットは「信用力に乏しい」「依頼がないと食べていけない」の2点ですが、それらを払拭してくれるのがマッチングサービスでしょう。

 

マッチングサービス業者(法人)がフリーコンサルタントの経歴などを見て案件を割り振るため、クライアントは安心して発注でき、フリーコンサルタントは営業なしで受注できる、それがマッチングサービスのいいところです。

 

おすすめサービス

 

 

最後に

 

働き方改革で推進されている多様な働き方、コロナウイルスの影響でいきなり私たちの目の前に出現した『新生活様式』。

 

特にコンサルティングファーム、企業に在籍しコンサルタントとして力をつけてきた方、他人が持たない強みを身につけ、その知識、技術を活かしたいと思うようになった方のなかには

 

・在宅で

・独立独歩で

 

仕事ができるフリーランスとして独立しようと考えている方も少なくないはずです。

 

最近はそんなフリーコンサルタント向けのマッチングサービスなどが充実してきています。

 

マッチングサービスを有効活用できそうならフリーコンサルタントとしての独立は、アリと思います。

 

 

 

<参考・参照サイト>

[1]日経業界地図 2020年版」(日本経済新聞社 (編集)、日本経済新聞出版、(2019/8/22) )

[2]「ファーム」とは?野球から農業・ビジネス用語まで意味を解説」(TRANS.biz、2019年8月29日)

[3]フリーコンサル案件(戦略/PMO/SAP等)をご紹介|コンサルポータル」(コンサルポータル、2020年9月1日参照)

 

 

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この記事を書いたのは

石盛 丈博
石盛 丈博ライター
本業ライター。2014年12月、Lancers登録を機に業務開始。主にビジネスやライフスタイル関連の記事を執筆。必要に応じて取材・撮影もこなす。