地元で活動中のフォトグラファーにプロフィール画像を撮ってもらい、お仕事のことなど伺った

私は本業ライターなのですがクライアント様からご依頼をいただければ1人で、レコーダーとカメラも持って取材先に出向き、ヒアリング・写真撮影などを行うこともあります。
ですが、ここ1年で考えが変わり、同じものを納品するならもっと最高の品質で納品したいと考えた結果、
●インタビュアー
●カメラマン
●ライター(私)
の3人で行かせていただき分業、納品できるようにご提案、実施させていただくことも少なくありません。
実際、分業すると1人で対応していたときによく感じていた「あのとき、ああすればもっとよかったかも」といった後悔が少なくなりました。
現場で何かしらの対応漏れがあればメンバーの誰かが気づき「忘れてますよ」「飛びましたよ」と教えてくれたり、その場で改善案を出してくれたりするためです。
また取材というのは対象者の方に貴重なお時間をいただく行為です。
それなのに
●資料や筆記道具を出す
●レコーダーを操作する
●カメラを取り出し諸々設定する
などの間、非常に心苦しいのですがどうしてもお待たせしてしまうことになります。
そんな中でも手が空いているメンバーがいれば世間話などに花が咲き、間を埋めてくれますから、お待たせしている感が薄れるように感じています。
そしてなによりもいいのが写真の出来映えです。
ある時クライアント様から指定があったのは、取材対象者の正面写真(胸から上)でした。
ファインダーを覗き込みながらいろいろと話しかけ、笑顔を引き出すカメラマン。
正直私にはできないことだと思いました。
後日、とても自然ないい笑顔でかつ人柄がにじみ出た写真が共有データとして送られてきた時が、「あぁ、プロにお願いしてよかった」と思えた瞬間でした。
ライターに限らずイラストレーターやデザイナーであっても、いずれカメラマンと一緒にお仕事をする機会、すべき場面が出てくることでしょう。
やはりそんなときに、自分の仕事場の周辺で活動しているカメラマンの方と仲良くなっておくと、業務の質の向上につながります。
こちらの画像は、現在私がCool Workersをはじめとしたさまざまなサイトに掲載をさせていただいているプロフィール画像です。駅ナカにある証明写真機で撮影した2年前のもの。
そろそろ更新すべき時期と考えていたのですが、ふと「そうだ、南郷さんに撮ってもらおう」と私は思いついたわけです。
南郷さんは福岡市を拠点に活動されているカメラマンで、私は昨年知り合い、カメラ操作や撮り方などのコツを教えていただきました。
実は以前から、同じフリーランスとして、カメラのお仕事がどのようなものなのか詳細が気になってた私。
そこで今回、ただ撮っていただくだけではなく、取材を申し込みいろいろと訊いてみようと考え、実際にインタビューしてきました。
撮影・取材当日
2019年8月某日、初秋の訪れか少しだけ肌寒いJR博多駅。
筑紫口で合流し入場券を購入、新幹線ホームで軽く打ち合わせたのち撮影、その後、近くの喫茶店に移動し取材をさせていただきました。
南郷大成氏、以下南郷、敬称略「お疲れ様でした。」
私「こちらこそ撮影くださりありがとうございました。お疲れ様でした。ここからはもう少しだけお時間をいただき、取材をさせていただきます。よろしくお願いいたします。」
南郷「よろしくお願いいたします。」
以下、聞き手:私、回答者:南郷
—それではまず、南郷さんのお仕事について教えていただけますでしょうか
フリーランスの広告フォトグラファーです。
独立して6年目になります。主に新築建造物(マンションなど)料理(メニュー)人物を被写体とする撮影を行なっています。
また、国内外問わず観光地に足を運び、観光スポットを撮影していく業務もさせていただいています。
—具体的にどのようなお仕事をされているのですか
文字で表現しますと「写真撮影請負業」です。
クライアント様からご依頼のあった写真を撮影しセレクト(選定)、編集したのちCD-Rや電子メールで納品します。
私の主な仕事内容は先ほどお答えしたとおりですが、そのほかにも成人式や結婚式、商材写真、SNSのプロフィール写真撮影などもカメラマンのお仕事です。
かつては冊子を作成する際の素材写真を撮影させていただくことが多かったのですが、ここ近年はホームページやWebサイトの素材写真のご依頼も多くなりました。
—なるほど。営業や案件開拓はどのようにされていますか
現在ありがたいことに、法人クライアント様からはコンスタントにお仕事を受注させていただいております。
また都度、個人のクライアント様からもご依頼をいただいており、最近ですと飲食店を営む個人事業主様からメニューに載せる料理写真などを撮影させていただく機会が多いです。
—ありがとうございます。では独立したての頃の営業や案件開拓について、どのようにされていたか、お聞かせいただけますか
