
世の中にあるコンテンツは、すべて誰かの企画や提案から始まっています。
企画力や提案力があれば、仕事の幅が広がったり、新しいジャンルの仕事を得る機会に繋がったりとフリーランスにとって大きな強みになります。
実際に私も企画や提案をすることが多く、それがきっかけで憧れの人の取材をする機会を得られたり、セミナー講師のアドバイザーという仕事を依頼されたりしています。
どうすれば企画力や提案力が身につくのか?
今回は、私が普段からしている企画のアイデアの掴み方と、企画力・提案力の養い方をご紹介します。
企画力はアイデア力。普段から意識して情報収集を
企画力は、アイデアを具体的に表せる力です。
アイデアは、何もないところから湧いてくるものではありません。
日常のなかに潜む小さなアイデアの種をたくさん集めておくことで、企画という花を咲かせることができます。
アイデアの種とは、簡単にいえば『情報』です。
情報というと、TVや新聞、雑誌、インターネット、SNSといったコンテンツを思い浮かべるかもしれません。
もちろん、それらから得られるものも情報なのですが、それだけではありません。
人と話すことで得られる、その人が持つ経験談や悩み。自分が何かを体験することで得られる感覚や気づきなども、全てが情報です。
こうした情報をたくさん持っていると、アイデアの種と種を掛け合わせて、企画を作れるようになります。
企画を作る際は、普段から「クライアントが望むものは何か?」を把握しておかねばなりません。
たとえば、20代前半女性に向けてライフスタイルをテーマにしたコンテンツを作りたいと考えているクライアントがいたとしましょう。
企画を練るときには、まず20代前半女性についての情報が必要です。
どんなライフスタイルに興味関心があり、それに対する悩みは何かといった情報がなくては、クライアントが求める企画を立てるのが難しくなります。
私はいま40代なので、自分の20代の頃を振り返ってみても、比較対象の一つにはなっても参考にはなりません。
20数年前の20代といまの20代では、社会的な環境やトレンド、仕事、人とのつき合い方など、さまざまな部分で異なるところが多く、現在の20代にそのまま当てはめることができないからです。
改めて現在の20代前半女性のことを知る必要があるのです。
私は、SNSやブログで20代前半女性の投稿内容を読んだり、彼女たちとコンタクトを取ってZoomなどで直接話を聞いてみたりして、20代前半女性の声を拾うようにしています。
コンタクトを取る際は、ビジネス用のマッチングアプリを使ったり、知人や友人に紹介してもらったりしています。
そうやって何人かの声を拾っているうちに、クライアントが求めている内容に近い情報が見つかります。
そうした情報を組み合わせて、企画を組み立てています。
企画に繋がるアイデアの種はいつも身近なところに転がっている
たとえば、今回の記事も、もともとはSNSで誰かが「企画力があればなぁ」といった悩みを吐露している投稿を見つけたのが発端で、企画したものです。
私はよく契約先のメディアなどクライアントに対して、いろいろな企画案を提案します。
その提案が不採用になっても、頻繁に企画を上げるので「企画力がありますね」といわれることがしばしばあります。
そういった自分の背景を重ねたとき、企画力がない人と企画力がある人の違いとは何だろうか?と考えるに至ったのです。
それで気づいたのが、普段からの情報に対するアンテナの張り方の違いではないかという点です。
企画にはアイデアの種が必要だとお伝えしましたが、アンテナをどのように張るかによっても得られる情報は違います。
その顕著な例は、○○マニアや○○ヲタク、もしくはファンと呼ばれる人たちを思い浮かべてもらうと、わかりやすいはずです。
たとえば、スターウォーズシリーズの映画ファンと映画マニア(あるいは映画ヲタク)で考えてみましょう。
ファンとマニアでは、同じスターウォーズという映画に対しても、持っている情報の多さ・深さが違います。
ファンは、監督や出演者、ストーリーが好きだから、新作が公開されれば映画館に足を運んだり、DVDを集めたりします。
一方で、マニアやヲタクと呼ばれる人たちは、上述したことに加えて、アイテムや人物を含め、映画内に登場するあらゆることについて深い知識を持っています。
これは、スターウォーズが好きだから、もっともっと知りたいという知的探求心が掻き立てられた結果です。
ストーリーを楽しむ以外にも、制作の背景や制作環境などにまで関心の幅を広げて、映画を“観る”のではなく“観察”をしているのでしょう。
だから、スターウォーズ映画ファンと、持っている情報量に違いが出るのではないかと考えます。
企画を練る時も同じです。
「なぜ?」「どうして?」といった疑問を持つことで、広く深く情報を得ることができるようになっていきます。
そうして集まった情報が、アイデアの種となるのです。
採用される・されないではなく、「多くの提案をする」意識を持つ
企画を立てても提案する力がないと、その企画がコンテンツ化されることはありません。
提案力がないという人は、「提案は採用されてこそ価値がある」という意識があるのではないでしょうか。
もちろん、その考えも一理あります。
ですが、ここで一度、振り返ってみてください。
あなたにとっての提案力とはそもそもどんなものなのか。
あなたの中にその定義はあるでしょうか?
