「副業」でも個人事業主として登録すれば助成金を受けることができます


「副業」でも個人事業主として登録すれば助成金を受けることができます

日本型の雇用形態は、終身雇用制・年功序列制・退職金制が定番でした。

 

しかし、1990年代のバブル好景気の崩壊や2008年のリーマンショック事件以降、欧米型の雇用形態に移行する企業が出始めました。

 

期間契約・年間契約・年棒制度など雇用契約を数年に1回または年に1回見直し、契約する雇用形態に遷移しています。

 

これにより、企業・団体・組織に入社すれば定年(60歳~65歳)まで、安定してサラリーマンを継続できるとは言えなくなりました。

 

そこで政府は「副業」「兼業」を容認する政策を打ち出しました。さらに「働き方改革法」も成立し、2019年4月の施行向けて「副業」「兼業」の扱いが深く浸透していくことが予想されます。

 

今回は、「副業」「兼業」したときに国や地方自治体が助成してくれるお金、公的機関からの助成金制度について説明していきます。

 

 

副業とは何か?

 

「副業」とは収入を得るために本業以外で行う仕事を示します。「副業」は「サイドビジネス」「ダブルワーク」とも呼びます。

 

「副業」は働き方で収入の形態が異なります。

 

本業が終わった後や、本業が休日のときに時間給労働をするアルバイト・パートタイマー・日雇い労働派遣・内職などは、給与収入の「副業」に該当します。

 

他にも、友人や実家・親戚などが経営する営業店舗で手伝いをして対価を得たときや、地域イベントの運営などに参加し、スタッフとして報酬を得たときも、給与収入になります。

 

 

最近は、インターネットを利用した在宅ビジネスの「副業」も行われています。

 

SNSでブログを執筆して広告収入を得るという働き方で、この場合は事業収入または雑収入となります。また、雑誌投稿記事や本の執筆による印税で収入を得るときも、雑収入となります。

 

注意すべき点として、「副業」で得た収入が年間20万円を超えるときは、確定申告が必要になります。

 

 

 

日本国内では、労働者が勤務時間以外の空いた時間帯に行う「副業」に関して禁止されていません。日本国憲法第22条「職業選択の自由」により、「副業」は合法です。

 

しかし、国家公務員・地方公務員は国家公務員法・地方公務員法で「副業」を原則として禁止されています。災害や他国の侵略などの不測事態が生じたとき、公務員は総動員で対処する必要があるからです。内閣官房・自衛官・警察官・消防士・海上保安官が「副業があるので出動できません」では済みません。

 

民間企業・団体・組織の従業員は内規によって「副業」を制限されています。内規(就業規則・社内規定)で「副業」を禁止している企業が多い状況です。

 

しかし、現在、2019年4月に施行される「働き方改革法」に備えて、従業員の「副業」を容認する企業が出始めています。

 

 

 

 

副業をしている人が受けられる助成金はある?

 

国・地方自治体は、個人事業主・新規事業起業者に多くの助成金制度を設けています。「副業」に特化した制度ではなく、副業者が個人事業主として登録・新規事業を起業した場合に支援・応援する制度です。

 

 

 

最初に助成金と補助金の違いを説明します。

 

助成金は主に厚生労働省が所管している支援給付金です。厚生労働省が所管している支援給付金は条件を満たせば支援給付されます。「副業」の業務範囲拡大・従業員の雇用・従業員の処遇改善などに活用できる支援給付金です。

 

補助金は国・地方自治体が、企業・民間団体・組織・個人・個人事業主が行う事業運営を支援するための給付金制度です。運営する事業への設備投資・自社HP作成費用・広告・プロモーション費用・新規商品開発のための研究開発費など、運営事業を活性化するための補助金が給付されます。

 

助成金・補助金は貸付ではなく、返済不要の支援給付金です。

 

 

 

「副業」をしている人が個人事業主として登録・新規事業を起業するときに活用できる助成金・補助金制度が4つあります。

 

第1に「創業補助金」です。新たに起業して従業員を雇う予定の方にお勧めの補助金制度です。支援給付額は50万円~200万円です。補助割合は経費の最大1/2です。

 

第2に「小規模事業者持続化補助金」です。支援給付額の上限は50万円で、補助割合は経費の最大2/3です。地域の商工会が中心となって、各市町村で説明会を開催しています。商工会の担当者に販路拡大などを相談しながら経営計画を作って申し込むことになるため、個人事業主・新規事業起業の方にお勧めです。

