2017/12/22
税務調査は他人事じゃない!?押さえておきたい基礎知識と対応法
「税務調査」と聞いても、フリーランスまたは業務委託として働く副業者として自分で事業を行っている方の中には、自分には関係がないと感じている方も多いのではないでしょうか。しかし、申告納税をしている人は誰でも税務調査をされる可能性があります。
フリーランス・副業者であっても、いざ税務調査が入ったときに備えて日頃から心構えや準備をしておくと安心ですね。今回は、フリーランスおよび副業者が知っておくべき税務調査についての基礎知識についてまとめました。
目次
税務調査の基礎知識
そもそも税務調査って何?
税務調査は、法律によって行われるものです。国税庁のパンフレットによると、税務調査について次のようにまとめられています。
税務調査は、申告内容が正しいかどうかを帳簿などで確認し、申告内容に誤りが認められた場合や、申告する義務がありながら申告していなかったことが判明した場合には、是正を求めるものです。
つまり、きちんと正しい申告をして帳簿も整備されているのであれば、税務調査が入っても心配する必要はありません。
フリーランス・副業者で年収が少なくても税務調査が来るの?
税務調査について、年収が少ない人のところには来ないはずだから自分とは関係ないと思っている方も多いと思います。よく言われるのが、年収1,000万円以下だと税務調査は来ないという話です。確かに、税務当局としても追徴できる税金が少なければ、税務調査を行っても時間と費用がかかるだけですので、大きな金額の取引をしているような企業などを調査対象とすることが多いかもしれません。
しかし、取引先で税務調査があり、芋づる式に税務調査が入ることはよくあります。また、毎年の申告に不備があり、税務署からの問い合わせや修正依頼を無視し続けると、年収が少なくても税務調査の対象としてピックアップされます。年収自体は少なくても売上金額が大きければ、消費税の計上漏れや経費の過大計上が考えられますので、税務調査が入る可能性は高くなります。また、不動産や高価な車を購入したにもかかわらず納税額や売上が少ないと、売上に計上漏れがあるのではないか、どこから収入を得ているのかを調べるために税務調査に入られることがあります。
個人事業主がどのくらいの割合で税務調査を受けるのかの実態は正確にはわかりませんが、会計事務所で個人事業主に税務調査が入る割合は、年間でおよそ10人に1人程度です。法人になると3年から5年の間に1度くらいの割合で税務調査が入ります。管轄税務署の忙しさによって税務調査が入る頻度が変わるときもあります。たとえば不況で利益の出ている個人事業主や法人が少なく、その管轄税務署に個人事業主や法人が少ない場合には、税務調査が入る可能性が大きくなると言えます。反対に、好況で利益の出ている個人事業主や法人が多く、管轄税務署に個人事業主や法人が多い場合には、大きな利益の出ている個人事業主や法人の調査が優先されるので、税務調査が入る可能性は少ないと言えるでしょう。
税務調査はどのようにして来るの?
税務調査は事前通知があるのが原則
税務調査があるときには、事前に税務署から通知が来ることが原則です。事前通知がない場合には、従業員や取引先からのタレコミがある場合、脱税の現場を押さえたい場合などです。この場合には落ち着いて、日を改めてもらうように交渉してみることもできます。
通知があった場合で日程の都合が悪いときには、話し合いで日程調整をすることができます。このときに、税務調査に何日かかるのか、調査官として誰が来るのか、人数や担当者を教えてもらうこともできます。税務調査の予定日数と担当調査官から、自分の税務調査が税務署からみて、問題が発覚する可能性が高いと思われているかどうかがわかります。大きな金額の申告漏れの可能性が高いと思われている場合には、ベテランを含めた調査官が複数で調査に来ることが多いのです。
税務調査当日までの準備
税務調査の連絡を受けたときに、税務署から用意しておいてほしい帳簿類を伝えられるので、その内容をメモして準備しておくようにします。通常は、過去3~5年分の帳簿と証拠資料です。具体的には、現金出納帳、伝票、仕訳帳、総勘定元帳、領収証、請求書、売上管理表などです。特に現金出納帳と総勘定元帳は、事前通知がない税務調査の場合で日を改めて調査を行う場合にも、その場で確認されることが多い帳簿です。税務調査のある無しにかかわらず整備しておくようにしましょう。
現金出納帳は毎日つけるようにしておこう
日々行わないといけない帳簿管理ですが、少ない人であれば年1回の確定申告時にまとめて行い、きちんと帳簿管理をしている人でも1か月に1回、週に1回まとめて行う人が多く、毎日帳簿管理をしている人は少ないのではないでしょうか。
しかし、まず税務調査では現金をきちんと管理しているかどうかを調べられます。現金管理がきちんとされていないと、不正を行っている可能性が高くなるからです。現金だけは、毎日きちんと現金出納帳をつけて現金残高を合わせておく必要があります。税務調査が入った場合には、税務調査の行われる前日までの記録があることが望ましいです。
税務調査で追加の税金を支払わなければならない場合
期限内に行った申告に対する修正
期限内に行った申告に修正がある場合には、過少申告加算税として50万円までは5%、50万円を超える部分は10%の税金がかかります。
※参考・参照サイト:国税庁「No.2026 確定申告を間違えたとき」
申告を行っていなかったとき
期限後申告や申告を行っていなかった場合には、無申告加算税として50万円までは15%、50万円を超える部分に対しては20%の税金がかかります。
※参考・参照サイト:国税庁「No.2024 確定申告を忘れたとき」
税金の納付をしていなかったとき
決まった期日までに税金の納付をしていない場合には、延滞税がかかります。延滞税の計算については、国税庁のホームページ「延滞税の計算方法」で計算をすることができます。
脱税した場合
節税のつもりでプライベートな交際費を経費としてしまっていた場合や、売上をわざと少なく計上していた場合には、節税ではなく脱税となります。税務調査で見つかった場合には、ペナルティを支払わなければならず、重加算税として35%から40%の税金がかかります。
※参考・参照サイト:財務省「加算税の概要」
税務調査に備えるために
フリーランスや、業務委託として働く副業者の中には、収入も少なく取引も少ないために、会計ソフトを使って自分で入力して確定申告を行っている方も多いと思います。きちんと会計管理ができていて確定申告を行っているのであれば、税務調査が入ったとしても問題はありません。ただし会計の専門知識がない場合には、税務署や商工会議所で行われる確定申告のセミナーに出席するなどして、正しい知識で確定申告を行うようにしましょう。
売上や取引が多くなってきた場合には、自分で帳簿管理や確定申告までするのは大変になってきますし、会計処理も複雑になってきますので、税理士に依頼する方が安心です。顧問税理士と契約をすると、いざ税務調査が入ったときにも税務署と交渉をしてくれます。
税務調査では、厳しく売上や交際費などについて調査されます。税務署から何か聞かれた際に、顧問税理士がついていれば、税法や判例をもとにして正しく答えてくれます。また、顧問税理士がついていることで心理的にも安心感が得られるので、帳簿管理・確定申告・税務調査は顧問税理士におまかせして、本業に集中することもできますね。
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