
今春、緊急事態宣言や外出自粛要請が出たことから、自宅でのリモートワーク=在宅ワークに初めてチャレンジしたという方も多いのではないでしょうか。
これまで「単価が低いのではないか?」「単純作業ばかりでつまらないのではないか?」とイメージされがちだった在宅ワークですが、「好きな時間に場所を選ばずに働ける」とそのメリットに注目が集まりました。
株式会社MaVieが、2020年5月に実施した調査「働く女性のキャリア・ライフプランに関する価値観の変化」では、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、「時間や場所に縛られない働き方をしたいと思うようになった」とキャリア感を変えた人の割合が全体の7割近くに上ることが明らかになりました。[1]
さらに、在宅ワーク特化型求人サイト「ママワークス」を運営する株式会社アイドマ・ホールディングスは、2020年3月~4月にかけて「在宅ワークという働き方に対しての意識調査」を実施。その結果、回答者の4割以上が今後も在宅ワークを続けたいという意思を持っていることがわかりました。[2]
今回は、上記2種類の調査内容を読み解きながら、これからの時代ますます広がりを見せるであろう在宅ワークという働き方について考えてみます。
「単価が低い」から「ステップアップできる」仕事へ
冒頭でご紹介した「ママワークス」のアンケート調査では、「自分の理想的な働き方はありますか?」という質問に対し、「在宅ワークで新たなスキルを取得しながら更に上を目指したい」と回答した人が全体の39%と一番多く寄せられたということです。[3]
「単価が低い」「単純作業が多い」といったイメージが定着していた在宅ワークですが、実際に在宅ワークに従事しているワーカー側では、在宅ワークが「ステップアップできるプロの仕事」として認識されつつあることがわかります。
さらに、「今後のキャリアに繋がりそうな案件が増えることを期待」「未経験でも普通の会社と同じように研修などしてスキルをつけられるような仕事が増えればいいのに」といった意見もあり、ワーカー側がより高度な案件を求める傾向にあるということが明らかになりました。[4]
新しいキャリアに向け、すでに行動を開始している人が過半数
働く女性の約7割が「時間や場所に縛られない働き方をしたいと思うようになった」という驚くべき調査結果を出したMaVieのアンケート調査では、さらに「キャリア観の変化に対して、行動を起こしていることはありますか?」という質問を実施。回答者の過半数がすでに行動を起こしていると回答しました。[5]
具体的な行動内容については、「資格取得やスキルの勉強をはじめた」という回答が一位となり、在宅ワークの中でも専門性の高い仕事を視野に入れながら行動を起こしている人が多いことがわかりました。[6]
在宅ワークへのファーストステップは「スキルの整理」
一方で、明確なキャリアプランを持っていない場合は、どのように在宅ワークを始めれば良いのでしょうか。
MaVieのアンケート調査では、今後のキャリアやライフプランに不安や悩みを感じている方の約半数が「副業をはじめるにも、スキルの整理など何から手を付けていいかわからない」と回答したことがわかりました。「フリーランスや在宅ワークも考えるが、自分のスキルで何が出来るのかわからない」という声もあり、在宅ワークへ働き方をシフトしていくためには、自身の「スキルの整理」が一つのキーポイントになっていることが見受けられます。[7]
この場合のスキルは、資格などの目に見えるものだけでなく、自分がこれまでのキャリアの中で築いてきた経験に基づくあらゆる種類の能力だと理解しておくと良いでしょう。
私はフリーランスのライターとして在宅ワークを行っていますが、これまでライターとして企業勤めを経験したことはありません。しかし前職で事業企画や広報などの仕事をしていましたので、その仕事の一環で企画書やプレスリリースを書く作業は何度も経験していました。
このように「書く」という能力をスキルの一つとして捉えた結果、全くの異業種であるライターの仕事にもスムーズに移行することができました。
在宅ワーク歴2年のフリーランスライターの体験談
私が在宅フリーランスとして開業したのは2018年4月のこと。
それまでは、公共文化施設の事業企画の仕事に従事していました。
公共文化施設の仕事は、舞台芸術に携わる仕事をしたいという一心で切り開いたキャリア。情熱を持って取り組んでいましたが、結婚や出産などのライフイベントを経験するにつれ、ワークライフバランスに悩むことが多くなっていました。
また、いくら働いて成果を出しても、評価されにくく、待遇面での不満もありました。
