実はコミュニケーションが鍵!サービス業からIT業界へ


実はコミュニケーションが鍵!サービス業からIT業界へ

IT業界へ転職したい!…でも、未経験では難しいのでは?

 

――そんな風にしり込みしている方もいらっしゃるのではありませんか?

 

確かにIT業界は、同業種からの転職を占める割合がダントツに高いと言われています。

 

けれど、実はその4割近くが異業種からの転職だという調査結果も出ています。[1]

 

特に、高いコミュニケーションスキルを有するサービス業からの転職は、優遇される傾向にあるようです。

 

 

IT業界で優遇されるサービス業からの転職組

 

IT業界やWeb業界の成長、少子高齢化などの影響を受け、慢性的な人材不足が続いているIT業界。

 

経済産業省の調査結果によれば、2030年には最大で約79万人のIT人材不足に陥るとの試算も出ています。[2]

 

 

 

こうした状況を背景として、近年ではIT業界未経験者に対する転職のハードルが以前に比べて下がってきているようです。

 

そんな中でも意外に優遇されるのが、サービス業からの転職組。

 

というのも、接客や顧客との折衝経験があり、高いコミュニケーションスキルを有するサービス業経験者には、IT業界でも活躍できる可能性があるためです。

 

では、なぜIT業界でコミュニケーションスキルが重視されるのでしょうか?

 

 

 

 

なぜ、IT業界でコミュニケーション力が重視されるのか?

 

IT業界でコミュニケーションスキルが重視される理由は簡単です。

 

システム開発などを行うプロジェクトをはじめとして、IT業界ではコミュニケーションスキルが物を言う場面が少なくないためです。

 

 

 

近年のITシステムは巨大かつ複雑なものが多く、システム開発プロジェクトには多くの人が関与します。

 

特に大企業の基幹システム開発プロジェクトなどでは、2,000~3,000人月といった巨大な規模になることもあります。

 

3000人月というのは、単純にいえば100人が30か月作業するということです。

 

実際には時期によって山がありますが、常時数十人から百人程度の人間がプロジェクトに関わることになります。

 

 

 

このようなプロジェクトの一員となって作業を進めていくためには、メンバーとの円滑なコミュニケーションが欠かせません。

 

チームの雰囲気を良好に保つためには、日ごろの挨拶や雑談が意外に重要な役目を果たしますし、メンバー間での気配りが大切であることも言うまでもありません。

 

どれだけ高い技術力を有していても、対人能力に問題があれば良い仕事はできません。

 

 

 

加えて、開発現場のメンバーだけでなく、顧客をはじめとしたさまざまなステークホルダー(関係者)とのやりとりにもコミュニケーション力が求められます。

 

前述のような巨大なプロジェクトであれば、顧客企業のIT部門、システムを利用するエンドユーザー、プロジェクトを推進するSier(システムインテグレーター)、Sierの下で実際の開発作業を担当する下請けベンダーなど、様々な人がそれぞれの立場でプロジェクトに関与します。

 

 

 

こうした中で適切な人から必要な情報を受け取り、時には相互に連携しながら作業を進めていく上で、コミュニケーションスキルがものを言うことは想像に難くないでしょう。

 

もちろん、顧客と直接やりとりをするカスタマーサポートやサービスエンジニア、顧客のシステムを管理する保守・運用担当者といった職種にも、コミュニケーション力が求められます。

 

 

 

もう一つ、IT業界がコミュニケーションスキルの高い人材を求めている背景には、メンバーを率いてプロジェクトを推進していくPM(プロジェクトマネージャー)やPL(プロジェクトリーダー)が慢性的に不足しているという事情があります。

 

PMやPLはチームメンバーの管理・統括を行うとともに、先に述べたような顧客との折衝なども担当しなくてはなりません。

 

システムの仕様調整やスケジュール調整、時には難しい予算調整などを行う必要があるので、こうした場面でコミュニケーションスキルが求められます。

 

こうしたPM/PLを育成するために、コミュニケーションに長けた人材が優遇されているという背景があります。

 

 

おすすめサービス

サービス業からIT業界へ!狙い目の職種3種

 

ところで、一口に「IT業界」と言っても、実際には様々なジャンルがあります。

 

