【2025年最新】法人営業で成功するための必須スキル完全ガイド

法人営業の世界では、単なる商品知識だけでは成功できません。
顧客の課題を深く理解し、信頼関係を構築しながら、長期的な価値を提供できる営業パーソンが求められています。
本記事では、法人営業の現場で本当に必要とされるスキルを、具体的な活用シーンと共に解説します。
これから法人営業にチャレンジしたい方も、すでに経験があり更なるスキルアップを目指す方も、この記事を読むことで法人営業のスキルを体系的に理解できるでしょう。
法人営業の基本と個人営業との違い

法人営業とは、企業や組織を対象とした営業活動のことです。
個人を対象とした営業(B to C)とは異なり、複数の意思決定者や複雑な購買プロセスが存在します。
法人営業と個人営業の主な違い
項目 | 法人営業 | 個人営業 |
対象 | 企業・組織 | 消費者 |
決裁者 | 複数関与者(上司や他部署) | 本人が多い |
商談期間 | 長期(数ヶ月〜年単位) | 短期(その場〜数日) |
取引単価 | 高額 | 比較的低額 |
重視される要素 | 信頼性・実績 | 満足度・利便性 |
法人営業では「信頼を得ること」が最も重要な要素の一つです。
なぜなら、企業は個人よりもリスク回避的な意思決定をする傾向があり、取引相手の信頼性を慎重に評価するからです。
また、取引が成立するまでに複数の担当者が関わり、社内での調整に時間がかかるため、長期的な視点で営業活動を進める必要があります。
しかし、一度取引が決まれば大きな成果につながるのが法人営業の魅力でもあります。
こうした特性を理解した上で、次に法人営業に必須のスキルを見ていきましょう。
BasisPoint Academyの法人向け提案型営業研修では、法人営業特有の商談プロセスや信頼構築方法を体系的に学べます。未経験者でも短期間で法人営業の基本を習得し、長期的な顧客関係を構築できる営業パーソンを育成します。
法人営業に必須の7つのコアスキル

法人営業で成果を出すために欠かせない7つのコアスキルを紹介します。
これらのスキルは営業プロセスの様々な段階で複合的に活用されるものです。
1. 仮説立案力
仮説立案力とは、限られた情報から最も確からしい仮説(仮の答え)を想定する力です。
法人営業では、完全な情報が揃うことはほとんどありません。
そのため、断片的な情報から「この企業はこんな課題を抱えているのではないか」「この業界ではこういったニーズが高まっているはずだ」といった仮説を立て、それを検証しながら進める必要があります。
仮説立案力が高い営業パーソンは、効率的にターゲット企業を選定し、より的確なアプローチ方法を考案できます。
また、限られた商談の機会を最大限に活用できるため、成約率も自然と高くなります。
2. ヒアリング力
ヒアリング力とは、顧客の話を聴き、抱えている本質的な課題を引き出す力です。
法人営業の役割は、顧客の困りごとを解決することです。
しかし、顧客自身が本当の課題に気づいていないこともあります。
単に「聞く」のではなく、本音や本質を「聞き出す」ためのスキルが求められます。
効果的なヒアリングのポイントとして、「傾聴」が挙げられます。
相手の話を「耳・目・心」で聴き、言葉だけでなく表情やしぐさからも情報を読み取ることが大切です。
また、質問の仕方も重要で、「なぜそうなったのですか?」「それによってどんな影響がありますか?」といった掘り下げ質問ができると、課題の本質に迫ることができます。
3. 論理的思考力
論理的思考力とは、物事を筋道立てて考える力です。
複雑な問題を整理し、本質を見抜くために必要なスキルです。
法人営業では、顧客の課題を特定した後、その解決策を考える必要があります。
そのためには、物事の因果関係を正確に捉え、必要な要素を漏れなく、重複なく考えられる論理的思考力が不可欠です。
論理的思考力は営業プロセスの全段階において重要な役割を果たします。
例えば、
- 見込み客の発掘段階:潜在顧客のプロファイリングや優先順位付け
- ニーズ分析段階:顧客の表面的な要望から本質的な課題を導き出す
- 提案段階:顧客課題と自社ソリューションの論理的な結びつけ
- 異議処理(Objection Handling)段階:顧客の懸念に対する論理的な反論
また、提案やプレゼンテーションの際にも、論理立てて説明することで説得力が増します。
「なぜそうなったのか」という原因を追究し、それをわかりやすく説明できれば、顧客の納得感も高まります。
特に複雑な製品やサービスを扱う法人営業では、顧客自身が気づいていない問題点や機会を論理的に説明できることが、他社との差別化につながります。