私の『提案力』に対する定義は「具体化したアイデアや課題改善などの施策案を提供する力」です。
採用頻度が高いことは、その結果でしかありません。
こう考えると、提案力があるとは、企画案や施策案をどれだけたくさん出せるのかがポイントになるはずです。
採用頻度が高いことは、たしかに提案力があることを対外的に示す指標になります。
しかし、実際にはすべての提案が通る人など、ほとんどいないのではないでしょうか。
私も「提案力がある」と評価されるほうですが、出す提案のすべてが採用されているわけではありません。
けれど、採用された回数は全く気にしていません。
むしろ、どれだけの提案ができたかを重視しています。
多くの提案ができるということは、それだけたくさんの価値提供ができることだと思うからです。
提案は「価値の提供」
先日、クライアントからエンドクライアントである法人向けカウンセリング業者がコロナ禍で事業を休止せざるを得ないという報告がありました。
その際、「休止期間中にエンドクライアントに対してできることはあるか?」と聞かれました。
そのとき、私は5つほど提案をしたのですが、コストとの兼ね合いもあり、3つの提案だけ採用されました。
その一つが、対面で行っていたカウンセリングをオンライン展開するというものです。
Zoomを使ったオンラインによるカウンセリングは、以前から世の中に存在していましたし、エンドクライアントの顧客がリモートワークに切り替わっている今なら導入しやすいという点から提案したものです。
合わせて、セルフカウンセリング講座をYouTubeを使ってビデオ配信することも提案しました。
オンラインでのカウンセリングに加えて、セルフセッションをオプションとして提供すれば、エンドクライアントの収益化にも繋がります。
受講者はマンツーマンでのオンラインセッションと併用することで、一人でカウンセリングを行う心理的ハードルが下がります。
何を提案すれば通るかといった視点ではなく、クライアント・エンドクライアント・エンドクライアントの顧客すべてにとって良い着地点となるのはどこか?を探した結果、上述の提案に至ったのです。
これに対してクライアントもエンドクライアントも「そういった方法があったのか」と驚いていたものです。
自分では誰でも思いつくアイデアだと思っていても、相手によっては思いもつかなかった提案になることがあります。
もしも、提案が不採用になったとしても、相手にとってはこれまでになかった着眼点によるものであれば、情報という価値を与えられたことになります。
結果的に「提案力がある」と認めてもらいやすいのです。
最後に
企画は、アイデアの集結物です。
「企画力がある=採用できる企画案を出せる」という捉え方もありますが、出した企画そのままに物事が進むことはそう多くはありません。
まずは企画を出してみて、そこからブラッシュアップして実現できる形へと昇華させていくことが大半です。
まずは、アイデアの種をたくさん集め、そこからターゲット・タイミング・予算などを踏まえて、一つの企画や施策案としてまとめてみましょう。
却下されたなら、フィードバックを受けて、さらに企画内容をブラッシュアップしていけば、精度の高い企画・提案ができるようになっていきます。
この記事を書いたのは

- ライター
- 【フリーライター/作家/電子書籍編集者】家事が苦手のママライター。いつもどうやって手を抜こうか考えています(笑)一番の趣味は、カメラと散歩と海外小説。相棒のEOS Kissを片手に、あちこちを飛び回っています。
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