「小遣い稼ぎ」程度で終わらない副業は、どうやって始めたら良いのか。


「小遣い稼ぎ」程度で終わらない副業は、どうやって始めたら良いのか。

副業元年と言われた2018年。

 

政府はこれまでの方針から大きく方向転換し、ビジネスパーソンの副業を基本的に推進する立場を鮮明にしました。

 

 

 

しかし、何事も最初は試行錯誤の連続です。

法律は現実に追いつかず、政府や企業経営者の副業に対する思惑と、労働者の考える副業の実態とは、相当ズレています。

 

そして、オールドメディアとして衰退が著しいテレビが報じる「副業」は、半ば事業者の宣伝に近いものばかりであり、こちらも相当ズレています。

 

オークションサイトでの不用品の販売や、手軽にできるポイント稼ぎ、覆面調査員などがよく目にする陳腐な番組の典型ですが、これを観て本当に役に立ったと思うビジネスパーソンがどれほどいるのでしょうか。

 

 

 

コンテンツとコマーシャルの一体化が進み、これら事業者から収入を得て番組を作っているのですから、視聴者ファーストにならないのでしょう。

 

だからこそ、くだらないコンテンツが量産されますますテレビ離れが進み、ビジネスパーソンは副業として何を選ぶべきか。混迷が続く一因になっています。

 

 

 

では、ビジネスパーソンはいったいどのような副業を選ぶのがお勧めなのでしょうか。

心身ともに充実した人生を送るために、副業をどう捉えるべきなのでしょうか。

 

 

副業に関する本当のところ

 

ビジネスパーソンはどのような副業をしているのか

 

副業に関する実態調査は様々な会社でなされていますが、数字にはやや大きなブレがあります。

 

そのため大雑把にまとめると、副業をしているビジネスパーソン、副業をしたことがあるビジネスパーソンの割合は10~30%というところです。

 

リクルート社の2018年調査で13.1%[1]、マイナビ社の2017年調査で34.0%[2] となっています。

 

 

 

実際にしている副業の種類について。

 

MMD研究所が2015年に実施した、7724人を対象にした大規模調査[3] では、以下のような回答が得られました。

 

ネット副業 49.4%
飲食業 7.7%
販売業 7.4%
飲食・販売以外の接客業 6.4%
家事代行業 5.7%
内職・軽作業 1.2%
その他 34.7%
※複数回答

 

つまり、ほとんどの人がネット副業ということになるので、この内訳も見ておく必要があるでしょう。

 

 

以下のようになっています。

 

株式投資 23.7%
アフィリエイト 23.1%
FX 20.1%
クラウドソーシング 17.9%
ネットショップ 16.6%
その他投資 7.6%
その他 32.6%
※複数回答

 

 

「これが副業?」と思われた方も多いと思いますが、結論は急がずに、まずは数字だけを頭に入れておいてください。

 

 

 

 

政府と企業は副業に何を期待しているのか

 

一方で、政府や企業が副業を解禁することになった思惑です。

 

政府については、最大の目的は経済成長の後押しであり、イノベーションの促進にあります。

 

また人手不足に対応するために、余暇時間を飲食や介護といった慢性的な人手不足の業界に使ってもらうことも、もちろん想定しています。

 

別の観点では、1990年代以降減り続ける労働者の平均所得を押し上げ、GDPの最大の担い手である個人消費を拡大したいという思惑もあるでしょう。

 

大まかに言ってこれらが、政府が副業を推進する最も大きな理由です。

 

 

 

次に企業の思惑です。

 

ざっと各企業の報道資料や雑誌記事から拾った内容をまとめると、

 

「会社の枠を超えて技能や人脈を培ってもらい、会社の多様性を深める」(ロート製薬)

 

「スキル・ナレッジを共有化することで生産性を高める」(IT系人事部長)

 

「優秀な方は短時間でも効率的に成果を出せる」(メルカリ執行役員)

 

など様々ですが、メルカリ執行役員は自社の社員に副業を認める観点というだけでなく、そういった人材を採用する企業側のメリットを語っているものでもあります。

 

このように、政府も企業も非常に「高いレベルから」世の中を俯瞰し、副業を解禁したという経緯があります。

 

 

 

それに対し、実際にビジネスパーソンが取り組んでいる副業は

 

「ネット副業(株式投資、アフィリエイト)」

 

