Webライターにとって比較的高額な報酬を見込める取材案件。
取材対象者から面白い話が聞けたり、素晴らしい場所に出会うことができたりと、取材ならではの醍醐味もあり、やりがいのある仕事といえます。
1つの記事にじっくり向き合いたいタイプのライターには美味しい仕事です。
一方で、取材対象について事前にしっかり勉強しなければいけなかったり、費用や時間がかかってしまったりと、ライターにとって負担が大きいことも事実です。
いくら面白い仕事だからといって、安請け合いするのはおすすめしません。
せっかく手間暇かけて取材に行くのであれば、できるだけ効率よく稼ぎたいと考えるのは自然なことですよね。
私は、グルメレポート記事で取材デビューして以来、取材が楽しくなり、気づけば毎月1度は必ずどこかに取材に出かけています。
そんな私が、これまでの取材経験を踏まえ、「効率の良い取材術」についてご紹介します。
取材の終了時間をあらかじめ設定し、相手に伝えておく
人物インタビューの場合、取材対象者の性格によって、取材時間が大幅に変動します。
話好きな人や、取材に慣れていない人の場合、なかなか話がまとまらず、取材時間が長くなることもあります。
私も、2時間程度の取材で切り上げ、その日のうちに原稿をまとめようと思っていたのに、取材だけで半日が過ぎ、帰宅後はどっと疲れが押し寄せて、そのまま寝てしまったという経験があります……。
人から話を聞き出すという作業は想像以上に労力が必要なものなので、取材は要点を絞って出来るだけ手短に終わらせたいものですよね。
そのためには、取材の終了時間をあらかじめ設定し、取材相手に伝えておくことをおすすめします。
もちろん取材が良い方向に膨らみ、想像以上の話を聞き出せた場合は、自分で設定した取材終了時間に縛られることなく、可能な限り延長するのもアリです。
大切なのは、必要のない話に無駄な時間を割かないことです。
取材の下準備に秘策あり!想定問答で取材の効率がぐんとアップ
ライター側の都合だけでなく、取材対象者の都合で取材時間が少ししか用意されていない場合もあります。
短い時間に内容の濃い話を聞き出すためには、下準備も必要です。
「さあ、あなたについてお聞かせください。」と丸投げしても、取材対象者は何からどう話せばよいのか困ってしまうでしょう。
また、予備知識なしに取材を行うと、基本情報を聞き出すだけでタイムオーバーになってしまうこともあります。
せっかく互いに貴重な時間を割くのであれば、今までどこにも書かれたことのない特別な情報を聞き出したいものですよね。
そこで私が実践しているのがしっかりと下調べを行った上で「話の筋道を立てておく」という方法です。
取材対象者の経歴や過去のインタビュー記事などを読み込み、あらかじめ取材の回答を想定し、記事になった場合の話の流れを仮組みしておくのです。
そうすることで、質問事項に優先順位をつけ、取材全体に一貫性を持たせることができます。
もちろん、ライター側が想像している想定問答通りに話が進まなくても、それはそれで良いのです。
「この質問にはこう来たか!」という驚きが、また新たな切り口となって、話が膨らむこともあるからです。
想定問答を用意しておくと、取材後に記事を書く時間も短縮できます。
構成がほぼ出来上がった状態で執筆に取りかかることができるので、スピーディーに書き上げることができます。
取材の記憶が新しいうちに原稿を仕上げる
素早く書き上げるという点では、取材後どれだけ早く執筆に取りかかれるかという点も大きなポイントです。
取材内容を録音していたとしても、その場の雰囲気や相手の表情、ちょっとしたニュアンスなどは時間とともに記憶から薄れていくものです。
また、取材しながら、ライターである自分がどう感じ、どう納得したかということも、意外と簡単に忘れてしまいます。
相手の言葉や自分の気持ちを出来るだけ正確に執筆するためには、取材の記憶が新しいうちに、勢いよく原稿に落とし込んでいく作業を行うことが大切です。
しかし、取材後、どうしてもまとまった時間を捻出できない場合もありますよね。
そういう時、私の場合は、ノートに要点を書きとめておく、キーワードをメモしておく、または冒頭文だけでも書き上げてみるという方法で対策しています。
取材の熱が冷めやらぬうちに、何か少しでも形にしておけば、その後しばらくしてからでも取材当時の記憶を取り戻すことが容易になります。
1つの取材で2つ以上の記事を書く
ここまでは、取材の効率化について触れてきましたが、次に紹介するのは取材費の節約術です。
著名人への取材や、大きなイベントでの取材などの場合、たくさんのメディアが興味を持つことが想定されます。
1回の取材が複数のメディアでの仕事につながれば、結果的にその取材にかかるコストを削減することが可能になります。
多数のメディアから、同時に「ここに取材に行ってください」とオファーを受けるという偶然は想定しにくいので、自分から営業をかける必要があります。
私は以前、とある有名な料理研究家を取材したことがあります。
取材を申し込んだ当初は、育児系のメディアで食育をテーマにした記事を執筆する予定でした。
しかし、その料理研究家について調べていくうちに、その方のレシピ本の中にイチゴを使った珍しいレシピがあるのを発見しました。
私はイチゴに関する情報サイトでも連載していたので、そちらのメディアでも記事がかけるか打診したところ、メディア運営者が快諾。
結果、1回の取材で2つの記事を執筆できることになりました。
このように、1回の取材で何件もの仕事を受ける場合、注意しなければいけない点もあります。
まずは取材時の経費についてですが、基本的に自分自身で負担するようにします。複数のメディアでの仕事なのに、どこか1社だけに経費を請求するのでは筋が通りません。
もちろん、複数社に重複して請求するのもルール違反でしょう。
また、取材時に写真を撮影する場合、絶対に同じ写真を使いまわさないようにします。これは、メディア側の著作権の問題にもかかわることなので、細心の注意が必要です。
最後に
「百聞は一見に如かず」。
取材で得られる情報量は、本やインターネットで得られる知識とは比べものにならないほど膨大で貴重です。
最初は緊張したり戸惑ったりすることが多いかもしれませんが、取材経験を重ねると効率よく取材記事を執筆することができるようになります。
今回ご紹介したポイントに気をつけながら、ぜひあなたも取材ライターデビューしてみてはいかがでしょうか。
この記事を書いたのは
最新の投稿
- 2020年11月15日コラム憧れの田舎生活!?いいえ、我が家は「地方都市」への移住を選択しました
- 2020年9月16日さくせん「一日中一緒にいるのは大変じゃない?」過ごし方に気を付ければ、夫婦で在宅ワークも悪くない
- 2020年9月7日働き方改革「単価が低い」は過去の話!?今後在宅ママワーカー人口はますます増えるだろう
- 2020年8月12日さくせんウィズコロナの時代、取材も対面からオンラインスタイルへと変わっていくだろう