【Cool Workerなヒトビト】Vol.5 ライスワークとライフワーク

    【Cool Workerなヒトビト】Vol.5 ライスワークとライフワーク

    今回はノンフィクション作家・ジャーナリストとして、主に週刊誌や雑誌の執筆を手がける中原一歩(なかはらいっぽ)さんにお話を伺った。

     

     

    とある編集者から「迷ったら一歩踏み出して行け。」という志を込めて命名されたいう中原さんのペンネーム。

    機知と話題性に富んだ半生を仕事の流儀を交えてご紹介する。

     

     

     

    夜討ち朝駆け”の日々

    高校を卒業した後、アルバイトをしながら世界を放浪していたという中原さん。博多のラーメン屋台での勤務中に、地元の記者からスカウトを受けたことがきっかけで執筆業を始めたと言う。

     

     

    「夜の12時を過ぎても取材対象者とコミュニケーションをとれる状態を作っています。依頼があれば張り込みもしますし、まるで探偵ですね。」

     

     

    ニュースは鮮度が命。フリーランスとして、依頼されれば政治、経済から、飲食や若者カルチャーまで何でも手がけるという中原さんは、創業当時から独自の仕事術をもってして最新の情報を世に送り出している。あらゆる手段を講じて記事ネタを追い駈ける視線の先には、人々がまだ知り得ない情報がある。

     

     

    「記事にできないことが一番面白い。そのすれすれを書けるかどうかが執筆者としての明暗を分けます。」

     

     

    “記事を1本蹴ると3ヶ月仕事がなくなる”と言われるほど厳しい世界で20年以上も生き抜いてきた中原さんの仕事力は、堅実に培ってきたオリジナリティに支えられている。

     

     

     

     

    人と違うことをする

    大物政治家から一般人まで様々な方が取材の対象となるため、取材相手への接し方には並々ならぬ配慮が行き届いている。

     

     

    どんな方でもお連れできる飲食店やホテル、いつでも呼べる専用のタクシー、腕のいいカメラマン等、取材体制を敷くためのインフラ整備は当然抜かりない。それに加え中原さんには仕事に対して人とは違った心遣いある。

     

     

    「取材対象者には接触の前後に必ず手紙を送ります。万年筆で書いて、落款を押して。一通の手紙に魂を込めるんです。」

     

     

    言葉の意図とその可能性を追求する方だからこそ行き着いた、メールではなく手紙でやりとりするという独自の手法。それは結果的に営業活動にも大いに効果があると言う。

     

     

    デジタルツールに触れ過ぎてアナログの持ち味を忘れてしまいがちな今日、心から”そして敢えて”人とは違う手法をとること。

     

     

    メールを何通送っても無視される相手も、気合いの入った一通の手紙で心を許してくれることもある。そうして、築いた関係性は、取材が終わったあとも途切れることはない。結果として、それが物書きとしての財産になるという。

     

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    「ライスワーク」と「ライフワーク」

    フリーランサーとして自由に好きなことを仕事にする反面、苦労談も勿論ある。

     

     

    出版業界は斜陽産業なのでギャラが年々安くなってきていることと相まって、大きな事件や事故が発生すれば、予定されていた自分の原稿が何の前触れもなく飛ぶ(掲載できなくなる)こともある。

     

     

    取材にかかる交通費などの必要経費のほとんどを立て替えなくてはならず、生活費以外にある程度の回せるお金が必要だという。

     

     

    収入は月によってばらつきがあるので不安定。だが書くことへの飽くなき情熱は、そんなことで揺るぎはしない。

     

     

    「ライターとして収入は度外視して取り組みたい仕事(ライフワーク)と、必要最低限の生活費をまかなうための仕事(ライスワーク)を完全に割り切って、仕事を受けるようにしています。かといって、それぞれの仕事に手を抜くことはしません。ライターは、こいつ使えないねと思われたら、それで終わりですから」

     

     

    好きなことだけやって生活できるほどフリーランスの世界も甘くないが、それで全てを諦めたら元も子もない。

     

     

    市場を日本に限定してしまうと未来がないと語る中原さんは、今後は世界、特にアジア圏に関する記事を執筆していく心構えだ。ライスワークとしての仕事の幅を広げていくのと同時に、ライフワークとして作家性の高い文章表現にも挑戦していく方向性も示唆されていた。

     

     

    仕事に線引きをすることで全体の相乗効果を高めていくという手立ては、好き”を仕事にしようとするこれからのフリーランサーにとって必聴だ。

     

     

     

     

    こだわりのツール

    名刺

    「銀座にある中村活字というお店でオーダーメイドしています。人に会って、覚えてもらうことが仕事なので、名刺だけはお金をかけています。ライターにとって名刺は、憧れの取材対象者へとつながるパスポートのようなもの。一見、無駄だと思うものに、どれだけお金と時間をつぎ込めるかが、フリーランサーとして生きて行く上での持久力にもつながります」

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    最後に中原さんに聞いた。

     

     

    お気に入りの仕事場は?

     

     

    「もちろん、Basis Pointです(笑)」

     

     

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    中原さん、どうもありがとうございました!

     

     

     

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    この記事を書いたのは

    Taro
    Taroライター
    1989年生まれ。フリーのイラストレーター・フォトグラファー。
    仕事と遊びの境目を果てしなく曖昧にすることが生涯の目標である。
    趣味は歌(ラップ)・映画鑑賞・自然と戯れること。