2020年、アパレル業界には大きな変化がおきました。
1902年創業の老舗企業「レナウン」が民事再生を申請し、ギャル文化の代名詞であった「セシルマクビー」が2021年2月までに全店舗閉鎖を発表しました。
このような状況下で、アパレル販売員のなかには、今後の安定性や将来性に不安を感じ、異業種への転職を考える人も多いのではないでしょうか。
この記事では、現在アパレル業界に従事しながら転職を検討している人に向けて、以下の2点について解説します。
・アパレル業界で培ってきた&転職先で役立つスキル
・アパレル業界の経験が活かせる業界・職種
アパレル業界で獲得したスキルは、アパレル業界でしか活かせないわけではありません。
実は、いままでのスキルが活かせる意外な業務があるのです。
転職して次のステップに踏み出そうとしている方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
アパレル業界で培ってきた&異業種でアピールできるスキル
アパレル業界で店舗スタッフなどが身につけているスキルとして、以下のものが挙げられます。
・ハツラツとした元気の良さ、明るさ
・顧客へのホスピタリティ
・協調性、コミュニケーション力
・情報整理してコーディネートする力
・顧客や上司への提案力
・短期長期の計画性とタスク管理
よく勘違いされるのは、転職時の職務経歴に記載できるのは客観的な達成指標や社内で表彰を受けた経歴だけだ、というものです。
例えば、「店舗売上〇〇%アップに貢献」「〇〇年ベストスタッフ賞」というものが挙げられます。
しかし、「数値達成のアピールは転職者が水増しして書くこともある」と人事は見抜いています。
また、そもそも数値目標の達成や業務改善のスキルは、転職先ですぐに発揮される類の能力ではありません。
新しい業務を覚え、ルーティーンワークが定着し、より俯瞰的に業務を捉えることができる段階、つまり、数ヶ月・数年かかってやっと活用できる能力です。
異業種への入社後にすぐに役立つスキルとは、個人の人間性や仕事への考え方にリンクしたものです。
つまり、無理に作り上げた実績に頼るのは無益です。
むしろ、アパレルで培った基本的な能力を自分のエピソードつきで話せるようにしておくと、転職面接で信憑性のあるアピールをすることができるでしょう。
ハツラツとした元気の良さ、明るさ
アパレル業界のスタッフは、ショップの洋服を着て「ブランドの顔」となって働きます。
どれだけ疲れ果てていても、お客様の前に立つときは気持ちよくショッピングしてもらえるように元気に明るくふるまえます。
例えば、「明るい接客を意識したため、自分に会いに来てくれる固定のお客様ができた」というようなアピールが効果的です。
顧客へのホスピタリティ
アパレル人材は、ホスピタリティのプロ!
お客さまの要望を満たすために容姿・表情から嗜好を分析し、常にアンテナを張り巡らせています。
同時に、お客様にプレッシャーを与えないような配慮も欠かせません。
お客さまをしっかりと分析しながらも、商品整理を装ったり程よい距離感を保ったりすることで、心地よい・通いやすい空間を演出しています。
転職時の面接では、「あなたがいるとつい買ってしまう!」とお客様に言ってもらえた経験などを話してみてはいかがでしょうか?
つい買ってしまうと言ってもらえるように、あなたが実践したお客さまへの配慮をあわせて話すことで、あなたのスキルをよりアピールできるはずです。
協調性、コミュニケーション力
アパレルの業務は、ひとりで完結できないことがほとんどです。
混雑時間のピークやスタッフ数を把握しながら、チームで協力して業務を進めます。
時には、チームワークを維持するために、スタッフに対して言いにくい内容を伝えなければいけないこともあるでしょう。
しかし、言いにくい内容だからこそ、仲間を信頼して適切な言葉を選択すれば、より良い店舗運営に繋げることができます。
このような形で、アパレル業界で仕事をする中で協調性やコミュニケーション能力が育成されているのです。
転職活動時には、例えば、「週に1回は全てのスタッフと会話することで、良好な関係を構築した」というエピソードを、協調性アピールの際に活用できるでしょう。
情報整理してコーディネートする力
衣服のトレンドは常に移り変わり、おしゃれの価値観は多様化が進んでいます。
世の中にたくさんあるアパレル情報を総合的にキャッチし、ブランドに反映するのがアパレルの仕事です。
また、複数の商品を組み合わせてお客様にコーディネートする機会も多くあり、色合いやデザインなどの統一感を考え、情報整理する能力が自然と身についています。
「毎朝アパレルニュースを読むことを習慣にしたり競合店調査を積極的に行ったりすることで、店舗ディスプレイやお客様へのコーディネートに活かした」というエピソードがあるのなら、情報のインプット及びアウトプット力のアピールに繋げることができるでしょう。
顧客や上司への提案力