が圧倒的な1位なのですから、この3者の思惑のギャップはもはや悲惨です。全く方向性が定まっていないと言ってよいでしょう。

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ギャップの原因はどこにあるのか

 

では、このような思惑のズレはどこから生まれるのでしょうか。

 

まずは、副業を巡る法律や制度の不十分さにあります。中でも、最も現実離れしているものは、労働基準法第38条1項でしょう。

 

同項には、以下のように定められています。

労働時間は、事業場を異にする場合においても、労働時間に関する規定の適用については通算する。

(労働基準法第38条1項)

つまり政府の想定するような、昼間はアパレルの販売をして、夜は介護施設の補助をするというライフスタイルを選んだ女性がいた場合、彼女は2つの別の企業で働く場合でも、労働基準法で定める「1日8時間、1週間で40時間」を超える労働を原則としてしてはいけないということです。

 

どう考えてもムリがあります。

 

そんな枠は本業で使い切っているのですから、本業があることを知りながら彼女を雇った事業者は、下手をしたらこの上限を超えて働かせたということで、摘発される可能性すらあるでしょう。

 

誰がそんな爆弾を、好んで採用するでしょうか。

他にも多くの要素がありますが、法律や制度が全く現実に追いついていないこと。これが、政府や企業の思惑が現実的でない最たる理由です。

 

 

 

では、ビジネスパーソンの方はどうでしょうか。

率直に言って、ビジネスパーソンが副業で得たいのはお金であり、自分自身のスキルの向上です。

 

極論すれば、副業で会社に貢献するつもりなどさらさらありません。

 

中にはそのような人もいるでしょうが、それを前提に一般論として議論をすれば必ず結論を外します。というか外しています。

 

 

 

疲れ切って帰宅した後に、更に何か副業をと考えるビジネスパーソンは、率直に言って

 

・少しでも生活を楽にしたい

・会社に頼らずに生きていく精神的な安心感が欲しい

・副業で成功し、あわよくば会社をやめたい(本業にして起業したい)

 

このあたりで、副業をする目的の90%は抑えられるでしょう。

 

 

 

そして副業という制度を社会に根付かせるためには、ビジネスパーソンのこの本音に寄り添った形から、法律を整備し、制度を設計する必要があります。

 

それは例えば、副業で働いた3時間分は全ての税金をタダにする、くらいでないと人は全く動かないと思ったほうが良いです。

 

誰が疲れて帰ってきた後、風呂から上がってまた働きに行きたいものでしょうか。

 

 

 

今の法律や制度のもとで、実際にビジネスパーソンが選ぶ副業の実態が理想から大きく乖離しているのは当然ではないか、ということです。

 

それが、3者のギャップを生み出している最大の理由です。

 

 

 

 

ビジネスパーソンは何を副業にするべきなのか

 

この記事の核心であり、結論です。

 

大きくは、こんな法律や制度のもとでは、よほどの強い意志や目的でもない限り、副業なんかやめてしまえ、という結論です。

 

誰も儲からない、誰も得をしない枠の中では、踊ったほうがバカです。

収入に不満があろうとも、過労死する勢いで働きに行くと、貴方の健康と命は確実に削り取られていきます。

 

ですが、そういった事実は事実として受け入れた上で、先に挙げたようなビジネスパーソンの副業に対する思いを実現するためにはどうすれば良いのでしょうか。

 

 

 

 

少しでも生活を楽にしたいときに選ぶべき副業

 

夢も希望もなく、身もふたもないことを言いますが、近所のコンビニやスーパーで、可能な範囲でパートやアルバイトをするのが一番確実です。

 

ぜひ、そうしてください。

 

なぜなら、このような仕事は働けば確実に収入になり、なおかつ実は、1時間に1,000円も稼げるというのは相当割の良い副業だからです。

 

 

 

実際に自分で起業をすれば思い知りますが、1時間ただ手足を動かすだけで1,000円の付加価値を上げるような仕組みを作るのは凄いことです。

 

しかも、副業の1位であるネット副業の内訳を見ても、株式投資やFXなど、ほとんどのプレイヤーが損をするものばかりです。

 

時間を使いお金だけ損をするような副業は、絶対にやめるべきです。

 

 

 

ブログを運営し、アフィリエイトや広告収入を得るという副業はどうでしょうか。

まあ、やめたほうが良いです。

 

