
SDGs(エス・ディ・ジーズ)
私だけかもしれませんが今年に入ってからよくこのキーワードを、目にするようになりました。
最初はまったく意に介していませんでしたが、そういえば頻繁に見かけるよねと気になりだし、その定義や概要を調べてみたところ、フリーランスは知っておいたほうがいいと思いましたので、今回ご紹介いたします。
SDGsとは、その定義
SDGsはSustainable Development Goalsの各文字をとったもので『持続可能な開発目標』と訳せます。
外務省の説明[1][2]を参考にすると、よりよい世界を目指そうと2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に示されている
17のゴール
169のターゲット
232の指標
を指しており、これらを2030年までに達成する国際的な目標として、日本はもちろん各国が取り組んでいます。
ここでいうよりよい世界とは、
地球上の誰一人取り残さない
(leave no one behind)
そのような世の中を指しています。[3]
そして実は、そのはじまりは2001年の『ミレニアム開発目標(MDGs、Millennium Development Goals)』で、約20年前から取り組まれていました。[4]
MDGs(ミレニアム開発目標)、その成否
ミレニアム開発目標(MDGs)では、2015年までに8つのゴールが定められていました。
①貧困・飢餓
②初等教育
③女性
④乳幼児
⑤妊産婦
⑥疾病
⑦環境
⑧連帯
これらはすべて達成できたわけではありませんが貧困、HIV、マラリアなどの各対策で一定の成果が見られたとしています。[5]
SDGs、17のゴール
MDGsでは8つだった目標が、SDGsでは17に増えました。
どのようなラインナップかを見ていきます。[6]
①貧困をなくそう
②飢餓をゼロに
③すべての人に健康と福祉を
④質の高い教育をみんなに
⑤ジェンダー平等を実現しよう
⑥安全な水とトイレを世界中に
⑦エネルギーをみんなにそしてクリーンに
⑧働きがいも経済成長も
⑨産業と技術革新の基盤をつくろう
⑩人や国の不平等をなくそう
⑪住み続けられるまちづくりを
⑫つくる責任つかう責任
⑬気候変動に具体的な対策を
⑭海の豊かさを守ろう
⑮陸の豊かさも守ろう
⑯平和と公正をすべての人に
⑰パートナーシップで目標を達成しよう
つくる責任つかう責任
ほぼ全項目、具体的でわかりやすい目標となっていましたが、唯一、説明が要るのかなと感じた「つくる責任つかう責任」についてだけ補足しておきます。
出典:「SDGs(エス・ディー・ジーズ)とは? 17の目標ごとの説明、事実と数字」(国連広報センター、2019年1月21日)
図を見るかぎりリサイクルのことなのかなと感じたのですが、詳細を資料で確認しますと、次のとおりでした。
目標12 持続可能な消費と生産のパターンを確保する
出典:「SDGs(エス・ディー・ジーズ)とは? 17の目標ごとの説明、事実と数字」
(国連広報センター、2019年1月21日)
さすがに国際連合広報センターという公的機関が作成した資料ですから、堅い表現となっていますが、私が解釈し文章にすると、
少ない資源で、多くのよりよいインフラ、サービス、仕事を生み、環境改善を図ろう
となりました。
東アジアにおける天然資源消費が増えている事実を挙げ、現在も各国で大気や水質、土壌汚染といった課題に取り組んでいることも認めつつ、まずは
・資源をムダなく効率的に使用する
・省エネを心がける
ことを実現目標としたものです。またこれらは経済上、競争力を高め、貧困を削減するのに役立つとしています。[7]
私は自宅に作業場を置いていますが、私のような在宅フリーランスであれば、使用していない部屋の照明、冷暖房をオフにするようにし、光熱を必要最低限に抑えることができるでしょう。
これならスグにでも取り組めそうです。もちろん実施中の方も多いでしょう。
物販を展開しているフリーランスであれば、梱包を必要最低限のものとし、梱包材の使用を極力減らしてコンパクトサイズに仕上げれば、省資源化を図れます。
ライティングやデザインを生業としている方は、デジタルデータでの保管を徹底し、紙出力を極力減らす努力もできそうです。
このように17のゴールのうち、たったひとつを掘り下げただけですが、とても深いものでした。そして
もしかすると今後の事業展開のヒントが隠れているのでは?
