どのように副業を選ぶか、ビジネスの本質から役立つスキルを考える

「本業だけでは将来が不安」「もっとお金が欲しい」とさまざまな理由で始める副業。
ですが、利益が出ないからといって、すぐに辞めては新しい副業に手を出し、そしてまたすぐに別の副業を始める。そんなスパイラルに陥っている人がいます。
その原因の一つに、利益至上主義になっていることが挙げられます。
仕事をする以上、利益を求めるのは当然です。
しかし、利益ばかりを追いかけていては、稼げないのも事実。一時的に稼ぐことはできても、その状況を維持することはできません。
それは、ビジネスの本質から外れてしまっているからです。
本質を理解したうえで、副業に役立つスキルとは何かを考えてみましょう。
ビジネスの本質は「三方よし」の精神にある
一般のビジネスパーソンにはあまり聞き馴染みがない「三方よし」。成功している経営者なら、誰しもが知っている言葉です。
これは、かつての近江商人たちの哲学・心得です。
売り手よし、買い手よし、世間よしという三方向の“よし(良し・好し・善し)”を指しています。
売り手である自分を偽らず、顧客や世間にとって良いもの(サービス)であれば、自然と収益に繋がっていくから、独りよがりの利益至上主義にならないようにといった意味が込められています。
「三方よし」の精神を失って自分の利益ばかりを追いかけている人は、買い手(顧客)を金づるとしてしか見なくなります。
そうした人が提供するサービスには、顧客を大切にしようという思いがありません。利益至上主義の思想は、わずかな態度や言動からでも顧客に伝わります。
その結果、次第に取引がなくなり、やがては顧客を失うことになります。
「三方よし」から考える副業とは
顧客に良いサービスを提供するには、売り手となる自分が胸を張れるものでなければなりません。
たとえば物品販売で、誰でもいいから商品を売ればいいと考えているのと、本当に必要としている人に売ろうと考えるのとでは、商品や顧客に対する意識の質が全く異なります。
前者の場合、売れればどんな商品でもいいのです。最終的に欲しいのはお金だからです。
一方、後者の場合は顧客ありきで、扱う商品を考えます。具体的には「○○に困っている人なら、☓☓の商品(サービス)があると問題が解決するだろう」という考え方です。お金を受け取ることが前提になっていないのです。
前者と後者の考え方の違いは、のちのち大きなものとなって売り手である自分にかえってきます。
これをもとに考えると、どんな副業を選べばいいのかが自ずと見えてきます。
私の場合はライターという職業柄、黒子的な業務がよくあります。
仕事の1つにプレスリリース原稿の作成がありますが、この仕事については全ての依頼を受けることはなく、内容次第では受注をお断りします。
その理由は、受注すれば必ず顧客側にコストが発生するからです。
プレスリリースは、発表したからといって必ずしも世間から注目されるわけではありません。スポットライトが当たるのは、わずか一握り。
世間からの注目が集まれば、顧客は大きなコストをかけずとも自社への認知が向上し、プレスリリースにかけたコストも回収できます。
しかし、注目されなければ依頼したコストを回収するのに、別のアプローチが必要となり、コストがさらに発生します。
私は、顧客側のコストパフォーマンスを考慮して、受注するかどうかを判断しています。
プレスリリース制作は、結果が伴ってはじめて評価される仕事です。結果が伴わなわければ、次の取引はまずありません。
0か100かしかない、極端な仕事です。
ですが、ビジネスの本質にとても近い仕事だと思っています。
自分の利益ばかりを求めている人ならば、結果がどうなろうと関係ないでしょう。
報酬欲しさに受注するかもしれません。
ですが、そのような仕事の仕方をしている限り、いつまでも新規顧客を求め続けることになります。
ビジネスは、自分が嬉しいばかりでは上手くいきません。相手も喜ぶものでなくてはならないのです。
あなたが副業で仕事を選ぶときも、「三方よし」になるものは何かを考えてみましょう。
徹底的に自分を棚卸ししてみる
「三方よし」となる副業を見つけるには、まず自分を棚卸ししてみることです。
人にはそれぞれ素質・特性・特技・能力・経験など、その人にしかないものがあるものです。
ひとつひとつは些細で、誰かと似たりよったりかもしれません。
それでも、他の素質や能力などと掛け合わせれば、オリジナルのサービスが生まれます。
かつて私は、多様な業界を渡り歩き、いろいろな職種を経験してきました。
IT、金融、建設、製造など、特別珍しい業界ではありません。
経験した職種も、OAインストラクター、営業補佐、システムエンジニア、CADオペレーター、資材管理などで、業務内容も同業者なら一般的と感じることばかりです。
