フリーランスが契約書をチェックする時のポイントとは?


フリーランスが契約書をチェックする時のポイントとは?

フリーランスとして取引している中で、契約書を交わしておかないと後々、報酬を貰えなかったりするトラブルが起こることがあります。

 

契約書は、何度も取引していると省くような場面も出てくるかもしれませんが、立場が弱くなりがちなフリーランスにとっては必須と言えるものです。基本契約書を最初に交わしておき、あとは発注書と注文請書のセットで取引が行われていくこともあります。

 

契約書は、取引先が用意していて、それに押印等するだけということもあるかと思います。ここでは、契約書の中身について、チェックすべきポイントをまとめたいと思います。

 

 

 

契約書でチェックすべき10個のポイント

 

1.業務の内容について(請負契約or委任契約など)

 

まず、業務の内容を確認しましょう。

 

契約書の名前が「業務委託契約書」となっていると、成果物の納品によって報酬が確定する請負契約なのか、善管注意義務により業務を行えば報酬が貰える(準)委任契約なのか、まずは大枠の内容を確認します。請負契約の方が一般的には厳しい条件になります。

 

次に、仕事の範囲についてチェックしましょう。

 

聞いていたことと異なるものまで含まれていないかどうかなどです。また、工程について、どこまでの工程が含まれているのか(制作物の完了までなのか、一部の工程のみか)も確認しておきましょう。

 

 

 

 

2.報酬

 

支払金額はもちろん、支払時期(翌月振込等)や支払方法(銀行振込など)も確認しましょう。

 

消費税も要チェックです。課税事業者かどうかに関わらず、内容が消費税の課税取引に当たる場合は、全て消費税がかかってきます(消費税分も受け取ることができます)。

 

また、取引先の都合により、仕事ができなくなった場合、スケジュールに穴が空きますので、キャンセル料についても別途定めておくといいでしょう。(着手金があれば、それを放棄するとなっていることが多いようです。)

 

 

 

 

3.再委託について

 

民法における判断になりますが、請負契約の場合、目的が成果物の納品ですので再委託は原則可能です。

 

対して、(準)委任契約においては、物ではなくサービスの提供になりますので、人によって差があり、再委託は原則禁止となります。

 

ただし、請負か委任かというのは、契約書を見ても微妙な場合もあります。よって、再委託について「発注者が許可すれば可能」などの文言が入っていることがあります。再委託の可能性がある場合は、可能という文言が入っているかどうか必ずチェックしておきましょう。

 

また、その許可の方法についても、別途書面でやり取りするということにしておけば、トラブルは少なくなります。

 

 

 

 

4.秘密保持について

 

業務委託契約においては、取引先から情報をもらって仕事をすることが多いです。特に委任契約になると、必要に応じて社外秘の情報を受け取ることになります。よって、必ず秘密保持について、明記されています。

 

新商品、新サービス、企業の動向など、漏れてしまうと大問題になる情報もありますので、取扱方法について具体的に明記されていないかも確認しておきましょう。

 

さらに注意すべきなのは、著作権にも少し絡みますが、この業務により知り得た情報について、他の業務において使用しないとなっているかどうかです。個人的なノウハウかどうか、線引きが難しいこともあるかと思いますが、先方固有のノウハウなどについても秘密情報に当たりますので、注意しましょう。

 

 

 

 

5.著作権の帰属

 

多くの契約書では、納品後に対価が支払われた時点で著作権は依頼者が持つということになっています。

 

しかし、内容物によっては、作成者が著作権を持つ場合もあります。写真などで二次利用をされないようにするためには、著作権を移転させないような契約内容になっている必要があります。

 

その後二次利用するのかどうかを含め、意図と異なる状況にならないよう確認しておきましょう。

 

 

 

 

6.不可抗力のあった場合

 

特に納期のある請負契約においてですが、天災などの不可抗力により納品ができないことも考えられます。このときの取り扱いについては、「双方話し合って協議する」といった具合に柔らかい表現で明記しておくといいでしょう。

 

こういった文言が無ければ、場合によっては、問答無用で損害賠償などということも考えられます。

 

 

 

 

7.損害賠償について

 

フリーランスの方が依頼者に対して支払う損害賠償についてになります。

 

契約違反によるものなどトラブルが起こった場合の損害賠償について、「契約金額を上限とする」や「双方協議の上決定する」といった文言が考えられます。

 

あまり考えたくありませんが、明記しておくことでトラブルが起こった場合のクッションになります。いきなり法外な賠償金を請求されないようにするために必ず入れておきましょう。

 

 

 

 

8.解約条件について

 

一定の期間に渡って継続して仕事をする契約では、場合によっては自動更新で契約が続くこともあります。その期間内や契約期間後において解約する場合の取り決めについて、「1か月前までに書面にて通知など」の条件を入れておくとトラブルなく契約を終わらせることができます。

 

 

 

 

9.一方的な表現の文言がないか

 

抽象的な表現になってしまいますが、依頼者が契約書を作成している場合などでは、依頼者側に明らかに有利な文言(修正作業について、理由を問わず契約金額の範囲内として処理するなど)が入っていないかどうか確認しましょう。

 

文章をただ読んでいるだけでは、「そんなものかなあ」と思って素通りしてしまいます。気になる文言があれば、その後に起こる作業をイメージして契約書の文言の修正をお願いしましょう。

 

 

 

 

10.印紙について

 

契約書は通常、2通作って各々が保管となります。そして、印紙が必要な場合(請負契約書など)は、それぞれが貼って押印したものを渡すということが慣例となっています。しかし、先方から渡された契約書について、印紙が貼っていないこともあります。この場合、税務署に指摘されると、過怠税を納めないといけません。こちらが貼って渡していても同じです。

 

印紙税の納税義務者は「文書の作成者」になるのですが、注文請書などと異なり、連名となっている契約書の場合、作成者は双方になります。よって、必要な印紙が貼られていない契約書があれば、文書の作成者として過怠税を納めることになります。

 

もし印紙に関して疑問があれば、後からは言いにくいですので、受け取ってからできるだけ早く先方へ伝えましょう。

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まとめ

 

基本契約書など内容によっては、枚数が非常に多くなり、全てに目を通したつもりでも、思っていた内容と異なることがあります。ポイントを絞って、特に重要なところを押さえておけば、後の祭りとならずに済みます。

 

ここでは、一般的な内容を挙げましたが、契約書を読んでいて分からないことについて確認することも重要です。

 

聞きにくい場合もあるかもしれませんが、納得した上で契約をしておくと仕事もしやすいですし、取引先に対して無用な不信感を持たずに済みます。

 

 


この記事を書いたのは

Cool Workers運営部
Cool Workers運営部ライター
フリーランスや副業などの“自由なはたらき方”、税金、働き方改革に関する情報を発信しています。Cool Workers運営部は、様々な働き方をしているメンバーで記事を作っています。