そう感じたのです。そして、法人成り、多角化経営を試みる際、SDGs視点で事業を創出できたらおもしろいのではないかと思いました。
お気づきのようにSDGsの17のゴールにはそれぞれ課題があり、それを解決するよう呼びかけられています。
このことから、事業創出のヒントとなりうるのは各項それぞれの課題だと考えた私は、フリーランスでも取り組めそうな4つのゴールをピックアップし、その課題をまとめてみることにしました。
SDGsが提起している課題
すべての人に健康と福祉を
目標3 あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を推進する
出典:「SDGs(エス・ディー・ジーズ)とは? 17の目標ごとの説明、事実と数字」
(国連広報センター、2019年1月21日)
課題は
・分娩医療の改善
・調理でクリーン燃料を効率よく使用する高度技術
・たばこリスクの教育
・効率的な保険財源の確保
・衛生施設の衛生状態改善
となっていました。[8]
これらに資する事業を展開できれば、世界各国で必要とされる可能性があります。
質の高い教育をみんなに
目標4 すべての人々に包摂的かつ公平で質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進する
出典:「SDGs(エス・ディー・ジーズ)とは? 17の目標ごとの説明、事実と数字」
(国連広報センター、2019年1月21日)
小、中、高、大、院ほかと教育制度が整っている日本は質の高い教育が実現できていると感じますが、海外に目を向けると質の高い教育を受けられない国が、まだまだあります。
ここでは
・十分な教員養成訓練
・校舎建設および水道・電力供給といった環境改善
・農村部における教育提供機会の確保
・奨学金制度
が課題で、これらへの投資が求められています。[9]
フリーランスで語学が堪能な方、国際経験が豊かな方、特定専門分野に秀でている方なら教育途上国の教員養成訓練において、事業として入り込める余地もありそうな気がします。
働きがいも経済成長も
目標8 すべての人々のための包摂的かつ持続可能な経済成長、雇用およびディーセント・ワークを推進する
出典:「SDGs(エス・ディー・ジーズ)とは? 17の目標ごとの説明、事実と数字」
(国連広報センター、2019年1月21日)
ディーセント・ワークとは、資料によると「働きがいのある人間らしい仕事」だそうです。ここでは
・ディーセントな雇用を生み出す
・経済を刺激する、環境にやさしい、質の高い仕事(に就ける環境の整備)
・所得管理、資産蓄積、生産的投資を行える金融サービス
・世界最貧地域での貿易、金融、農業インフラ整備
が求められています。[10]
上記4項目のうち、2番目なら私たちフリーランスでも着手できそうな事業が生み出せる気もします。
まずは経済を刺激できかつ環境にやさしい仕事は何かを考え、さらにその質を高めるためにはを考え抜くとよさそうです。
住み続けられるまちづくりを
目標11 都市を包摂的、安全、レジリエントかつ持続可能にする
出典:「SDGs(エス・ディー・ジーズ)とは? 17の目標ごとの説明、事実と数字」
(国連広報センター、2019年1月21日)
“都市はアイディアや商取引、文化、科学、生産性、社会開発など、数多くの活動で拠点となります” と書かれ、また人々を社会面、経済面で前進させると解説されています。しかし逆に都市化が進むと、次の課題が生まれその対処、計画、管理、維持が求められるとしています。[11]
・過密
・資金不足(サービス実施上)
・住宅不足
・インフラ老朽化
・大気汚染
・固形廃棄物
都市問題は私たちが、フリーランスとして提供しているサービス事業領域で今できることは何かを考えていくしかなさそうです。
SDGs視点で考えると
SDGs視点で考えると問題解決・社会貢献事業が生み出せるかもしれません。
フリーランスとして活動している方のなかには、いずれソリューション事業、ソーシャルビジネスに取り組みたいという方もいるでしょう。
もし現時点で何をしたいか、何をすべきか決まっていないのであれば、このSDGsという軸で熟考して決めてもいいのでは。私はそう思いました。
<参考・参照サイト>
[1] 「SDGsとは?」(JAPAN SDGs Action Platform(外務省))
[2] 「持続可能な開発目標(SDGs)達成に向けて日本が果たす役割」[PDF](外務省、2020年1月、p.2)
[3] 「SDGsとは?」(JAPAN SDGs Action Platform(外務省))
[4] 「持続可能な開発目標(SDGs)達成に向けて日本が果たす役割」[PDF](外務省、2020年1月、p.2)
[5] 「持続可能な開発目標(SDGs)達成に向けて日本が果たす役割」[PDF](外務省、2020年1月、p.2)
[6] 「SDGs(エス・ディー・ジーズ)とは? 17の目標ごとの説明、事実と数字」(国連広報センター、2019年1月21日)
[7] 「目標12 持続可能な消費と生産のパターンを確保する」[PDF](日本語訳・国連広報センター、2018年12月)
[8] 「目標3 あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を推進する」[PDF](日本語訳・国連広報センター、2018年12月)
[9] 「目標 4 すべての人々に包摂的かつ公平で質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を 促進する」[PDF](日本語訳・国連広報センター、2018年12月)
[10] 「目標8 すべての人々のための包摂的かつ持続可能な経済成長、雇用およびディーセント・ワークを推進する」[PDF](日本語訳・国連広報センター、2018年12月)
[11] 「目標11 都市を包摂的、安全、レジリエントかつ持続可能にする」[PDF](日本語訳・国連広報センター、2018年12月)
この記事を書いたのは

- ライター
- 本業ライター。2014年12月、Lancers登録を機に業務開始。主にビジネスやライフスタイル関連の記事を執筆。必要に応じて取材・撮影もこなす。
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