
「公務員とフリーランス」に続く、180度異なりそうな組み合わせです。ここでの教員とは、小学校、中学校、高校の先生として勤務されている方を想定しています。
教員の方の長時間労働については、頻繁にニュースで取り上げられていますが、部活動などもあって状況が一変することは考えにくい状況です。教員の方は、生徒のために犠牲するものが多く、それだけに信念に支えられている仕事に思えます。ここでは、ワークライフバランスという言葉があまり馴染まないかもしれません。
ただ、私生活などの状況により、どうしても教職を続けるのが難しくなることもあると思います。教育の専門的な知識を活かしてフリーランスになることはできるのか、今回はその方法等を考えていきたいと思います。
フリーランスの教員っている?
フリーランスとは、公的機関や会社などに所属せず、仕事に応じて自由に契約して働く人(または働き方)を指します。
教職は、公立であれば公務員(常勤 or 非常勤)となり、私立であれば被雇用者(正社員 or 非正規社員)になります。公務員と労働者という違いはあれ、どちらもフリーランスではありません。個人の代替が効かず、学校の指示に従って教えるため、どちらもその学校に所属することになります。
よって、教員がフリーランスになる場合、小中学校、高校で授業する以外の道を探ることになります。
教員の専門知識を活かした職業
ここからは教員の専門知識を活かした職業について、フリーランスとして成り立つのかと合わせて、そのメリット・デメリットなどを考えていきます。
1.私塾の講師
私塾を自分で開く場合、個人事業主ですので、フリーランスに近い存在ですが、固定される場所や環境があり、上記の定義からするとフリーランスとは言えません。
他の私塾(企業、個人事業)で教える場合についても、そこに所属するためフリーランスではありません。その働き方を所属先によって縛られることになります。
よって、私塾の講師でフリーランスというのは基本的にはありません。一部の授業のみを請け負って、所属することなく業務委託契約により働くことは考えられます。ただ、私塾の目的からすれば、これを本業として生活していくのは難しいように思います。
<メリット>
・知識をそのまま活かせる
・求人が多いため、転職しやすい
<デメリット>
・時間や働く環境が縛られる(非常勤であればある程度融通が効く)
・知識や経験に相応する報酬を受け取る場合、フリーランスではなく労働者の一択になる
2.予備校の講師
駿台、河合、代ゼミ、東進、そういった有名な予備校では、契約講師という立場の方がいます。予備校講師は人気商売ですので、そういった方は、1年契約で実績(受講者数など)に応じて契約更新していきます。プロ野球選手のようなものです。これが雇用か請負かというのは様々な考えがあるようですが、プロ野球選手は国税庁では個人事業主として扱われているようです。
フリーランスかどうかについても、微妙なところだと思います。フリーランスのコンサルタントでプロジェクト期間が1年という案件に従事している場合とどう違うのか、あまり納得できる説明ができません。契約内容がどうなっているのか詳しくは分かりませんが、他の業務(執筆など)も自由にできるような場合は、フリーランスと捉えていいように思います。
実際に上記の予備校の人気講師の中には元教員であった方もいらっしゃいます。
<メリット>
・人気商売であるため、報酬の上限が桁違い(一部人気講師は年収1億円を超えるようです)
・人気が出れば、執筆など他の収入を得ることもできる
・1年契約であるため、他の仕事への移行はしやすい
<デメリット>
・人気商売であるため、高収入を安定的に得ようと思うと、求められるスキルが多い(分かりやすく教えるという根本の技術、話術、モチベーターとしての技術、人柄など)
・契約期間内は時間も場所も縛られる
3.教育コンサルタント
私塾や学校、企業に対して、教育に関するコンサルティングを行う仕事です。セミナーの講師も請け負います。フリーランスとしての活動になります。
具体的には、教育プログラムの作成についてのコンサルティングや、教育者の育成についてのプログラムを組んだりもします。
<メリット>
・フリーランスとして働き方をコントロールすることが可能
・提供するサービスの価値によって高収入も望める
・人脈ができてくると、紹介から仕事を広げていくことができる
<デメリット>
・需要自体が多いとは言えないため、最初の営業のハードルが高い
・同じ理由で、安定した収入を得るまでに時間がかかる
4.デザイナー等
教員の方の中には、専門分野において目覚ましい実績を持つ方も多数いらっしゃいます。そういった方であれば、その専門知識を活かしてそのままフリーランスとして活動することができます。
英語教師であれば翻訳家、国語教師であればライター、編集者、美術教師であればデザイナーなど、専門分野に応じた様々な道が考えられます。また、それを教えてきた経験も、顧客に分かりやすく説明するということに繋がります。
<メリット>
・フリーランスとして自由な働き方ができる
・専門知識を活用して、さらに深く勉強することもできる
・報酬は自分次第
<デメリット>
・教員からフリーランスとなると、直接の繋がりが無いため、業界に人脈があまり無いことも考えられる
・報酬の源泉が「教える」から「他のサービス」に替わるため、意識を変えないと顧客とすれ違うことも
5.ライター
教員の知識を活かしてフリーランスのライターとして活動することもできます。これは、4.のフリーランスの活動と並行してすることもできますので、副収入を得る方法としても有用です。
教育の現場に実際に立っていた方であれば、通り一辺倒な文章ではなく、踏み込んだことも書けると思います。慣れてくれば、その分野の記事における単価は通常よりも高くなります。
<メリット>
・クラウドソーシングもあり、参入のハードルは低い(ただし、直接受注していかないと単価は低めになるため、営業人脈を作っていく必要がある)
・文章を作成するということに慣れているため、仕事の効率は最初から高いと思われる
・教育現場の経験という希少価値を売りにできる
<デメリット>
・教員からフリーランスのライターとなると、業界が全く違うため、当初は人脈による仕事を得ることが難しい
・営業が苦手で、クラウドソーシングに頼ると収入面で厳しい(1文字1円超だと良い仕事と言われます)
まとめ
上記の通り、教員からフリーランスへと続く道はあります。
教員の方は、その特殊性からあまり他の仕事に繋がらないように思われている方もいるかもしれません。しかし、その特殊性はスペシャリストを求める社会では、貴重な経験です。フリーランスになることを考えられている場合、教員の知識を必要としている場はあります。また、一般企業においても、教育は重要ですので、その経験が求められるポジションはあります。
教員を続けるのが難しくなったが、次に何をしていいか分からない。そうなっても、専門知識や経験を持つ教員の方には、フリーランスも含め、様々な可能性があります。
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