当時コンビニに並んでいた雑誌を手にとり、片っ端から発行者を調べては連絡をしたり出向いたりし、積極的に営業をかけていました。
フットワークの軽さ、納品スピードをウリに「とりあえず何でもいいですから撮らせてください」とお願いし、案件をいただいていました。
—カメラマン・フォトグラファーを始めるときに必要なものは何ですか
まず物理的なものから説明させてください。
最近はiPadで撮影をされる方もいらっしゃるのですがやはりカメラですね。(笑)
そしてセレクト・編集・納品作業のためにパソコンが必須です。
野外での撮影を想定されているなら雨に濡れないようカッパや、カメラを水滴から守る専用カバーなどもあればなおいいです。
—今日の撮影でもカメラを複数、用意されていましたけどその理由があれば。意味などがあるのでしょうか
もちろん理由があります。
急に雨が降る、周囲に人が多く思うように予定構図が確保できないなど、アクシデントはどのような撮影でもつきものです。
トラブルが起こらないように日頃から管理はしているのですが、水濡れ、落下、機材の突然の故障など、万が一の事態も予測しています。
そのため、予備の同等機種さえあれば、撮影不能という事態だけは避けられ安心なのです。
撮影内容によってはレンズ交換を行う時間がとれないため、望遠・広角で使い分けることもあります。
カメラを生業とするのであればアクシデントが起きたときに、それを逆手にとってやろう、利用しようという柔軟性が必要ですね。
これは開業時から持つべきマインドです。
あと「俺はいいものを撮れるんだ!!」という自信も必要です。
それがなければ現場で、被写体人物や関係者が腑に落ちるような的確な指示ができませんし、クライアント様に価格を提示することもできません。
—フォトグラファーになって印象的だったお仕事はありますか
すべてですけど……。
あえてひとつに絞るなら、知人から頼まれて撮影させていただいた家族写真です。
御祖母様を交えご自宅で撮らせていただいたのですが、その後急逝されたのです。
「写真を撮っておいてよかった」と知人ご家族からとても感謝されたことは、これからもずっと忘れないと思います。
—ありがとうございます。現在、お仕事を行ううえで大切に思っていることがあればお聞かせいただけますか
●マイペースを維持すること
●楽しみながら撮ること
この2つを大切にしています。
経験上、バタバタ慌ただしく動いてもうまくいきません。
また、気持ちが作品に表れると感じています。
楽しい写真をリクエストされたときは、企業秘密ですがある裏技を使って、取り組ませていただくことも実はあります。
—企業秘密があるのですね。これで最後の質問となりますが、将来のビジョンや目標があれば教えてください
今いただいているお仕事を大切にしつつ、「家族写真家」として活動をするのが目標です。
—印象に残ったお仕事も「家族写真」でしたよね。もうすでに家族写真家なのでは
いえいえ!
これまでまだ400家族しか、撮らせていただけていないのです。
目標は1,000家族。
4桁を達成してはじめて家族写真家と名乗れる、本格的に活動できると思っています。
—写真家ですけど、カメラマンやフォトグラファーと、どう違うのですか
カメラマンやフォトグラファーはクライアント様のご依頼に基づき、求められている写真を撮ります。
対して写真家は、自分で考えたものや直感で撮ります。
いずれはそんな写真家に、そして写真の価値や意義をもっと高められる人になりたいと思っています。
—今日はありがとうございました
ありがとうございました!
インタビューを終えて
本件取材、別件打ち合わせを終えた夜。
帰宅すると早速、南郷さんから写真データが送られてきていました。
しかもしっかりとセレクト・編集されたものがです。
3カットで1万円。
個人的には大変満足しています。
フリーランスの方は、ぜひ自分の仕事場の周辺で活動するカメラマンに撮影依頼をされることをオススメします。
そして、それを機に仲良くされると、私が感じているようにお仕事の幅も可能性もきっと広がると思います。
■南郷大成氏プロフィール
南郷大成 HIRONARI NANGO
広告フォトグラファー
1985年宮崎県生まれ、2013年NANC写真事務所を立ち上げ、福岡市を拠点に国内外で活動中。
【ホームページ】NANC写真事務所 (https://hironari-nango.com)
この記事を書いたのは

- ライター
- 本業ライター。2014年12月、Lancers登録を機に業務開始。主にビジネスやライフスタイル関連の記事を執筆。必要に応じて取材・撮影もこなす。
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