4. コミュニケーション力
コミュニケーション力とは、相手との意思疎通をスムーズにする力です。
法人営業では、初対面の相手と短時間で信頼関係を構築することが求められます。
そのためには、会話のペースを合わせたり、相手の意図をくみ取ったりする高度なコミュニケーション能力が必要です。
コミュニケーション力の高い営業パーソンは、顧客から「この人なら任せられる」と思われ、担当者として指名されることも増えます。
これは長期的な信頼関係構築の第一歩となります。
5. プレゼンテーション力
プレゼンテーション力とは、相手に変化や行動を促す力です。
単に情報を伝えるだけでなく、相手に「次のアクション」を起こしてもらうことが目的です。
法人営業では、商品やサービスの概要を説明するだけでは不十分です。
その場で決裁してもらったり、デモの実施や上層部へのプレゼンの段取りをしてもらったりと、具体的なアクションにつなげることが重要です。
プレゼンテーション力は営業プロセスの多くの段階で活用されます。
- 初回接触時:短時間で相手の興味を引き、次の面談につなげる
- ニーズ発掘時:自社の専門性や市場理解を効果的に伝え、信頼を構築する
- ソリューション提案時:顧客課題と自社ソリューションの価値を明確に結びつける
- 社内稟議支援時:顧客担当者が社内で提案を通しやすくするための資料提供や説明
- クロージング時:最終的な意思決定を促す
効果的なプレゼンテーションには、相手の理解度や反応を常に観察し、臨機応変に内容や進め方を調整する能力も含まれます。
資料に頼りすぎず、相手とのインタラクションを重視することで、より説得力のあるプレゼンテーションが可能になります。
プレゼンテーション力が高いと、顧客との協働関係を築いたり、お客様に前例のない決断をしてもらったりすることが可能になります。
6. 問題解決力
問題解決力とは、課題の本質を見極め、解決までのアクションプランを計画・実行する力です。
法人営業では、顧客の抱える課題そのものはもちろん、商談が進む過程でも様々な障壁や問題が発生します。
費用や納期、導入方法など、多くの問題を素早く解決していく能力が求められます。
問題解決力は営業プロセスの全段階において不可欠です。
- 見込み客発掘段階:顧客にとっての潜在的な問題や課題を特定する
- ニーズ分析段階:表面的な症状から根本的な原因を特定する
- 提案段階:顧客固有の状況に合わせたカスタマイズされたソリューションを構築する
- クロージング段階:価格や契約条件などの最終的な障壁を克服する
- アフターフォロー段階:導入や運用過程での問題に迅速に対応する
特に法人営業では、商談が長期化するほど様々な問題が発生します。
予算の変更、意思決定者の交代、競合の出現など、状況の変化に応じて柔軟に対応し、問題を解決していく能力が求められます。
問題解決力に優れた営業パーソンは、どんな問題が生じても動じず、解決までの糸口を見つけることができます。その結果、顧客や社内からの信頼も高まります。
7. 目標達成力
目標達成力とは、目標を緻密に計画し、やり切る力です。計画力と実行力の両面が求められます。
法人営業では、個人やチームに明確な目標が設定されます。
その目標を達成するためには、具体的な行動計画を立て、着実に実行することが必要です。
目標達成力の高い営業パーソンは、社内からの信頼も厚く、早い段階でリーダーやマネジメント職に就くことも多いでしょう。
BasisPoint Academyの法人向け提案型営業研修では、仮説立案力、ヒアリング力、論理的思考力など法人営業に必須の7つのコアスキルを実践的に習得できます。外資系コンサル出身のプロフェッショナルによる監修で、即戦力となる営業パーソンを育成します。
B2B営業プロセスと各段階で必要なスキル

B2B営業(法人営業)のプロセスは一般的に以下の6つの段階に分けられます。各段階で必要となるスキルと具体的な活動内容を解説します。
1. 見込み客の発掘(Prospecting)
概要:潜在的な顧客を特定し、アプローチする段階
主な活動:
- ターゲット企業のリサーチ
- 見込み客のリスト作成と優先順位付け
- 初回コンタクト(電話、メール、SNSなど)
重要なスキル:
- 仮説立案力:どの企業にどんなニーズがあるかを予測する
- リサーチスキル:業界動向や企業情報を効率的に収集する
- コミュニケーション力:初回コンタクトで相手の興味を引く
成功のポイント:
量より質を重視し、自社のソリューションが真に価値を提供できる見込み客を特定することが重要です。
特に「理想的な顧客プロファイル(ICP)」を明確にし、それに合致する見込み客に集中することで、成約率が高まります。
