コンサル業界は、自由で柔軟性が高い業種です。
外資系企業の参入も多く、一つの企業に縛られ続けるのが当たり前ではない業界です。
その結果、皆さんご存じの通り、コンサルタントとしての生き方にはいくつかの選択肢が与えられます。
一つの企業に骨を埋める、転職を繰り返しながら好条件を求め続ける、独立して自社を立ち上げる…。
自由なキャリア設計が許されるからこそ、ご自身のキャリアプランに悩みを抱くのはむしろ当然なのです。
そして、私は「独立してフリーランスのコンサルタントとして活躍する道」を選びました。
・フリーコンサルって結局収入アップだけが目当てなんでしょう?
・企業に所属している安心感を捨てるなんてバカバカしい…。
・成功すれば良いけど、独立のハイリスクを背負うなんてあり得ない。
一般的に、フリーランスになることは「ハイリスクハイリターン」と評価されます。
収入が上がる可能性がある反面、仕事が軌道に乗らなければ収入がなくなってしまう…と。
このようなイメージから、フリーコンサルとしての働き方に疑問を持たれる方が多いのは事実でしょう。
しかし、ここで実際にフリーコンサルとして働いている私からお伝えしたいことがあります。
それは、フリーコンサルの魅力は収入アップだけではないということ。
「ハイリターン」の中には、むしろ収入アップ以外の魅力が溢れているということです。
そして、特に私が自ら学んだのは、仕事面でのやりがい、自分自身のあり方に対する満足感、です。
思い切って独立してフリーコンサルとして活躍したい、でもリスクが怖くて踏み出せないというあなた。
収入アップを狙って独立したけれど、今現在、収入以外の魅力を見出せていないというあなた。
フリーコンサル業にネガティブな見方を抱かれている方のため、今回はフリーコンサルとして数年働く私から、フリーランスの魅力を存分にお伝えしたいと思います。
あなた自身の今後の働き方、生き方に対して、僅かながらでも手助けできれば幸いです。ぜひご参考ください。
私がフリーランスになったきっかけ
まずは、私自身がフリーランスになった経緯をご紹介します。
企業で働くこと、満足の中に浮き上がる不満
一般的な流れに沿う形で、大学を卒業して大手のコンサル会社に就職しました。
企業に所属できたという満足感で仕事に励み、少しずつ増える責任にプレッシャーを受けつつもやりがいを感じながら日々過ごしていました。
3年ほど経過した頃、ようやく1つのプロジェクトを任されました。
クライアントとの窓口になり、社内で折衝を繰り返し、牛歩の如くではありますが、進捗を噛みしめる日々です。
ただ、最終的な計画書・契約書が仕上がった際、私にとって大きな出来事が生じました。
それは、「上司の了承が必要である」ということです。
案の定、私個人としては入念に完成させたつもりの事業に対して、いくつもの修正を要求されました。
もちろん、今思えば、当時の事業計画書にはいくつも問題があったのは事実です。
しかし、ここで私は気付いたのです。
・私が担当しているとは言え、あくまでも会社の仕事であること
・会社の信用があるから受注できた仕事であること
・受注に至るまでの関係性の構築、細かな書類作成、今後のアフターケアなど、実は私個人では仕事を完遂しきれていないということ
・最終的な判断権者は、あくまでも会社であるということ
企業に所属して数年の若輩者には奢りがあったようです。
プロジェクトを担当することで、自分に全ての決定権があると錯覚していました。
しかし、これは大きな間違いです。
会社に所属している以上、全ての仕事を自由にやりきることはできません。
会社とクライアントの間には、私が知る由もない歴史があり、私はその一部を便宜的に受け持つだけの歯車でしかないのです。
これらの事実が、満足感の中に浸かっていた私に大きな不満を抱かせました。
次のキャリアプランの模索から独立まで
企業に属しつつコンサル業を続けることに違和感を抱いた私にとって、他企業に転職するという選択肢はありませんでした。
あるいは、当時の会社よりも小規模の企業に所属すれば仕事に対する裁量も増えるかもしれないとは思いましたが、結局近い将来、同じ悩みが生じるのは想像に難くありません。
私はすぐに独立を検討していることを上司に相談しました。
ここがコンサル業の良いところで、独立は業界内で当たり前の事象です。特に嫌な顔をされることもなく、むしろ真摯に相談に乗ってもらえました。
ありがたいことに、社内の独立支援プログラムを受けつつ、営業、総務、人事を1ヶ月程度ずつ経験することもできました。