私自身、ブログ運営で大きな収入を得ているものもありますが、それは奇跡的に運が良かった1つのブログだけです。

 

それがどれほど難しいか、1つ例示すると、ある地域情報ブログを運営していたことがあります。

コンテンツは、自分の住む市町村と近隣の都市で、有名どころはもちろん、あらゆる飲食店を周りレポートする、いわば食べ歩き情報。

 

それに、街に新しく店ができたら誰よりも早くレポートし、また店が潰れたら誰よりも早く写真にとり、街の移ろいをアップしレポートしていくというものも取り入れました。

 

更に地域のイベントやニュースも、あらゆる情報媒体からかき集め、アップし続けました。

そのような仕事にかかる時間は、1日ざっと5時間。

 

ミシュランに掲載された有名店などでランチと夕食もレポートし続けると、出費も相当なものです。

サイトは自分で作るスキルがあるので自前でできたのが、せめてもの救いでしょうか。

 

それでも、飲食などで200万円近い金を使い、毎日5時間という時間を掛けて得られた結果はどうだったのか。

 

1年半ほど続け、アクセス数は10万PV/月。

グーグルアドセンスの広告収入は、他の広告サービスに比べ1桁も単価が高いですが、それでも10万PVで得られる広告収入など、多くても1ヶ月に3万円です。

 

ネット系ビジネスに専門的知識があり、なおかつこれだけの時間と投資をしても、得られる収入はこの程度です。

投資した金額など、まったく回収できません。

 

 

 

一方で、毎日5時間、時給1,000円で30日間働くことが許されたとしたら、いくらの収入になるでしょう。

15万円です。

 

これが、収入を増やすことが最大の目的で副業を考えている人に、すでに仕組みが整っている会社でパートやアルバイトとして働くことを強くお勧めする理由です。

 

 

 

他にも多くの事例を挙げられますが、貴方に特別なスキルでもない限り、ネット上の副業で1時間1,000円以上もの収入を得られる仕事など、まず無いです。

 

ぜひ、この現実を理解してください。

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別の生き方を模索したいときの副業

 

次に、

 

・会社に頼らずに生きていく精神的な安心感が欲しい

・副業で成功し、あわよくば会社をやめたい(本業にして起業したい)

 

この2つのニーズを持つ人はどうしたらよいでしょうか。

 

これについては、収入を上げることが目的ではないので、話はしやすいです。

 

 

 

一言で言えば、「できる」か「好き」を始めよう、です。

 

ネット上の副業で唯一、まだ割が良い仕事は、本業のスキルを横流しできるものだけ。

例えばデザイナーであれば、ランサーズやクラウドワークスといったクラウドソーシングでいくらでも仕事を受けることができます。

 

プログラマーやWeb技術者も同様で、比較的高単価で発注をしているクライアントが多いです。

 

ただこれにしても、要求事項やアフターフォローを求められるなど、猛烈な手間がかかり時給換算すると1,000円にもならないこともあるので、楽ではない世界。

 

それでも、何らかのスキルがあるのであれば、クラウドソーシングは成り立ちやすいのでお勧めできます。

 

しかし恐らく、本稿に興味を持った人の大半は、特別なスキルもないが、ある程度の収入になるネット副業はないか、というニーズを持っているはず。

 

結論から言うと、そんなものは無いです。

 

ほんの一部の成功者だけがニュースなどで報じられているので、自分もそうなれるのではないかと思っているかも知れませんが、99.9%の人にはムリです。

 

だからこそニュースになるわけですが、そんな奇跡に期待をするのは宝くじを買うことと何も変わりません。

 

 

 

ではどうすれば良いのでしょうか。

 

これが本記事の結論ですが、「好き」を極めて欲しい、ということです。

 

私の場合、先に上げた地域情報ブログは全く割に合わなかったので、1年半で更新をやめました。

それは、やりたかったからと言うよりも、色々な仮定をした上で金になると思ったからやっていました。

だから早々に、情熱も持てずに見限ったということです。

 

一方で、私が運営している別のブログがあります。こちらは現在、月間PVで90万を数えます。

開設から1年と少しですが、90万PVといえばグーグルアドセンスでも、最低でも15万円程度、上手い人なら50万円近くの収入を上げられる数字に相当する規模です。

 

ここまでくれば副業というよりも、家族を持っている人にとっての本業のレベルだと言ってよいでしょう。

 

