お正月が過ぎれば、確定申告のシーズンがやってきます。フリーランスにとって確定申告は、事業を行っていくうえで大切なイベントです。
今回は、来る確定申告の前に知っておきたい年賀状の経費での取り扱いについてご紹介します。
目次
フリーランスの年賀状は経費で落とせるの?
結論から言いますと、年賀状は経費で落とせます。
既にデザインが印刷されているものを使用したり、印刷可能な年賀状を購入して、自宅やオフィスで自分で作ったデザインを印刷したり、コメントを手書きしたり。あるいは、印刷業者に依頼して作成しているフリーランスもいるでしょう。
年賀状のハガキ代はもちろん、これら印刷にかかった費用も全て、経費で落とすことができます。また、当然ながらコメントを書き入れるために購入したペンなどの筆記具も経費で落とすことができます。
(※ペンの経費については『備品や設備を購入するときに気を付けること』を参考にしてください。)
WEBで年賀状印刷の依頼をし、そのまま相手先へ発送までしてもらった場合、それらも全て経費として落とせます。
どうやって年賀状を経費で落とせばいい?
経費で落とす場合、それぞれがどの会計項目(これを勘定科目といいます)に当たるのかを知っておかなくてはなりません。
特に、毎年送る年賀状の場合は、年に一度の経費計上ですので「前年はどの科目にしていたっけ?」と忘れていることがあります。
コロコロと年ごとに勘定科目を変えてしまうと、経費の見直しなどの際に正しい前年比の算出ができなくなります。勘定科目は、毎年同じ科目を使うようルールをはっきりとさせておきましょう。
注意したいのは、「販売促進費」と「広告宣伝費」の振り分けです。
年賀状に「このハガキをお持ちの方は〇〇%割引します」といった文言を入れている場合、宣伝色が濃いと判断できるため、広告扱いとなります。また、商品販売をしているフリーランスで、地域の不特定多数の見込み客に対して送ったものであれば、商品宣伝に当たるため、勘定科目は「広告宣伝費」となります。
サービスへの入会案内や商品の購入案内といったDMの要素が強いものは、販売促進目的と判断できるため、勘定科目は「販売促進費」となります。
このように、広告要素や販売促進要素の強い年賀状を出したフリーランスは、その費用を「通信費」とは別に計上することになります。ただし、その費用が10万円に満たない場合は、年賀状の「通信費」として扱うことができます。
今後事業を拡大していく可能性を考えれば、最初から分けておいた都合が良いでしょう。
ちなみに年賀メールは、インターネットの費用に送信費用が含まれているため、分けて計上することはまずありませんが、勘定項目「通信費」に該当します。
<例>無地の年賀状1枚63円を100枚購入し、現金払いした場合
借方、貸方ともに合計金額6,300円となります。
金額は、支払いした金額をそのまま記入します。
支払い方法を現金ではなくクレジットカードを利用した場合は、書き方が変わります。
(※下記『クレジットカード支払いで年賀状を用意したときは?』を参考にしてください。)
割引券付やDMのような年賀状を用意した場合は、印刷代も関わってきます。詳しくは、次の項目で説明します。
年賀状そのものと印刷代が別のときはどう経費で落とす?
年賀状は、枚数が少なければ自宅のプリンターを使って印刷をしたり、コンビニエンスストアに備え付けられているプリントサービスを利用して印刷するといった方法があります。
ある程度まとまった枚数であれば、印刷業者へ依頼してデザインを印刷してもらったほうが手っ取り早いこともあり、利用しているフリーランスも多いのではないでしょうか。
どこでどんな内容を印刷したかによって、勘定項目が異なります。
印刷業者へ依頼した場合、その費用は「通信費」または「業務委託費」として計上できます。今後のことを考えれば「業務委託費」として年賀状のハガキ代金と分けてしまったほうが便利です。
印刷業者によっては領収書と納品書が別になっており、領収書に内訳が印字されていないことがあります。納品書に内訳がありますので、仕分時はそこから転記することになります。
<例>無地の年賀状(1枚63円)100枚と印刷料金(4,100円)を現金払いした場合
「業務委託費」には、年賀状のハガキ代を除いた基本料金に加えて、背面印刷代金、宛名オプションといった業者へ依頼してかかった費用全てが含まれます。
<例>無地の年賀状(1枚63円)100枚と印刷ソフト(3,980円)を現金購入し、割引券付きの年賀状を作成した場合
この場合、割引券付きですから、年賀状代の勘定項目は「広告宣伝費」となります。印刷ソフト代は「消耗品費」として計上します。
クレジットカード支払いで年賀状を用意したときは?
帳簿につける手間を簡略化したり、管理しやすくするために少額ならクレジットカードを使うフリーランスも多いでしょう。
<例>年賀状(1枚63円)を100枚クレジットカード購入した場合
クレジットカード払いでは、後日引落しがかかり、その時に支払いが発生します。ところが、お金の流れとしては、一旦「未払金」という扱いとなり、引落し日に「未払金」が「普通預金」(引落しの預金口座)から支払いされるということになります。
摘要は、事業用につくった1枚のクレジットカードからしか支払いしないというのであれば「事業用クレジットカード」でも構いません。
印刷代に関しても、同様の仕分となります。
<例>年賀状(1枚63円)100枚と印刷ソフト(3,980円)をクレジットカードで購入した場合
年賀状代、印刷ソフト代ともに一旦「未払金」となり、後日合算された代金が「普通預金」から支払われるという流れになります。
収入と支出の頻度が少ない、あるいは出入りする金銭が少ないフリーランスの場合は、上表のような記帳だと逆にお金の流れが把握しづらくなることもあります。また、フリーランスという性格上、完全に個人の財布と事業の財布を分けることも難しいこともあり、支出が混ざってしまうこともあります。
その場合は、フリーランスの特権ともいえる「事業主借」という勘定科目を使いましょう。
<例>年賀状(1枚63円)100枚と印刷ソフト(3,980円)をクレジットカードで購入した場合
「未払金」を「事業主借」としておくことで、事業主個人のお金を借りて支払いをしたという手段で経費計上することができます。
「事業主借」で計上できるのは、クレジットカードだけでなく現金や口座引き落とし、どれでも利用できます。ただし、これは事業者が個人(事業者本人)から借りた場合に限ります。事業者専用のクレジットカードや現金(財布)、口座から支払いをした場合は、それぞれに該当する勘定科目で計上をしなければなりません。
確定申告時のクレジットカード払いの取り扱いの詳細については
も参考にしてください。
まとめ
年賀状も営業ツールですから、経費で計上したいものです。
仕分には、いろいろな勘定項目を使いますが、最初にルールを決めてしまえば、毎年そのルールに合わせて計上するだけで済み、悩むこともありません。
きちんと経費計上して、正しく管理したいですね。
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