日本政策金融公庫「フリーランスの実態に関する調査」の簡単なまとめ

日本政策金融公庫「フリーランスの実態に関する調査」の簡単なまとめ
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日本の就業者は終身雇用制・年功序列制・退職金制度で守られ、支えられていました。

 

1990年代のバブル好景気の崩壊・2008年のリーマンショック事件以降、雇用形態を欧米型に移行する企業が出始めました。無期限の雇用形態から有期限の雇用形態に遷移しています。

 

企業・団体・組織に入社すれば定年まで就業を継続できる状況ではなくなりました。

 

そこで自分自身が持っている専門的なスキル・ノウハウを活かして独立・起業する人が増えています。

 

 

 

2019年5月の皇太子殿下の天皇御即位、同年10月の消費税率改正、2020年7月の東京オリンピック・パランリンピックまでは好景気が持続して、人材が不足している状況です。

 

しかし、国家的大行事が終了したときに企業・団体・組織は安定した雇用形態を保っているでしょうか?

 

その将来を見据えて独立・起業するフリーランスが増えていくようです。

 

 

 

日本政策金融公庫が「フリーランスの実態に関する調査」を公表したので、その調査結果を説明していきます。

 

 

 

※本記事でご紹介する調査結果のデータは「フリーランスの実態に関する調査」(日本政策金融公庫 総合研究所、2018年3月)を参照し、本記事用に数値を簡略化したものです。

 

 

フリーランスの実態調査の目的

 

テレビ朝日のテレビドラマで米倉涼子さんが主演された「ドクターX」大門未知子は、フリーランスの外科医で「どこの組織に属さない専門医のライセンスと叩き上げのスキルだけが彼女の武器」が活躍しました。

 

ドラマの中でフリーランスを「フリーター」「バイト」などと呼称、「フリーランス」と言い直すシーンが散見されました。

 

フリーランス職は「フリーター」や「アルバイト」とは異なり社会的に独立した個人事業主または個人企業法人です。特定の企業・団体・組織に属さずに、自分自身の技術とスキルを提供することで報酬を得る働き方形態です。

 

日本国内では「自由業」「自由職業」「フリーランス」と呼称されますが、企業・団体・組織と就業契約を締結して業務を請け負って遂行します。

 

 

 

日本政策金融公庫の総合研究所が「フリーランスの実態に関する調査」を実施して結果を公表しました。

 

日本政策金融公庫とは日本の政策金融機関で株式会社ですが、財務省所管の特殊法人です。2008年10月に株式会社日本政策金融公庫法に基づき設立されました。

 

近年、雇用形態が柔軟な働き方であるフリーランスが注目されています。また、フリーランスは働き方が多様化されているため、現況と将来性を調査分析した結果を公表・周知することになったようです。

 

 

 

 

フリーランスの実態調査の実施要項

 

実態調査は、2017年9月~10月に実施されました。

 

調査方法は、インターネット調査会社から登録モニターに依頼して回答専用Web画面に入力してもらう形で行われました。

 

 

調査対象範囲は、柔軟な働き方をしている人です。柔軟な働き方は、働く場所や時間の制約が小さいことが前提となっています。

具体的には、「会社員(経営者)」「自営業」「SOHO」「会社組織に所属していない専門職」で働く人の中から
『企業経営者・個人事業主で、消費者向け店舗を運営していない、正社員雇用が0~19人の人』
を対象としています。

調査結果の回答者人数は1,477人でした。

新聞社・テレビ局が実施する全国世論調査は2,000人程度の無作為に選択して60%の1,200人の回答もらい分析結果を公表しています。当アンケートと比較しても同等な回答人数といえます。

 

 

事業規模と業態分別を整理すると下記表のようになり、個人で働くフリーランスの人の回答が、約67%を占めます。

 

日本政策金融公庫「フリーランスの実態に関する調査」の簡単なまとめ_表-事業規模・業態分別と回答数

 

 

 

 

フリーランスの実態調査結果(1) 正規雇用社員との比較

 

フリーランスと正社員雇用している企業の規模を比較し説明します。

 

 

 

 

第1に経営者の属性について

 

①性別

 

Ⅰ.フリーランス

●男性:約87%
●女性:約13%

 

Ⅱ.正社員雇用企業(1~4人)

●男性:91%
●女性:9%

 

Ⅲ.正社員雇用企業(5~19人)

●男性:約95%
●女性:約5%

 

 

 

②年齢層

 

Ⅰ.フリーランス

●39歳以下:約7%
●40歳代:約29%
●50歳代:約39%
●60歳代以上:約25%

 

Ⅱ.正社員雇用企業(1~4人)

●39歳以下:約3%
●40歳代:約27%
●50歳代:約41%
●60歳代:約32%

 

Ⅲ.正社員雇用企業(5~19人)

●39歳以下:約2%
●40歳代:約27%
●50歳代:約41%
●60歳代:約30%

 