2. 資格確認(Qualification)
概要:見込み客が本当に有望な顧客候補かを判断する段階
主な活動:
- 予算、決裁権、ニーズ、タイミングの確認(BANT)
- 意思決定プロセスの把握
- 競合状況の確認
重要なスキル:
- ヒアリング力:適切な質問で必要情報を引き出す
- 分析力:収集した情報から見込み客の質を判断する
- 時間管理力:有望でない見込み客に時間を費やさない判断をする
成功のポイント:
この段階で厳格な資格確認を行うことで、後の段階での時間の無駄を防ぎます。
特に「No」という答えを早く得ることも、効率的な営業活動において重要です。
3. ニーズ分析(Needs Analysis)
概要:顧客の具体的な課題やニーズを深く理解する段階
主な活動:
- 詳細なヒアリング
- 課題の優先順位付け
- 解決策の方向性の検討
重要なスキル:
- ヒアリング力:表面的なニーズから本質的な課題を掘り下げる
- 論理的思考力:複雑な状況から本質的な課題を特定する
- 問題解決力:課題に対する潜在的な解決策を考える
成功のポイント:
SPINセリングなどの質問技法を活用し、顧客自身も気づいていない潜在的なニーズを引き出すことが重要です。
また、顧客の言葉をそのまま記録し、後の提案に活用することも効果的です。
4. ソリューション提案(Solution Presentation)
概要:顧客の課題を解決するための具体的な提案を行う段階
主な活動:
- 提案書やプレゼン資料の作成
- 価値提案(Value Proposition)の明確化
- ROI(投資対効果)の提示
重要なスキル:
- プレゼンテーション力:説得力のある提案を行う
- 資料作成スキル:わかりやすく効果的な資料を作成する
- 論理的思考力:顧客課題と自社ソリューションを論理的に結びつける
成功のポイント:
製品やサービスの機能ではなく、顧客にとっての具体的な価値やメリットを中心に提案することが重要です。
また、顧客の言葉を使って提案することで、理解と共感を得やすくなります。
5. 異議処理とクロージング(Objection Handling & Closing)
概要:顧客の懸念を解消し、契約締結に導く段階
主な活動:
- 顧客の疑問や懸念への対応
- 競合との差別化ポイントの強調
- 具体的な契約条件の交渉
- 契約締結への促進
重要なスキル:
- 問題解決力:顧客の懸念に対する適切な解決策を提示する
- プレゼンテーション力:最終的な決断を促す
- 交渉力:Win-Winの契約条件を引き出す
成功のポイント:
顧客の異議を否定するのではなく、まずは理解と共感を示し、その上で解決策を提示することが重要です。
また、クロージングは商談の最後だけでなく、プロセス全体を通じて小さな合意を積み重ねていくことが効果的です。
6. フォローアップと関係構築(Follow-up & Relationship Building)
概要:契約後も顧客と良好な関係を維持し、追加ビジネスにつなげる段階
主な活動:
- 導入支援とカスタマーサクセス
- 定期的なフォローアップ
- クロスセル・アップセルの提案
重要なスキル:
- 顧客管理力:継続的な関係維持と情報更新
- コミュニケーション力:定期的な価値ある情報提供
- 問題解決力:導入後の問題に迅速に対応する
成功のポイント:
既存顧客からの追加売上は新規顧客獲得よりもコストが低いため、契約後のフォローも営業活動の重要な一部です。
顧客の成功を自分の成功と考え、継続的に価値を提供することが長期的な関係構築につながります。
BasisPoint Academyの法人向け提案型営業研修では、見込み客の発掘からクロージングまでのB2B営業プロセスの各段階で必要なスキルを体系的に学べます。実践演習を通じて営業プロセス全体をマスターし、成約率を高める営業パーソンを育成します。
営業プロセスごとに必要なスキルとその活用法

続いて、法人営業の活動サイクルを大きく3つのステップに分け、それぞれで特に重要となるスキルを解説します。
ステップ1:営業施策の立案
このステップでは、目標達成のための営業計画を立案します。具体的には以下のような内容です。
- 目標と予測のギャップの把握
- 新たな施策による売上目標の設定
- ターゲット企業の選定
- アプローチ方法の立案
- 行動計画の立案
このステップで特に重要なのは「仮説立案力」と「目標達成力」です。
仮説立案力の活用シーン:ターゲット設定
自社の商品やサービスが必要となるターゲット企業を想定する際に、仮説立案力が求められます。特に新規開拓では重要です。
具体例:
求人広告の営業を例に考えてみましょう。
