会社が副業禁止でも諦めるのはまだ早い。今後副業解禁は間違いなく増える。

柔軟な働き方を求めて副業を始める人が増える中で、まだ副業を禁止している企業は全体の7割以上。
自分の勤めている会社が副業を禁止しているという理由から、副業に前向きになることができない人もいるでしょう。
しかし、諦めるのはまだ早いかもしれません。
株式会社リクルートキャリアが2018年に発表した「兼業・副業に対する企業の意識調査」[1] によると、兼業・副業を容認・推進する企業数の全体に占める割合は前年の調査よりも増加。
さらに現在禁止している企業の中でも、今後副業や兼業を容認・推進する意向のある企業が多数存在することがわかってきました。
「兼業・副業に対する企業の意識調査」を2018年分[1] と2017年分[2] で比較し、そこから見えてくる副業の未来について考えてみたいと思います。
「兼業・副業に対する企業の意識調査」の調査結果サマリー
株式会社リクルートキャリアは2018年9月に「兼業・副業に対する企業の意識調査(2018)」を実施。
調査対象は、全国の企業の人事部もしくはその他部署の管理職の正社員2,271人。
まずは、調査結果のサマリーからどのようなことがわかるのか考えていきましょう。
兼業・副業を容認・推進する企業の割合
2018年の調査では、兼業・副業を容認・推進している企業は全体の28.8%という結果になりました。
内訳は、「推進している」が3.6%、そして「容認している」が25.2%。
逆に「禁止している」企業は全体の71.2%と大部分を占めています。
この結果だけを見ると、日本の企業にとって兼業や副業はまだまだ理解されがたいのではないかと感じますよね。
しかし、それは安易な考えかもしれません。
リクルートキャリアでは2017年1月にも同様の調査を実施しており、その時の結果と比較してみるとその理由がわかります。
2017年1月に実施された「兼業・副業に対する企業の意識調査」によると、当時「兼業・副業を容認・推進している」と回答した企業は全体の22.9%。
つまり、2018年の調査では、同じ質問に対して「容認・推進している」と回答した企業の割合が5.9ポイント上昇していると言えるのです。
わずか5ポイント強の変化ですが、1年の間で起こった意識の変化としては興味深い結果と言えるのではないでしょうか。
政府の働き方改革が進む中で、同程度の変化がこの先同じように続くと仮定すると、5年後には過半数が「推進する」と回答する時代になるかもしれません。
将来的な副業の容認の意向
調査実施時に兼業や副業を容認していない企業に対しては、「将来的に兼業・副業を認めることを検討していますか?」という設問が設けられました。
2018年の調査において、この設問に対して前向きな回答を示した企業の割合は全体の16.7%。
その内訳は、「現在検討中」が7.5%、「検討したい」が9.2%という結果でした。
この設問に対する回答も、2017年の調査結果と比較してみましょう。
2017年の調査において、同様の質問に対し前向きな回答を示した企業の割合は4.3%。
内訳は、「現在検討中」が0.8%、「検討したい」が3.5%でした。
つまり、2017年から2018年の約1年間で、その割合はなんと12.2ポイントもアップしているのです。
この結果からも、より多くの企業が、兼業や副業を容認する方向に意識を変えていくだろうということが予測されます。
兼業・副業を禁止する企業の理由とは?
しかし、副業禁止の企業に勤務する方にとっては、5年後ではなく今すぐにこの問題を解決したいというのが率直な気持ち。
そのためには企業側の本音に踏み込む必要があります。
兼業や副業を禁止する企業は、なぜそのようなルールを設けているのでしょうか?
「兼業・副業に対する企業の意識調査」では、企業が兼業や副業を禁止する理由についても調査されました。
同調査によると、兼業・副業の禁止理由は、「社員の長時間労働・過重労働を助長するため」が最も多くなっています。
これは2017年の調査でも同様でした。
また業種別での調査結果を見ても、全業種においてこちらの理由がトップ。
つまり、会社の副業禁止のルールを覆すためには、この点をいかに改善できるかというのが一つのポイントになってくるのではないでしょうか。
今の仕事で長時間労働・過重労働をしていないか
まずは現在の自分の仕事状況を振り返ってみましょう。
残業や休日出勤などが重なっていませんか?休暇はしっかりと取ることができていますか?
もしこれらの質問に対して自信を持って「はい」と答えることができないのであれば、あなたが兼業や副業を開始することは、会社が心配する「社員の長時間労働・過重労働を助長する」ケースに当てはまってしまうことでしょう。
まずは、今の職場での仕事量や業務体系を再考する必要がありそうです。
それらの効率化を進めた上で改めて会社側に相談すれば、会社としても「社員の長時間労働・過重労働を助長するため」を理由に兼業・副業の禁止を続けることは難しくなってくるかもしれません。
副業によって全体的な仕事量が負担になることはないか
今の会社での仕事量や勤務時間に問題がない場合でも、副業の内容によっては全体的な仕事量が負担になってしまう可能性も考えられます。
例えば、それまで休養や余暇のために使っていた時間すべてを副業に費やしてしまった場合、または、能力的・体力的に膨大なエネルギーを消費するような仕事を副業に選んでしまった場合。
副業をすることによって、健康や活力が奪われてしまう可能性も考えられるのです。
私は一時期、会社勤めのかたわら、副業に励んでいた時期があります。
当時、家庭では未就学児二人の育児もしていたので、朝から晩まで、文字通り休む暇がありませんでした。
働き方に悩んでいた時期で、副業として始めたライター業でなんとか生計を立てることはできないかという焦りもあり、「もう少し頑張ろう」と日々副業の時間を増やしてしまったのです。
自分の身体に負担がかかっていたことに気が付かずに、無理を続けていました。
しかし、そういった生活は長く続かず、ものの数ヶ月で自分自身の体調を崩してしまう結果となりました。
会社側の「長時間労働・過重労働を助長する」という心配が杞憂であると説得するためにも、あらかじめ節度を持って取り組むことができる副業の種類を見極め、自分自身の体調と向き合いながらちょうど良いペースをつかめるようしっかり計画することも必要ですね。
柔軟な働き方を求めて副業を開始するなら、まずは会社とじっくり話し合うことも大切
「兼業・副業に対する企業の意識調査(2018)」の結果からもわかるように、今後ますます兼業や副業を容認する企業は増えてくるでしょう。
しかし、ルールだけがすべてではありません。
副業を始めたいと考えるなら、まずは自分自身が理想の働き方について考えを深め、会社と話し合いを重ねていくことが重要でしょう。
<参考・参照サイト>
[1] 「兼業・副業に対する企業の意識調査(2018)」(株式会社リクルートキャリア、2018年10月12日)
[2] 「兼業・副業に対する企業の意識調査」(株式会社リクルートキャリア、2017年2月14日)
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