
フリーランスという働き方が若い世代を中心に浸透してきた昨今、海外でもその勢いは拡がっています。海外で活動を始めてから日本で名前が知られるようになったフリーランサーも登場してきました。
しかし、そのような例を見て「海外でフリーランスとして活動したい」と思っても、いざとなると何から始めて良いか分からない場合も多いことでしょう。
そこで本記事では、海外でフリーランスライターとして活動する私が辿ってきた道のりをベースに、海外におけるフリーランスとしての働き方「海外のフリーランス事情」を解説していきます。
また、私が注目している海外フリーランサーのお2人、wasabiさん、SAKIさんの様子も参考にご紹介します。海外フリーランサーとして活動を開始し、着実にキャリアを積まれています。
フリーランスとして活動を始める
まずはクラウドソーシングサイトへの登録から
最初に行いたいのは、やはりクラウドソーシングサイトへの登録です。海外でフリーランス活動を目指す場合でも、まずは日本のクラウドソーシングサイトに登録し、仕事の進め方に慣れておくと良いでしょう。
現在日本で展開されているクラウドソーシングサービスはたくさんありますが、手当たり次第に登録しても後で混乱を招くので、2つ程度に絞った利用が適切です。
日本のクラウドソーシングサービスで特におすすめなのが、「ランサーズ」「クラウドワークス」の2つ。両者とも比較的早いうちから同サービスを開始した、日本でも最大級のクラウドソーシングサイトです。利用システムが似ているため、併用しても混乱せずに使いこなせます。
自身のWebサイト(ブログ)を開設
クラウドソーシングサイトでの仕事に少しずつ慣れてきたら、自身のWebサイト(ブログ)の設立を試みましょう。独自のWebサイトを持つことで、一種の「ホームグラウンド」が出来上がり、将来の仕事へ繋がる可能性がぐんと広がります。
はじめての開設も安心!Webサイトビルダー「Squarespace」「WiX」
一般にWebサイト開設というと、サーバーを用意してドメインの取得……という細かいステップを踏まなければならないイメージがあります。
しかし最近では開設に必要な準備が全て整っており、後は複数のテンプレートから好みのデザインを選択するだけという便利なサービス「Webサイトビルダー」が多く展開されるようになりました。
数多くあるWebサイトビルダーの中でも、特に利用者が多く人気なのが「Squarespace(スクエアスペース)」です。数々の美しいテンプレートを基本に誰でも簡単にプロのようなWebサイトを作り上げることができます。
14日間の無料トライアル期間(クレジットカード情報の入力不要)も用意されているので、自分のWebサイトを持つという感覚を掴むためにトライしてみるのも良いでしょう。
1つ難点を挙げるとすれば、日本語での利用に対応していない点です。現在対応中の言語(英語・スペイン語・フランス語・ポルトガル語・ドイツ語・イタリア語に対応)が使用できるという場合はもってこいのサービスです。
Squarespaceと同様のサービスを提供、日本語にも対応しているWebサイトビルダーが「WiX(ウィックス)」です。豊富なテンプレートの選択肢から好きなものを選び、ドラッグ&ドロップで簡単にその後の操作ができます。
直接クライアントに連絡を取り、仕事を受注
クラウドソーシングサイトでの実績を積み、自身のWebサイト・ブログの開設を行ったら、次は自分が仕事をしたいと思うクライアントに直接連絡を取ってみましょう。
例えばフリーランスライターの場合、好きで定期的に読んでいるWebメディアがあれば、そこの「採用情報」または「お問い合わせ」欄に記載の連絡先へメッセージを送ってみます。この時、自身のWebサイトURL、仕事の実績や履歴書などを併せて送ると、具体的なイメージを持ってもらえるため効果的です。
海外のクライアントを見つけるには
上記でご紹介したステップを踏み、徐々に自信と実績が得られてきたと感じたら、少しずつ海外のクライアント獲得の方法にも目を向けましょう。
海外のクライアント獲得もまずはクラウドソーシングへの登録から始め、その後直にクライアントへ連絡、そして地域でのネットワーク拡大という順に進めていきます。
様々なクラウドソーシングサイトを最初の手がかりに
日本と同じように、海外にも大小様々、豊富な数のクラウドソーシングサイトが存在します。大手のものでは「Freelancer」「Upwork」が有名で、ありとあらゆる職種の案件が揃っています。
しかし有名であるだけにユーザー数も多く、競争が激しくなる可能性もあるため、様々な種類のクラウドソーシングサイトを調べよく比較してみましょう。ヨーロッパ発祥のクラウドソーシングサイトでは「twago」や「Foule Factory」などがあります。
海外のクラウドソーシングサイトを利用する際も、あれもこれも登録するのは避けましょう。登録した後はプロフィールやポートフォリオの充実化も図らなくてはいけないので、一度に複数登録すると実際の仕事に割ける時間が減ってしまいます。
例えば、まず登録したいサイト候補の中から2つ選択・登録、プロフィールやポートフォリオを可能な限り充実させ、2週間ほど利用して様子を見てみます。応募しても全く反応が得られないなど手応えを感じられなければ、異なるサイトへの移行をおすすめします。
直接クライアントに連絡を取り、仕事を受注
クラウドソーシングサイトで海外のクライアントと連絡・仕事を受注することに慣れてきたら、前述のステップと同様、自身のWebサイトを足がかりに直接クライアントへ連絡を取ってみましょう。
