フリーランスのチーム運営者が語る「失敗から学んだフリーランス集団の運営術」


フリーランスのチーム運営者が語る「失敗から学んだフリーランス集団の運営術」

「フリーランスといえば独立独歩、コワーキングスペースやカフェ、自宅の作業場で黙々とひとりで作業をしている」そういうイメージでしょう。

 

しかしフリーランスも必要に応じて「チームを設置して仕事をする」ことはあり、可能です。

 

私は過去に1度チームづくりに頓挫したものの、今年に入って新たにチームを設置し、8名の方と一緒に、仕事をさせていただいています。

 

今回は、これからチームをつくり仕事をしていきたいフリーランスの方、クライアント様から大型案件を依頼されてチームをつくったほうがよさそうと感じておられる方などに向け、チームのつくり方やその運営、そして維持していくためのヒントを、私の経験を踏まえつつお伝えしていきます。

 

 

 

その前にチーム設置は、クライアント様のご理解とご協力があってこそ可能となります。

 

「チームで仕事をしたい」と相談すると、快くご協力してくださる方もいるはずです。

 

私も例外ではなく、ご快諾いただきましたクライアント様のおかげで今があり、とても感謝しています。

 

まずはメリットから述べ、デメリット、リスクについても説明していきましょう。

 

 

フリーランスがチームで仕事をするメリット2つ

 

①ひとりでは受注不可能な案件も遂行できる

 

仮に、クライアント様から「24,000字の記事を今日中に納品できないか」と打診されたとします。(そんな無茶なことを打診してくるクライアントはほぼいないと思いますが……。)

 

ライターは、1時間で執筆・編集できる文字数がおよそ1,000字と考えるのが通説です。

 

私は、自分の稼働時間を1日8時間と決めているため、24,000字の記事をひとりで納品することは正直言って不可能です。

 

しかし、そこに編集もできるライターが私以外にあと5名いれば、1人あたり4,000文字となり、決して不可能とはいいきれなくなります。

 

 

 

 

②クオリティがグッと上がる

 

チーム体制にして私が強くメリットとして感じていることがクオリティの向上です。

 

ここで誤解のないよう補足いたしますが、私がチーム内で実行しているのは担当記事を分けるのではなく、記事作成の工程を細分化させての分業であり、決して仕事を丸投げし確認しないまま、納品する体制をチームといっているのではありません。

 

 

 

チームメンバーから私にあがってきた原稿は、順次確認し編集と検証、最終的な調整を私自身が行っています。

 

原稿中には必ず私にはなかった視点や語彙、表現、アイデアが出てきます。

 

それを発見したときは「おもしろい」「ワクワクする」と感じ、チーム体制にしてよかったなと思っています。

 

 

 

 

フリーランスチーム運営のデメリット2つ

 

①作業量は増える

 

仕事量は確実に減りますが、作業量はやはり増えます。

私の場合、チーム運営にあたり下記タスクが必要となりました。

 

・グループチャットの運営

・サイト上での依頼作成

・契約書の作成

・マニュアルの作成

・案件ごと指示書の作成

・メンバーとのやりとり

・原稿料・報酬のお振込み手続き

 

 

 

 

②連絡業務に追われる

 

ひとりで仕事をしているとクライアント様とのやりとりだけとなりますが、チームをつくるとそうはいきません。

 

原稿執筆に集中したくてもスマホが鳴ることはあります。

 

また、月の初めに案件ごとに指示書を送るのですが、8名となると作成と送付で軽く半日(4時間以上)かかることもわかりました。

 

 

 

 

フリーランスチーム運営のリスク2つ

 

①思うとおりにはいかないこともある

 

原稿がマニュアルに沿っていない状態であがってくる、やむを得ない理由で納期を過ぎてあがってくることも十分ありえます。

 

そのため、このようなことが起こっても揺るがない代案や対策を用意しておく必要はあります。

 

 

 

 

②情報漏洩

 

「人の口に戸は立てられぬ」という故事成語もあるほど、情報漏洩はリスクとして認識しておくべきです。

 

秘密保持契約書の締結はあとあと発注側を守ってくれます。

 

契約締結もしくは利用規約にその定めがあるランサーズ経由で発注されるといいでしょう。

 

 

 

たしかにデメリットやリスクはありますがそれにしても、チームは魅力的です。

 

過去、チーム構築に1度失敗したそんな私が、今年に入り実践してきたそのつくり方と運営方法をこれより、ご紹介していきます。

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フリーランスチームのつくり方

 

①つながりのある方と一緒に

 

数年前のチームづくりで失敗した原因は、おそらく当時のチーム全員がサイト上での依頼で集めた方ばかりで、これまでなんらつながりも面識さえもなかったからだと分析しています。