 

第3に「トライアル雇用奨励金」です。個人事業主・新規事業起業の方で、新規に従業員を雇う予定の方にお勧めです。1人当たり月額最大4万円の奨励金が最大3ヶ月間支給されます。利用申し込み先は全国のハローワークですので、担当者に相談してみましょう。

 

第4に「キャリア形成促進助成金」です。個人事業主・新規事業起業の方が、従業員を雇入し、キャリアアップを目指すときにお勧めです。地域の労働局で担当者に相談してみましょう。

 

上記の説明で「助成金」「補助金」「奨励金」がありますが、どれも返済不要の支援給付金です。

 

 

 

ここまで説明してきましたが、起業を前提とした助成金です。給与所得・雑所得に該当する「副業」には適用されません。「事業所得」に該当する「副業」の方に適用されます。

 

本業の仕事に従事しながら、起業した事業を運営することが可能であれば「兼業」してみてください。

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副業を認める事業所に助成金は支給される?

 

大手企業・ベンチャー企業が「副業」を容認する理由は、「優秀な人材(=人財)を確保する」ためです。

 

国家公務員・地方公務員は法律で「副業」が原則禁止になっていますが、民間企業・団体・組織は企業の内規で「副業」を禁止しています。会社の内規なので法律的な根拠はなく、社内の取り決め事項です。

 

しかし、「副業」を容認する大手企業が出始めています。ロート製薬・日産自動車・富士通・花王・ソフトバンクは「副業」を容認しています。

 

上記の東証一部上場企業の社員は、企業の内規という高く厚い壁で「副業」を禁止すると、自由度が高い企業にハンティングされる危険性があります。

 

企業が「副業」を禁止することは、大切な人材(=人財)を失い、大きな損失につながります。そのため企業は、リスク回避を目的に、「副業」を容認する方に移行しています。

 

 

 

また、法律の改正による理由もあります。

 

「働き方改革法」が2019年4月に施行されるため、企業には長時間労働の抑制・有給休暇取得制度の強化・同一労働同一賃金制度など、人材活用方法の修正が求められます。

 

そのため、働く側の従業員には「副業」「起業」のチャンスがあり、さらに助成金が支給されることもあります。ですが、企業側は「副業」を容認しても「助成金交付」対象ではありません。

 

さらに、長時間労働の抑制・有給休暇取得制度の強化・同一労働同一賃金制度を遵守しないと企業名公表の罰則があるため、対応を余儀なくされます。

 

 

 

しかし、「働き方改革法」で不足した労働力を補うために、新規に従業員を雇用するときは、助成金が支給されます。

 

事業主へ給付される主な助成金は次の通りです。(下記の4パターンの労働者を採用するだけで給付される助成金です。前提条件としてハローワークを経由しないと給付対象になりません。)

 

 

①年齢が60歳以上の方を雇用した場合

特定求職者雇用開発助成金として60万円が助成されます。また、年齢が65歳以上の方の雇用になると、高齢者雇用開発特別奨励金として、70万円が助成されます。

 

②母子家庭の母親の方を雇用した場合

特定求職者雇用開発助成金として、60万円が助成されます。

 

③身体・精神・知的障害者を雇用した場合

特定求職者雇用開発助成金として、障害の程度に基づき、120万円~240万円が助成されます。

 

➃業界未経験者の方を雇用した場合

トライアル雇用助成金として、12万円が助成されます。

 

 

働き方改革法」の施行に伴い、労働力人口の減少を補うための雇用助成金として、上記した助成金の活用が期待されています。

 

 

 

 

副業の助成金まとめ

 

「副業」を開始する中で、給与所得や雑所得に該当する仕事に対する助成金はありません。「副業」を行った就労の対価やアフィリエイト・印税などにより、収入を得た方は対象外です。

 

「副業」から個人事業主として事業を開始、起業を予定している方を対象にした助成金・補助金制度があります。

「副業」から起業を予定している方は積極的に活用しましょう。

 

 

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この記事を書いたのは

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Cool Workers運営部ライター
フリーランスや副業などの“自由なはたらき方”、税金、働き方改革に関する情報を発信しています。Cool Workers運営部は、様々な働き方をしているメンバーで記事を作っています。