 

 

③世帯主(生計を維持者)

 

Ⅰ.フリーランス

●世帯主:約81%、
●それ以外:約19%

 

Ⅱ.正社員雇用企業(1~4人)

●世帯主:約87%
●それ以外:約13%

 

Ⅲ.正社員雇用企業(5~19人)

●世帯主:約93%
●それ以外:約7%

 

 

 

④正社員としての勤務経験

 

Ⅰ.フリーランス

●勤務経験あり:約86%
●勤務経験なし:約14%

 

Ⅱ.正社員雇用企業(1~4人)

●勤務経験あり:約90%
●勤務経験なし:約10%

 

Ⅲ.正社員雇用企業(5~19人)

●勤務経験あり:約92%
●勤務経験なし:約8%

 

最終学校を卒業して個人事業主・起業家となる人は14%と多い結果になっています。

 

 

 

⑤業歴

 

Ⅰ.フリーランス

●9年以内:約33%
●10~19年:約32%
●20~29年:約19%
●30年以上:約15%

 

Ⅱ.正社員雇用企業(1~4人)

●9年以内:約22%
●10~19年:約30%
●20~29年:約27%
●30年以上:約22%

 

Ⅲ.正社員雇用企業(5~19人)

●9年以内:約20%
●10~19年:約30%
●20~29年:約23%
●30年以上:約26%

 

 

 

⑥開業する際に重視したこと

 

Ⅰ.フリーランス

●収入:約22%
●仕事のやりがい:約39%
●私生活との両立:約39%

 

Ⅱ.正社員雇用企業(1~4人)

●収入:約23%
●仕事のやりがい:約46%
●私生活との両立:約31%

 

Ⅲ.正社員雇用企業(5~19人)

●収入:約26%
●仕事のやりがい:50%
●私生活との両立:24%

 

 

 

 

第2に事業内容について

 

フリーランス

●建設業(一人親方):約21%
●事業所向けサービス業(設計・デザイン・コンサルタント・ライター):約16%
●消費者向けサービス業(出張理美容師・ネイリスト・便利屋):約13%

 

正社員雇用企業(1~4人)

●建設業:約32%
●事業所向けサービス業:約12%
●消費者向けサービス業:約10%

 

正社員雇用企業(5~19人)

●建設業:約30%
●製造業(下請け・工芸品):約14%
●事業所向けサービス業:約11%

 

「建設業」に従事する人の独立・起業・開業が目立ちます。

 

 

 

 

第3に事業を行う場所と事業に従事する時間について

 

事業を行う場所は、「自宅の居室」「自宅併設の事務所・作業所」の「職住一致」の割合が高位で、

 

Ⅰ.フリーランス:約75%
Ⅱ.正社員雇用企業(1~4人):約58%
Ⅲ.正社員雇用企業(5~19人):約29%

 

となっています。

 

 

 

事業に従事する時間数(1週間当たり)については、フリーランスと正社員雇用企業(1~4人)は30時間未満が多い状況(順に約43%、約39%)ですが、正社員雇用企業(5~19人)は50時間以上が多く(約31%)なります。

 

 

 

 

第4に事業から得る年収について

 

Ⅰ.フリーランス

●200万円未満:約40%
●200~300万円:約13%
●300~500万円:約23%
●500~800万円:約18%

 

Ⅱ.正社員雇用企業(1~4人)

●300~500万円:約25%
●500~800万円:約27%

 

Ⅲ.正社員雇用企業(5~19人)

●500~800万円:約25%
●1,000万円~:約32%

 

正社員数を多く雇用している事業主は高収入です。

 

日本の全産業の平均年収が442万円ですので、フリーランス・正社員雇用ともに平均を超えている状況です。

 

 

 

 

第5に満足度について

 

①収入の満足度

 

Ⅰ.フリーランス

●「かなり満足」 「やや満足」:約18%
●「どちらともいえない」:約33%

 

Ⅱ.正社員雇用企業(1~4人)

●「かなり満足」「やや満足」:約23%
●「どちらともいえない」:約40%

 

Ⅲ.正社員雇用企業(5~19人)

●「かなり満足」「やや満足」:約31%
●「どちらともいえない」:約47%

 

 

 

②仕事のやりがい度

 

Ⅰ.フリーランス

●「かなり満足」 「やや満足」:約56%
●「どちらともいえない」約36%

 

Ⅱ.正社員雇用企業(1~4人)

●「かなり満足」「やや満足」:約53%
●「どちらともいえない」:約38%

 

Ⅲ.正社員雇用企業(5~19人)

●「かなり満足」「やや満足」:約59%
●「どちらともいえない」:約35%

 

仕事のやりがい度は報酬に反して高位な指標になっています。

 

 

 

③私生活との両立度

 

Ⅰ.フリーランス

●「かなり満足」「やや満足」:約56%
●「どちらともいえない」:約34%

 