そして、上司に独立を打診してから1年も経過しないうちに、自宅の一室を事務所にし、独立することになります。
フリーコンサルとして独立した直後のモチベーション
フリーランスになった当時、当然ですが仕事を選ぶ余裕などありません。
企業に所属していた頃の人間関係を頼って、受注できる仕事は全てこなしていきました。
アポなしの営業も数多くこなしましたし、多くのお叱りも受けました。
しかし、「独立した以上逃げることはできない」「努力に応じた報酬を得られる」、この二点が私の支えになりました。
もちろん、会社員の頃に比べて収入が落ちる月もあります。
それどころか、受注状況や支払いのタイミング次第では、収入が0の月もありました。
しかしそれでも、働いた分だけ収入になるのが楽しくもありました。
いつまでも続けるために、数年後、数十年後も自分でやっていくために、ただ懸命に仕事を処理し続けました。
なんとか6年の月日が経過した今、仕事が軌道に乗った今だからこそ、収入だけではないフリーランススタイルの魅力を少しずつ知ることができています。
それは、仕事に対する満足感、仕事を超えた満足感です。
フリーランスとして働く現在の私
仕事が軌道に乗る前は、収入という数字でしか自分を評価することができませんでした。
ただ、落ち着きを見せた今、ようやく「なぜフリーランスとして働くことを選んだのか」という問いに対する答えを知り始めたような気がします。
フリーコンサルとしての仕事、客観的な側面
フリーコンサルとして6年が経過した今なお、私は完全に一人だけで仕事をしています。
ありがたいことに、継続的な関係にあるクライアント様もいくつかいらっしゃいますし、新規の顧客様も継続的に発掘できています。
当初は業務内容を選ぶ立場ではありませんでしたが、6年という月日を経る中で、法務・金融・組織編制に関するコンサル業務に専門性・ノウハウを見出すことができています。
クライアント様の要望を最優先にしているので、不定休です。
ただ、平均すると、週休二日以上は休んでいますし、そこではプライベートを満喫できています。
というより、仕事のスケジューリングさえ生活の一つになっているので、もはや「仕事をしている」「休んでいる」という感覚さえありません。
お客様に満足していただけるように仕事をし、その仕事のためにスケジュールを立て、余裕があるタイミングでプライベートを楽しむ。ノーストレスです。
そして、関心の収入面ですが、企業コンサルをしていた頃の2~3倍ほどです。
たったの2~3倍?と思われる方もいらっしゃるでしょう。
そうです、仕事に対する全責任を持つ代わり得られる報酬はたったの2~3倍、しかも将来的な確約もない状態です。
しかし、私は今、非常に満足した日々を過ごしています。
フリーコンサルとしての仕事、私が日々感じること
フリーコンサルとして仕事をする中で、多くのことを学びました。
その最たるものが、仕事とは、人と人との関係が大前提にあるということです。
仕事を受注するためには謙虚でなければいけません。
クライアントと継続的な関係を築くためには真摯・誠実でなければいけません。
そう、仕事を大切にするということは、人との付き合いを大切にするということです。
誤解して欲しくないのですが、無理をして相手に合わせろということではありません。
単純に、相手と継続的に関係を築くための「自分自身」、あなた自身が魅力的な人間であるべきだということです。
誠実、謙虚、最低限の社交性…、こんな人と付き合いたいと思ってもらえる人間でなければいけません。
自分がある程度魅力的であれば、結果としてフリーコンサルの仕事はやっていけます。
そして、ある程度魅力的になれた自分自身のことを好きになれるはずです。
収入は増えましたが、責任は更に増えました。
しかし、今私が自分のスタイルに満足できている理由はここにあります。
自分の仕事が好きですし、好きな仕事をしている自分に心から満足できています。
フリーランスとしてのやりがいとは
最後に、フリーランスの「仕事に対するやりがい」という観点に焦点をあてて、私自身の経験から学んだことをご紹介します。
会社員時代との大きな違い①:責任の比重
当たり前のことですが、責任の大きさが全く異なります。
少し語弊があるかもしれませんが、会社員として働く限り、「他人の責任」にすることができてしまいます。
仮にあなたが担当者になったとしても、最終的にあなた自身が責任を被ることはありません。