単に求人広告を出している企業にアプローチするだけでは、競合も多く成約は難しいでしょう。そこで、以下のような仮説を立てます。
「採用活動に力を入れる会社は、
- 成長意欲が高いから本業の広告出稿を積極的に行っているかもしれない
- 社員育成にも力を入れているかもしれない
- 経営者が積極的にセミナーや研修に参加しているかもしれない」
こうした仮説に基づいて、業界専門誌に広告出稿している企業や、経営者勉強会に参加している企業をピックアップし、アプローチ方法を考案します。
目標達成力の活用シーン:行動計画の立案
売上目標を達成するための緻密な計画立案では、目標達成力が重要です。
「選定したターゲットは何社あるのか」「計画したアプローチで何社のアポイントが取得可能か」「そこから何社の契約が見込めるか」「いくらの売上が予測できるか」などを具体的に数値化し、計画することが必要です。
ステップ2:営業施策の実行
営業計画を実際に実行するステップです。具体的には以下のような活動を行います。
- アポイントの取得
- 事前準備(訪問設計)
- 訪問(課題のヒアリング)
- 訪問(クロージング)
このステップで特に重要なのは「ヒアリング力」「コミュニケーション力」「プレゼンテーション力」です。
ヒアリング力の活用シーン:問題の本質のヒアリング
顧客訪問時に、表面的な課題だけでなく根本的な原因や将来の影響までを引き出す際に、ヒアリング力が求められます。
具体例:
再び求人広告の営業を例にすると、単純に「どんな採用活動をしているか」「応募者は何人くらいか」といった状況を聴くだけでなく、以下のような質問で本質に迫ります。
- 「最近採用して活躍している方にはどんな特徴がありますか?」
- 「逆に早期退職した方の退職理由は何だったでしょうか?」
- 「採用後のサポート体制はどのようになっていますか?」
こうした質問から、「単に応募者を増やすだけでは定着しない」といった本質的な課題が見えてくることがあります。
そうすれば、採用後の教育体制の見直しなど、より本質的な提案ができるようになります。
プレゼンテーション力の活用シーン:クロージング
訪問の最終段階、契約獲得のクロージングでは、プレゼンテーション力が重要です。
商品やサービスの特徴だけでなく、顧客の課題をどう解決するかという「顧客にとっての価値」を説明し、次のアクションにつなげる必要があります。
具体例:
求人広告の営業では、広告効果を最大化するために顧客の協力が不可欠です。
社員インタビューや職場環境の写真撮影など、質の高い求人広告を作るための具体的なアクションを約束してもらうことが重要です。
プレゼンテーション力が高ければ、こうした協力を引き出し、より効果的な提案が可能になります。
ステップ3:営業施策の効果検証と改善
実行した営業施策の成果を検証し、改善するステップです。いわゆるPDCAサイクルを回す段階です。
- 問題の抽出
- 改善策の立案
- 改善策の実行
このステップで特に重要なのは「論理的思考力」と「問題解決力」です。
論理的思考力の活用シーン:問題の抽出
営業施策を実行した後、計画通りに進まなかった要因を分析する際に論理的思考力が求められます。
「なぜアポイント率が低かったのか」「なぜ商談が成約に至らなかったのか」といった問題の原因を、論理的に分析することが重要です。
問題解決力の活用シーン:改善策の立案
問題点を抽出した後、具体的な改善策を立案する際に問題解決力が必要です。
抽出した問題の中で、最も影響が大きいものから優先的に対処していくための方法を考え、実行に移します。
このプロセスを繰り返すことで、営業力は着実に向上していきます。
BasisPoint Academyの法人向け提案型営業研修では、営業施策の立案から実行、効果検証までの各段階で必要なスキルを実践的に習得できます。ロールプレイング演習や提案資料作成を通じて、PDCAサイクルを回せる自走型の営業パーソンを育成します。
法人営業スキルを効果的に高める方法

法人営業のスキルを効果的に高めるための具体的な方法を紹介します。
個人の成長と組織全体のレベルアップのためには、体系的なアプローチが必要です。
1. スキル評価と個別学習計画の策定
効果的なスキル向上の第一歩は、現状のスキルレベルを客観的に評価することです。
実践方法:
- 360度評価:上司、同僚、部下、顧客からのフィードバックを収集
- 録音・録画による自己分析:商談の様子を記録して振り返る
- コンピテンシー評価:必要なスキルごとに5段階評価を行う
評価結果に基づいて、個人ごとのパーソナライズされた学習計画を策定します。