Ⅱ.正社員雇用企業(1~4人)

●「かなり満足」「やや満足」:約52%
●「どちらともいえない」:約38%

 

Ⅲ.正社員雇用企業(5~19人)

●「かなり満足」「やや満足」:約52%
●「どちらともいえない」:約36%

 

会社に拘束されずに私生活と両立している状況です。

日本政策金融公庫「フリーランスの実態に関する調査」の簡単なまとめ-1_r

 

 

 

フリーランスの実態調査結果(2) フリーランス形態(収入重視型・仕事重視型・生活重視型)の実態比較

 

第1にフリーランスの形態について

 

フリーランスを、収入重視の人は「収入重視型」、仕事のやりがいを重視の人は「仕事重視型」、私生活との両立を重視する人は「生活重視型」と類型化すると、それぞれの占める割合が、順に約22%、約38%、約39%の構成になります。

 

収入重視よりも仕事のやりがい重視・私生活との両立を重視する人が大半を占めています。

 

 

 

 

第2に業歴について

 

フリーランス歴10年未満で生活重視型の人が約41%と半数に近づいています。

 

 

 

 

第3に事業内容について

 

収入重視型

●建設業:約27%
●事業所向けサービス業(設計・デザイン・コンサルタント・ライター):約12%
●消費者向けサービス業(出張理美容師・ネイリスト・便利屋):約11%

 

仕事重視型

●建設業:約20%
●事業所向けサービス業:約20%
●消費者向けサービス業:約13%

 

生活重視型

●建設業:約18%
●消費者向けサービス業:約15%
●事業所向けサービス業:約14%

 

従事する類型化を問わず「建設業」に従事する人が多い状況です。

 

 

 

 

第4に事業を行う場所と事業に従事する時間について

 

「自宅の居室」「自宅併設の事務所・作業所」の「職住一致」の割合が高位です

 

収入重視型:約72%
仕事重視型:約74%
生活重視型:約80%

 

仕事場を専用に持つ人は少ない状況です。

 

 

 

事業に従事する時間数(1週間当たり)は、収入重視型・仕事重視型は50時間以上が多い状況(順に約30%、約24%)ですが、生活重視型は10時間未満が多く(約25%)なります。

 

 

 

 

第5に事業から得る収入について

 

収入重視型

●200万円未満:約30%
●300~500万円:約23%
●500万円以上:約36%

 

仕事重視型

●200万円未満:約35%
●500万円以上:約29%
●300~500万円:約23%

 

生活重視型

●200万円未満:約51%
●300~500万円:約24%
●200~300万円:約13%

 

生活重視型は就業時間数が少ないため収入額も少ない状況です。

 

日本の全産業の平均年収が442万円です。フリーランスは半分以下の「200万円未満」年収が目立つ状況です。

 

 

 

 

第6に満足度について

 

①収入の満足度

 

収入重視型

●かなり満足・やや満足:約23%
●どちらともいえない:約33%

 

仕事重視型

●かなり満足・やや満足:約22%
●どちらともいえない:約31%

 

生活重視型

●かなり満足・やや満足:約13%
●どちらともいえない:約36%

 

どの類型でも収入面で満足していない状況です。

 

 

 

②仕事のやりがい度

 

収入重視型

●かなり満足・やや満足:約54%
●どちらともいえない:約32%

 

仕事重視型

●かなり満足・やや満足:約69%
●どちらともいえない:約25%

 

生活重視型

●かなり満足・やや満足:約44%
●どちらともいえない:約50%

 

仕事重視型の満足度は高位です。

 

 

 

③私生活との両立度

 

収入重視型

●かなり満足・やや満足:約52%
●どちらともいえない:約33%

 

仕事重視型

●かなり満足・やや満足:約55%
●どちらともいえない:約36%

 

生活重視型

●かなり満足・やや満足:約61%
●どちらともいえない:約33%

 

生活重視型の満足度は高位な状況です。

 

 

 

 

フリーランスの実態調査結果まとめ

 

フリーランスは正社員雇用事業主と比較しても「建設業」「事業所向けサービス業(設計・デザイン・コンサルタント・ライター)」が多く見受けられます。独立・開業・起業する業種に適している調査結果になりました。

 

また、フリーランスは専用の就業場所を保有せずに「職住一致」の人が大半です。

 

さらに就業時間の制約がないため、週に30時間未満の就業~50時間以上の就業とばらつきがあります。

 

 

 

気になる年収は「200万円未満」が多く、正社員雇用事業主と比較して低位です。また、将来の事業拡大に関しても消極的な面が見られます。

 

しかし就業時間を増加させると「500万円以上」と日本の全産業の平均年収442万円を超えることが判明しました。

 

また、仕事のやりがいの満足度・私生活との両立の満足度は高水準で、正社員雇用事業主と比較しても満足度が高位です。

 

 




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