「フリーランス翻訳家」になるには、特別な資格などは必要ありません。しかし、決まった進路がないだけにどんな方法でキャリアをスタートさせ、継続すれば良いのか迷うところです。翻訳家として仕事を受注する自信はあるけれど、経験ゼロの自分が仕事をもらえるのか……と不安になる人も多いことでしょう。
この記事では未経験から始める、フリーランス翻訳家としてのキャリアの積み上げ方を、3ステップに分けてご紹介します。
目次
ステップ1:翻訳の専門分野を見つける(あれもこれも手を伸ばさず、得意分野を伸ばすようにする)
特に駆け出しのころは、仕事がもらえるならばと多岐にわたる分野で仕事を受注してしまいがち。しかしこの方法ではフリーランス翻訳家として長くキャリアを積んでいきたい場合、後々不利な状況に陥りやすくなります。
専門分野を設定しないと分野ごとの自信が育ちにくいほか、相場などの仕事状況も分からないため、割りに合わない条件(時間・金額)で仕事を受けてしまいます。そのうち翻訳家としての個性・価値が打ち出されないまま、経験のみ増えていくということになりがちです。
「仕事の質&単価アップ」が可能になり、クライアントの信頼を得られる
専門分野を選びスキルを磨くようにすると、「仕事の質&単価アップ」が可能になり、安価な報酬の案件で利用されることなく自分で仕事を選びやすくなります。その結果、フリーランス翻訳家としてのオリジナリティが育ち、クライアントから「この分野なら〇〇さんに頼めば大丈夫」という信頼を得られるのです。
また、その都度異なる案件を複数のクライアントから受けていると、一貫性がなく仕事の質・量ともに安定しません。専門分野を絞って信頼関係を築けるクライアントを見つけ、長く付き合っていけるように仕事環境を整えましょう。
もちろん個人によって合う状況・数は異なりますが、一つの目安として専門分野・クライアント共に2~3つの数を保つことをおすすめします。この数であれば、仕事以外でも事務処理などに追われるフリーランス翻訳家として、バランスの良いワーキングスタイルをキープできます。
ステップ2:国内・海外のフリーランス翻訳家向けの仕事受注サイト(複数)に登録
フリーランス翻訳家として始動したばかりのころは、いきなり翻訳会社に直接仕事を打診するのは気が引けるかもしれません。そこで役立ってくれるのが、国内・海外のフリーランス向けの仕事受注ウェブサイト(クラウドソーシングサイト)です。
まずは日本国内のサイトを1つか2つ選び、会員登録を行います。翻訳経験がある場合だけでなく未経験でも挑戦できる案件も記載されています。毎日どんな案件があるのか確認を怠らず、応募できそうな案件を見つけたら挑戦してみましょう。
応募する前に可能な限り自分のアカウントのプロフィールを充実させておくことも大切です。
日本国内でおすすめのクラウドソーシングサイト
クラウドワークス
日本最大級のクラウドソーシングウェブサイト「クラウドワークス」では、翻訳のほかライティングやホームページ制作・Webデザイン、システム開発など様々な種類の仕事を受注できます。
翻訳の仕事は単発の案件が多いようですが、経験を積むと実績としてプロフィールに反映されるため、後々その分受注の確率が高くなります。最初は他の分野の仕事も受け持って総合的に受注数と評価を高め、本命の(翻訳案件)クライアントの目を引くというのも、受注数を増やす方法のひとつです。
翻訳者ディレクトリ
「翻訳者ディレクトリ」は翻訳業務に特化したウェブサイトで、ページ内の「翻訳者募集情報」のところに現在募集中の案件の一覧が乗っています。サイト内の応募フォームを使用するほか、クライアントに直接メールで連絡を取り交渉を行う場合もあります。
在宅または派遣・オンサイトなど働き方が選べるほか、通訳の募集も記載されているので、自分の能力やライフスタイルに合う案件に応募してみましょう。
海外でおすすめのクラウドソーシングサイト
国内のサイトで受注・仕事を行うのに慣れてきたら、海外の翻訳者募集サイトに会員登録し、海外のクライアントとの働き方のコツを掴んでいきます。
EasyTranslate
「EasyTranslate」はデンマークに本部のある翻訳会社。翻訳のほかにも通訳・トランスクライビング(音声書き起こし)・字幕製作など、様々な種類の仕事の機会があります。
まずはウェブサイトの “Join Our Network”の欄をクリックし、自身のアカウントを作成しましょう。その後翻訳者としてのアカウントが事務局に認証されると仕事の受注ができるようになりますが、受注方法は先に紹介した日本のサイトとは異なります。
アカウント登録ならびに認証を経ると、自身の言語や専門分野に合った案件が発生した場合、その紹介がメールで届きます。早く反応・返答すればその分受注の可能性が高まるので、メールでお知らせを受け取ったら即サイトにログインし、仕事の詳細を確認して引き受けるか否か決定しましょう。
Tomedes
アメリカに本部を置く「Tomedes」も、EasyTranslateと同じく登録後は案件情報がメールで届くのを待ちます。翻訳者登録はウェブサイトトップページの “Translate now”から行います。
その後も同様に素早く反応・返答を行いますが、Tomedesでは同時に翻訳料金の提案をしなければなりません。他の翻訳者が提案している金額も表示されるので、自分の提案したい金額と照らし合わせて料金を決め応募します。
かなり低い見積もりが提案されていることもありますが、字数に比べて極端に報酬が低くなるということのないよう、しっかり検討してから自分の提案金額を提示するようにしましょう。
ステップ3:受注サイトを通さず、個別に翻訳家を募集している会社・クライアントを見つける
クラウドソーシングサイトなどで1から経験を積み、そろそろ継続的に仕事を受注したいという気持ちが湧いてきたら、フリーランス翻訳家を募集している国内外の翻訳会社のウェブサイトを覗いてみましょう。
翻訳経験3年以上など基準を設けている会社が多いのが現状ですが、経験が少なくてもテストライティングの機会をもらえる場合があります。そこでしっかり能力を提示することができれば、仕事受注に繋がるので、経験がないことで最初から諦める必要はありません。
クラウドソーシングサイトで仕事を受注し始めたばかりで翻訳会社への応募はまだ先の話という人も、将来一歩進んだ活動をしたいと思った時のために、翻訳会社はどんな条件で募集をかけているのか参考までに時折チェックすると良いでしょう。
まとめ:自分の興味のある専門分野を見つけ、唯一無二のフリーランス翻訳家としてキャリアを築こう!
駆け出しのフリーランス翻訳家としてキャリアを切り開いていくための方法・アイデアをお伝えしてきました。
翻訳家の仕事はただ言語を翻訳するだけでなく、まず内容の背景を含めて原文を深く理解し、翻訳後は読みやすく自然な流れの文章に整える作業が求められます。そのため、本文でお伝えしたように他分野へむやみに手を伸ばさず、自分の興味のある分野・得意な分野(文化背景等が理解できる)を厳選して着実にキャリアを積んでいくよう心がけるのが賢明です。
本記事で紹介した他にも、フリーランス翻訳家としてチャンスを掴める翻訳者募集サイト・クラウドソーシングサイトが多数存在します。それぞれ働き方のシステムに特徴があり、人によって合うスタイルが異なるので、こちらも自分に合ったものを見つけるようにしましょう。
「唯一無二」のフリーランス翻訳家を目指し、まずは初めの一歩を踏み出してみませんか。
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