そこで副業として始めていたライターの仕事を、思い切ってフリーランスとして開業、本業にしたのです。
フリーランスとして働き始めてまず感じたのは、「働けば働くだけ収入が上がる」という点です。
自分の成果が目に見える形で実感できるので、仕事に対する満足度が格段に上がりました。
私の場合は、開業して約1年半が経過した頃には、前職でもらっていた手取り額と同じくらいの収入を得られる月も出てきました。
(その後、引っ越しや昨今の先の見えない状況の影響から、収入の安定性ではまだ課題が残りますが。)
収入を増やしたところで、長時間労働になってしまったり、精神的ストレスを抱えてしまったりすると健康面で悪影響があります。
とくに私の場合、開業時の目標の一つとして、企業勤めしていた頃には叶わなかったワークライフバランスを実現したいと考えていたため、収入アップのために、単価の高い専門的な仕事を得られるように努力しました。
つまり、ライターとしてステップアップを図ったのです。
ライターと言っても、さまざまな仕事があります。「こんな金額で仕事を受けるの?」と思わず二度見してしまうような初心者向けの低単価の仕事もありますが、一方で私がライターを始めた2年前には想像できなかったような単価の高い仕事もたくさんあります。
一つ一つの仕事をしっかりこなしていけば、それが着実に実績となり、収入面での待遇にも反映されていきます。
さらに専門性を高めることによって、より高度な仕事へのステップアップも可能になるのです。
最後に
ステイホーム期間を経て、在宅ワークは、今後ますます注目される働き方へ変化していくでしょう。
私自身、フリーランスとして在宅で働くようになってから、時間に追われることが少なくなり、家事や育児に割ける時間が増えました。企業勤めをしていた頃に比べると今のワークライフバランスに満足していますし、心に余裕が生まれたと感じています。
また、自分のやる気や能力次第で収入アップにもつながるので、働くことに対して以前よりモチベーションが上がりました。
一方、在宅ワーク人口が増えると競争率が高くなる可能性も無視できません。
「簡単そう」「楽そう」という理由で安易に在宅ワークを始めると、なかなか単価の高い仕事を得られずに疲れてしまうことも考えられます。
これから在宅ワークを始めたいと考えている方は、自分のキャリアプランを意識しながら、着実にステップアップしていくことが求められるでしょう。
<参考・参照サイト>
[1] 「新型コロナウイルス感染症拡大をきっかけに、働く女性の8割以上が「今後のキャリアに不安を考えている」と回答。相談できる環境がないという声も4割に」(株式会社MaVie、2020年6月17日)
[2] 「~働き方が変わる今、在宅ワーカーが求める理想とは/ママワークスアンケート第3弾~在宅ママワーカーのプロ意識高まる企業は期待に応える体制作りの検討を」(株式会社アイドマ・ホールディングス、2020年6月26日、p.1)
[3] 「~働き方が変わる今、在宅ワーカーが求める理想とは/ママワークスアンケート第3弾~在宅ママワーカーのプロ意識高まる企業は期待に応える体制作りの検討を」(株式会社アイドマ・ホールディングス、2020年6月26日、p.1)
[4] 「~働き方が変わる今、在宅ワーカーが求める理想とは/ママワークスアンケート第3弾~在宅ママワーカーのプロ意識高まる企業は期待に応える体制作りの検討を」(株式会社アイドマ・ホールディングス、2020年6月26日、p.2)
[5] 「新型コロナウイルス感染症拡大をきっかけに、働く女性の8割以上が「今後のキャリアに不安を考えている」と回答。相談できる環境がないという声も4割に」(株式会社MaVie、2020年6月17日)
[6] 「新型コロナウイルス感染症拡大をきっかけに、働く女性の8割以上が「今後のキャリアに不安を考えている」と回答。相談できる環境がないという声も4割に」(株式会社MaVie、2020年6月17日)
[7] 「新型コロナウイルス感染症拡大をきっかけに、働く女性の8割以上が「今後のキャリアに不安を考えている」と回答。相談できる環境がないという声も4割に」(株式会社MaVie、2020年6月17日)
この記事を書いたのは

最新の投稿
- 2020年11月15日働き方コラム憧れの田舎生活!?いいえ、我が家は「地方都市」への移住を選択しました
- 2020年9月16日さくせん「一日中一緒にいるのは大変じゃない?」過ごし方に気を付ければ、夫婦で在宅ワークも悪くない
- 2020年9月7日働き方改革「単価が低い」は過去の話!?今後在宅ママワーカー人口はますます増えるだろう
- 2020年8月12日さくせんウィズコロナの時代、取材も対面からオンラインスタイルへと変わっていくだろう