近年、その人口が増え続けている「フリーランス」という働き方。よく耳にするこの「フリーランス」という言葉、なんとなくわかっている人は多いと思いますが、きちんと説明できますか?
今回は、「フリーランス」で働くという意味を、様々な角度からご紹介します。
フリーランスの定義とは
Wikipediaでは、フリーランスについて下記のように説明しています。
フリーランス(英: freelance)は、特定の企業や団体、組織に専従しておらず、自らの才覚や技能を提供することにより社会的に独立した個人事業主もしくは個人企業法人である。日本では『自由業』『自由職業』『フリーランス』と呼ばれる。請け負った業務を実際に遂行する本人はフリーランサーと呼ばれる。
また、大辞泉という国語辞典では、類語のフリーランサーについて下記のように定義しています。
フリーランサー【freelancer】:自由契約者。一定の会社や団体などに所属せず、仕事に応じて自由に契約するジャーナリストや俳優・歌手など。フリー。フリーランス。
引用:国語辞典「大辞泉」
これらを踏まえると、特定の組織には所属せず、契約を結んで自身のスキルを提供し、仕事を請け負う働き方をフリーランスと呼ぶ。そして、フリーランスという働き方で実際に仕事をしている人を、フリーランサーとしていると考えられます。
フリーランスを4つのタイプに分類
しかし近年では、フリーランスの人口が増えるにつれ、その定義も広く捉えられているようです。
フリーランス増加に大いに影響を与えたクラウドソーシングの1つ「ランサーズ」が2017年に行なった調査によると、一概にフリーランスといっても、その働き方はさらに細分化され、4つの種類に分類できるようです。
<すきまワーカータイプ>
雇用されているが、副業としてフリーランスの仕事を行っている。
<独立・オーナータイプ>
個人事業主、もしくは法人経営者で、自分1人で経営をしている。
<パラレルワーカータイプ>
雇用形態は様々だが、複数の企業と契約に基づいて仕事を行なっている。
<フリーワーカータイプ>
特定の所属先はなく、独立して自身のスキルで仕事をしている。
フリーランスのイメージとして真っ先に思い浮かべるのは「フリーワーカータイプ」という人も多いのではないでしょうか。
しかし、この調査での割合を見てみると、すきまワーカータイプがフリーランス人口の41%、独立・オーナータイプは29%、パラレルワーカータイプは25%となり、6%と一番少ないのがフリーワーカータイプという結果に。
フリーランスの由来は?
さて、次はフリーランスの由来について考えて見ましょう。フリーランスを直訳すると「自由な槍」。なぜ「ランス(槍)」という言葉が使われているのでしょうか。
由来は中世ヨーロッパの傭兵だと言われています。中世のヨーロッパといえば、戦争や国の侵略、分割なども多かった時代です。よって当時の傭兵は、報酬や戦う意義に納得できれば、生まれた国や民族に関係なく、どの国や君主とも契約を交わしてして戦場へ出ました。このようなどこにも所属していない(free)騎兵(lancer)がフリーランスの語源だと言われています。
「free」はよく使われる「無料」という意味もありますが、 この場合は「自由」と訳されます。
「lancer」は戦闘の専門職であるため、各地の君主と契約をすることが出来ました。契約後は、専門職としてのスキルを活かし、スキルに対して報酬を得ます。現代のフリーランスは傭兵以外に意味を広げていますが、由来である傭兵の生き方と通じるものがありますよね。
働く場が戦場から幅広い仕事の世界へと広がりましたが、契約に基づいて仕事をして報酬を得るという意味では、現代も中世も違いはないように思います。
フリーランスと似ている言葉
フリーランスと似通った言葉として、「フリーター」という言葉があります。フリーターは「フリーアルバイター」の略称で、一般的には、組織に雇われる雇用形態でアルバイトもしくはパートとして雇い主と契約を結ぶ働き方のことを指します。正社員などと比べると、自由度が高い働き方である一方で、安定や社会的信用を得たいという人は、向かないかもしれません。
他に、フリーランスと同じような働き方を表す言葉でよく聞かれるのが、ノマド、SOHOではないでしょうか。
「ノマド」は、英語では「遊牧民」と訳されます。この言葉の意味からもわかるように、ノマドワークとは、オフィスを設けず、インターネット環境のある場所を移動しながら仕事をするワークスタイルを指します。そして、このような働き方をしている人たちをノマドワーカーと呼びます。
「SOHO」は「Small Office Home Office」の略で、オフィスを借りる場合もありますが、基本的には自宅をオフィスとして働くワークスタイルを指します。個人事業や個人で経営する会社など、小規模事業が多いようです。
海外のフリーランス事情
日本でもその人口が年々増加しているフリーランスという働き方ですが、少し視点を変えて日本以外の国に目を向けてみましょう。
2016年にアメリカで行われた調査によると、アメリカのフリーランスの割合は、労働人口の約35%だそうです。働いている人の約3人に1人はフリーランスということになりますね。
また、2017年に行われた別の調査では、1980年代〜2000年代初頭に生まれたミレニアル世代と呼ばれている人々の50%が、フリーランスという働き方をしているのだそうです。
このような調査からアメリカという国では、フリーランスという働き方がかなり一般的になってきている印象を受けます。何事も合理的かつ契約ベースで物事が進むアメリカでは、フリーランスという働き方を選択する人も多いのかもしれません。
では、ヨーロッパはどうでしょう。
ベルリンなどのフリーランサーが集まる都市があり、フリーランスという形態で働いている人たちは多いように予想されますが、EU加盟国の15〜64歳の人口の14%がフリーランスという調査が発表されています。
しかし、これはあくまでEU加盟国全体の数字です。フリーランサーが少ない国もあるので、EU全体で見ると思ったより少なく感じるかもしれませんね。
フリーランサーが多い国を見てみると、ギリシャが29%でトップ、次いでイタリアが21%、ポーランドが18%という結果に。
少し意外な結果と思う人もいるかもしれませんが、ヨーロッパでもフリーランスという働き方は一定数存在するということがわかりますね。
まとめ
さて、フリーランスについての理解は深まったでしょうか。
フリーランスの言葉の由来が、中世ヨーロッパにあるとは意外でしたよね。国や時代背景は違っても、いつの時代も自由度の高い働き方を選択する人はいたという事実が、感慨深いです。
働き方は時代とともに変化しますし、厳密な定義こそ難しいですが、今回ご紹介したようなことを頭の中に入れておけば、役に立つことがあるかもしれません。
たとえば、「フリーランスで働いています。」「フリーランスになりたい!」といった話をした時に「それ何?」と言われたら、きっと困らずに説明できるでしょう。もしかしたら、それをきっかけに話に花が咲くかもしれませんよ。
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