「何を」「いつまでに」「どのように」学ぶかを明確にすることが重要です。
2. ロールプレイ→実践→ケーススタディのサイクル
法人営業のスキル向上に最も効果的な方法は、以下のサイクルを回すことです。
ロールプレイ
実際の営業シーンを想定して練習する
- 朝礼や週次ミーティングの10分間でも効果的に実施可能
- 実際の顧客の言葉や反応を取り入れたシナリオを用意する
- 録画して後で分析するとさらに効果的
実践
実際の営業活動で試してみる
- 上司や先輩との同行訪問で実践
- 新しく学んだテクニックを意識的に活用
- 結果だけでなくプロセスも記録する
ケーススタディ
結果を振り返り、改善点を洗い出す
- 成功事例も失敗事例も同様に分析
- 「何がうまくいったのか」「何が改善できるか」を具体的に特定
- チーム内で共有し、集合知を形成する
このサイクルを繰り返すことで、特に対人スキル(ヒアリング力、コミュニケーション力、プレゼンテーション力)を効果的に高めることができます。
3. テクノロジーの活用
デジタルツールを活用することで、効率的にスキル向上を図ることができます。
活用例:
- CRM/SFAシステム:顧客情報や商談履歴を一元管理し、傾向分析に活用
- 営業トーク分析ツール:AIを活用して商談内容を分析し、改善点を示唆
- eラーニングプラットフォーム:隙間時間を活用した継続的学習
- ビデオ会議録画:オンライン商談を録画して後で分析
特にデータ分析を活用することで、「どの営業トークが成約率を高めるか」「どの提案方法が顧客の反応がよいか」などを客観的に把握できます。
4. 知識共有と相互学習の仕組み化
組織内での知識共有を促進することで、個人のスキルを組織の資産にすることができます。
実践方法:
- 成功事例の共有会:週次や月次で成功事例を発表する場を設ける
- メンタリングプログラム:経験者と新人をペアにして継続的に指導
- 営業資料のデータベース化:効果的だった提案資料や質問リストを共有
- ナレッジマネジメントシステム:FAQや商談テクニックをデータベース化
組織全体のスキル向上には、「個人が学んだことを組織知化する」サイクルが重要です。
5. OJT(On-the-Job Training)の体系化
経験豊富な先輩社員から実務を通じて学ぶOJTは、実践的なスキルを身につける上で非常に効果的です。
特に「暗黙知」と呼ばれる、言葉では表現しづらいコツやノウハウを習得するのに適しています。
OJTをより効果的にするためには、以下のポイントが重要です。
- 明確な目標と評価基準の設定
- 段階的な難易度設定(観察→部分的実施→完全実施)
- 定期的なフィードバックと振り返り
- 指導者のトレーニング(教え方の標準化)
6. 外部リソースの活用
社内だけでなく、外部のリソースも積極的に活用することで、視野を広げることができます。
活用例:
- 外部研修・セミナー:最新の営業手法や業界動向を学ぶ
- 営業関連の書籍・オーディオブック:通勤時間などを活用した学習
- ビジネスコーチング:専門家から個別指導を受ける
- 異業種交流会:他業界の営業手法からヒントを得る
特に競合や自社の顧客と接点のない業界の成功事例からは、新たな気づきが得られることが多いです。
7. 継続的な学習文化の醸成
一時的なトレーニングではなく、継続的に学び続ける文化を作ることが重要です。
実践方法:
- マイクロラーニング:短時間で学べるコンテンツを定期的に提供
- 学習目標の人事評価への組み込み:学びを評価する仕組みづくり
- 経営層からの学習奨励:トップダウンでの学習文化の推進
- 学習成果の発表機会:学んだことを実践し、その結果を共有する場
研究によると、新しいスキルの定着には継続的な実践と振り返りが不可欠です。
日々の業務の中に学習サイクルを組み込むことが効果的です。
育成のポイント
法人営業スキルを組織的に高めるためのポイントとして、以下の3点が重要です。
育成計画の策定
5W1Hに沿った明確な計画を立てる
- Why:なぜ(何のために)
- Where:どこで(どのような機会で)
- Who:誰が
- What:どのスキルを
- When:いつまでに
- How:どんな手法で伸ばすのか
モチベーションの維持
できている点を具体的に褒め、期待を伝える
- 小さな成功を認め、具体的に評価する
- チャレンジを促す
BasisPoint Academyの法人向け提案型営業研修では、外資系コンサル出身のプロフェッショナルが監修した実践型プログラムで法人営業スキルを効果的に高められます。スキル評価から実践、フィードバックまでの学習サイクルを通じて、短期間で成果を出せる営業パーソンを育成します。
