現在コンサルタントとしてお勤めの方の中には、「一定期間企業に勤めてコンサルタントとして知識や技術を身につけたら、いつかは独立したい」という希望を持っている方も多いのではないでしょうか。
私は広告代理店でITコンサルタントとして約3年間経験を積んだのち、フリーランスに転身しました。
フリーランスになることを決めた直接の要因は、会社外で個人的に仕事を任せたいと思ってくれる方がいたことです。
この記事では、私がフリーランスに興味を持ったきっかけや独立への不安と期待、そしてフリーランスになる前後で感じたギャップなどについて紹介します。
目次
会社員からフリーランスへの転身に興味を持ったきっかけ
私は地方出身ということもあり、都心での会社員生活に息苦しさを感じていました。
それでも単身の間は、人の多い環境になんとか我慢しつつ仕事に励む日々。
ただ、結婚をして2年目に子供が生まれてからは、「自然豊かな場所で子育てをしたい」という想いが徐々に大きくなっていきました。
そんな折、所縁のある地域の方から、「会社員としてではなく、個人的に仕事を任せたい」との連絡をいただきました。
長期間に及ぶプロジェクトで、依頼額も高いものです。
そこで、「その地域を活性化することを今後数年のミッションにしたい。そのためにフリーランスとして独立しよう」と決意しました。
フリーランスとして独立するときの不安と期待
会社を辞めるとき、大きな不安を感じていたのも事実です。
不安の具体的な内容は以下のようなものです。
・プロジェクトが途絶えてしまうと経済的に苦しくなるかもしれない
・クライアントからの評価指標を充たせないと自分一人で責任を取らなければいけない
その一方で、フリーランスだからこそ得られる利点にも期待していました。
・業務量をコントロールできることで仕事以外に使える時間が増える
・自分の興味と合致する案件を積極的に受けられる
自分の価値観に合った働き方をできれば、このようなメリットが生じるのではないかと考えていたのです。
フリーランスになって感じた独立前のイメージとのギャップ
実際にフリーランスとして働きはじめると、フリーランスになる前に感じていた不安と期待は、まったく予想通りというわけではないことが分かりました。
予想通り得られたメリットには満足できましたし、予想通りではない面にはほんの少しの戸惑いを覚えたのは事実です。
ただ、少なくとも会社員として働いていた時期と比べると、生活の質が上がったように感じます。
その理由は、フリーランスになったことそれ自体が、自分の価値観に従った選択だったからです。
自分の価値観に素直に従った結果手にすることができた新生活ですから、仕事もプライベートも、すべての面において深く納得できています。
以下では、フリーランスになる前と後で変化が見られたポイント、想定との違いについて具体的に紹介します。
時間単価の増加
フリーランスになってからの収入は、会社員時代と大きく変わっていません。
ただ、時間単価は増加しました。
フリーランスになってからは、単価の高い案件を優先して受注するように心がけ、仕事が捗る時間にまとめて作業をするようにしています。
その結果、労働時間あたりの収益率向上に成功しています。
案件の安定化
ありがたいことに、現在に至るまでほとんどブランクがありません。
自分が得意とするITコンサル、特にマーケティング・広告運用などの業務を、人づてに継続的な受注ができています。
会社員時代と比較して案件数が減っていない現状に、安堵の念を抱いています。
だいたい常に実行中のプロジェクトが5-7つくらい走っており、それに加えて準備中の案件が2~3件あるようなイメージです。
時に仕事が重なり逼迫することもありますが、なんとかこなすことができています。
クライアントの満足
当初懸念していた「クライアントの満足を得られるか」についても、今のところ大きな問題は発生していない状況です。
そもそも、契約段階においてある程度結果のシミュレーションをクライアントと共有することでリスクヘッジとしています。
つまり、仮に大幅な効果改善を導くことができないとしても、当初の想定試算から大きな齟齬が生じることはありません。
したがって、プロジェクトの終了段階においてクライアントの満足を得られないという事態を避けることができています。
自由な時間確保は難しい
