ここ近年では、フリーランスの待遇が少しづつ上がってきています。アメリカでは20年までに人口のおよそ半分がフリーランスになるという検証データも出ていて、アメリカの経済を基盤としている日本も今後は、それに追随する形でフリーランスが増えていくと思われます。
しかし年功序列、終身雇用などの仕組みから脱化したての日本ではやはり、まだ1つの企業に依存するという考え方が主流です。また、フリーランスになることに対して不安な目を向けざるをえないと思います。
しかし、フリーランスは本当に安定しないのでしょうか?今回はその実態と、それぞれの不安要素に対する対策、改善策をご紹介します。
そもそもフリーランスは安定しない?
フリーランスや副業に特化したクラウドソーシングサイト「Lancers」での2018年のフリーランス実態調査(※1)では、フリーランスが抱えている不満1位に上がったのは「収入がなかなか安定しない(45%)」で、ダントツ1位でした。
その理由は後々説明します。やはり収入を安定させるにはコツがいるようです。
中小企業庁によるフリーランスの実態調査(※2)では、年収の手取り100万円未満の方が約23%、100万〜300万の方が36%となっています。約60%が300万円未満ということで、やはり安定へ持っていくには多少の時間が必要になるみたいです。
フリーランスでは収入を安定させるために、安定しない原因に対して対策を売っていく立ち回り方が重要になってきます。ここが上手くできていないと、収入は安定して貰えず、苦労することになってしまいます。今まで企業に属していた人からすると、やはりそれは一番の不安要素です。
では具体的になぜ安定することが難しいのでしょう。
中小企業庁による同調査で、フリーランスの課題として一番多く挙げられたのが、「顧客の確保(41%)」です。まずは仕事を思ったようにとってこられないというのが、フリーランスの収入が安定しない一番の要因です。
そして上記の同調査にもあるように、「安い金額で請け負ってしまう」パターンもあるようです。これも収入に直接関わってくる部分ですので、安定しない要因の一つに挙げられるでしょう。なかなか仕事が貰えないという状況下にあると、営業や打ち合わせの時点でどうしても低い金額で見積もってしまう場合があるようです。
ここではこの「顧客の確保」と「金額交渉」の2つを“収入が安定しない主な要因”として紹介し、次からそれぞれの対策、改善策を紹介していきます。
顧客の確保
フリーランスの課題は、仕事を貰うことです。いきなり無名のままフリーランスを始めても相手はどうやって信用したら良いのか分かりません。
そしてどのようにして取引先を探すのかも最初は手探りです。自分の提供できる価値、スキルに対して、それを求めている人達との出会いの場がなければ、そもそも仕事はとってこられないでしょう。フリーランスは安定した収入源を確保するために自分にあったフィールド、そして立ち回り方が重要になってきます。
では具体的にどういったコツ、立ち回り方があるのでしょう。
収入が安定しないという方は、この立ち回り方をなかなかできずにいるか、上手くできていない傾向にあります。これを実践するだけでも、収入の安定のしやすさは大幅に上昇します。
対策1:人脈を増やす
とにかく人に会うことが重要です。
Lancersによる同調査では、フリーランスがいかに仕事をとってきているのかという統計もとっています。その多くは「人脈(知人の紹介も含む)」が57%と圧倒的に多いのです。
地元のイベントや交流会に積極的に顔を出して人脈を増やすことが、仕事につながる可能性を一気に跳ねあげます。フリーランサーの仲間を増やしていくこともとても重要です。共同で案件を受ける場合も多々ありますし、貴重な情報を共有できます。
筆者はフリーランサーになって最初の頃、あるフリーのカメラマンと知り合ってから定期的に案件をもらったり、一緒にプロジェクト活動をする機会が増えました。
そして活動を続けるうちに自然と色んな人に知り合えて、フリーランス仲間も増え、今では安定した収入を獲得できています。
対策2:WEB集客
新規のクライアントから信頼を得るためには、実績や可視化された評価が必要です。無名で何も持っていないままフリーランスになっても、信頼を得ることは容易ではありません。
まずは信頼を得られる「評価資本」をWEBに残しましょう。ブログで専門の記事をあげていっても良いですし、WEBサイトを作って自分のこれまでの作品を載せても良いでしょう。
このとき、ただWEBサイトを作るのではなく、クライアントになり得る人に多く見てもらえるように「SEO対策」を意識することも大切です。
SEO対策とは、WEB検索の結果で上位表示されるように行う対策です。
みなさんがWEB検索するとき、検索結果の上の方から順に欲しい情報がありそうなサイトを探していませんか? つまり、検索結果の上位に表示されるほど多くの人の目に触れやすく、サイトを訪問してもらえる可能性が高くなるのです。
SEO対策について学ぶ際は、はじめにGoogleが出しているガイド(※3)を読んでおきましょう。検索エンジンの代表格であるGoogleの考えを知ることは重要です。