それが会社員として働くメリットであり、同時にデメリットでもあります。
フリーランスとして働く以上、全ての責任を負うことになります。いや、全ての責任を負うことができます。
契約内容、期日、打ち合わせのタイミング、提供サービスの内容、そもそも受注するかどうか…、全てをあなたの好きに決められます。
重い責任をプレッシャーと感じるのか、自由に仕事が選べるゆとりに感謝するのか、あなた次第です。
少なくとも私は、責任の背後にある無限の可能性に惹かれています。
会社員時代との大きな違い②:クライアントとの関係性
会社員時代、クライアントと食事に行っても、それはあくまでも接待、仕事の延長でしかありませんでした。
機嫌を取る、笑いを取る、全ては仕事に繋げるためでした。
しかし、今は全く違います。
もちろんクライアントと食事をすることもありますが、それはクライアントと良好な関係にあるからです。
良好な関係にあるので、当たり前のように一緒に食事をするだけです。
良好な関係を構築するため、でもありません。良好な関係が「ある」のです。
この状況を作ることができれば、仕事に対するストレスなど一切生じません。
最低限の節度とマナーが前提にあるのは当然として、好きな人たちと一緒に過ごしているだけで仕事が創り上げられているのです。
フリーランスになってからの成長①:仕事をするための仕事
フリーランスになれば、否が応でも仕事の全体像を知ることになります。
例えば、コンサルタント業務には直接関係しませんが、簿記・労働法関連、税務、総務関係など、自分の仕事を維持するための下準備、車輪のようなものについて知識を持たなければいけません。
会社に所属していれば、他の部署の人がやってくれていましたよね。
しかし、フリーランスである以上、このような作業も自分で処理しなければいけません。
フリーランスになってからの成長②~仕事の幅・深さ~
仕事を選べない時期は、どんな仕事にでも対応する必要があります。
結果として、会社員時代に経験したことがないジャンルのコンサル業務も、勉強しながら対応しなければいけません。
このような形で日々勉強を続けているうちに、受注できる仕事の幅が広がります。
そして、ここから更に面白いのが、仕事の幅が広がるほど専門性を高めたいジャンルを知ることができるのです。
オールマイティに仕事を続けながらも、特定分野に非常に強くなれます。
会社に所属していると、どうしても「与えられた範囲」でしか仕事をすることができません。
大人数で一つのプロジェクトを作り上げる以上、あなたは部分的な役割を担うに過ぎないのです。
つまり、企業に所属している限り、全体的な仕事力、成長力はどうしても削がれてしまうのです。
仕事面での成長力に幅が増えるという意味で、フリーランスに勝るものはありません。
最後に
ご紹介した内容を簡単にまとめると、以下のようになります。
・フリーランスとして働く以上、最初の頃は仕事を選べず苦労も多い。
・仕事に対する責任の重さを楽しめるかどうかがポイント。
・仕事は人間関係の延長線上にあるものと理解しなければいけない。
・フリーランスになれば、仕事の幅は広がるし、仕事の深さも増す。
・充実した日々の先には、収入アップという付随的なメリットも付いてくる。
企業に所属しながら、仕事は仕事と割り切ってキャリアを積んでいくことを否定するつもりはありません。
しかし、そもそも人生は仕事だけではありませんし、仕事は人生の一部でもあります。
より良い形で仕事と向き合うことができれば、必然的に人生それ自体が豊かになるはずです。
そして、最終的には、そんな風に時間を過ごすことができる自分自身に満足できます。
フリーランス=悪、ではありません。全ての仕事には、良さも悪さもあるのです。
だからこそ、今一度、ご自身の現状を捉え直し、今後どのようなワークスタイル、ライフスタイルを送りたいのかを考えてみてください。
今以上に、素晴らしい未来を手に入れることができるはずです!
この記事を書いたのは
最新の投稿
- 2024年12月9日社員研修パワーハラスメント研修完全ガイド | 効果的な実施方法と重要ポイント
- 2024年12月6日社員研修コンプライアンス研修とは?企業価値を高める効果的な実施方法と注目すべきテーマを解説
- 2024年12月3日ビジネススキルSNSリテラシーとコンプライアンス対策|企業が注意すべきポイントと具体的な予防策
- 2024年11月30日ビジネススキルレジリエンスとは?現役コンサルタントが解説する意味・効果・高める方法