ここ1年ちょっとの間に、フリーランスで構成されるチームでプロジェクトに参加すること10回以上。
他のプロジェクトと同じメンバーもいれば、異なるメンバーもいたりと、多種多様な職種の方と一緒に業務を行ってきました。
チームでの仕事は個人で仕事をすることとは異なり、楽しいこともあれば、大変なことも。
そんな中で私が感じた、チームアップでの「ここをどうにかしてほしい」というポイントをご紹介します。
進捗に影響を及ぼす「報連相の漏れ」
どんな環境でも大切なのが、報連相です。
普段から一緒に働く仲間であれば、阿吽(あうん)の呼吸で相手の状況を読み取れることもあります。
ですが、普段は関わりがないメンバーで、しかもリモート結成されたチームでは、相手の顔さえ知らないこともあります。
そんなチームでは、常に互いが他のメンバーを意識して作業することがプロジェクト成功の大原則です。
細やかな報連相を面倒がる人もいますが、互いの状況を直に目で確認できないリモートワークではとても重要です。
いま「誰が」「どの作業を」「どこまで」進めているのか。
自身の進捗について、ディレクターだけがわかっていればいいという考えでは、関連業務を担当している他のメンバーの進捗に影響を与えることも少なくありません。
けれど、報告のタイミングは人によって違います。
その足並みが揃っていないときには、やりにくいと感じることさえあります。
・作業を始める際に報告する人
・作業途中で進捗報告する人
・作業が終わるまで何も報告しない人
このように報告のタイミングがバラバラですと、作業に入るタイミングを見計らったり、いちいち状況を確認してから着手せねばなりません。
フリーランスは、一人ひとりが複数の案件を同時並行的に進めていますから、状況によっては他の案件のスケジュール調整を要します。
報連相のタイミングを合わせると、全員が互いの状況を把握しやすくなります。
進捗スピードの速い人は、他の人の作業が終わるまで他の作業や案件を進められますし、作業スピードの遅い人がいれば、それを考慮した進捗計画の見直しを図ることができます。
ディレクターだけに任せるのではなく、全員がお互いの状況を把握する意識があれば、全体的に生産性向上に繋がっていくのではないでしょうか。
コミュニケーション負担を増加させる「チャットツールでの無反応」
チームアップすると、ChatWorkなどのチャットツールを使ってコミュニケーションを図るケースがよくあります。
既読通知機能のないツールでは、送信メッセージが読まれたかどうかを判別しづらいものです。
それなのに、無反応のままで済ます人は意外といます。
相手から反応がなくても読まれているパターンもあれば、読まれておらずにそのまま放置されているパターン、読んだけれど意味がわからず放置されているパターンなどもあります。
このような人と一緒に業務を進めていくには、何をするにしても相手に対していちいち『尋ねる』ステップを踏まなければならず、非常に面倒です。
私はこうした負担こそ生産性を下げる『大きな要因』と考えています。
ですから、反応がない相手には、何らかの反応が求められているのだと伝わるように、疑問形でメッセージを締めたり、「スタンプでもいいので返事ください」と伝えたりするようにしています。
無反応で済ませる人と何度か仕事をする機会があったので、先日、その原因を考えてみました。
・「メッセージ内容を理解したから、いちいち返事をする必要がない」と考えている
・「言われている意味がわからないけど、それを言うのは恥ずかしいからそっとしておこう」と考えている
この他にもいろいろな理由はあるでしょうが、もしも前者の理由であれば、他のメンバーに意識を向けていない自己中心的行動と言わざるを得ません。
チーム活動をするうえでの基本ができていない状態です。
後者の場合は、自分と相手との間に信頼関係が築けていないことも、質問することを恥ずかしいと思わせてしまう要因の一つでしょう。
そのような相手の場合は、業務とは別のところで、まずは人間関係を築く必要があります。
自分の返答一つが他のメンバーに及ぼす可能性を考えれば、無反応で済ませられるはずがありません。
コミュニケーションに対する意識、チーム活動に対する意識の低さを感じさせます。
コミュニケーションコストが低く、互いにリスペクトし合っているチームは、自然と生産性が高くなります。
反対に、コミュニケーションコストの高いチームほど生産性が低くなり、各メンバーの精神的負担も強く大きいものになっていきます。
そんな状態でいい仕事をしようとすれば、誰かが心理的負担を強いられます。
そんな不平等なチームでは、いい仕事などできるわけがありません。
目指す方向性を迷わせる「ビジョンの無共有」
どのような組織でも同じですが、チームアップする際にはビジョンの共有は必須です。
見据えているゴールがどんなものなのか。
チームで活動する際、担当する業務によっては途中で離脱することもあります。
しかし、チームとして活動している間は、他のメンバーと同じレールを走らなければなりません。
イメージとしては、何列にも連なった列車のように、1本のレールの上をディレクターを筆頭にして各メンバーがその後ろをついていくようなものです。
ビジョンに描いたものが、終着駅に当たります。
このビジョンの共有ができていないと、列車の方向が途中でばらけてしまいます。
たとえば、ある顧客のWebページを作ることになった場合。
・どんなWebページを作りたいのか」
・何のためのWebページなのか
・このWebページで顧客は何を得たいと望んでいるのか
といったビジョンを、プロジェクトに関与するメンバー全員が共通認識として持っておかなくてはなりません。
これが各々で異なると、デザインとコピー(文面)に乖離が起きたり、訴求すべきターゲットに届かないWebページが出来上がってしまうことも。
また、何度も修正を重ねることになってしまったり、と質の悪い制作物になってしまいかねないのです。
ビジョンは、チームを引っ張るディレクターやプロデューサーが理解しているだけでは足りません。
実際に作業するメンバーに浸透してはじめて、高品質なコンテンツを作り上げることができます。
以前、クライアントにヒアリングしたディレクターと、実際にチームを率いるディレクターが異なる案件に関わった時の話です。
ディレクター間の情報共有ができておらず、チームのメンバーが振り回されるといったことがありました。
関与したメンバーは皆、他にも案件を抱えている人たちばかりです。
ディレクター同士のミスは、そのまま下流にいる作業者に大きな影響を与えます。
連係ミスによって生じたスケジュールの変動は、フリーランスにとっていきなり無茶振りされるようなものです。
人を率いる立場にいる人は、末端まで意識した行動が大切だということを、改めて感じた一件でした。
まとめ
チームアップしてプロジェクトに当たる時には、
・協調性
・共感性
・敬意
これらがとても大切なポイントです。
協調性とは、コミュニケーションのスピード感です。
この速さが違うと、相手の返事が来るまで作業が『待ち状態』になることがあります。
共感性とは、ビジョンや情報を共有する際の感性の共有性です。
似たような感性がなくても、意図や真意を相手のメッセージから読み取れる態度を持っていれば、大きな誤解は避けられます。
あとは、コミュニケーションを重ねて、差異を埋めていけばいいのです。
敬意とは、自分本位で作業しないということです。
敬意があれば、相手へのメッセージに何らかの反応をします。
他メンバーの足を引っ張るような行動はしません。
チームアップすれば、自動的にチームが機能するわけではありません。
各メンバーの意識があってはじめて、チームは正しく機能するのです。
この記事を書いたのは
- 【フリーライター/作家/電子書籍編集者】家事が苦手のママライター。いつもどうやって手を抜こうか考えています(笑)一番の趣味は、カメラと散歩と海外小説。相棒のEOS Kissを片手に、あちこちを飛び回っています。
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