この時WebサイトでもSNSアカウントでも、予め日本語だけでなく英語(またはその他の言語)でも発信を行っておくことが重要です。例えば、自分が担当したWeb上の記事があれば、該当する言語に訳したものをポートフォリオに含んでおくなど、細かい準備が欠かせません。
地域のコワーキングスペースに参加、ネットワークを拡げる
インターネット上だけでなく、実際に人と顔を合わせてネットワークを拡げていく方法もあります。これには地域のコワーキングスペース、またはミートアップに参加するのが最もアクセスしやすく、おすすめです。
現在ヨーロッパの主要都市はもちろん、地方都市にもコワーキングスペースの輪が広がっており、選択肢は増える一方です。
ユニークな例を挙げると、オランダ全土に展開している「TSH Collab」はコワーキングスペース、イベント開催、ホテル、レストラン&カフェが合体した総合コミュニティのような形で運営されています。
TSH Collabのような場所であれば、コワーキングスペースに登録し足を運ぶだけで、様々な人・機会に巡り会う可能性が倍増します。その結果、自然と自然とネットワークの輪が広がり、仕事のチャンスにも繋がっていくでしょう。
いきなりコワーキングスペースに参加するのには抵抗がある人は、定期的に行われているフリーランサーのためのミートアップなどに顔を出してみるのはいかがでしょうか。
コワーキングスペース、ミートアップどちらもWeb検索、Facebook、Instagramなどで気軽に検索できます。
活躍ぶりが参考になる!ヨーロッパで活動する注目のフリーランサーたち
最後はヨーロッパ在住のwasabiさん、SAKIさんの活動の様子をお伝えします。
海外フリーランサーとしてそれぞれ自分らしい道を開拓し、様々な生き方・働き方が実現可能なことを身をもって示すお2人の様子からは、きっと勇気をもらえるはずです。
wasabiさん:ドイツ・ベルリンで翻訳家、ディレクターとして活動
wasabi(本名:高崎祐子)さんはドイツ・ベルリンで活動するフリーランス翻訳家・ディレクター。事業内容は幅広く、英独日翻訳・通訳、ライティング・PR、Webサイト制作ディレクション、ブログ・SNSマーケティング、ドイツ進出・移住サポート、現地視察コーディネートと6種類にも及びます。
2015年に「新卒フリーランス」としてドイツへ渡ったwasabiさんはブログを軸に働き方(フリーランス)に関する意見で注目を集め、TEDxYouth@Kobeへの登壇も果たしました。
その後、先述の事業を着々と成長させ、2017年からは海外移住・フリーランスを目指す人向けのオンラインサロン「wasabiの海外フリーランス養成スクール」を主催。人々の繋がりの輪を広げ、コミュニティへと発展させています。
2018年夏にはフィリピン・セブ島にて、他講師を交えプログラミングのスキル、語学(英語)、フリーランスになるためのいろはを学ぶ合宿型の講座「海外フリーランス養成スクール in セブ島」を開催。参加者に大変な好評を博したようです。
今後2018年冬には場所を変え、wasabiさんの本拠地・ベルリンで「ITスキル」「プログラミング」を学べる講座が開催予定。ベルリンでコネクションを拡げることも視野に入れているこの講座、現地のフリーランサーたちと交流できるミートアップなども盛り込まれるそうで、ますます充実した内容へと進化しています。
自身の経験から得た知識や情報を惜しむことなく、必要としている人たちに伝達しているwasabiさん。ブログの内容もフリーランスの働き方に止まらず、語学、難民問題など様々なジャンルに及び、読者のインスピレーション源となっていることは間違いありません。
SAKI さん:フランス・パリでライター、バイヤーとして活躍
フランス・パリ在住3年目のSAKIさんは、当初フリーランスのライターとして活動を開始。その後ファッション販売サイトBUYMAでオンラインショップを開設し、バイヤーの仕事も受注するようになりました。現在は株式会社の社長として活動されています。
SAKIさんもブログで「働き方」や「海外生活」について情報を発信し、ライターやバイヤーとして活動するノウハウについても紹介しています。
さらにBUYMA運営方法・ヨーロッパの買い付け方法等のスキルを学べる、オンラインでの「BUYMAコンサルティング」も主催。
活動の中心をライティングと翻訳業に置きながら、海外で生計を立てる目的でバイヤー業を開始したSAKIさん。バイヤー活動を通した収入が安定し、今では本業とブログ執筆にエネルギーを注ぎながら新しいプロジェクトにも目を向ける余裕が持てるまでになりました。
SAKIさんご自身のブログにも記されている通り、目標を設定→達成を繰り返して今の環境を手に入れたSAKIさん。文面を通して伝わってくるそのバイタリティ溢れる生き方は、何事にも「挑戦する」ことの大切さを改めて教えてくれているようです。
まとめ
海外でフリーランサーとしてスタートするための実践的な方法、そして実際にヨーロッパで活躍されているお2人の様子をご紹介してきました。何か働き方の参考になるヒント・情報が得られたでしょうか。
人によって仕事のスキルや体調に差があるのは当然ですし、家庭の事情など考慮すべきことも多くあるでしょう。そういった中でも、先にご紹介したお2人のように「今居る環境で自分にできることは何か」を見極め、「自分にフィットする働き方&システム」の実現に向け地道な努力を重ねていくことが道をひらくカギとなります。
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