コーディネートする力と合わせて、提案する力があることもアパレルスタッフの強みです。
接客時には、お客様の納得する説明を加えたり、アイテムの決断を後押したりするような言葉をかけます。
また、店舗業務においても、環境改善ためのアイディアを上司に提案することもあります。
目上の立場の人に対して考えやアイディアを表現する機会が多いことは、アパレル業界で働いていたことのアピールポイントになるでしょう。
例えば、「顧客へポイントの貯まる自社アプリサービス開始を提案し、自分ひとりでアプリの利用者を1日50人増加させた」という数値実績も絡めると、より説得力が増します。
短期長期の計画性とタスク管理
四季によって移り変わるアイテムの種類や数の整理、先を見据えた目標やタスク管理は、アパレルスタッフの力の見せどころです。
膨大な数のアイテムを振り分けたり、日々変化するタスクに優先順位をつけたりすることは、どんな仕事にも役立ちます。
「シーズンごとにスタッフのタスクを管理し、滞っているところはサポートして業務の効率化を図った」というエピソードを添えれば、あなたの計画性の高さや全体的なタスク管理能力をアピールに繋げることができるでしょう。
アパレル業界の経験が活かせる業界・職種
アパレル業界のスキルは、以下の分野で活かせます。
・販売・サービス職(店舗スタッフ、カスタマーサポートなど)
・営業職(広告・メディア営業、人材開発営業など)
・医療系専門職(クリニック受付、看護スタッフなど)
・IT技術職(ITエンジニア、プログラマーなど)
以下では、それぞれについて解説します。
2020年の転職求人倍率レポート[1] をもとに、「求人の多さ」「安定性」「将来性」という項目を付して分かりやすい形で紹介しますので、ぜひご参考ください。
販売・サービス職(店舗スタッフなど)
販売・サービス職は、アパレル業界のスキルがそのままの形で活かせる業種です。
もちろん、転職先の商材知識は0から勉強しなければいけませんが、あなたの中に蓄積された「売る技術」をそのまま活用できるというメリットがあります。
アパレル販売と感覚的に近い仕事が見つけやすいのが魅力です。
【求人の多さ】★★☆☆☆
【安定性】 ★★★☆☆
【将来性】 ★★☆☆☆
営業職(広告営業など)
営業職は、アパレルで培った提案力・コミュニケーション力を存分に発揮できます。
また、元気の良さや明るさなど、人としての魅力が問われる職種でもあります。
つまり、営業職は「自分を売ること」からはじまる仕事とも言えるので、商品を売るだけではない新たな楽しみが見つかるかもしれません。
【求人の多さ】★★☆☆☆
【安定性】 ★★★☆☆
【将来性】 ★★★☆☆
医療系専門職(看護スタッフなど)
日本の高齢化が進む中で、医療や看護の仕事は有意義な仕事、やりがいを感じられる仕事のひとつです。
患者さんの悩みに寄り添い癒すためには、高い献身性やホスピタリティが求められます。
持ち前の明るさで患者さんや職場スタッフを笑顔にし、タスク管理能力でテキパキと仕事をこなせば、周囲から喜ばれるでしょう。
【求人の多さ】★★★★☆
【安定性】 ★★★☆☆
【将来性】 ★★★☆☆
IT技術職(ITエンジニアなど)
IT技術職と聞くと、理系脳・数学的なセンスが必須ではないかと思うかもしれませんが、実は総合的な人間力が重視される業界です。
顧客やプロジェクトメンバーに対する献身性や、複数の製品から最適な組み合わせを模索するコーディネート力、お客様に対して説明する際の提案力など、スキルが網羅的に求められます。
もちろん、プロジェクトチームの雰囲気を明るくするような快活さや笑顔も欠かせません。
【求人の多さ】★★★★★
【安定性】 ★★★★☆
【将来性】 ★★★★★
最後に:業界・職種選びに迷っている方へ
以上で説明したように、アパレルで培ったスキルはどのような業界でも役に立つものです。
その中でも、これから転職するのであれば、ITエンジニアが特におすすめ。
スキルを存分に活かせるのはもちろんのこと、不況に強く、将来性も充分期待できる職業です。
IT未経験でも入社後に丁寧な教育をしてくれる企業や、実践レベルまで引き上げてくれるITスクールなど、ITエンジニアとして成長できる場所はたくさんあります。
「え?ITエンジニアにもなれるかもしれないの?」と気になった方は、まずスクールなどに問い合わせてみてはいかがでしょうか?
教育システムや業界情報などを丁寧に教えてくれるはずです。
転職は人生の大きな転機となるもの。
だからこそ、思い切った挑戦をしてみてはいかがでしょうか?
あなたの転職活動、そしてその後の人生が豊かになることを祈っています。
<参考・参照サイト>
[1] 「転職求人倍率レポート(2020年8月)」(転職ならdoda(デューダ)、2020年9月17日発表)
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