実践で使える法人営業のフレームワーク

法人営業の現場で役立つフレームワークをいくつか紹介します。
これらを活用することで、より効果的な営業活動が可能になります。商材や顧客の特性に合わせて、適切なフレームワークを選択することが重要です。
BANTフレームワーク
BANTは商談の質を判断するための重要な指標です。
以下の4つの頭文字を取ったものです。
- Budget(予算):製品やサービスの購入にかけられる金額
- Authority(決裁権):購入決定の権利を有している人
- Needs(ニーズ):購入を検討する理由や背景
- Time frame(導入時期):製品やサービスを使用したい時期
活用シーン
初期商談やリード(見込み客)の資格確認の段階で特に有効です。
すべての条件が揃っていない場合は、優先度を下げるか、不足している条件を整える活動に注力します。
実践のポイント
単刀直入に質問するのではなく、会話の流れの中で自然に情報を引き出すことが重要です。
特に日本企業では、予算や決裁権に関する直接的な質問は避け、「同様のプロジェクトでは通常どのような承認プロセスになりますか?」といった間接的な質問が効果的です。
SPIN Selling(SPINセリング)
SPINセリングは、質問の型を体系化したセールスメソッドです。
以下の4種類の質問を順序立てて行います。
- Situation Questions(状況質問):現状や背景を把握するための質問
- Problem Questions(問題質問):現状の問題点や課題を明確にする質問
- Implication Questions(影響質問):問題が解決されない場合の影響を考えさせる質問
- Need-payoff Questions(解決利益質問):解決策の価値を顧客自身に気づかせる質問
活用シーン
複雑な商材や高額なソリューションの提案時に特に効果的です。
顧客が自ら課題の重要性と解決の必要性に気づくプロセスを促進します。
実践のポイント
特に「影響質問」が重要で、「このまま問題が解決されなかった場合、3年後にはどのような影響が出ると思いますか?」といった質問で、顧客自身に課題の重大性を認識してもらいます。
Solution Selling(ソリューションセリング)
ソリューションセリングは、製品の機能ではなく、顧客の課題解決に焦点を当てた営業手法です。
主なステップ
- 顧客の「痛み」を特定する
- 「痛み」の影響と重要性を明確にする
- 提案するソリューションの価値を示す
- ROI(投資対効果)を具体的に提示する
活用シーン
特に企業の業務改善や効率化を図るITソリューションやサービスの提案に適しています。
実践のポイント
顧客の言葉を使って課題を描写し、解決策を提案することで共感を得やすくなります。また、「同じ課題を抱えていた他社がどう解決したか」という事例を示すことも効果的です。
MEDDICフレームワーク
MEDDICはBANTを発展させたフレームワークで、より詳細な情報収集と商談管理に役立ちます。
- Metrics(測定指標):導入効果を測る指標
- Economic Buyer(決裁権限者):最終的な意思決定者
- Decision Criteria(意思決定基準):購入判断の基準
- Decision Process(意思決定プロセス):意思決定までの流れ
- Identify Pain(課題):顧客が抱える課題
- Champion(擁護者):社内で提案を推進してくれる人
活用シーン
特に複雑な組織での大型案件や長期の商談プロセスを管理する際に有効です。
実践のポイント
特に「Champion(擁護者)」の特定と関係構築が重要です。この人物が社内で提案の価値を伝えてくれる「内部営業マン」の役割を果たします。
FABE分析
FABE分析は、顧客に訴求する商品の特徴やメリットを分析するフレームワークです。
- Feature(特徴):商品やサービスの特徴
- Advantage(優位性):競合と比べた優位点
- Benefit(顧客便益):顧客が得られる具体的なメリット
- Evidence(証拠):効果を裏付ける事例や数値
活用シーン
提案書の作成やプレゼンテーションの構成を考える際に役立ちます。特に技術的な製品を非技術者に説明する場合に効果的です。
実践のポイント
単なる「特徴」ではなく、それが顧客にとってどのような「便益」をもたらすかを具体的に示すことが重要です。
また、「証拠」として具体的な数値や事例を示すことで説得力が増します。
ABM(Account Based Marketing)
ABMは特定の重要顧客に対して、マーケティングと営業が連携して集中的にアプローチする手法です。