システム開発、インフラ構築、システムの運用保守、パッケージソフトウェアの開発…そして、それぞれのジャンルの中にも多種多様な職種が存在します。

 

ここでは、サービス業からIT業界へ転職するにあたり、おすすめの職種を3つご紹介します。

 

 

 

 

カスタマーサポート

 

カスタマーサポートは、システムに関する顧客からの問い合わせに電話やメール、チャットなどで対応する職種です。

 

通常はきちんとした対応マニュアルが整備されているため、IT業界初心者でも参入しやすい職種といえるでしょう。

 

顧客とのやり取りが仕事の中心となるため、会話やメールでの応対スキルが問われます。

 

カスタマーサポート職は完全リモートワークに対応しているケースも少なくないため、在宅で仕事をしたい人にもおすすめです。

 

 

 

 

サービスエンジニア

 

サービスエンジニアは、ソフトウェアやハードウェアのメンテナンスなどを担当する職種です。

 

通常は依頼に応じて顧客オフィスなどを訪問し、コンピュータ機器やネットワーク、システムの修理やメンテナンス等を担当します。

 

 

技術力が問われる仕事ではありますが、未経験者であればまずは先輩エンジニアがサポートに付く場合が多く、O.J.T.(オン・ザ・ジョブ・トレーニング/実際に仕事をしながらトレーニングすること)形式で技術や知識を身に着けていくことができます。

 

 

 

サービスエンジニアは顧客と直接顔を合わせる、いわば顧客窓口のような役割を担います。

 

サービスエンジニアが与える印象が企業の印象となるため、技術力だけでなく、高いコミュニケーションスキルが求められるポジションだといえるでしょう。

 

 

 

 

テストエンジニア

 

テストエンジニアは、文字通りソフトウェアのテストをして品質を確認する職種です。

 

未経験でシステム開発エンジニアに転職した場合、まずはテストエンジニアからキャリアをスタートするケースが多いようです。

 

 

 

テストエンジニアにも様々なレベルがありますが、初心者であれば、上級者が作成したテスト仕様書に従って機械的にテストを実施するような仕事から始めることになるでしょう。

 

通常、テスト仕様書には操作内容と期待される結果が記述されていて、手順通りに作業を実施すればテストが完了するようになっています。

 

システムに関する深い知識がなくとも作業に携わることができる上、テストを通じてシステムについての知識を身に着けることができる、一石二鳥の職種です。

 

システムに関する知識が身につけば、テストエンジニアからプログラマーへ、プログラマーから設計者へ…と作業の幅を広げていくことができるでしょう。

 

 

 

「テスト」というとパソコンに向かって一人黙々と作業するイメージがあるかもしれませんが、テスト中疑問に思った点を確認したり、発見したバグを報告して修正の依頼をかけたりと、チームメンバーとの密な連携が求められるポジションです。

 

サービス業で培ったコミュニケーションスキルがあれば、こうした作業を円滑に進めていくことができるはずです。

 

 

 

 

 

コミュニケーションスキルをアピールして内定を勝ち取ろう!

 

以上、この記事では、サービス業からIT業界への転職についてお話しました。

 

高いコミュニケーションスキルを有するサービス業経験者は、IT業界でも活躍できる可能性が十分にあります。

 

慢性的な人材不足が叫ばれる今だからこそ、IT業界への転職を検討してみてはいかがでしょう。

 

その際には、ぜひサービス業で培ったコミュニケーションスキルを積極的にアピールし、内定を勝ち取ってください。

 

 

 

なお、未経験で転職を志す場合は、入社後の研修が充実している企業を選ぶのがポイントです。

 

また、ITスキルに不安がある場合は、事前にITスクールに通うなどして関連スキルを身に着けておくと、転職活動をスムーズに進めることができるでしょう。

 

みなさんの転職活動の成功をお祈りしています!

 

 

<参考・参照サイト>

[1]5000人の転職事例から探る 異業種転職を受け入れる可能性の高い業種は?」(Doda)

[2] 「平成 30 年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(IT 人材等育成支援のための調査分析事業)」[PDF](経済産業省、2019年3月、p20)

 

 


この記事を書いたのは

秋元 歌名
秋元 歌名ライター
ライター/システムエンジニアの二束のわらじを履いて奮闘中のワーキングマザー。3度のごはんよりテストが好き。