フリーランス(個人事業)から法人事業へのステップアップを考えてみよう!


フリーランス(個人事業)から法人事業へのステップアップを考えてみよう!

フリーランスとして仕事をはじめ、事業が順調で事業規模を広げたい場合、信用力の点で個人事業では限界を感じる場合に、まず考えるのが法人化ではないでしょうか。

 

今回は、フリーランスが個人事業から法人事業へのステップアップを考えるタイミング、メリットやデメリット、実際に法人化をしたフリーランスの体験などをまとめました。

 

 

 

 

1.フリーランスが個人事業から法人事業になるタイミング

 

フリーランスで個人事業をしていて法人事業になるということは、会社を作るということですので、自分が会社の社長になるということになります。フリーランスとして仕事をしている人にとって、法人化を目標にしている人も多いのではないでしょうか。

 

一般的に、個人事業から法人事業になるタイミングは、法人化したほうが税金が安くなるラインだと言われています。

 

個人事業だと確定申告で所得税を納付します。法人化をすると会社の決算が終わって2か月後の申告期限までに法人税を納付します。ただし、法人化した場合にも役員報酬という形で自分の報酬を得るために、所得税がかかりますし、法人はひとつの社会的な存在と認められているために法人としての住民税も支払わなければなりません。

 

所得税は、累進課税といって利益が増えれば増えるほど税率が高くなる仕組みになっていますので、事業からの利益が大きくなればなるほど、その利益に対する税金の全てを所得税として支払うより、法人化をして法人税と所得税で支払うほうが安くなっていきます。

 

その人の状況によっても変わりますが、一般的には個人事業からの利益が300万円を超えたあたりくらいから法人化を検討しはじめ、400万円~500万円くらいで法人化をすることで、法人化による節税のメリットが得られると考えられます。

 

具体的には、その人の状況にあわせたシュミュレーションが必要になってきますので、法人化を検討する場合には、税理士などの専門家にアドバイスを受けることをおすすめします。

 

 

 

 

2.法人化することによって信用力がアップする~法人化のメリットとデメリット

 

法人化をすることにより税金上以外のメリットもありますし、逆にデメリットとなることもあります。法人化を考えるときには、どのようなメリットとデメリットがあるのかを検討していく必要があります。

 

 

法人化のメリットとデメリットについては、

 

フリーランスが個人事業主から会社設立をするまでのポイント
「フリーランスからの華麗なる転身」起業のメリット

 

に掲載しています。合わせて読んでみてください。

 

 

法人化のメリットとして、税金上のメリット以外で一番大きなものは信用力です。

 

事業規模が大きくなり大きな取引をするようになると、取引相手によっては個人相手の取引よりも会社と取引をしたいという人も増えてきます。法人化をするには、会社の根本規則となる定款を作成したり登記を行ったりと行税上の手続きを踏まなければなりませんので、きちんとした組織が必要になってきます。法人化をすることができるということで、きちんとした組織があると信用されることが多いのです。

 

 

ここで気をつけたいことが、法人化するときの資本金です。

 

株式会社を作るときに、制度上は資本金が1円でも法人を設立することができます。実際には、1円の資金で会社をスタートさせることはできないので、会社をスタートさせる資金は、会社の代表者である自分が出すか金融機関からの借入に頼ることになります。会社としての信用面を考えたときに、その会社がきちんとした会社かどうかは資本金を含めた財務内容で判断されることが多いので、できれば資本金は300万以上あることが望ましいといえます。資本金が1円では、「とりあえず法人化をしただけの会社」と見られてしまうことも少なくありません。

 

 

次に、法人化のデメリットを考えていきます。法人化のデメリットとして一番大きなものは、手間がかかるということではないでしょうか。

 

事業が順調で事業規模が大きくなった場合には、組織を整えて法人化をしたほうがメリットが大きいのですが、そうでない場合は法人化をしても手間がかかり法人住民税などの出費も大きくなるだけです。フリーランスとして気軽に仕事をしていきたい、事業は順調だけどやめたいときに気軽に仕事をやめたいなどの場合には、一度法人化をすると自分にとってその会社が負担になってきます。一生の仕事として自分で会社を経営していくという気持ちがない場合には、法人化をしないほうがよいのではないでしょうか。

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3.フリーランスで法人化をして成功しやすいケース

 

フリーランスから個人事業を法人化して成功しやすいケースとは、どのようなケースでしょうか。法人化をするには、ある程度事業が順調に伸びていくという見通しがあることが大切です。

 

個人事業から法人としてステップアップをした方で、順調に会社経営をしている方の特徴をみると、会社の社長として仕事に前向きで、法人化してからもさらに事業を伸ばしていきたいと考えて、さまざまな知識を吸収して経営者として活躍している方が多いといえます。このような方は、法人化したときの税金上のメリットだけを考えて法人化をしているのではなく、事業を拡げていく通過点として個人事業から法人事業へのステップアップを捉えているようです。

 

このため法人化するときに、このまま事業を順調に続けていくことができるのかどうかを慎重に考えている方が多いようです。法人化に至るまでにある程度のスタッフがそろい、組織的に活動をできる規模になっていて、会社組織であることが当然なくらいの状況であれば法人化をしても成功しやすいでしょう。

 

逆に、法人化をしてもうまくいかないケースもあります。フリーランスでよくあるケースは、スタッフを雇わずに必要なときだけ外注を利用するなどして、1人で仕事をしているケースです。スタッフを雇わないメリットは、仕事が安定しない場合に固定給を支払わなくてもよいので、いつでも気軽に人件費を減らすことができるということです。自分ひとりでできる範囲を超えた仕事が安定してある場合には、スタッフを雇っている場合が多いのではないでしょうか。

 

よくあるのが、フリーランスとして1人で仕事をしていて、たまたま利益が多く出て法人化をしたほうが税金上のメリットが多いから法人化したという方の中には、自分の体調を崩したり仕事の受注が少なくなることで収入が減り、会社の存在が負担になってしまった、というケースです。自分が仕事ができないときでも、スタッフを雇っていてある程度は仕事がまわっていく状態であるかどうか、ということも法人化をして成功をするか失敗となるかの判断材料になります。

 

 

 

 

4.まとめ

 

フリーランスとして仕事をしている方は、どのような理由で会社組織に所属しないでフリーランスとして仕事をはじめたのでしょうか。

 

独立心があり、自分の好きな仕事で仕事をして事業を大きくしていきたい、どこかに所属して人に指示されるのではなく自分の好きな方法で収入を得たい、といったように自分の時間の多くを使って仕事に打ち込もうと思っているフリーランスの方にとっては、法人化を目指すことはひとつの目標になると思います。

 

しかし、自由な時間がたくさんほしい、会社組織での人間関係に疲れてしまってフリーランスとして仕事をしている、といった方にとっては、法人化して事業規模を大きくすることは会社に所属するサラリーマンよりも多くのストレスがかかる状況になってしまうかもしれません。

 

フリーランスで事業が順調で法人化を検討しようかなと思っている方は、まずは自分のワークスタイルを見直し、これからどのように仕事をしていきたいかを考えるとよいでしょう。法人化してどんどん事業を大きくしていきたいという方は、法人化するメリットはたくさんありますし、何より自分の会社があるということで仕事に対する思いも強くなるのではなると思いますので、ぜひチャレンジしてみてください。

 

 


この記事を書いたのは

Cool Workers運営部
Cool Workers運営部ライター
フリーランスや副業などの“自由なはたらき方”、税金、働き方改革に関する情報を発信しています。Cool Workers運営部は、様々な働き方をしているメンバーで記事を作っています。