フリーランスになってはじめて分かったのは、自由な時間を確保するのが意外と難しいということです。
業務量の調整はできますが、仕事をしないわけにはいきません。
結果として、それなりの稼働時間は必要となるので、自由な時間が格段に増えたという実感はありません。
特に変化が生まれたのが、時間を使う作業の変化です。
例えば、会社員時代には行っていなかった業務(ローデータの取得、特定フォーマットに落とし込む整理作業)を自分で行うようになりました。
他方で、会社員時代の中心業務であるアウトプット資料の作成などに対して、そこまでの時間を割くことはなくなりました。
自由に仕事を選べない
フリーランスになって実感したのは、案外自由に案件を選べないという点です。
フリーランスになると、人づてに案件を紹介してもらうことが少なくはありません。
となると、日頃お世話になっている人の紹介はなかなか断れないものです。
結果として、案件選択に対する自由度は低くなってしまいます。
もちろん、依頼内容と自分の経験とが明らかにマッチしないときは、別のフリーランスを紹介するようにしています。
ただ、少なくとも自分ができる仕事については、できる限り対応するよう努力しています。
案件を選り好みする行為は、やがてクライアントなどとの間の信頼関係に亀裂を生じるものです。
フリーランスとして仕事をする以上、謙虚さや真摯さを欠かしてはいけないと日々意識しています。
フリーランス転身を考えている方へ:会社員時代のスキルを軽視しないこと
フリーランスとして長期間活躍するには、いろいろな困難を乗り越えなければいけません。
・最新情報にキャッチアップするため、絶えず学び続けなければならない
・問題解決能力だけでなく、営業スキルや経理・簿記など、幅広い知識が必要になる
・社会的信用を積み上げるために一層の努力をしなければならないこと
もちろん、会社員時代もこれらの要素は欠かすことができないものです。
ただ、フリーランスとして活躍する以上、より一層深く胸に刻む必要があるのです。
独立して1年半が経ちますが、これらの困難にもようやく慣れてきました。
そして、慣れてきた今だからこそ、会社員時代のことを振り返って分かったことがあります。
それは、問題解決能力や論理的思考力など、会社員時代に求められていた資質は、フリーランスとして仕事をする上で当然必要だということです。
つまり、会社員として仕事をする中で身につけることができるスキルは、決しておろそかにしてはいけないのです。
もしあなたが、企業に勤めるコンサルタントとしてまだまだ実力不足だと感じるのであれば、まずは今の会社でスキルを身につけることをおすすめします。
特に現在、フリーコンサルタントに転身する人がどんどん増えています。
フリーランス間における競争も激しくなり、中途半端な能力では継続的に仕事を獲得することさえできません。
フリーランス転身を考えている方へ:独立の方法は人それぞれ
フリーランスへの転身方法は人それぞれです。
私のように、個人的に案件を依頼したいという方との出会いがフリーランスへの足掛かりになるケースもあるでしょう。
知人や縁故を活用する形で、仕事の範囲を広げていくのも一つのやり方です。
他にも、コンサルタントとして一通りの能力を身につけたという方は、エージェントを活用した独立もありです。
エージェントを活用すれば、より安定的に仕事を探すことができるようになります。
もし、独立後の仕事スタイルに不安があるのなら、独立前に一度エージェントから話を聞いてみてはいかがでしょうか?
エージェントが手配できるいろいろな職種のコンサル案件を教えてくれるので、独立後の受注指針とすることができるはずです。
実際、誰でも名前を知っているような大手企業がフリーランスに依頼を出すことも増えています。
案件数だけではなく、案件の規模感自体も、フリーランスと会社所属コンサルタントでは差異がなくなってきているとも言えるでしょう。
最後に
企業コンサルタントとして活躍することと、フリーコンサルタントとして活躍すること。
それぞれに特有のメリット・デメリットがあります。
それらをよく理解し、どちらの方が自分の価値観に合うかを考えることが重要です。
今回紹介した事例を参考に、ぜひ自分に合った働き方を考えてみてください。
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