主なステップ
- 重要顧客(アカウント)の特定
- 意思決定者と影響力を持つ人物のマッピング
- カスタマイズされたコンテンツと価値提案の作成
- 複数チャネルを通じた統合的なコミュニケーション
- 継続的な関係構築と発展
活用シーン
大型の企業顧客や戦略的に重要な顧客に対するアプローチに適しています。特にSaaSなどのサブスクリプションモデルで、顧客のライフタイムバリュー(LTV)が高い場合に効果的です。
実践のポイント
営業チームだけでなく、マーケティング、カスタマーサクセス、技術サポートなど複数部門が連携して「チームセリング」を行うことが成功の鍵です。
DMUマップ
DMU(Decision Making Unit)マップは、意思決定に関わる人々の関係性を可視化するツールです。
マッピングする要素
- 最終決裁者(Economic Buyer)
- 実務担当者(User Buyer)
- 技術評価者(Technical Buyer)
- 影響力者(Influencer)
- ブロッカー(Blocker)
- 擁護者(Champion)
活用シーン
法人営業では、実際に商談する相手が決裁者ではないケースが多いため、「誰が」「どのような影響力を持っているか」を把握することが重要です。
特に大型案件や複雑な組織へのアプローチで効果を発揮します。
実践のポイント
単に職位だけでなく、各人物の「興味・関心」「懸念事項」「個人的なゴール」なども把握すると、より効果的なアプローチが可能になります。
チャレンジャーセールス
チャレンジャーセールスは、顧客の既存の考え方に挑戦し、新たな視点を提供する営業手法です。
主な要素
- 教育(Teach):業界の新しい視点や気づきを提供する
- テーラリング(Tailor):顧客の状況に合わせたメッセージにカスタマイズする
- コントロール(Take Control):価値について健全な議論をリードする
活用シーン
特に顧客が「現状に満足している」場合や、「課題を認識していない」場合に有効です。業界の変化が激しく、新たな視点が価値を生む場合に適しています。
実践のポイント
単に挑戦的な姿勢を見せるのではなく、顧客が気づいていない洞察や市場トレンドを提供することが重要です。
「他社はこのような課題に直面していますが、御社ではいかがでしょうか」といったアプローチが効果的です。
BasisPoint Academyの法人向け提案型営業研修では、BANTやSPINセリングなど実践で使える法人営業のフレームワークを体系的に学べます。実際の商談シーンを想定したロールプレイを通じて、理論を実践に落とし込める営業パーソンを育成します。
法人営業スキルの習得と向上のために

法人営業に必須の7つのコアスキルを紹介し、B2Bの営業プロセスの各段階でどのようにこれらのスキルを活用するかを解説しました。
- 仮説立案力:限られた情報から仮説を立てる力
- ヒアリング力:顧客の本質的課題を引き出す力
- 論理的思考力:物事を筋道立てて考える力
- コミュニケーション力:意思疎通をスムーズにする力
- プレゼンテーション力:相手に行動を促す力
- 問題解決力:課題を解決する力
- 目標達成力:計画を立て、やり切る力
これらのスキルは、見込み客の発掘からクロージング、そしてアフターフォローまでの各段階で複合的に活用されます。
特に論理的思考力と問題解決力は、営業プロセス全体を通じて不可欠なスキルであり、顧客の潜在ニーズの発見から、提案、異議処理に至るまで幅広く活用されます。
同様に、プレゼンテーション力も単にクロージング段階だけでなく、初回接触における信頼構築や、ニーズ発掘時の専門性アピール、提案段階での価値訴求など、多くの場面で重要な役割を果たします。
法人営業のスキルを効果的に高めるためには、以下のアプローチが有効です。
- スキル評価と個別学習計画:現状を把握し、パーソナライズされた計画を立てる
- 実践と振り返りのサイクル:ロールプレイ→実践→ケーススタディのサイクルを回す
- テクノロジーの活用:CRMやeラーニングなどのデジタルツールを活用する
- 知識共有の仕組み化:組織内での成功事例や知識の共有を促進する
- 継続的な学習文化の醸成:日常的に学び続ける環境を整える
また、状況や商材に応じて適切なセールスフレームワークを選択することも重要です。
BANTやSPINセリング、ソリューションセリング、チャレンジャーセールスなど、様々なアプローチの中から最適なものを選び、必要に応じてカスタマイズすることで、より効果的な営業活動が可能になります。
法人営業は、顧客の課題を解決し、共に成長していく醍醐味がある仕事です。