 

 

ではなぜ、短期間でそこまでのサイトに育てることができたのでしょうか。

 

1つには、そのブログが自分の好きなジャンルであり、仕事であったからです。

毎日の更新が苦痛どころか楽しみであるほどに、それは私にとって副業と言うよりも極めた趣味でした。

その極めた趣味を、多くの人に役に立つような形のコンテンツに変えただけに過ぎません。

 

2つ目には、それが多くの人の心を感動させ、世の中の役に立てるという実感を持ち続けることができたからです。

ネット副業の一番の魅力は、自分の仕掛けがダイレクトに人に伝わり、その反応を楽しめることにあります。

しかもそれが、好きなジャンルであれば最高です。

 

3つ目に、収入を第一の目的とせずに、読者の役に立つことを必死になって考え続けたからです。

どんな商売にも通じることですが、この思いがなくては、本業でも副業でも成立するはずがないでしょう。

強く意識してください。

 

そしてこのような3つのことを、毎日でも続けることができるような仕事は、「好きであること」しか無いです。

好きなことでもなければ、誰がこんなことやり続けることができるものでしょうか。

自分の「好き」を「好き」と言ってくれる人がいるから、半分ボランティアでできたようなものです。

 

ですがその結果、私には多くの友人ができ、大きな収入になるアクセス数を集め、実際に副業と言うレベルではない収入になっています。

 

 

 

どうせ会社でストレスフルな毎日を送っているなら、副業くらいやりたいことを楽しくやりましょうよ、という提案です。

 

釣りが好きな人であれば、ツールや釣果を徹底的に調査した、超マニアックなサイトを作っても良いです。

ラーメンが好きな人であれば、毎日ラーメンを食べて画像をアップし続けるべきです。

メイクが好きな人であれば、あらゆるメイクのツールを自分を実験台にして画像と体験談を上げ続けるのもいいでしょう。

 

その結果、率直に言って得られるアクセス数など、一般個人であれば10万PV/月までいけば大成功です。

収入は頑張っても、1~2万円かもしれません。

 

 

 

しかし、これはブログ収入だけに限らない話ですが、「好き」であれば必ず続けられます。

「好き」であれば、副業が楽しく苦になりません。

 

そして上手くブレイクすれば、結果として数十万円の収入になる可能性もあります。

逆に言えば、「好き」を続ける中で、ブレイクするチャンスを狙い続けるのが、副業の本来のあり方ではないかと思います。

 

 

 

 

すでに世の中に存在し、ありふれているサービスや製品から始める

 

もう1つだけ、重要なアドバイスをしましょう。

それは、新たに仕事を始める際の原則は「ありふれているサービスや製品を、少し安くて少し良くする」です。

 

起業でも副業でも、今すでに世の中に存在し、ありふれているサービスや製品で勝負をするほうが、リスクもリターンも程よく得られるので、ぜひお勧めしたいです。

 

「好き」もマニアックすぎるよりも、「結構メジャーな趣味で、もうちょっと突っ込んだ知識」くらいが、一番多くの人にウケます。

 

「もうすでに、色々な記事があるから」と尻込みする必要はありません。

それは、色々な記事が生み出されてもそれを吸収できるくらい、マーケットが大きいことの証です。

 

今ある何かを、「もっとこうすればいいのに」や、「これならもっと安く提供できる」という発想で、世の中の色々なことを見ると、コンテンツのネタは尽きません。

 

決して、「世の中にないものやサービスを新たに生み出したい」などというだいそれたことを、初心者のうちから考えないこと。120%失敗します。

 

副業レベルから小さく何かを始める場合、この考え方をすれば、比較的低いリスクで成功確率を大きく上げることができるでしょう。

 

 

<参考・参照サイト>

[1] 『全国就業実態パネル調査』(リクルートワークス研究所)

[2] 『みんなどんな副業してる?気になる種類や収入をリサーチ!』(マイナビ転職エージェントサーチ)

[3] 『ビジネスパーソンの副業に関する実態調査』(MMD研究所)

 

 


この記事を書いたのは

Cool Workers運営部
Cool Workers運営部ライター
フリーランスや副業などの“自由なはたらき方”、税金、働き方改革に関する情報を発信しています。Cool Workers運営部は、様々な働き方をしているメンバーで記事を作っています。