残業が日常化していた職場で外注事務職の私が行った6つの改革


残業が日常化していた職場で外注事務職の私が行った6つの改革

働き方改革の一環で導入されつつある『ノー残業デー』や『プレミアム・フライデー』。

 

2019年4月から実施される働き方改革法案により、残業時間や有給休暇などのさらなる規制強化が始まります。

 

これに対して両手を挙げて喜ぶ労働者がいる一方で、先行きを不安視する労働者がいます。

 

 

 

長時間労働による健康被害は、すでに多くの人が知るところです。

 

しかし、現実問題として長時間労働をなくすには、人員と作業量のバランスを調整する必要があります。

 

これをせず一方的に残業規制をしても、サービス残業が増えたり、片付かないタスクを延々と処理するだけの日常になってしまいます。

 

それでは、労働に対する意欲も失われてしまうでしょう。

 

誰だって同じ時間を働くのであれば、楽しんで働ける環境のほうが嬉しいものですよね。

 

 

 

以前、私は外注の医療事務として、1日平均2,000人ほどが来院する総合病院に勤めていました。

 

医療事務の外注スタッフは約130人。

 

それぞれのスタッフが、さまざまな部署に配置されていました。

 

このうち半数近いスタッフは慢性的な人員不足が原因で、過剰業務となっており、残業が日常化していました。

 

医療事務の仕事についての詳細は、こちらをご覧ください。
なぜ医療事務の労働環境が過酷なのか?

 

 

 

人員不足の改善には、増員がベストです。

 

とはいえ、外注事業者を含めて人件費などコストを考えれば、簡単に改善されないことも多いものです。

 

それでも決められた業務量をこなさなくてはならない場合、いかに一人ひとりの作業負荷を減らし、残業せずとも業務が円滑に回る仕組みづくりをするかが肝要です。

 

 

 

これからご紹介する内容は、私がかつて取り組んでいた仕組みづくりの一部です。

 

後進を育成するリーダー的立場の会社員や、この先従業員を雇い入れることを視野に入れているフリーランスにも再現できるものとなっています。

 

 

改革1.作業者のスキルの洗い出し

 

人員不足を補うには、一人ひとりのマンパワーを上げるしかありません。

 

しかし、人にはそれぞれ向き・不向き、得手・不得手があります。

 

書類作成一つとっても、誤字脱字なく完璧に仕上げる人もいれば、文章作成からつまずく人もいます。

 

そうした個々の持つ能力を鑑みて、何がスムーズにできて、何に労力がかかっているのかを判断します。

 

 

 

 

改革2.業務内容を徹底的に細分化

 

個々の能力を最大限に活かすには、活かせる対象を明確にする必要があります。

 

そこでポイントになるのが、業務の徹底的な細分化です。

 

業務を細分化することによって、能力に左右される仕事とそうでない仕事を分別することができます。

 

 

 

 

改革3.適任者を複数選出

 

個々のスキルに応じて業務を割り振れば、作業時間の短縮とコストパフォーマンスを上げることにつながります。

 

プレゼンをするのにパワーポイントを使って資料を作る際、パワーポイントが苦手な人よりも得意な人のほうが、操作も早く結果的に作業時間は短くなります。

 

少ない時間で最大限の成果を上げるなら、適材適所で人員を配置することが重要です。

 

 

 

人員が少ないと、適材適所といえども配置する人数が抑えられがちです。

 

ですが、それでは作業者にかかる負荷バランスが悪くなり、何かあったときに組織運営に支障をきたすこともあります。

 

そうならないためにも、適任者は複数人選出し、全ての人員がバランスよく作業できるようにします。

pexels-photo-235990_Fotor

 

 

改革4.シフト制の導入

 

ほとんどの会社では就業規則によって、毎日同じ時間に出社することのほうが多いでしょう。

 

業務の進捗状況によって出勤時間を遅らせたり、退勤時間を早めたりといった、シフト制の導入なども視野に入れます。

 

また、休憩時間を取るタイミングも業務の進捗状況に合わせることで、無駄な時間を削減できます。

 

 

 

かつて私が在籍していた部署では、スタッフ一人当たりの平均就労時間は、約10時間。

 

患者対応の窓口は夜8時が営業終了時間です。

 

その後には片付けや翌日の準備などがあり、そうした作業を含めば夜9時頃まで拘束されます。

 

担当は持ち回りでおこなっていました。

 

