ワーケーションとは、仕事を意味する「ワーク」と休暇を意味する「バケーション」を合わせた言葉で、リゾート地などでリフレッシュしつつリモートワークを行う働き方のことを指します。
2000年代からアメリカを中心に広がり、日本では2017年に大手航空会社のJALが本格導入したことで話題となりました。[1]
ワークライフバランスの質の向上に期待できると注目されているワーケーション。
フリーランスにはどんなメリットがあるのでしょうか。
目次
ワーケーションとは
ワーケーションとは、具体的な勤務時間や勤務場所などが定義づけられているものではありません。
個人個人の選択によって幅広い可能性が広がるその柔軟性こそが、ワーケーションの大きな特徴です。
JTB総合研究所によると、ワーケーションを「個人が主体的に選択する、日常的な仕事(ワーク)に、非日常的な休暇(バケーション)の感覚を埋め込んだ柔軟な働き方」と説明しています。[2]
通常の勤務地以外で働くという意味では、ワーケーションとリモートワークは近い意味合いを持ちます。
しかし、ワーケーションの場合は、あくまでも休暇をメインとして考え、休暇として過ごす時間の一部を仕事にあてるという感覚が必要になります。
地域事例から見るワーケーションのイメージ
ワーケーションの先進地と言われる和歌山県白浜町では、自治体による企業誘致をきっかけにさまざまな企業のサテライトオフィスが開設され、誘致企業の社員を対象としたワーケーションが行われるようになりました。[3]
リゾート地としての長い歴史を持つ長野県は、情報発信のためのオンラインプラットフォーム「信州リゾートテレワーク」を開設。
自然豊かな地域の魅力や拠点となる施設を紹介し、モデルプランの提案も行っています。
富士見町の「富士見 森のオフィス」や白馬村の「Hakuba Share」、佐久市の「コワーキングスペースiitoco!!」、「茅野市のワークラボ八ヶ岳」など、個人事業主がドロップイン利用できる施設もあります。
「富士見 森のオフィス」や「Hakuba Share」では、ゲストハウスも併設されています。
さらに、「富士見 森のオフィス」では、オフィス利用会員と地域企業などをつなぎ、地域課題に取り組む「八ヶ岳クリエイティブコネクション」という取り組みがあり、これにより、都心に住みながら地域プロジェクトに参加することが可能になります。
また、「Hakuna Share」では利用者を対象にした観光案内のサービスもあり、気軽にワーケーションを実現できる仕組みが整っています。
スマート農業や地域産業の視察を軸に、さまざまな市町村をつなぐ巡回型のワーケーションを提案しているのが北海道型ワーケーションです。
訪れる地域ごとに、ワイナリー巡りや原生林ウォーク、そばの手打ち体験など、特色のあるアクティビティを体験できるので、休暇としても充実した時間が過ごせるのが特長です。
このようにワーケーションと言ってもその形はさまざまです。
ビーチや森林浴など、1つの地域を満喫しながら落ち着いて仕事に取り組むかたちもありますし、旅を通してその土地ならではの体験を重ねながらアクティブに働くという方法もあります。
ワーケーションのメリット
リフレッシュでき、仕事の効率が上がる
和歌山県白浜町にサテライトオフィスを開設したセールスフォース・ドットコム社によると、「東京でオフィスを構えていた時に比べ商談件数が11%、契約金額が63%増えた」という効果が実証されています。[4]
担当者は、社員の生産性向上の理由として、「通勤時間が減り、オンとオフの切り替えがしやすい」などの点を挙げています。
新しい環境でアイデアが湧く
長野県信濃町の信濃町ノマドワークセンターを運営するNature Serviceによると、「仕事の合間に自然アクティビティを行うと、自律神経が整えられ、睡眠の質が高まり、思考がポジティブで良いアイデアが生まれるなどの効果が期待できる」とのこと。[5]
さらに、ワーケーション先で出会った人とのつながりから新たなネットワークが生まれたり、ワーケーション先でのユニークな体験からアイデアのヒントを得たりといった可能性も考えられるでしょう。
二拠点生活や移住などのハードルが下がる
将来的に二拠点生活や移住をしたいと考えるフリーランスにとっては、ワーケーションは予行練習になります。
ちょっとしたお試し移住としてワーケーションを行い、現地での生活を実際に体験すれば、本格的な移住へのハードルも低くなります。
残念なワーケーションにならないために
ワーケーションとして旅先を訪れたものの、仕事に追われて休暇を満喫できなければ意味がありません。
また反対に、魅力的なアクティビティにばかり気を取られてしまうと、仕事になりません。
自分でオンとオフの切り替えをしっかり行い、このような残念なワーケーションに陥らないよう対策する必要があります。
ワーケーション中に仕事に追われないためには、事前に仕事量を調節し、ワーケーション中は普段より少ない勤務時間でも対応できるよう準備しておくことが大切でしょう。
また、取引先などにもワーケーション期間について事前に周知徹底し、通常より電話やメール対応が遅くなる可能性にも触れておくと安心です。
また、休暇中に体験したいアクティビティなどの予約を事前に入れておき、「この時間は休暇として楽しむ」というオフの時間をあらかじめ設定しておくことも効果的でしょう。
ワーケーション中に仕事をおろそかにしないためには、休暇中に達成したい仕事上の目標や、日々の予定をあらかじめプランしておくことで対策できるでしょう。
また、コワーキングスペースなどの場所を調べておき、旅先でも落ち着いて仕事できる環境を整えておくことも大切です。
私が目指すワーケーションのイメージ
私はフリーランスとして2年前に開業してから、夏休みやゴールデンウィーク期間中に1週間程度の休暇を取ったことがあります。
しかし、未就学児2人を連れての休暇だったため、その期間中仕事をするということは考えられませんでした。
我が家の長男は、今年の4月から小学生になりました。
小学生になると、長期休暇中に宿題があるため、子供なりに机に向かう時間が必要になります。
そこで、近い将来、小学校の夏休みや冬休みを利用して、家族でワーケーションに挑戦したいと考えています。
親子で新しい場所を探索し、ユニークな経験をしながら、落ち着いて勉強や仕事に取り組む時間も確保するのが理想です。
子供が少し大きくなったら、子供だけで参加できるサマープログラムを利用し、親は集中して仕事をするということも可能かもしれません。
<参考・参照サイト>
[1] 「JALは、テレワークを推進し、働き方改革を進めます」(日本航空株式会社、2017年07月12日)
[2] 「拡大するワーケーションの可能性と課題」(JTB総合研究所、2019年11月12日)
[3] 「わかやま×ICT 和歌山県にサテライトオフィスに設置しませんか」(和歌山県庁 商工観光労働部 企業政策局 企業立地課)
[4]「ワーケーション誘致における自治体の課題と取組【自治体事例の教科書】」(自治体通信ONLINE、2019年8月6日)
[5] 「「信濃町」 信州リゾートテレワーク 2019」(YouTube)
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