 

現チームの初期メンバーは3人で、1人は知人、もう1人はその知人の紹介。

 

そしてもう1人はSNSつながりで、1度オフ会でお会いしたことがあった方で、スタートさせました。

 

結果うまくいっていますので、最初は面識のある方と一緒にチームを組んで、始められることをオススメします。

 

 

 

 

②自然と構築できたチームは強い

 

現チームは、実はつくろうと思って設置したチームではなく、自然とご協力いただける方からお声かけいただき自然とできあがったチームでした。

 

こちらからお願いするでもなく「(一緒に)仕事をしたい」などと話しかけてこられたら、その瞬間を逃さず、チーム構築に前向きになってもいいのではと思います。

 

 

 

 

③SNSやサイト上で募集、増強していく

 

ある程度チームが回り出して軌道に乗り出したら、既存メンバーを大切にしつつ増員して補強を進めていくとよさそうです。

 

6月から加入したメンバーの方は、サイト上で何度か依頼をさせていただき、信頼関係ができてきたと感じてからチーム加入を打診しました。

 

 

 

またFacebook上に投稿し、募集をかけてもいいと思います。

 

興味のある方からコメントやDMが数件、入ってくるでしょう。

 

以上が今年に入って私が実践してきたことです。

 

 

 

 

フリーランスチーム運営・維持のヒント

 

①過度なフィードバック、修正依頼は原則、行わない

 

私はこれまでの経験を踏まえ、以下のケースのときだけフィードバック・修正依頼をするようにしました。

 

・マニュアルを遵守していない

・指定文字数を満たしていない

 

 

 

受注側からすれば1度納品したものを大幅修正することは、正直誰もが避けたいところでしょう。

 

そういう気持ちも理解できるため基本、私が自分の手で必要な修正をかけています。

 

修正の手間が発生するなら、発注する意味がないと思うかもしれませんが、その手間は間違いなくスキルアップにつながっています(そう信じています)。

 

 

 

 

②スピードを意識する

 

例えばメンバーからご相談、ご提案があれば、できるだけ早くその可否をお伝えし、行動に移すようにしています。

 

もちろんメンバー選定もご縁主義でほぼ即決させていただいています。

 

テストライティングという手法もありますが、テストほどムダで失礼な話はないと思っており、また採用に時間をかけすぎることは優れた人材を逃しているとも思います。

 

 

 

 

③メンバーを入れ替えることも辞さない

 

テストライティングをしないかわり私は、マニュアルを遵守いただけなかった場合はチームから抜けていただく、そのような手法を採用しています。

 

私はチームを維持する上で、元大阪府知事・大阪市長である橋下徹氏の著書『実行力』の、見出しに使われているフレーズを重視しています。

 

そのフレーズがこちらです。

「ダメなら交代してもらえばいい」と思って、部下には穏やかに対応する

 

実行力 結果を出す「仕組み」の作りかた』(27ページ)
橋下 徹(著)、PHP研究所出版

 

実は過去、よかれと思ってフィードバック、修正依頼をかけたところ猛反論され、当方も再反論。

 

その不毛なやりとりを繰り返し、多大な時間を浪費する結果となった苦い思い出があります。

 

そのため極力、穏やかにことを済ませようと考えています。

 

意固地になってマニュアルを遵守いただこうとするよりも、その時間で新しいメンバーを探したほうがずっと有益なのです。

 

 

 

チームメンバー全員が対等な立場であるように振る舞うことは、良い心がけではあるのですが、すべてにおいて対等と思うとチームはうまく回りません。

 

チームをつくった張本人がやはり、ひとつ頭を抜きん出て管理・運営していくんだという心構えが必要不可欠です。

 

 

 

 

まとめ

 

最後にもうひとつ、最も参考になるであろうヒントをお伝えし、記事を締めくくりたく思います。

 

メンバーを信頼し思いを共有することがチーム運営・維持にとっていちばん大事です。

 

チーム内で現在、使用している記事作成マニュアルは第二版で、実は初版は自分のなかでは大失敗でした。

 

初版は淡々と業務について必要なことを記載していただけなのですが第二版では、「なぜマニュアル記載項目を遵守いただきたいのか」など私の思いを追記しました。

 

するとほぼマニュアルに忠実に沿った業務を行っていただけたのです。

 

 

 

もちろん自分の思いを伝えることも大事ですが、メンバーを信頼するだけではなく、その思いを知ることも必要でしょう。

 

しかし私はほぼ、それができていないのです。

 

これは私が今後、向き合っていくべき課題だと感じています。