担当日になるとたいていのスタッフが、夜間業務中に手持ちぶさたにならないようにと日中の業務量を調整していました。

 

 

 

このような場合、同じ人件費がかかっているとはいえ時間当たりの作業量で換算すれば、担当日だけコストパフォーマンスが低下していることになります。

 

さらに夜間対応は残業扱いのため、コストばかりが高くなります。これを解消するには、シフト制度が最適です。

 

 

 

当時、私が勤めていた外注会社には、出勤時間をずらすという考えそのものが上層部にはありませんでした。

 

そのため、制度として導入する前に試験的におこない、結果次第で導入を検討してもらえるよう掛け合いました。

 

これで良い結果が出れば、必ず上層部も動きます。

 

試験導入したシフト制度は功を奏し、他部署にも適用され、のちに外注元が契約している他の病院でも採用されるようになりました。

 

 

 

定められた時間通りに働くことは、いち組織人として大切です。

 

ですが、無駄な時間は徹底的に削る

 

それが結果的に、全員にとって大きなメリットになります。

 

 

 

 

改革5.各スタッフのスキルアップ支援

 

一人ひとりの能力には個人差があり、伸びしろも違います。

 

OJTで誰が教育係になるかは、非常に重要なポイントです。

 

個人で高いスキルを持っていても、教育係などトレーナーに向かない人もいます。

 

くわえて、人には少なからず相性というものもあります。

 

合わない者同士を組み合わせたときのデメリットは、双方のモチベーションに大きく関与してきます。

 

 

 

双方で相性が悪いと自覚していても、たいていの場合、新人から上司に「教育係を変えてほしい」と

訴えてくることはまずありません。

 

先輩スタッフでも、上司に申告してくる人はほぼいません。

 

その結果、新人が退職したり、先輩スタッフの一言がチームの空気を悪くしたりすることもあります。

 

 

 

これについてはスキルアップ支援というと、勉強会や講習会の開催などを考えるのが一般的です。

 

しかし、それが一律に強制されるものでは、個人差が開くばかりです。

 

オールラウンダーを育てたいのか、特化した人材を育てたいのかで、支援の方針を考えるのがベストです。

 

得意分野で活躍できる場があれば、人は必ず伸びていきます。

 

結果として、それがチーム力強化にも繋がります。

 

 

 

 

改革6.各分野のエキスパート育成

 

スキルアップを続けていくうちに、そのスタッフはその場所で“なくてはならない存在”に成長していきます。

 

各所にエキスパートがいれば、いつでも高いパフォーマンスが維持でき、後進が育ちやすい環境を継続させやすくなります。

 

後進がなかなか育たない原因の一つには、何を目指して仕事を頑張ればいいのかわからない、といった目標の喪失があります。

 

組織としてのビジョン共有だけでは、共鳴する人しか動かないものです。

 

 

 

「自分もいつかこの人のようになれるかもしれない」といった目標が身近にあると、個々人が自己の成長を意識した働き方をするようになります。

 

ほかにも、同じ分野のエキスパートがいることにより切磋琢磨してくれますし、組織としても安定します。

 

 

 

 

まとめ

 

業種に限らず現行業務の多くは、作業者の得手・不得手を全く考慮せず一律に与えられます。

 

そのなかで会社側から指示される働き方改革の内容は、現場の人間からすれば相容れないものも多いものです。

 

それに対して文句を言ってみたところで、現状が変わるわけではありません。

 

 

 

働いているからこそ見えていることもありますから、それをいかに実現するかにこだわり、諦めずに行動することが後々の自身の働きやすさにもつながっていきます。

 

もしもあなたがスタッフを扱う立場にいるなら、まずは現場の声にしっかりと耳を傾けてみてください。

 

その声をもとにした改革案こそ、核心を突いた改革になっていくはずです。

 

雇用される側であれば、先行き不透明なこれからの時代において、労働者自身が自分の得手・不得手を把握して、得意分野を伸ばすことはとても重要です。

 

組織内でのサバイブだけでなく、副業や兼業で仕事を増やす際の確かな強みにもなります。

 

 


この記事を書いたのは

浜田 みか
浜田 みかライター
【フリーライター/作家/電子書籍編集者】家事が苦手のママライター。いつもどうやって手を抜こうか考えています(笑)一番の趣味は、カメラと散歩と海外小説。相棒のEOS Kissを片手に、あちこちを飛び回っています。