この記事で紹介したスキルとフレームワークを意識しながら日々の営業活動に取り組むことで、より高いレベルの営業パーソンへと成長していけるでしょう。
最終的に、優れた法人営業パーソンとは、単に製品やサービスを販売するだけでなく、顧客のビジネスパートナーとして長期的な関係を構築し、顧客の成功に貢献できる人材です。
そのためには、テクニックだけでなく、誠実さやパッションも必要不可欠な要素となります。
※本記事の内容は一般的な法人営業スキルについて解説したものです。業界や商材によって重視されるスキルや手法は異なる場合がありますので、ご自身の状況に合わせてカスタマイズしてください。
BasisPoint Academyの法人向け提案型営業研修では、法人営業に必要な7つのコアスキルを総合的に習得できます。4週間の実践型プログラムを通じて、顧客のビジネスパートナーとして長期的な関係を構築できる営業パーソンを育成します。
【BasisPoint Academy】実践型営業スキル研修のご案内
法人営業スキルを効果的に高めたいとお考えの企業様には、BasisPoint Academyの実践型営業スキル研修がおすすめです。
自分と商品の強みを理解し”ファン”を生み出す営業スキル研修
BasisPoint Academyの営業スキル研修は、法人営業に必要な心構えから、自社の商品・サービスとニーズについて理解を深め、提案・プレゼンテーションまで一貫して行う実践型研修です。
オンラインにも対応しており、忙しい営業現場の方でも参加しやすい内容です。
「法人営業の3要素」をイチから理解
当研修では、法人営業における3つの重要要素「会社」「商品/サービス」「個人(営業マン)」それぞれについて深く理解し、会社や商品のファンになってもらうためのスキルを実践を通して習得します。
「会社」を売る
法人営業では信用によって取引(契約)が行われます。
決裁権者がどのような観点で取引に相応しい企業かを見極めるのかを踏まえ、自社をどのように売り込むべきかを理解します。
- 会社のボードメンバー
- 会社設立の背景
- 会社のミッション・コンセプト
「商品」を売る
売上を構成する商品/サービスについて正しく理解し、ユーザーや競合の目線から分析する力を養います。
- 商品/サービスの知識
- ニーズはどこにあるのか
- 競合優位性(USP)
「個人」を売る
顧客はなぜその営業マンに発注するのか、という観点から、選ばれる営業マンになるための必要要素を理解し、自らの変革を促します。
- 押し売りと提案の違い
- 熱意・愛社精神
- 業界や商品の詳しさ
- サービス精神/ホスピタリティ
- 自社を動かせるか
- スピード感があるか
成果を出すための実践的な研修
BasisPoint Academyの営業スキル研修は、短期間で最大の効果を引き出す実践重視のカリキュラムが特徴です。
Point 1: カスタマイズ可能な業界の深掘り
研修を実施する企業様向けにカスタマイズを行い、業界背景から推測するビジネスモデルや課題、市場の変化などを理解します。
Point 2: 提案書作成 基本から実践まで
ストーリーの考え方、ゴールの作り方などの基本から、実際に全体の設計を行いプレゼンテーション資料を作成します。
Point 3: プレゼン内容を総合的にフィードバック
研修の最終成果発表を兼ねたプレゼンテーションでは、内容・説明/質疑応答の対応力・資料作成力それぞれに具体的なフィードバックを行います。
本番さながらの緊張感でプレゼンを行い、実践での自信をつけ、現時点での課題点を見つけ出します。
助成金を活用して研修費用を削減
BasisPoint Academyの研修は人材開発支援助成金(旧キャリア形成促進助成金)の対象です。
助成金を利用して費用を大幅にカットした事例も多数あります。
助成金活用のメリット
- 研修費用の一部が支給されます
- 訓練時間を対象とした助成金も受給できます
- 申請の無料相談に対応しています
- 助成金に精通した社労士のご紹介も可能です
営業スキル研修概要
研修名
営業スキル研修
開催場所
- オンラインの場合:講義をライブ配信
- 集合研修の場合:BasisPoint Academy研修室(新橋駅から徒歩数分)
期間
- 営業スキル研修のみ:2週間
- ビジネススキル研修 + 営業スキル研修:1ヶ月
法人営業スキルを体系的に学び、実践力を高めたい企業様は、ぜひBasisPoint Academyの営業スキル研修をご検討ください。
助成金活用についてもお気軽にご相談いただけます。
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