そうやってそれぞれ単体で見れば、何も特別なものはありません。
仕事で培ったものには、業界への理解やリーダースキル、ビジネスマナー、営業戦略の立て方、大多数の人前で話すトークスキル、プレゼン能力などがあります。
これらも、それぞれを独立した1つの能力として見れば、大したものではありません。
しかし、あなたのあらゆる経験や持っているスキルを組み合わせ、掛け合わせていくことによって、あなたにしかできないことが生まれます。
たとえば、私はよくコンペでのプレゼン指導や営業戦略の相談、商談交渉の場に同伴を依頼されます。
その始まりは、とても偶然なものでした。
ビジネス交流会で知り合った方から、コピーライターを探しているデザイナーがいると紹介をされたのがきっかけです。
プレゼン資料とカタログ制作を受注したものの、文章構成が苦手だということでパートナーを探していたところ、出会ったのが私だったのです。
この仕事の最中、パートナーと何度か打ち合わせをするのですが、その際に私が何気にこぼした言葉がきっかけとなって、そこから客先のプレゼン指導や営業戦略のご相談、商談交渉の場に同伴を依頼されるようになったのです。
もともとパートナーも私もフリーランスで活動をしていますから、個々に営業活動をしています。
パートナーは、デザイン業界一筋できたため、他業種についての知識はデザインにまつわる部分しか知らなかったのです。
一方で私は、15年もの間、派遣業界の中で多業種かつ多種多様な仕事を経験していました。その中には、営業マンの販路開拓やプレゼンの補佐役として大きな商談の場に出ることもしょっちゅうでしたし、自社製品の顧客開拓のためのセミナー講師などもしていました。
そうした経験と培った知識がもとになり、状況に応じたアイデアが自然と思い浮かぶのです。
しかし、それは私にとって大したスキルと思えるものではなかったため、自分の強みになるとは到底思っていませんでした。
ところが、ふとしたときにそうしたアイデアを口にしたところ、「客先にそれを伝えてみましょう」ということになりました。
実際に、それを先方に伝えたところ新たな販路開拓に繋がり、デザイナーにとっても新たな仕事を獲得することに繋がったのです。
そうしたことが何度か続き、パートナー経由や、かつてのクライアントづてにご相談をいただく機会が増えてきました。
私自身は全く売り込みをしているわけではないのですが、「ちょっと話を聞いてくれませんか?」というお声がけをいただき、それに応じているうちに自然とそれがビジネスの形をとるようになり、現在に至ります。
自分が持っているあらゆる素質やスキルなどを総動員し、必要なところに適切に当てはめていく。
相手やその周囲が求めるものに最大限で応えることができれば、自ずとビジネスの形を成していきます。
他人が思う自分の「すごい部分はどこか」を聞いてみる
自分の強みになるものは、自分でわかっているようでいて、意外にわかっていないこともよくあります。
自分ではそうは思っていないのに、あることに対して「すごい」と褒められて驚いたことがある人も多いはず。
他人から一目置かれている素質やスキルなどは、自分では価値を感じていないことも多々あるものです。
ビジネスにおいて、他人から注目されている部分は自分の強みになります。
けれど、それがどんなものかは、自身を取り巻く人たちに聞いて確かめるしかありません。
他人が知る自分を含めて、自身が持つ素質や能力には何があるのかを把握すれば、自分に合う副業探しやその後のビジネス展開にも大いに役立ちます。
最後に
副業に役立つスキルというと、資格や経験値に重点が置かれて語られがちです。業務内容によっては資格が必須となるもの、飛び抜けた経験値が必要なものもあります。
けれど、どんな副業であれ、資格や経験値があるから稼げるわけではありません。
副業を成功させたいのであれば、何を提供するかだけでなく、顧客や周りを取り巻く世間が求めるものは何かに目を向けることは大切なことです。
そのうえで『あなたが持っているスキルや経験の中で、誰かのために活用できるもの』は何かを見つめ直してみてください。
それが「三方よし」に繋がり、結果的にあなたが本当に望むものをもたらしてくれます。
この記事を書いたのは

- ライター
- 【フリーライター/作家/電子書籍編集者】家事が苦手のママライター。いつもどうやって手を抜こうか考えています(笑)一番の趣味は、カメラと散歩と海外小説。相棒のEOS Kissを片手に、あちこちを飛び回っています。
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