備品や設備を購入するときに気を付けること


備品や設備を購入するときに気を付けること

フリーランスとして事業を経営している方が、備品や設備の購入をどのようにしたらよいのかという悩みを持つこともありますよね。余剰資金と相談しながら必要な備品や設備を購入していくのですが、ちょっとした知識を持つことでその後の資金管理に役立てることができます。

 

今回は、フリーランスが備品や設備を購入するときに気を付けることについて解説していきたいと思います。

 

 

 

 

1.備品や設備の会計処理

 

備品や設備を購入したとき、経費として計上できるかどうかで利益の額や税金の額が変わってきます。まずは、備品や設備を購入したときの会計処理について考えていきます。

 

 

 

 

(1)消耗品

 

消耗品には事務用品費と消耗品費があり、まとめてどちらも消耗品費として計上することもありますが、どれだけのお金を何に使ったか分かるように分けておくほうが良いでしょう。

 

事務用品費は事務のためのボールペンなどを買った費用で、消耗品費は書類を入れておく ためのケースなどを買った費用、といったように、事務用品費も消耗品費も経費となります。

 

 

 

 

(2)備品

 

消耗品だと思っても、その金額が高い場合には全額をその年の経費にできない場合もあります。この場合には備品として計上します。消耗品費にするか備品にするか、つまり経費にするか資産にするかでは、利益の額が違ってきます。したがって、どのような場合に経費となるのか、備品として固定資産となるのかの判断が大切です。

 

固定資産には、備品だけでなく土地、建物、構築物、機械といった項目もあります。

 

 

 

 

(3)固定資産として計上するものはどんなもの?

 

イメージとしては長く事業のために使うことができるものは、固定資産に分類されます。会計や税務上の処理をする場合には何らかの基準が必要なので、消耗品や備品を購入したときの金額によって経費にするか固定資産にするかの線引きをします。

 

購入した年度に一括で経費計上できる金額は、1個または1セットあたり、

 

青色申告者の場合:30万円未満
白色申告者の場合:10万円未満

 

となります。経費計上できないものは固定資産に計上したあとに、減価償却という手続きをつうじて何年かにわたって経費を計上していきます。

 

購入するための手数料、引取るための運賃、固定資産を取付けるためにかかっ た費用などは、固定資産の額に含めて計上します。

 

 

 

 

2.パソコンを購入した場合を考えてみよう

 

(1)安いパソコンを購入した場合

 

たとえば事業のためにパソコンを購入した場合を考えてみます。

 

パソコンは長く使うものであるため、備品という項目に分類します。しかし最近は、安いパソコンや中古のパソコンなどもたくさん販売しています。もし中古でパソコンを購入して、それが3万円だった場合はどうでしょうか?

 

原則的にはパソコンは高くても安くても、1年以上使用するものであれば、備品として資産とすることが正しい処理方法です。ただし、青色申告者の場合は30万円未満、白色申告者の場合は10万円未満のものは消耗品費として経費計上をすることができます。

 

 

 

 

(2)資産とするのがよいのか経費とするのがよいのか

 

パソコンを購入して資産にすると、その年に一括して経費にすることができません。全部を経費にした場合に比べて資産にした場合は、その年の利益が大きくなりその分税金が高くなります。なるべく費用を大きくして利益を少なくし、税金を安くしたいと考えますので、安いパソコンを購入した場合の多くは経費として処理することが選ばれます。資産に計上して減価償却をしていく方法は手間もかかりますので、もし経費とできる金額の範囲内であれば経費にすることがほとんどです。

 

しかし、事業の調子が思わしくなくて損失が出ている場合には、パソコンを一括して経費計上しても損失が増えるだけで税金は変わりません。資産計上をしておいて今期の経費を少なくし、減価償却を通じて次年度以降の経費にするという方法もひとつの方法です。

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3.備品や設備を購入する前に知っておきたいこと

 

(1)青色申告をすると30万円未満は経費計上できる

 

税務署に青色申告承認申請書を出して確定申告を青色申告にすると、1個または1セットあたり30万円未満のもの(ただし、合計300万円まで)を一括でその年度の経費にすることができます。白色申告者はこの金額が10万円未満となります。

 

 

 

 

(2)中小企業等投資促進税制

 

確定申告で青色申告書を提出している中小企業者や個人事業主が利用できる制度として、「中小企業等投資促進税制」というものがあります。平成29年度税制改正で、中小企業を応援するために中小企業が行う生産性の向上につながる設備投資への支援が行われることになりました。

 

この制度を利用するにはいろいろな条件がありますが、制度をを利用することができると、通常は資産計上して減価償却をして費用としていかなければならないような設備投資について、その年に一括して費用とすることが認められます。大きな設備投資を考えている方は、ぜひこの中小企業等投資促進税制を使うことができるかどうかを検討してみてください。

 

 

 

 

4.まとめ

 

今回は、フリーランスが備品や設備を購入するときのポイントについて解説しました。備品や設備を費用とするか資産とするかで、利益は異なってきますし、税法上の取扱いも細かく定められています。

 

備品や設備は事業を行う上では、短期的または長期的に使用する資産です。貸借対照表でどれくらいの備品や設備があるかをみることで、その経営者が何に投資し、将来的に収益をあげていくことができるかどうかが分かります。会計処理を行う上でも、事業内容を分析する上でも、備品や設備は大切な項目ですので、しっかりと理解するようにしましょう。

 

また、大規模な設備投資を考えている場合には、中小企業等投資促進税制などの利用できる支援制度などがあります。お住まいの地域の商工会議所や政府の広報ページなどをチェックして、自分が利用できる制度がないか調べてみるのもよいと思います。

 

本業に専念しながら、会計、事業計画、設備投資対策まで手を回すことが難しいと思う場合には、税理士などの専門家のアドバイスを受けるのも良い方法だと思います。

 

 


この記事を書いたのは

Cool Workers運営部
Cool Workers運営部ライター
フリーランスや副業などの“自由なはたらき方”、税金、働き方改革に関する情報を発信しています。Cool Workers運営部は、様々な働き方をしているメンバーで記事を作っています。