対策3:SNS集客
SEO対策を施したWEB集客だけでは、自分の評価資本を他人に見てもらう機会には限りがあります。そこで重要となってくるのがSNS集客です。総務省情報通信政策研究所の調査(※4)によれば、今では10~40代の7割以上がSNSを使っています。
SNSで自分の作品や作風、意見や価値観などを積極的に発信していくことで、多くの方の目に止まる機会が増え、興味を持ってくれる方がでてくるでしょう。そしてSNSの投稿やプロフィールに、サイトやブログのURLを載せることで、WEBサイトへ誘導することができます。
対策4:クラウドソーシングの活用
「Lancers」や「CloudWorks」などといったクラウドソーシングプラットフォームを活用すれば、企業との案件につなげることができます。しかし初めはそのプラットフォーム上で評価がゼロの状態でスタートしなければならないため、単価は安くなりがちです。
例えばライター業務の場合、評価が貯まるまでは「1字0.2〜0.5円」くらいの案件を受けることが多いです。しかし評価が溜まるにつれ、「1文字1円」や「1文字2円」などの案件を契約できることが増え、企業からも高単価で依頼がくるようになります。
評価が溜まっていくことは後々強力な信頼、そして高単価の案件へとつながります。低単価を覚悟で、経営状況を確認しながらクラウドソーシング案件を取っていくことも1つの手です。
個人的には、提案をする際に「評価資本」も提示することをオススメします。評価がゼロでも、WEB上に何かしらの「評価資本」となる実績があれば十分に判断基準になるからです。筆者もクラウドソーシングを活用していましたが、評価が極端に少ない時でも、専門ブログや実績を一緒に提示してアピールしたことで、単価の高い案件を頂いた経験があります。
価格交渉
集客がうまく機能して仕事を得られたとしても、見積もりの段階で価格交渉を持ち出され、結局安い金額で請け負ってしまうケースもあります。それではフリーランスとして安定した収入を得ることは難しいでしょう。
対策1:ブランド化をしよう
値段とは、自分の提供できる価値に対してつけられるものです。もし金額交渉を受けてしまったり、思っていたよりも低い値段になってしまったなら、それはブランド化がうまくできていないと言えます。金額を下げるということは自分のブランド価値も下げるということですからね。
金額を下げる癖をつけてしまったら、口コミでも「あそこは安さが売り」という形で広まりかねません。
しっかりと自分の提供できる価値に対して自分自信で金額をつけ、それを突き通せる自信を持ちましょう。後々このブランド化が安定した集客にも繋がります。
ブランド化のコツについては、下記記事に詳しく書かれているので参考にしてください。
『【ブランディング】フリーランスは自分をPRする方法を身につけよう!』
対策2:自ら行動して顧客を取る
やはり一番良いのは自分の提示した金額がそのまま通ることだと思います。そのためにも金額交渉を避ける立ち回りができたらすごく楽ですよね。
これも上述した中小企業庁の実態調査なのですが、「自分が提示した金額で決まることが多い」顧客獲得の方法が、「自分の営業活動、売り込み」がグラフの割合を圧倒的に占めています。おそらく自分自身を売り込むために労力を使っているので、ブランディングに成功する確率も上がるのでしょう。
具体的な営業方法として有効なのが、ホームページに予め料金を設定したWEB集客です。
ホームページにプランや料金記載があれば、クライアントはそれを参考にするので依頼が来ても記載通りの額で契約できます。
まとめ:対策をしっかりすれば十分安定!
フリーランスで収入が安定していない人は、上記の対策をしっかりやっていないか、どこかで失敗している場合が多いのです。しかしこれらの対策の多くは、フリーランスを始める前からでも準備できますし、始めた後でもしっかり施して改善を続けていけば十分に間に合います。
顧客の獲得もスキル提供も全て一人でやるフリーランス。一般的には安定しないというイメージがありますが、その実態は「フリーランスだから」ではなく「各々の施している対策」が直接的に影響しているのです。
※2 中小企業庁によるフリーランスの実態調査
※3 【Google】ウェブマスター向けガイドライン(品質に関するガイドライン)、検索エンジン最適化(SEO)スターター ガイド
※4 【総務省情報通信政策研究所】平成28年情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査
この記事を書いたのは
最新の投稿
- 2024年12月9日社員研修パワーハラスメント研修完全ガイド | 効果的な実施方法と重要ポイント
- 2024年12月6日社員研修コンプライアンス研修とは?企業価値を高める効果的な実施方法と注目すべきテーマを解説
- 2024年12月3日ビジネススキルSNSリテラシーとコンプライアンス対策|企業が注意すべきポイントと具体的な予防策
- 2024年11月30日ビジネススキルレジリエンスとは?現役コンサルタントが解説する意味・効果・高める方法